十一代目 桂文治襲名披露興行に行く
桂文治襲名披露興行が新宿・末広亭で始まっている。気がつけば最終日は30日(そのあと、浅草演芸ホール、池袋演芸場、国立演芸場と続く)。27日には札止め(満員)になったと聞き、土日の混雑を考えると今日しかない、と28日に行ってきた。平日に行けるのは失業者の数少ない特権。
先月のお練りの際にいただいた割引券を使って節約。1枚で3人まで割引価格だけど、平日だし急に思い立ったこともあって単独使用。いや、友達がいないわけではないのだが。
用心して早めに行ったため、まだ昼の部の途中だった(昼夜入替なし)。桂幸丸の落語の次は桧山うめ吉の俗曲。かわいい声でとぼけたこと(一部、歌詞の意味が分からないまま唄うところがありますが皆様もお分かりにならないでしょうから気にしないで)を言っていたが、あとで調べたら結構なキャリアの持ち主らしい。昼の部最後は三遊亭遊吉の「源平盛衰記」。これは偶然か。私が最初に桂平治(現 文治)の落語を聴いたのが、「親子酒」とこの「源平盛衰記」。なにわ亭落語会という私設寄席での時間をたっぷりとった大熱演で、すっかり魅了された。その後、独演会「十代目桂文治十八番」でこれを演じ、平成21年度(第64回)文化庁芸術祭大衆芸能部門新人賞を受賞された。そして凱旋公演?で再び演じていただいたのが2010年2月。闘病中の席亭にとって最後の落語会になった思い出の噺。
昼の部が終わっても立つ人は少ない。夜の部は、桂宮治の落語、鏡味味千代の太神楽、桂右團治の落語、瀧川鯉朝の落語。その次はプログラムではぴろきのギタレレ漫談となっていたがコントD51のコントで、続いて三遊亭笑遊の落語、柳家蝠丸の落語、北見伸とスティファニーニよる奇術、桂米助の落語、三遊亭小遊三の落語と来て、中入りを挟んで口上。
舞台奥に張られた幕も取り替えられて三枚目。司会進行は柳家蝠丸。下手から桂米助、笑福亭福笑、桂文治、三遊亭小遊三、桂歌丸と並ぶ。先日、「笑点」でも口上は放送されていたが、直に見る方が面白い(古典芸能にライブという言葉は似合わない)。先代文治と笑福亭福笑の因縁話が披露されたり、突っ込み待ちで話を大きくしたりと、もうそれ自体がひとつの演芸。その間、文治はずっと黙ったままニコニコと。まさに「漫画に描かれたお日様」(歌丸)のような笑顔。この口上は一見の価値がある。
江戸家まねき猫の物まねで秋を感じてから歌丸と福笑の落語(「紙入れ」「宿屋ばばぁ」)で笑い、ボンボンブラザーズの客を巻き込んだ曲芸にハラハラするといよいよ文治登場。お練りの際にも感じたけれど、この人の声はほんとうによく通り、細かいところまで聞き取りやすい。そして尻餅をたっぷりと魅せてくださった。
手元にはまだ3館共通入場券が1枚あるので、また行こうと思う。
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