2015/07/23

この記者はこれを書いた

「プロメテウスの罠」を執筆した記者の名前を五十音順にした。ただし、読み方の分からない記者が何人かいたので、そこは常識的に判断した。しかし上地を「かみじ」と読んだが、これは「あげち」「うえち」「じょうち」の可能性もあり、その場合は順序が変わる。同様に順序が変わるかもしれない例には()で当方の読みを記した。

基本的にWEB新書のタイトル。まだ単行本になっていないシリーズと、単行本になった際タイトルが大きく変わったものは()で示した。

青木美希
遅れた警報「助かる人 死なせた」
麻田真衣(あさだ?)
医師、前線へ「ヨウ素剤、飲ませるべきだった」
石井徹
自然エネ危機「もう一回死ねと言うのか」
磯崎こず恵
函館の訴え「原発建設の無期限凍結求める」
板橋洋佳
日本への不信「英雄的犠牲を求める」
「影」が動いた「早く除染してくれ!」
壱田和華子
4年目の夏「子どもを〈保養〉で守るんだ」
岩崎賢一
病院、奮戦す「明日も乗り切ろう」
岩堀滋
残された人々 「障害者を救い出せ!」
震災乗り越えた生徒たち
踊り残そう「子どもらに笑顔が戻った」
県境の先で「差別か。受けた痛みは同じなのに」
4年目の夏「子どもを〈保養〉で守るんだ」
岩本美帆
事故と犯罪「原発の不安が引き金になった」
大鹿靖明
汚染水止めろ「東電の現場が空洞化している」
岡本進
中高一貫校「双葉郡に日本初の実験校新設」
小川裕介
抵抗32年の島「反原発、ゆったり闘うんよ」
奥山俊宏
内部告発者「それが原子力ビジネスのやり方」
小此木潔
脱原発の攻防「巨大利権構造と戦う」
上地兼太郎(かみじ?)
研究者は辞表を出して現場に飛び込んだ
学長の警告「内部被曝、事態は深刻です」
神田誠司
飛び出した町「死の灰を浴びた町長」
マツバヤ復活「お客様の元へ行こう」
北野隆一
震災と皇室「放射能学び、飯舘村に行きたい」
木村健一
(五輪のひと)
木村英昭
官邸の5日間「撤退なんてありえない」
小滝ちひろ
宮司は残った
小坪遊
イノシシ膨張「人間が自然の破壊者なんだ」
小森敦司
原発維持せよ「本当のコストは?」
原発のごみ「誰が見ても破綻しているのに」
ふるさと訴訟「戻りたくても戻れぬ理不尽」
佐藤美鈴
災害放送「おだがいさまFM」の苦しみ
上丸洋一
不安を消せ!「でも高線量。避難すべきだった」
関根和弘
漫画いちえふ「読み手を原発に連れて行く」
関根慎一
給食に福島米「100%安心と言えないが」
田井良洋
帰還の現実「再除染なし。被爆線量が増える」
平和博
ワゴン車に線量計をつけて(弁当ガイギー)
竹内敬二
自然エネ危機「もう一回死ねと言うのか」
机美鈴(つくえ?)
子犬は生きていた! 残された動物たち
中小路徹
(Jヴィレッジ)
中山由美
本庁は告げた「放射能観測を中止せよ」
海鷹丸が来た「汚染の流れ見えた!」
釣ったら放せ「セシウムの移行を追え」
(チョウを追う)
生井久美子(なまい?)
残ったホーム「家族は迎えに来なかった」
野上英文
「影」が動いた「早く除染してくれ!」
日本への不信「英雄的犠牲を求める」
林美子
(たらちねの母)
本田雅和
妻よ「故郷を奪われた不安が自死を招いた」
(希望の牧場)
前田史郎
テロ大丈夫か「核管理32カ国中23位」
イノシシ膨張「人間が自然の破壊者なんだ」
検証もんじゅ「保安規定違反の疑いがあります」
前田直人
2人の首相「原発推進の論理は破綻している」
前田基行
防護服の男 「頼む、逃げてくれ」
東電は述べた「放射性物質は無主物である」
長安寺の遺骨「『弔い』への長い道」
家が買えない「東電と国が値切るから」
ローン減らせ「大熊町の闘う女性司法書士」
松浦新
学長の警告「内部被曝、事態は深刻です」
英国での検問「東電値上げのマジック」
南井徹
函館の訴え「原発建設の無期限凍結求める」
宮崎知己
ロスの灯り「核燃の夢、残った死の灰」
吹き流しの町「ヨウ素剤を配布せよ」
山田佳奈
除染の悩み「今、そこにある放射能!」
遠野ショック「牧草地を取り戻せ!」
4年目の夏「子どもを〈保養〉で守るんだ」
山田菜の花
掘ったら遺跡(広野を掘れば)
吉田啓
がれきの行方「環境省がじゃまをする」
依光隆明
研究者は辞表を出して現場に飛び込んだ
原始村に住む「津波はタブーなんだ」
カワセミ日記「あと5年は戻れない」
中ぶらりんのまま、また年を越す
追いかける男「肝心な過渡現象記録を出せ!」
渡辺周
地底をねらえ「これは巧妙な罠です」
原発城下町「大熊に殺戮の光線そそぎて…」

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2015/07/15

この記者は「プロメテウスの罠」の

記者の名前から「プロメテウスの罠」のどの記事を書いたかを逆引きできるようにした。読み方がわからないので漢字コード順にソートしてある。名前を探すには検索推奨。[]がついているのはWEB新書のタイトル(新聞掲載時と大きく変わったのは、「広野を掘れば」→[掘ったら遺跡]、「弁当ガイギー」→[ワゴン車に線量計をつけて])。本紙掲載から間もないものはWEB新書に収められていない。asahi.com から削除されたため新聞掲載時のタイトルが分からないものもある。

分担執筆をしたものもあるので、「こいつがアノ酷い記事を書いた記者か」と早とちりしないように。あるシリーズを誰が書いたかは「「プロメテウスの罠」タイトルおよび筆者一覧」を参照(シリーズ中のどの記事を書いたかのデータも整理中)

依光隆明
[研究者は辞表を出して現場に飛び込んだ]
[原始村に住む「津波はタブーなんだ」]
[カワセミ日記「あと5年は戻れない」]
[中ぶらりんのまま、また年を越す]
[追いかける男「肝心な過渡現象記録を出せ!」]
磯崎こず恵
[函館の訴え「原発建設の無期限凍結求める」]
壱田和華子
[4年目の夏「子どもを〈保養〉で守るんだ」]
奥山俊宏
[内部告発者「それが原子力ビジネスのやり方」]
岡本進
[中高一貫校「双葉郡に日本初の実験校新設」]
関根慎一
[給食に福島米「100%安心と言えないが」]
関根和弘
[漫画いちえふ「読み手を原発に連れて行く」]
岩崎賢一
[病院、奮戦す「明日も乗り切ろう」]
岩堀滋
[残された人々 「障害者を救い出せ!」]
[震災乗り越えた生徒たち]
[踊り残そう「子どもらに笑顔が戻った」]
[県境の先で「差別か。受けた痛みは同じなのに」]
[4年目の夏「子どもを〈保養〉で守るんだ」]
岩本美帆
[ 事故と犯罪「原発の不安が引き金になった」]
机美鈴
[子犬は生きていた! 残された動物たち]
吉田啓
[がれきの行方「環境省がじゃまをする」]
宮崎知己
[ロスの灯り「核燃の夢、残った死の灰」]
[吹き流しの町「ヨウ素剤を配布せよ」]
佐藤美鈴
[災害放送「おだがいさまFM」の苦しみ]
山田佳奈
[除染の悩み「今、そこにある放射能!」]
[遠野ショック「牧草地を取り戻せ!」]
[4年目の夏「子どもを〈保養〉で守るんだ」]
山田菜の花
[掘ったら遺跡](広野を掘れば)
小此木潔
[脱原発の攻防「巨大利権構造と戦う」]
小森敦司
[原発維持せよ「本当のコストは?」]
[原発のごみ「誰が見ても破綻しているのに」]
[ふるさと訴訟「戻りたくても戻れぬ理不尽」]
小川裕介
[抵抗32年の島「反原発、ゆったり闘うんよ」]
小滝ちひろ
[宮司は残った]
小坪遊
[イノシシ膨張「人間が自然の破壊者なんだ」]
松浦新
[学長の警告「内部被曝、事態は深刻です」]
[英国での検問「東電値上げのマジック」]
上丸洋一
[不安を消せ!「でも高線量。避難すべきだった」]
上地兼太郎
[研究者は辞表を出して現場に飛び込んだ]
[学長の警告「内部被曝、事態は深刻です」]
神田誠司
[飛び出した町「死の灰を浴びた町長」]
[マツバヤ復活「お客様の元へ行こう」]
生井久美子
[残ったホーム「家族は迎えに来なかった」]
青木美希
[遅れた警報「助かる人 死なせた」]
石井徹
[自然エネ危機「もう一回死ねと言うのか」]
前田基行
[防護服の男 「頼む、逃げてくれ」]
[東電は述べた「放射性物質は無主物である」]
[長安寺の遺骨「『弔い』への長い道」]
[家が買えない「東電と国が値切るから」]
[ ローン減らせ「大熊町の闘う女性司法書士」]
前田史郎
[テロ大丈夫か「核管理32カ国中23位」]
[イノシシ膨張「人間が自然の破壊者なんだ」]
[検証もんじゅ「保安規定違反の疑いがあります」]
前田直人
[2人の首相「原発推進の論理は破綻している」]
大鹿靖明
[汚染水止めろ「東電の現場が空洞化している」]
竹内敬二
[自然エネ危機「もう一回死ねと言うのか」]
中山由美
[本庁は告げた「放射能観測を中止せよ」]
[海鷹丸が来た「汚染の流れ見えた!」]
[釣ったら放せ「セシウムの移行を追え」]
チョウを追う
中小路徹
Jヴィレッジ
田井良洋
[帰還の現実「再除染なし。被爆線量が増える」]
渡辺周
[地底をねらえ「これは巧妙な罠です」]
[原発城下町「大熊に殺戮の光線そそぎて…」]
南井徹
[函館の訴え「原発建設の無期限凍結求める」]
板橋洋佳
[日本への不信「英雄的犠牲を求める」]
[「影」が動いた「早く除染してくれ!」]
平和博
[ワゴン車に線量計をつけて](弁当ガイギー)
北野隆一
[震災と皇室「放射能学び、飯舘村に行きたい」]
本田雅和
[妻よ「故郷を奪われた不安が自死を招いた」]
希望の牧場
麻田真衣
[医師、前線へ「ヨウ素剤、飲ませるべきだった」]
木村英昭
[官邸の5日間「撤退なんてありえない」]
木村健一
五輪のひと
野上英文
[「影」が動いた「早く除染してくれ!」]
[日本への不信「英雄的犠牲を求める」]
林美子
たらちねの母

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「プロメテウスの罠」タイトルおよび筆者一覧

asahi.com 内の記事検索では連載の初めまで遡れないので、適宜astand.asahi.com内で提供されているweb新書の情報も取り入れた。[]がweb新書のタイトル。


  1. 防護服の男 (全13回) [防護服の男 「頼む、逃げてくれ」] 前田基行

  2. 研究者の辞表 (全21回) [研究者は辞表を出して現場に飛び込んだ] 依光隆明、上地兼太郎

  3. 観測中止令 (全15回) [本庁は告げた「放射能観測を中止せよ」] 中山由美

  4. 無主物の責任 (全14回) [東電は述べた「放射性物質は無主物である」] 前田基行

  5. 学長の逮捕 (全22回) [学長の警告「内部被曝、事態は深刻です」] 松浦新、上地兼太郎

  6. 官邸の5日間 (全35回) [官邸の5日間「撤退なんてありえない」] 木村英昭

  7. 原始村に住む (全15回) [原始村に住む「津波はタブーなんだ」] 依光隆明

  8. 英国での検問 (全25回) [英国での検問「東電値上げのマジック」] 松浦新

  9. ロスの灯り (全26回) [ロスの灯り「核燃の夢、残った死の灰」] 宮崎知己

  10. 長安寺の遺骨 (全25回) [長安寺の遺骨「『弔い』への長い道」] 前田基行

  11. 遅れた警報 (全15回) [遅れた警報「助かる人 死なせた」] 青木美希

  12. 脱原発の攻防 (全14回) [脱原発の攻防「巨大利権構造と戦う」] 小此木潔

  13. [病院、奮戦す「明日も乗り切ろう」] 岩崎賢一

  14. [吹き流しの町「ヨウ素剤を配布せよ」] 宮崎知己

  15. [除染の悩み「今、そこにある放射能!」] 山田佳奈

  16. [カワセミ日記「あと5年は戻れない」] 依光隆明

  17. [がれきの行方「環境省がじゃまをする」] 吉田啓

  18. [地底をねらえ「これは巧妙な罠です」] 渡辺周

  19. 残された人々 [残された人々 「障害者を救い出せ!」] 岩堀滋

  20. [飛び出した町「死の灰を浴びた町長」] 神田誠司

  21. [遠野ショック「牧草地を取り戻せ!」] 山田佳奈

  22. [中ぶらりんのまま、また年を越す] 依光隆明、前田基行

  23. 日本への不信 [日本への不信「英雄的犠牲を求める」] 板橋洋佳、野上英文

  24. [「影」が動いた「早く除染してくれ!」] 野上英文、板橋洋佳

  25. [海鷹丸が来た「汚染の流れ見えた!」] 中山由美

  26. [震災乗り越えた生徒たち] 岩堀滋

  27. [子犬は生きていた! 残された動物たち] 机美鈴,畜産

  28. [原発維持せよ「本当のコストは?」] 小森敦司

  29. [家が買えない「東電と国が値切るから」] 前田基行

  30. [テロ大丈夫か「核管理32カ国中23位」] 前田史郎

  31. [釣ったら放せ「セシウムの移行を追え」] 中山由美

  32. [踊り残そう「子どもらに笑顔が戻った」] 岩堀滋

  33. [原発城下町「大熊に殺戮の光線そそぎて…」] 渡辺周

  34. [イノシシ膨張「人間が自然の破壊者なんだ」] 前田史郎、小坪遊

  35. [ ローン減らせ「大熊町の闘う女性司法書士」] 前田基行

  36. [追いかける男「肝心な過渡現象記録を出せ!」] 依光隆明

  37. [給食に福島米「100%安心と言えないが」] 関根慎一

  38. 医師、前線へ [医師、前線へ「ヨウ素剤、飲ませるべきだった」] 麻田真衣

  39. マツバヤ復活 [マツバヤ復活「お客様の元へ行こう」] 神田誠司

  40. 残ったホーム [残ったホーム「家族は迎えに来なかった」] 生井久美子

  41. 汚染水止めろ [汚染水止めろ「東電の現場が空洞化している」] 大鹿靖明

  42. 事故と犯罪[ 事故と犯罪「原発の不安が引き金になった」] 岩本美帆

  43. 原発のごみ [原発のごみ「誰が見ても破綻しているのに」] 小森敦司

  44. 内部告発者 [内部告発者「それが原子力ビジネスのやり方」] 奥山俊宏

  45. 中高一貫校 [中高一貫校「双葉郡に日本初の実験校新設」] 岡本進

  46. 震災と皇室 [震災と皇室「放射能学び、飯舘村に行きたい」] 北野隆一

  47. 不安を消せ! [不安を消せ!「でも高線量。避難すべきだった」] 上丸洋一

  48. 帰還の現実 [帰還の現実「再除染なし。被爆線量が増える」] 田井良洋

  49. 県境の先で [県境の先で「差別か。受けた痛みは同じなのに」] 岩堀滋

  50. 4年目の夏 [4年目の夏「子どもを〈保養〉で守るんだ」] 山田佳奈、岩堀滋、壱田和華子

  51. 函館の訴え [函館の訴え「原発建設の無期限凍結求める」] 南井徹、磯崎こず恵

  52. 二人の首相 [2人の首相「原発推進の論理は破綻している」] 前田直人

  53. 抵抗32年の島 [抵抗32年の島「反原発、ゆったり闘うんよ」] 小川裕介

  54. 妻よ [妻よ「故郷を奪われた不安が自死を招いた」] 本田雅和

  55. ふるさと訴訟 [ふるさと訴訟「戻りたくても戻れぬ理不尽」] 小森敦司

  56. 検証もんじゅ [検証もんじゅ「保安規定違反の疑いがあります」] 前田史郎

  57. 漫画いちえふ [漫画いちえふ「読み手を原発に連れて行く」] 関根和弘

  58. 自然エネ危機 [自然エネ危機「もう一回死ねと言うのか」] 石井徹、竹内敬二

  59. おだがいさま [災害放送「おだがいさまFM」の苦しみ] 佐藤美鈴

  60. 広野を掘れば [掘ったら遺跡] 山田菜の花

  61. 弁当ガイギー [ワゴン車に線量計をつけて] 平和博

  62. 宮司は残った [宮司は残った] 小滝ちひろ

  63. オイルマン 奥山俊宏

  64. 五輪のひと 木村健一

  65. Jヴィレッジ 中小路徹

  66. たらちねの母 林美子

  67. 希望の牧場 本田雅和

  68. チョウを追う 中山由美

27シリーズ「子犬は生きていた!」の筆者にある畜産というのは謎だが、商品紹介にはっきりとそう書いてある。

こうして眺めてみると、一回きりの記者もいれば、何度も登場する記者もいる(ただし、前田記者は複数いるので勘違いしないように)。執筆しているのは悪名高い特別報道部所属の記者ばかりではない(社内公募制で出稿できるらしい)

「鼻血はありまーす」と粘ってみたりバンダジェフスキーを持ち上げたりと、たまに(しばしば?)とんちんかんな記事が載るのでプロメテウスの罠は糞と決め付ける方もいらっしゃるが、中には地道ないい記事もあるとは思っている(と思って評判を調べると、別方面から石を投げられていたりして、朝日新聞ってホント嫌う人が多いのね)

こうやって一覧にしてみると、記者によって記事の傾向が見えてくるかもしれない。また、まだどこでも批判されていないようだが、シリーズ33の「原発城下町「大熊に殺戮の光線そそぎて…」」はかなり問題がありそう。「あと数分で大震災が起きるというころだった。ますみは何か胸騒ぎを感じ、こんなことを口にした」とか「頭上を飛ぶ数百羽の黒いカラスに、「この世の終わり」と感じた住民もいた。」なんて情緒的に煽るだけでなく、津波が来る前に第一原発から作業員が逃げてきて、コンビニで略奪行為を働き、その中の顔見知りの作業員が「先生、逃げろ! ここはもう駄目だ。配管がムチャクチャだ」と叫んだという、本当だったら事故調の結論を覆すようなことも書いてある。寡聞にしてここが批判されているのを知らない。アンチ朝日の目も結構節穴。

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2014/10/07

雑木林幻想に落とし穴?

「平地林の落ち葉を堆肥に利用する循環型農業が300年以上続く三富新田」の世界農業遺産認定を目指す運動が埼玉県で進められている埼玉新聞。とりわけ熱心なのが三芳町。一方、隣接する所沢市は冷淡だという。世界遺産に指定されたら転業も土地売却もままならなくなるかららしい。この辺りは自然遺産などでも問題になるところ。

ところで何がそんなに素晴らしいのかといえば、循環型農業だという(ほかにも土壌の保水性を高めた構成も売りらしい)。間伐材を薪炭として利用し、その灰や落葉堆肥を畑に利用する。雑木林は適度な人的介入により極相林(常緑広葉樹林)へ遷移することなく、いつまでも落葉広葉樹林の状態を保ち続ける云々。

埼玉県議会は平成11年(1999年)に採択した意見書の中で「これまで農地と雑木林は、落ち葉を堆肥として利用するという循環型農業が維持される中で一体となって保全されてきた」と述べているし、三芳町が作成した「平地林が支える循環型農法」(PDF)にも、「萌芽更新、ヤマ掃き等により平地林を適正管理し、落ち葉から堆肥を作り、耕作地へ施肥、耕作に適した土を作る。その畑で育った農作物の恵み(収益等)により再び平地林の管理をする。この持続可能な循環型農法が300 年以上続けられている。」と書かれている。

おかしくないだろうか?

物質収支を見ると、雑木林からは出る一方ではないだろうか。炭素は光合成によって大気中から取り込まれるので良いとして、植物の三大栄養素、窒素(N)、リン(P)、カリ(K)は、農産物の形で畑からもどんどん取り去られている(だからこそ農地には施肥が必要になるわけ)。木灰はカリウム肥料だ。窒素とリンは一般に下肥として供給されるし、金肥(購入肥料)として魚粕や油粕あるいは化学肥料も投入されることもある。しかし雑木林に肥料をまくという話は寡聞にして知らない。

「樹木に肥料は要らない」という話もあるようだが、それは成長しきってからの話だろう。落葉・落果が根元で分解し吸収されるなら肥料は要らない。だが萌芽再生のためには肥料は必須。そうでないならば質量不変の法則が破られたことになってしまうが、もちろんそんなことはありえない。

とはいえ、この農法が破綻せずに300年以上続いてきたということは、なんらかの還流があったのだろう。たとえばタヌキやイノシシといった野生生物が外部(農地を含む)で食餌を得て雑木林内で脱糞・放尿し、あるいは死亡すれば窒素とリンの還流になる。野鳥でも同様。

そうだとすると、その意識してこなかった物質還流のルートを保持しないで〈循環農業〉を継続しようとすると破綻必至に思えるのだが、どうだろう。

前掲の三芳町作成の資料には「その畑で育った農作物の恵み(収益等)により再び平地林の管理」とあるので、雑木林に金肥を施すこともありかもしれないが、化学肥料をまくなら畑に直接の方が効率が良いわけだし、「堆肥の原料となる落ち葉を確保するために購入した腐葉土を雑木林に投入」では目的と手段が逆転してしまう。

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2014/06/10

象牙と象の密猟と

「ビッグイシュー日本版」にコラム「ノーンギシュの日々」を書いている滝田明日香さんが一時帰国して精力的に講演会を開いている。その一つ「アフリカケニアで野生動物と生きる~滝田明日香さんを囲む市民の集い」に参加した。会場は久しぶりの四谷ひろば(旧・新宿区立四谷第四小学校)。大雨にもかかわらず体育館には百人近い聴衆が。

5月末にNHKのクローズアップ現代「追跡 アフリカゾウ密猟とテロ」に出演された効果もある? (なぜか「動物園クライシス~ゾウやキリンが消えていく」と勘違いしている人もいたようだが)

受付で「ボランティアをされましたか?」と聞かれたが、きっぱり「いいえ」と答えて資料代を払う。もう基金会員もやめちゃったしね(寄付金控除を受けるため)。

お話は、イヌを使って家畜を獣害から守る仕事から始まり、現在のアフリカゾウ保護まで。野生動物が密猟されるのは、その肉(ブッシュミート)が珍味というか高級食材というか、とにかく市場で良い値で売れるからというのに最初の驚き。現金収入は魅力なのだ。

で、本題のアフリカゾウ。密猟のために絶滅の危機に瀕しているという。なぜ密猟されるのか? 象牙が高値で売れるから。ただし、ここから話は少々複雑になってくる。

整理してみると、こうなる。


  1. 現地では開発に伴い野生動物との接触が増え、獣害が問題になっている(特にそれまで象の通り道だったところに作った農場は侵入されがち)

  2. それゆえ現地農民はアフリカゾウに好感を持っていない

  3. アフリカゾウも人間を「危害を加えてくる対象」として敵視

  4. アフリカゾウから採れる象牙は(ホワイトゴールドと呼ばれ、闇市場で)価格が高騰し続けている

  5. 日本と中国が大消費国として象牙需要を支えている

  6. 各地の反政府武装勢力が資金源として象牙取引に着目

  7. 今では密猟には自動小銃が使われるありさま

  8. 密猟監視人との間に銃撃戦も起こるようになり「完全に戦争状態だ。」

  9. アフリカゾウを一頭倒せば年収に匹敵する現金が手に入るので密猟組織の手先になる現地人も

  10. 経験豊富なリーダーを失ったアフリカゾウの集団は、未熟なリーダーのもと、子象を守りきれず、また農民との衝突を回避できず、ますます危機的状況に陥る

つまり、象牙取引が完全になくなっても、農民とアフリカゾウの間に軋轢があれば密猟は止まらない。しかしながら、現在は象牙取引がおいしい商売であるため、密猟が過剰殺戮になっている。また、現地農民とアフリカゾウの関係が修復されても、象牙目的の密猟をなくすことはできない。そしてこれは個人的な推測だけれども密猟組織は協力的でない現地住民にも銃を向けるようになるだろう。これは容易に解決しそうにない。

また、非常に根本的な問題として、アフリカゾウって絶滅したら困るの? に対する答えも必要。農場を荒らされている側からすれば、いなくなって、おまけに現金まで手に入るなら一挙両得と思っても不思議ではない(絶滅させたら、象牙による収入は絶えるけれど、それはまた先の話)。一方で、イスラム過激派の資金源を断つためにアフリカゾウを絶滅させてしまえ(たしかに象牙取引は不可能になる)という乱暴な考えが出ないとも限らない。麻薬ではこの考え方は実行に移されていて、ケシ畑の破壊が行われている。

保護キャンペーンに協力しているヒラリー・クリントンの本当の関心はアフリカゾウの絶滅だろうか? イスラム過激派対策が真の狙いというのは穿ち過ぎか。中国を牽制できる話題だから乗り出したのではないと言えるだろうか。アンケートに「USAの思惑も真意がどこにあることやら」と書いたのはそういうこと。そっちの片がついたらサッサと手を引いたりしないだろうか。現地の親米的政権が〈合法的〉に乱獲を始めてもだんまりを決め込む可能性は?

この点、滝田さんにとってアフリカゾウを保護し絶滅から守ることは自明のようだ。もちろん、それは世界でも公式の常識である。でも、そういう常識を共有していない人が相手なのだから。(滝田さん自身は過激な反捕鯨派のような「アフリカゾウが第一」論者ではなく、ミツバチフェンスのように人間にも利益のある共存策を探られている)

休憩時間に水口編集長?と名刺交換する滝田さん。とても美しく迫力のある方でした。


取り組む相手は、「象牙取引の規制が厳しくなれば、値段は高くなる」と算盤を弾くような人間なのだ。その発想に従って密猟者は〈増産〉に、販売者は在庫の確保に、消費者は駆け込み購入に精を出す。講演に感銘を受けた聴衆が「私は象牙を買わないようにしよう(それまでだって買ったことはない)」と決意したところで、ほとんどなんの効果もないだろう。象牙をありがたがっている人に諫言しても「大きなお世話」と返されるのが落ち。幸か不幸か「これは合法象牙です」に対しては、違法象牙がロンダリングされているため、合法取引が密猟の後押しをしているという再反論が可能なのだが。

日本国内に限って言えば、象牙の用途は印鑑や根付といった小物であり、人工象牙など代替品の開発や印鑑文化の衰退(期待するのはまだ早いか?)によって需要は減っていくのではないかと希望的観測。問題はイケイケドンドンの最中にある中進国ではないだろうか。経済的に成功したエネルギッシュな彼らは〈ステータスの象徴〉を求める。それは希少であり高価でなければならない。「このまま消費すれば絶滅してしまうから」という説得はブレーキではなくアクセルになってしまいかねない。もっと相応しいと思えるものを提供するか、「象牙を持つのは格好悪い」というような文化を生み出すか。

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2012/12/03

「タウリン1000mg」と「末端価格3億円」

別に栄養ドリンクに恨みがあるわけではないが、「タウリン1000mg」は「わぁー、たくさん入っている」という誤認を狙っているのではないかと思う。これは一人説ではなく、たとえば「8217マイクロシーベルト」という報道に「タウリン1000mg的な表現」という批判がなされている(ミリシーベルトを使えば8.2に収まるから)。

ほかの成分が概ねmgで表示されているのだから極端な数値にならないなら単位を揃えるのはそれなりに合理的だし、もしかすると表示には約束事があるのかもしれない。数字を盛る気なら成分も「100mℓ中」ではなく「1ℓ中」にしてそれぞれ10倍にもできるわけだから。

数字には、こうした錯誤を誘発するトリックを仕込ませやすいので注意が必要。濃度(比率)と絶対量も錯誤を招きやすい。NHKで放送された「けったいな人々」というドラマに、家出をして食い詰め、動物園の前で客向けに動物用の餌を売る商売を始めた男が登場する。舅に見つかって帰るよう諭され「この商売は利益率十割」と強がってみたものの「十割と言っても十銭」と論破される。干し椎茸から放射性セシウムが見つかったと騒いで、1kgを水に戻したらどれだけの量になる? 1回で食べきれるか?と反問された人はいないだろうか。

しかし基準値100Bq/kgそのものに疑義を呈する人にはあまり効果がない。この感覚の差はほとんど絶望的に大きい。1Bq(ベクレル)がどれほど小さな値かは、おそらくアボガドロ定数をすぐに思い出せない人には理解しづらいのだろう。そして、どんなに小さくても被曝は被曝という主張はさておき、「100ベクレルなんてとんでもない」という感覚の影に「マイクロシーベルト毎時は一桁でも大騒ぎしている」ことが影響していないだろうか。

※ 冗談と思われるかもしれないが、そのような主張をする人は実在する。

シーベルトもベクレルも放射能の単位という理解なら、一方が1でも大騒ぎ、他方は100でも大丈夫というのは矛盾して見えても当然。だが、もともと全く別の事象を観測するための単位なので桁は違ってもおかしくはないのだ。これをどう理解してもらえるだろうか?

そんな話を旧知と話しているときに思いついたのが大麻や覚せい剤押収のニュースに出てくる「末端価格でX億円」という表現。これは警察発表をそのまま使っているらしい(野菜などの盗難被害は出荷価格なのに、麻薬等はなぜ〈小売価格〉なのかという質問への回答が、「億円」と聞けば「すごく大量」と感じないだろうか。

これを数量で発表してもピンとは来ないだろうし、薬価で表したら(ヘロインのように薬価のないものもあるが)コソ泥も赤面するような金額になってしまうだろう。違法薬物の脅威、特に非合法組織の関与の危険性を喧伝するためとは思うが、現場ではそのような貴重品扱いはされていないのではないだろうか(ニュースから計算すると1gあたり79000円相当が現在の相場らしいが、これは金価格の16倍以上)

ともあれ、騙す意図がなくても、数字というのはこのように錯覚を起こさせることがあるから注意したい。

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2012/06/02

泣きっ面に蜂

地震・津波に対する避難体制のニュースを見ていて心配になるのは、晴天を想定しているように思えること。

東日本大震災の際は東北地方は雪のところもあり、津波の難は逃れたものの寒さで落命した人も少なくはあるまい。

海岸沿いで近くに高台がない場合は、頑丈な高層建築への避難が構想されているが、屋上や外廊下に避難民がひしめき合うこと必至。雨や雪も辛いけれど、台風襲来時に地震・津波が起きないという保証はない。嵐が吹きすさぶ中、屋上に2時間も3時間も避難していられるだろうか? 竜巻が襲ってきたら?

地震雷火事親父

「地震雷火事親父」とは恐いものの順序だが、これらは互いに排他的ではない。つまり一緒に襲ってくることがありうる

ちなみに「親父」とは父親のことではなく強い風のことだという説もある。

強い地震が起き、津波が来るかもしれないというので高所に避難していたら発達した積乱雲が近づいてきて...これはかなり恐ろしい。

火事については、津波後の火災とは別の天災も考えられる。火山の噴火だ。これも天候や津波とは独立の事象。いや地震とはむしろ連動する可能性がある。津波と溶岩流の激突は、地獄絵図ではあるが、そう広範囲に起きるとは思えない。だが、避難した屋上に火山灰が降り注ぐのなら一地方を巻き込める。雨混じりの火山灰降下は始末に悪い。

これらが一度に来るとどうなるか。台風に刺激された前線が長雨を降らせ、堤防や地盤が緩んだところへ大地震! 堤防は至る所で決壊し、大洪水。そこへ津波が押し寄せる。台風が近づいたところで火山が噴火し、大量の火山灰が雨に混ざってセメント状になって広範囲に吹きつけられる。

ダムの決壊や原発事故(いずれも東日本大震災では併発)が加われば〈パーフェクト〉か?

アウトブレイク


てなことをツイートしていたら、伝染病の蔓延が提案された。元の発言は荒唐無稽の気(この複合災害想定も稀有に稀有を重ねてはいるけれど、「宇宙人襲来」のような〈ありえない〉出来事は考慮外)があったけれど、衛生インフラが破綻し、避難所生活で体力が落ちたところへ新型感染症が持ち込まれると、大変なことになるのは確か。

干天の...

また日照り・水不足を挙げてきた人もいた。タイムスパンの長い災害ではあるけれど、組み合わさるとたしかに嫌だ。旱魃の後で台風が来て、「慈雨だぁ」って喜んでいたらじきに「降り過ぎ〜」ってなるとか。土がカラッカラになった後に津波が来て塩水が染み渡ったり。カラッカラの土地にパッサパサの火山灰が降り積もったり。

台風は年に1,2度は来るものだし、強い雨や雪はそう珍しい現象ではない。地震・津波対策は当日の悪天候を前提にしてほしい。(正直なところ、大雨で道路が冠水し、「屋内にとどまったほうが安全」という状況下で津波警報が出たらどうしたら良いだろうかと悩む。

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2012/02/20

あるロー生の試練(君は立派な法律家になれる だろう)

光市母子殺害事件の最高裁判決が出た。この事件についての感想は5年前に書いた通り。

人生を諦めた者に運命は過酷だ。あの世から正木ひろしを呼び寄せても勝ち目はあるまい。いや、真相はわからないが。

つまり、「下手に争うと情状が悪くなるので、ひたすら〈悪うございました〉で頭を下げ続けろ」という一審の弁護方針が裏目に出て、検事上告に対して口頭弁論が開かれる(=原判決破棄確定で死刑の可能性大に)という土壇場での大ピンチ。上告審をはじめに担当した弁護人はまさかの事態に愕然とし、かくなるうえは尋常の弁論では勝てないと安田弁護士に依頼したようだ。この弁護士と一二審の弁護人が同一かは知らない。

主張の当否は判断できないけれど、使える理屈は総動員して被告人を守るのは弁護人の責務だと納得していた。しかしそれが大量懲戒請求事件に発展したことはご存じの通り。

ちなみに弁護人というものは被告人が「私は死刑になって当然です」と言い張っても、なにか有利な事情はないかと探し「どうか温情を」と弁論するもの。昔、国選弁護人が「弁護の余地がない極悪人」みたいな答弁(?)をしたため死刑が確定した元被告人がその弁護士を訴えて賠償金を勝ちとったことすらある。依頼人のために誠意を尽くす義務があるというわけ。

ところが、そうした事情を知らないまま、あるロースクール生が最高裁判決のニュースに気ままなツイートをした。元が削除されているので残された断片から推測すると、殺意はなかったと言い出したことを揶揄したらしい。

で、銛を持ってダイビング中の弁護士の目に止まった。その後のツイートを見ると複数の弁護士から同様のお小言を頂戴したらしい。晒すつもりはないので、検索されないようやや文言を変えると、君は裁判の経過を理解していない、と。確認できただけで3人の弁護士にお詫びのツイートをしているし、相手を特定せず「事実関係を誤って把握していた」と陳謝。

素人であればともかく、法科大学院生がこれでは困るからね。先輩たちが法曹のレベル維持にかける努力に敬礼。(と、法曹でもないくせにえらそーな一言)

一方で、死刑賛成派からも妙なお叱りを受けていた。その一つが18歳1月は少年ではないというお怒り。しかし、これは変だ。変だと思って調べたら、案の定、少年法でいう少年とは二十歳に満たない者。だいたい少年だからこそ、今までずーっと匿名報道だったわけで、人間怒ると理性がぶっ飛ぶ見本のような話。

とにかく本人はひたすら恐縮しているし、具体的な反省もしているので、これは掩護しておいた。もしかしたら「逆らわず頭を下げておけ」という一審の弁護方針の怖さを体感できたのではないだろうか。

青年よ、失敗は誰かが尻拭いしてくれるうちに大いに経験しておくと良いのだよ。今、取り寄せた判決文を汗をかきながら読んだ経験は、君の慎重さを大いに鍛えたことだろう。立派な法律家になっておくれ(もしかしたら10年後に世話になるかもしれない)。

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2011/12/24

私がほしいスキャナ

昨日、作家が自炊代行業者を提訴した件を取り上げたけれど、これについては多くの人が一言あるようだ。ただ、法律上の問題を語るのに条文すら見ていないような人もいるのは残念なこと。

その点、専門家はひと味違う。「「原則自由」な社会における自炊代行論争」は、なぜ著作権が保護されるのかにまで遡り、業者は著作権者の権利(創作にかかる投下資本を回収する機会)を損ねないから、この提訴が要求していることは過剰規制であると結論している。また読み取りデータの不法流通などに対しては、それ自体が著作権(公衆送信権など)侵害行為として取り締まれるのだから、自炊代行業を規制する理由にはならないとも。

一方、「自炊代行提訴についての雑感 --- 玉井克哉」は、自炊代行は私的使用のための複製には当たらず違法としたうえで、解禁に向けた法改正論に対しては「「自炊」と「自炊代行」とでは、社会的・経済的な影響がまったく違う」と譲らない。

実はこの二人の論者、しばしば意見を闘わせる仲のようですが、そこは専門家同士、少なくとも玉井先生はこんなツイートも。

自炊代行業の中には高邁な理想などなく、流行りの商売だからと手を出しただけのところや、新古本を手数料付き(!)で集めようと考える小賢しい業者もいて、ひょっとすると闇勢力が手を伸ばすかもと考えると、諸手を上げて「業者頑張れ」とは言いがたい。たしかに、いちいちスキャンなどせず、前のデータを使い回せば濡れ手に粟だ。そうすれば本も裁断しないで済むから、そのまま古書として販売可能。悪い奴が指をくわえてみているはずがない(振り込め詐欺などの進化を見ていると、その知恵を良い方向に使えよと言いたくなるほど、連中は利に敏く頭の回転が速い)。

過剰規制論の弁護士も、(脇が)甘いと全面擁護ではない。

これらの問題に関しては、業界が次のようなガイドラインを作り、安心して任せられる業者を推薦することで緩和できると思う。


  • 発行後一定期間を経過するまでは受け付けない

  • 依頼された本を必ずスキャンする(データ使い回しの禁止)

  • 処理した本は、裁断するしないにかかわらず透明インクなどで「スキャン済み」と押印するか、第三者の証明書付きで廃棄処分

  • データには依頼者の住所氏名、入力業者の連絡先を挿入(依頼者名は名入れサービスで「○○様蔵書」と目立つところに)

  • 処理記録の保存

  • データはディスク渡し(実在連絡先の把握)

特に「依頼した本をスキャンせず、前の依頼人のデータを使いまわし」をされると、書き込みも残したい人には大打撃となる。また版ごとの違いを研究する人にも迷惑至極。それは普通の読者には無関係と思われるかもしれないが、ずぼらな業者なら同じタイトルの別の本のデータを送ってくるくらいやりかねない。

前置きが長くなった。

住居を圧迫する書籍雑誌を電子化したいが断裁することには抵抗を感じる人はいる(本の形を保ったままの溶解処理なら平気なのかなぁ)。そういうツイートを見て思いついたのが、ヘッドマウント型のスキャナ。つまり本を読んでいくときに、一緒に読み取ってくれる機械。普通のカメラ撮影ではガラスで押さえないと歪んでしまい、画像はとても読みにくくなるが、それを解決する技術は開発が進んでいる。この研究のようにパラパラとめくったものを読みとれというのではないから、小型化も容易だろう。

読みながら気になった部分を指でなぞるなどして電子付箋をつけられれば、さらに便利。

読むそばから電子化されていくから、電子書籍で期待されている語句の説明や関連情報へのハイパーリンクも可能になる。Inbookメディアマーカーなどにも関連付けるのが容易になるだろう。こうなるとライフログ記録装置として完成するかもしれない。

未読のまま先に電子化した書籍は読まれない、なんてジンクスもこれで解決。

続きを読む "私がほしいスキャナ "

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2011/12/23

訴えられた〈自炊〉代行業者

書籍をスキャナで読み込んで電子書籍を〈自作〉することを〈自炊〉と呼ぶ。

  1. 書籍雑誌の置き場所が足りない
  2. しかし捨てられない(また読みたい/使うかもしれない)
  3. とっておいても探し出すのに苦労する

電子化によって、上記の悩みは解決する。原理的にはかなり前から構想されてきていたが、スキャナの性能向上とコンピュータのディスク容量増加によって容易になった。

一方、携帯情報端末での閲読が実用的になったことから、「好きな場所で好きなときに読みたい」「全部を持ち歩きたい」が現実的になってきた(音楽ではiPodによってすでに実現している)。蔵書すべてをいつでも持ち歩けるというのは極めて画期的。「無人島へ行くのに一冊だけ持っていくとしたら」という質問は意味をなさなくなる(最高の一冊を選ぶという行為には意味は残る)。

もっともプリミティブな方法は雑誌または書籍をスキャナで読み込み、画像またはPDFファイルで保存・閲覧する。

しかし書籍のコピーをとったことがあれば分かるように、きれいにスキャンするのは意外に難しい。特にのど(本を閉じている側)に影や歪みが生じやすい。また数百ページを読み込むのに、機械のそばで開いてスキャンしてページをめくってを繰り返すのは重労働。

そこで書籍を解体してページをバラバラにし、ドキュメントフィーダ(原稿送り装置)を使って読み込む方法が開発された。そうすると必要な道具は、断裁機とスキャナ。Amazonの2011年売れ行き年間ランキングを見ると、文房具・オフィス用品のトップはなんと断裁機である。

しかし数が中途半端な場合、断裁機を買うほどでもないが、かといってカッターで切り裂くのも面倒というジレンマに陥る。また書籍にはセンチメンタルバリアがあって、初めの一刀を加えるのは敷居が高い。

スキャナも、大量高速処理機を購入すれば、自炊終了後は持て余してしまう。

そんな需要を見込んで登場したのが代行業。本を送りつけるとデータ化してディスクに入れて送り返してくれる(断裁した本の扱いは業者によって異なり、返却するところと返却せずに処分するところがある模様)。1冊100円程度なので、百冊の単位(個人蔵書としては並)であれば数万円で電子化できる。最大のメリットは書棚の整理効果。特に「どこにあるのかわからない」状態に陥っていた場合は顕著。


この自炊代行業者の登場は、最初は話題になったが、いつの間にか雨後のタケノコ、報道によればすでに約100社あるという。

その代行業者が作家から訴えられた。「私の本をスキャンするな」と。

法律の条文を見る限りでは作家側に理がある。書籍の多くは著作物である。著作物を複製するには原則として著作権者の許可がいる。著作権法ではいくつか例外を設けており、自炊行為そのものは私的使用のための複製(第三十条)として認められるものの、これは「その使用する者が複製することができる」という限定があるので、業者による複製行為(スキャン)は該当しない。

なお、以前考察したように、企業など法人においては私的使用のための複製は認められない。しかし「だから違法です」で終わらせるのは頭が悪すぎる。需要はあるのだから、法律を改正してでも、著作権者の権利を擁護しつつ合法化の道を探るべき。例に挙げた新聞の切り抜きは、別途料金を払うことで合法的に社内回覧が可能になる(たとえば朝日新聞の「企業・団体・官公庁などでの新聞記事の内部利用について」参照)。

電子化するために原本が断裁されているから複製ではないという意見もあるが、問題となっているのは中身であって本という物体ではないから無理がある。仮に読み込んだ本を破棄すれば、複製ではなくて移動という主張もなされるかもしれないが、おそらく法的には通用しない。なにしろ「コンピュータに表示させたら、その時点でメモリの中に複製されている」なんて議論がある世界なのだから。

だが疑問もある。

まず問題になるであろうと思わえるのが訴えの利益。前述したように、個人が自分で自分が買った本を解体して電子化することは法的に問題ない。書籍は正当に購入されており、著者には応分の利益が保証されている。たまたまスキャンするのが読む本人ではなく業者ということで、いったいどういう不利益が作家側に生じるだろうか。

代理人もそこは考えたようで、訴えは差し止めに絞ってある。賠償を求めるためには損害を証明しなければならないからだ。

しかし、である。本人には認められている行為を、業者が代行することでどんな不利益が生じるであろうか。これは「みんなやってる」という子供の言い訳とは話が違う。著作権法が私的複製に、家庭内かそれに準じる範囲とか本人が複製するとか公衆用の自動複製機器は使えないとか制限を設けているのは、借りてきて手軽に複製する行為が蔓延したら売上にも影響すると考えたからだろう。繰り返すが、自炊の対象はすでに購入されている。逆立ちしても売上に影響をおよぼすことはない。

売上への影響を懸念するなら、ブックオフなどの古書店の方がよほど影響がある。しかしそんなことを言い出したら、個人蔵書の学校への寄贈とかまで問題になってしまうではないか。それは文化の発展に寄与することを目的とする著作権法(の精神)に反する議論だと言いたい。

ある古本屋が最寄り駅に出した広告は「活かせ古本! 広がる文化!!」だった。子供には「かせ」が読めなくてねぇ。

2番目の疑問は、実は自炊そのものが嫌いなんでしょ?という点。法律的に自炊そのものを問題にできないので、形式的な違反を突いてきた。そういう、浅ましいというか心卑しいというか、なんとも言えない不快感を覚える。

ついでにいえば、私的利用のための複製は「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器」を使ってはいけないのだ。つまりコンビニのコピー機で本や雑誌をコピーする行為は本来保護されない。ただし現在は著作権法附則第五条の二により経過措置が設けられている。法律というのは実状に合わせる必要もあるのだ。コンピュータに取り込んで利用するという発想のなかった時代の規定なのだから、現代的に「自己の所有物は自由」とか「原本を破棄する場合は自由」と条文を改めても良いと思う。なお、昔買ったCDをリッピングしてからリサイクルショップに売るのは自由(仮に問題があったとしても取り締まりは困難)という点も忘れないでほしい。

会見を報じた記事では自炊行為そのものへの嫌悪感も表明されている。

会見場に置かれた裁断済み書籍について、林さんは裁断された書籍について「本という物の尊厳がこんなに傷つけられることはとんでもないことだ」、武論尊さんは「作家から見ると裁断本を見るのは本当につらい。もっと本を愛してください」と話した。

「林さん」というのは林真理子。「ところがこういう業者がハイエナのようにやってきて不法なことをやっている」と感情的。こういう喧嘩腰の物言いは「(再販制度のために年間1億冊が裁断されていることに目をつむった)あさましいポジショントーク」という反応を呼び起こす。

また電子化したファイルがネット上で流通するおそれも指摘し、「依頼者が電子ファイルをどのように使うのか、業者はそれを確認する措置をとっていない」ことも問題視している。

これも代行業者とは無関係。個人が断裁機とスキャナを用意して、ブックオフから二束三文で書い集めて電子化して公開する方がダメージは大きいと思うが、それは代行業を提訴しても防げない。分かってるのだろうか。

断裁された書籍がオークションで売られているなど、作家側がカリカリするのにも理由はある。100円程度でそれらを購入し、家庭用スキャナで読み取ってから再度オークションに掛けられでもしたら新刊の実売に影響が出るかも、と考えるのは分かる。

しかし、いかにも取って付けた理由という感じがする。規制を要求するならオークション事業者が相手ではないだろうか。

それに、電子化して手元に置きたいと思うのは、あえていえば愛読者だ。一読したら(あるいは読みかけで)電子化もせず、したがって断裁もしないが、そのままブックオフへ売ってくれる方がありがたいのだろうか?(電子書籍化によっていわゆる絶版がなくなれば、古書店は歴史的使命を終えたと言えるだろう)

自炊というのはやってみると分かるが、手間はかかるし、出来栄えはいまいち(斜めになる/ゴミが写る/モアレが出る)だし、あくまで正規の電子版が出るまでのつなぎという感じ。それなのに、自炊の技術ばかりが進化していくというのはいびつというほかない。つまりなんで正規の電子版は手に入らないのか。

法律の条文だけ見れば原告に理はあるが、とても不幸な形式主義の発露に見えてならない。

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2011/07/14

日本の脱原発は頓挫するだろう―悲観的予測

はじめに断っておくが、私は原発懐疑派である。理由は3つ。
1)使用済み核燃料を初めとする放射性廃棄物の管理困難性
2)過酷事故発生時の対処困難性
3)電気の石油代替不完全性

高レベル放射性廃棄物は安全になるまで万年単位の時間が必要と言われる。初期には発熱量が高いため、数十年は強制冷却が必要となる。文明が続く限り管理は可能だし、文明が崩壊してしまえば後は野となれ山となれ、という意見もある。しかし、わずか数十年前の年金記録すら不完全で大騒ぎをしている国の管理能力がそんなに信じられようか。福島第一原子力発電所で作業員の被曝検査をしようとしたところ、ほんの数か月前のことなのに連絡の取れない作業員が30名前後いるという。あるいは戦争が終わって66年経ってもなお不発弾騒ぎが起きている。人形峠の放射性鉱滓とか回収したのに紛失したPCB入り変圧器とか、管理が行き届かなくなったものは数え上げればキリがない。「100年管理よろしく!」と後代に任せて安心だろうか。しかもなんのインセンティブもない。真面目にやってもらえると信じる方がお人好し。本音のところでは「その頃に私はもう生きていないからね」ではないのか。

過酷事故が発生したらどれほど大変か。今回は不幸中の幸いで制御棒が入り、臨界状態を脱したところで原子炉が破損した。チェルノブイリのように核暴走をしていたらどうなったか。あるいは今回は一か所で済んだ。もし福島第二や女川で事故が同時発生していたら人的リソースは不足するのではないか。同時でなくとも、今後同レベルの事故が発生したら、限度線量をさらに引き上げなければ熟練作業員は不足に陥るのではないだろうか。それでも足りなくてJCO事故の時のように、基準超被曝覚悟の決死隊結成となるかもしれない。

また汚染が広まった場合、それを取り除くのも大変だ。山のような低中レベル放射性廃棄物が発生する。

電気が完全に化石燃料の代替にはならない点については既に述べた

だから日本が原発依存を脱するというのには賛成なのだが、その見通しについては悲観的にならざるを得ない。

なぜか。

原発マフィアの逆襲?

陰謀論というのは魅力的ではあるが、中毒性があるので用心しなければならない。「陰謀がないように見えるのは、そういう工作の結果」という、反証不能の円環的増幅に陥ってしまいやすいからだ。

菅おろしが激しくなったのは浜岡原発の停止を決めたから、という説にはもっともらしいところがある。収益源を失うまいと原発マフィアが結束しているのだと。だから菅直人が退陣すれば脱原発は元の木阿弥...と考えているわけではない。

原発マフィアと言っても、原子力発電に惚れ込んでいる勢力はそうはいないだろう。いまさら日本を核武装しようなどという原発必要派が大勢を占めるとは考えにくい。要するに安い電気か美味しい利権(できればその両方)さえあれば満足というのが〈隠れ〉を含めた原発維持推進派の正体だと見ている。

電力会社の中には原子力以外の発電部門がある。経産省にも再生可能エネルギー開発に取り組んでいる部門があろう。これらが原発推進のためにサボタージュしているというのは考えにくい。むしろ「私たちの時代が来た」と色めき立っていることだろう。特に後者にしてみれば、うかうかしていれば環境省(太陽光発電・風力発電・地熱発電など)や農水省(バイオ燃料)に予算を取られるという危機感があるのではないか。

今や表立って原発を擁護するのは少数派で、〈隠れ〉は身を潜める事で原発解散での決定的敗北を回避しようとしている。解散を回避したら彼奴らは菅の退陣後に正体を現すだろうか。民国二年の後半期までひそんでいて、第二革命の際、突如あらわれて衰世凱を助け、多くの革命家を咬み殺すのだろうか? 可能性はある。しかし利に敏い連中である。なにしろ西軍は大将の姿が見えない。小早川が決断すれば雪崩を打って寝返ってくる蓋然性の方が高いのではないか。

予断は許さないものの、原発推進派と菅の綱引きの行方はそうそう悲観的ではないと考えている。あとは地震兵器のおっさんみたいなのが暴発しないよう管理できれば、参院自民党の切り崩しも現実的になる。

もし本物の原発マフィア、原子炉命の暗黒勢力がいるとすれば、暗殺を心配する必要がある。ただし、もし菅を暗殺すれば民主党が解散に打って出て大平弔い選挙の再現で与党圧勝かも、ということに考えが及べば、そうそう無茶もしないだろう。むしろスキャンダルでの失脚を狙うか。

世界はそれでも原発を推進し続けるだろう

さて、めでたく脱原発の道筋がつき、後継政権もそれを維持したとする。

世界の趨勢はどうだろうか? 福島の事故を見て、ドイツとイタリアは脱原発を決定した。しかし原子炉を維持する国も多い。自国で維持するだけでなく、積極的な輸出攻勢もかけている。二酸化炭素排出制限が絡めば、経済発展のために原発を選択する国は少なくあるまい。民主主義国家であれば、国民の反原発機運が対抗できるが、開発独裁の国では強引に進められるだろう。

商業原発の歴史を見れば、大事故は3回しかない。フクシマは旧い原発で起きた不幸な例外。津波を経験しない国は対岸の火事とすら思うまい。現に〈安全な原発〉の売り込みは加速している。

日本を襲った未曽有の放射能災害は、皮肉にも、世界の原発メーカーが次世代プラントを売り込む新たなセールストークになりつつある。
(出典:ロイター


悪貨は良貨を駆逐する


ここに、原発を捨て化石燃料や再生可能エネルギーに軸足を移した国と原発を主要発電に据えた国とがあったとする。どちらの電力が安価であろうか。事故時の対策費用はもちろん廃炉費用や使用済み核燃料等の処理費用も先の話だからと除ければ、原発の圧勝であろう。そんな電力事情で工業生産を競い合えば、原発採用国のほうが安く製品を作れることも自明。隣国が原発を導入するのに脱原発をするなど、同じ土俵で競争しようという場合はありえない選択となる。

さらに恐ろしいことに、原発ビジネスは高安全派と低価格派と分かれているという。低価格原子炉が安全性を蔑ろにしているとは断定できないし、限界状況においては差が出るにしても、平常時には安全性は同等。どちらが(短期的に見て)お得かは一目瞭然。

さらにさらに。意図的に安全性を軽視して原発を運転しても、すぐに事故が起きるわけではない(事故は起こしたくて起きているわけではない)。自動車を運転していて事故を起こせば、巨額の賠償責任を負う危険があるにもかかわらず、最小限の対人保証である自賠責で済ましている人は多いだろう(競走馬輸送車とぶつかって中央競馬の名馬を出走不能にでもしたら賠償は億単位だが、対人限定の自賠責は当然効かない)。目先の費用をケチっても、すぐに実害が顕在化せず、競争力がつくとなれば、選択肢は一つ。

そういう危ない原発依存国家が製品の仁義なき価格競争を仕掛けてきたら、対抗上周辺国でも安全のための費用が削減されるであろうことは、これまた論理的必然。

またいずれは枯渇すると見られる石油・石炭・天然ガスにしても、あるうちは気にしないで使った方が安上がりである。100年先を見通して再生可能エネルギーに移行して、100年持ちこたえられればエネルギー安定国になるであろうが、おそらくその前に価格競争で敗北してしまうだろう。少なくとも既存の製造業では競争は厳しい。

そういうわけで、いまの産業構造のままでは独り脱原発に踏み出したところで、世界は化石燃料や〈安い〉原子力から作った安い電力で生産を行うので太刀打ちできなくなる。

これが脱原発の行方に悲観的になる理由。

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2011/06/21

〈ひかり〉と〈のぞみ〉のどちらが偉い?

新幹線の話。

〈ひかり〉は1964年に開業した東海道新幹線の特急列車。当初は最高速度210km/hで東京-新大阪間を4時間で結んだ。〈のぞみ〉は東海道・山陽新幹線の特急列車で、当初(1992年)の最高速度は270km/h。今では東京-新大阪間を2時間半で結ぶ。格で言えば〈のぞみ〉の方が〈ひかり〉よりも上である。速いだけでなく料金も高め。

しかし、営業最高速度300km/hの列車なら東北新幹線にもある。世界にはもっと速い営業速度の列車もある。だからJRも〈一番早い特急列車〉を目指してはいないだろう。

一方の〈ひかり〉。これは登場したとき夢の超特急ともてはやされた。名称も「世界で一番速い」を気取っている。未来はどんどん良くなると素朴に信じていた時代に、それ以上がないてっぺんの名前をつける神経は大したものだが(二昔前のテレビの商品名には「◯王」と最高位を強調したものがあり、後の製品はどうするんだろうと心配していたら、紆余曲折を経て現在は訳のわからないカタカナになっている。)、実は東海道新幹線は世界初の高速鉄道だったのだ。

以前にも書いたが、〈一番〉には2つの意味がある。書き換えられるものと書き換えられないものとだ。〈一番速い列車〉はいずれ書き換えられる。技術上の限界に達してもブレイクスルー(たとえばリニアモーターカー)で霞んでしまう。今どきプロペラ飛行機の最高速度に興味のある人はそう多くはあるまい。一方〈一番先に有人動力式飛行機を飛ばした〉ライト兄弟の名前はおそらく小学生も知っている。それに比べればジェット機の発明者さえ影が薄い。

当初「今どき蒸気機関車の最高速度に興味のある人はそう多くはあるまい。一方〈一番先に蒸気機関車を走らせた〉スチーブンソンの名前はおそらく小学生も知っている。それに比べれば電車の発明者さえ影が薄い。」にしようと思ったが、調べてみると蒸気機関車の発明者はトレビシック(←知らない人)と分かったので、前の記事につなげて飛行機を例に出した。

将来、教養レベルの歴史に残るのは〈ひかり〉であって〈のぞみ〉ではないだろう。もちろん〈のぞみ〉の開発者が目指していたのは〈飛行機に対抗できる列車〉であったはずで、快適性や利便性(たとえばwifiの導入)の向上が図られているのはありがたい。もし、〈世界一速い列車を目指します〉だったらどうなっていただろうか?

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2011/05/09

被災地に届け「動物のお医者さん」

ツイッターをぼぉーっと眺めていたらこんなツイートがあった。


動物のお医者さんはすべての大学院生必読の書。あれさえ読めば「うちの先生はでたらめだけど、漆原教授よりはましだ」と思えるはず RT @Mihoko_Nojiri: 動物のお医者さんねたという指摘が多数。最近動物のお医者さんはうちのトイレに設置されています。(時々入れ替える)

「動物のお医者さん」は根強い人気がある。きっかけは覚えていないが(おそらくNIFTY絡みだろう)私も読んでいたし、しばしば話題に取り入れていた。だが買いそろえた全12巻は、被災地の子供たちに漫画を送ろうキャンペーンに賛同して寄付してしまった。

動物のお医者さん全12冊

「花とゆめ」連載時には女子高生に獣医志望熱をもたらした名作である。しかし連載終了からすでに20年近いので、2003年にTVドラマ化されたとはいえ知られざる名作になっているのではないかと危惧していた。そこでこの機会に子供たちの目に触れる場への提供を思い立った次第。(と思ったら、花とゆめCOMICS品切れは勘違いのようで、まだ新品を購入可能らしい)

理系女子がネタを提供しており(巻末掲載の協力者名の中には知った名前も)、獣医学部に限らないキャンパスライフが描かれているので、被災した中高生の進路の道標になることを期待したい。

もっともあの作品を本当に楽しめるのは研究室に入って以降だと思う。

なお、冒頭のツイートに登場する漆原教授は豪快でしばしば傍迷惑な人ではあるが、「気合を必要とする治療」の名手であるし、陰湿さとは無縁な人なので、実在する教員の中にはもっとひどい人がいるだろう。

「いまどきのこども」6冊と「シニカルヒステリーアワー」8冊

玖保キリコの「いまどきのこども」と「シニカルヒステリーアワー」もあわせて寄付した。

被災地の子供たちに漫画を送ろうキャンペーンは終了しており、報告用特設ブログによれば4月末までに集まった6万冊余のコミック・絵本などを数次にわたって届けているとのこと(第一便135箱11,672冊は公益社団法人シビックフォースが運び、第二便113箱10,196冊はユナイテッドアース預け)。

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2011/03/25

単位をそろえて考えよう 210ベクレル/kgとは

22日に東京の金町浄水場で水1kgあたり210ベクレルの放射能が検出されて大騒ぎになった。

でもほとんどの人が「210ベクレル」の意味を実感していないと思う。ニュースを注意深く見た人は暫定規制値100ベクレルの2倍ということに気づいたであろうが、ではその暫定規制値とはなんぞやを説明できる人はほとんどいないのではないだろうか。

また「乳児による水道水の摂取を控えて」という発表を受けて、どうしたら安全になるかが話題になり、煮立たせたらどうだろうとか浄水器はどうだろうと賑やかになった。一時は塩素からの連想で「煮沸すれば揮散する」と言われたが、実験したところヨウ素は揮散せず、水が減った分だけ濃くなると分かってまた大騒ぎ。単体(=化合物になってない)なら揮散しただろうが、ヨウ化物イオンとかヨウ素酸イオンになっていたと思われる。(この実験を、水にヨウ素を加えて煮立たせるという系で組んでいたらと思うと、水道水とそれを煮立たせたもので放射能を測定したことに敬意を表したい。)

単体ヨウ素なら活性炭に吸着されるだろうが、ヨウ化物イオンだったらどうだろうか。海水を炭に通しても真水にはならないだろうから、たぶん無駄。そもそも吸着と言っても、1原子も残さずに取り除くわけではない。もともとヨウ素が極めて薄かったら素通りだろう。〈極めて薄い〉ってどれくらい? 1ベクレルというのは1秒間に原子1個が壊れて出る放射線。18gの水(約18ml...たとえば目薬1本分)には水分子がおよそ6×1023すなわち600,000,000,000,000,000,000,000個。1kgならこれの55.56倍。210ベクレル/kgならこの膨大な分子の中に210個の放射性ヨウ素原子が、と言いたいところだが、1秒間に210個壊れている(崩壊している)ので実数は分からない(直感的にものすごく少ないとは分かるが)。ではこれを%とかppmに換算してみよう。

wikipediaでベクレルを見ると、「ベクレルと原子核の個数」という項目があり、計算方法が載っている。

226ラジウムを例に、半減期が1600年で1gには2.66×1021個の原子があるので3.64×1010ベクレルである、と。逆算すればベクレルから重量が出せるのだが、慣れないのでまずヨウ素131が1gあったら何ベクレルになるかを計算する。

ヨウ素131の原子量は131
ヨウ素131の半減期は8.02日=692928秒

核種ラジウム226ヨウ素131
半減期1600年8.02日
原子量226131
1gあたりの原子数2.66×10214.60×1021
1秒間の崩壊数3.66×10104.60×1015

で、計算が正しければ4.6×1015ベクレル。ラジウムの計算値がwikipediaと微妙に異なるのは有効数字を考慮しないままExcelで計算したためだろう。210ベクレルだからこの逆数を210倍すればよろしい。すなわち4.6×10-14g

10-14とはSI接頭辞で言うとピコ(10-12)よりも小さい。

1gの千分の一が1mg(ミリグラム)
1mgの千分の一が1μg(マイクログラム)
1μgの千分の一が1ng(ナノグラム)
1ngの千分の一が1pg(ピコグラム)

つまり金町浄水場の水1kg中にヨウ素131は約0.05pgあったというわけ。どのくらい少ないか視覚的に分かりやすくすると
0.000000000000046g

%で表すと0の数を間違えそうになる。微量を表すので有名なppm(百万分の一)ではどうであろう。4.6mg/lならば1ppmである。そのまた千億分の一。(慣れない桁数なのでどこかで間違えていそう)

おそらく放射線以外では存在すら確認できないくらいの微量である。仮に単体であっても活性炭で取り除くことは難しいだろう。

またイオン交換樹脂で取り除くのも非現実的に思えるが、これについては識者の意見を待つ。

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2011/02/04

ガス銃メモ

このツイートに「水平撃ち禁止なんて、どこにもコンセンサスはないでしょ」というリプライ(コメント)が付いたので、パパっと調べたことをメモ。

警察が暴徒鎮圧に使う催涙弾は、「催涙ガス器具」と総称され、いわゆるガス弾はガス筒、ガス銃はガス筒発射器と呼ばれる。つまり武器ではないという扱い。しかし火薬を使うこともあり、実務では武器に準じた取り扱いがされている。

すなわち管理責任者を置いて施錠して保管すること、使用は相当な理由のある場合に限られ、また機動隊では部隊指揮官の命令によること、さらに相手方に危害を与えるおそれのある方法での使用は原則禁止であり、使用した場合は警察庁長官に対して報告しなければならない(催涙ガス器具の使用および取扱いに関する訓令 PDF)。

実際、エジプトの例でも分かるように、「ガス弾」の直撃を受けた場合は、最悪死亡することもある。ガスの散布ではなく筒(ガス弾)の直撃による効果を意図した使用は、正当防衛のような場合を除いては許されない(同第3条2項)。

日本でも過去、催涙ガス筒を直撃させる使い方が問題になったことがある。69年の東京大学封鎖解除の際、多数の重傷者が出て国会で取り上げられた。ガス銃で狙撃したのではないかと追及する議員に、そのような命令はないし、そもそも構造上いわゆる水平撃ちは不可能と政府は答弁している。

つまり政府としては、実際にやったかどうかは別にして、ガス銃もとい筒発射器を物理的な破壊手段として用いるのは良くないという認識でいたようだ。なお、封鎖解除では建物内から抵抗する学生を狙う場合、水平にする必要はない。また改良型では水平撃ちは可能になっている。

77年の成田空港建設反対運動では、救護所の防衛隊員が頭を直撃されて死亡した(東山事件)。政府は国会で水平撃ちを否定したが、はっきりと証拠映像・証拠写真が残っており、国家賠償請求訴訟でも「反対派による投石(同士討ち)説」は退けられガス弾直撃が死因と認められた。

ちなみに私は請求を退けた千葉地裁判決が維持されたと勘違いしていた。なるほど、航空科学振興財団の歴史伝承委員会がガス弾直撃説を認めていたわけだ。なお撃った警官は不起訴で付審判請求も退けられたはず(こちらは斎藤銀次郎・松倉豊治の投石説を採用)。

話は戻るが、東山事件の際、ガス銃は斜め45度で撃ち上げるものであり、水平撃ちは禁止されているという説が流れた。水平撃ちが「危害を与えるおそれのある方法」で原則禁止なのは間違いないが、45度で撃ち上げるべしという通達類は見つけることができなかった(ネット検索の限界)。

これは、45度での投射が最大飛距離ということから生じた伝説かもしれない。なお、45度が最大になるのは地表から発射する場合で、立射の場合は40度前後になる。ちなみに警察の運動会には、ガス弾もといガス筒の着地点の正確さを競う競技があるらしい。

もちろん家族や来賓も来ている運動会会場で催涙ガスが出たら大変だから、おそらく模擬弾を使うのであろう。模擬弾はプラスチックの塊で、ガスは出ない。その代わり直撃した際は紙製のP弾などよりもダメージが大きい。報道や国会質疑では「新型ガス弾」と呼ばれていたが、ガスの出ない、現場では破壊専用の弾頭だ。東山薫の頭蓋骨を砕いたのはこの模擬弾と考えられている。

まとめ:いわゆるガス銃(催涙ガス銃)は、本来は催涙ガスを撒くためのもので、建前としては弾頭の破壊(殺傷)力は利用しない。ましてガスの出ない模擬弾を現場で使用することはありえない。しかし実際には規制は形骸化しており、小銃的な使い方をされる。それでも日本ではそれは不法行為と認められることはある。

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2010/11/23

世間話では使えない「暴力装置」だが

遅ればせながら「自衛隊は暴力装置」について述べてみる。

1.国家は暴力装置を必要とする
堯舜を理想とする人なら暴力装置を必要としない国家を模索するかもしれないが、現実問題としては難しい。だからある防衛大臣経験者も「警察と軍隊という暴力装置を合法的に所有するというのが国家の1つの定義」と述べている(発言当時は農水相)。
今回「とんでもない!」という大合唱が湧き上がったが、ある法学者は「自衛隊は国家の暴力装置に決まってるだろう」と書き、ある政治学者は「「国家」が、社会的装置として、企業その他の社会集団と区別できるのは、「一定の地域・住民」に対し「正統的暴力」を独占している、という点にあります。これは、ウェーバー以来、政治学では、最も通常の定義です。」に始まる連続ツイートで解説をしている。
つまり「自衛隊は暴力装置」というのは正統的な見解である、というのが第一。

2.非難の声を上げた人は何に怒っているのか
にもかかわらず、国会も新聞テレビも非難の声一色。ネットでも非難派は多く、wikipediaの関連項目は悪意のある言葉として使用されたという印象を与えようとするかのように頻繁に編集されている。
非難の理由の一つは、「暴力装置」という言葉を政治学用語ではなく一般語として捉え「国を守る自衛隊員に対して失礼」というもの。事の成り行きに気づいた人たちが遅ればせながら上述のように政治学の常識だと解説をすると、そんな難しいこと知りません、私は失礼だと思いました的にシフトはするが、非難の矛先を収めはしない。居酒屋や理髪店での世間話ならそれは通じるけれど、今回は国会答弁。 国会は国民全体を反映するものだから、いわゆる教養に欠ける議員が少しくらいいるのは仕方が無い(むしろ義務教育を終えただけで働いてきた人々の声を感覚レベルで理解できる議員は必要)。しかし参議院とはいえ予算委員会は国会審議の晴れ舞台であろう。各党選りすぐりのエース級を送り込む場の筈だ。国会法が国家公務員の最高と定める給与額(現在1,297,000円)を受け取る職業政治家が使う言葉を日常感覚だけで批判するのは不適切だろう。
「旧土人保護法」のように、非難に価する言葉もあるが、法律の名前を口にした者を非難するのは的外れ(同法は廃止されている)。
つまり不快に思う気持ちは理解できるが、それは庶民の会話においてのみ成立する。これが第二。

3.坊主憎けりゃ袈裟まで憎い
国会で政治学の常識を述べたことを非難するのは難しいと気付いたのか、仙谷の意図は違うと言いだす人もいる。悪罵として使ったというわけだ。
文脈を見てみよう。予算委員会で取り上げられたのは自衛隊関連行事の来賓に政治的発言を控えるよう求めた防衛事務次官通達。公務員に政治的中立が求められるのは選挙への影響(干渉)が理由だ。だが自衛隊が政治的中立を破った場合、影響は選挙にとどまらない。サルは木から落ちてもサルだが、議員は選挙に落ちればただの人というけれど、自衛隊が武器を持って政権交代を迫ったら、政府要人は良くて囚人、悪くすると死人になってしまうのだ。佐藤優は尖閣沖ビデオの流出に関して、機関砲を持つ組織(海上保安庁)の職員に下剋上を認めてはならないと述べているが、自衛隊が持つのは機関砲どころではない。
もちろんほとんどの自衛隊員は法と法に基づく命令に忠実だろう。そう簡単に部隊ごと動いて2.26事件のようになるとは今のところ考えにくい。40年前、三島由紀夫は自衛隊員を集めさせて蹶起を促す演説をしたが、逆に野次られて腹を切った(因果関係は不詳)。だが戦闘機乗りが「憂国の志」に取り憑かれたら? 後先考えずに官邸へ空対地ミサイルを撃ちこむことは絶対にないと言い切れるだろうか? 大掛かりな武器を持ち出す必要もない。自衛隊には狙撃やら爆破工作やらのプロが揃っている。一人でも十分なのに数人で「天誅(=要人暗殺)」を画策されたらSPでは防ぎきれまい。
殷鑑遠からず。今年33人の鉱山労働者の救出で湧いたチリは、37年前、自由選挙によって選出された大統領が、大統領府で反乱軍と銃撃戦の末に殺された国でもあるのだ(Wikipediaの記事(2010年10月13日 (水) 11:42)によれば、政権発足直前には軍の政治的中立を主張してクーデターの依頼を拒否した陸軍総司令官が暗殺されている)。仙谷由人はこの時27歳。「思はず知らずイツか掌が首に廻つてゐた」(山崎今朝弥)のではあるまいか。
自衛隊の政治的中立の重要性が分かっていれば、悪口を言って挑発するようなマネをするわけがない。
つまり、暴力装置である自衛隊の政治的中立を守るため外部から煽らせないというのはスジが通っており、思わず知らず罵ったと見るのは無理がある。これが第三。

4.反知性主義の台頭?
日常感覚からは「え?」と思えるにしても、正統な政治学用語である「暴力装置」の使用に対して取り消しと謝罪を求めての大騒ぎは、特に「暴力装置」という言葉を知っている人からすると異様な眺めであった。ちなみに私は政経が専門ではないが、それでも「軍と警察は暴力装置」という論にまったく疑問は感じなかった(ただし、マックス・ウェーバーの名前はすぐには出てこなかったので、Yahoo!百科事典で確認はしたけれど)。

新聞ではようやく22日に朝日紙の投書欄で「政治学のイロハ」という指摘が取り上げられたのを確認できたが、それまでは自衛官に失礼論に加え、出典はレーニンだとか「かつて自衛隊を違憲と批判する立場から使用されてきた経緯がある」とか唖然とするような記事ばかり。ふだん「マスゴミが」などと言っている人も、自分が信じたい記事はすぐ信じるようだ。

これらに対して反知性主義の表れではないかという憂慮の声がある。

学術用語を日常語で解釈して非難し、政治的に立ちまわる危険を天皇機関説事件を振り返って諌める人は「(重要なのは)『威勢の良さだけが取り柄の馬鹿』どもをどう啓蒙するか」「馬鹿にちゃんと「お前馬鹿だろう」って言わないと、機関説論争で美濃部をファナティックな民間馬鹿に売った当時の学者や知識人となんら変わらないよ。」とも述べている。

残念ながら、この声が肝心の「馬鹿」(「」付きであることに注意)に届くとは思えない。馬鹿と言われて我が身を冷静に顧みられる人は、学識の多寡とは関係なくインテリだ。インテリは少数派。カッとなって殴りかかろうとする人、「人にバカっていう方がバカ」と返して気のきいたことを言ったつもりになる人、いじける人、金持ち喧嘩せずとばかりに聞き流す人、これで大部分ではないだろうか。

「職業としての政治」が一般教養と言えるかというと微妙だし。

反知性主義という確固たるものではなく、自尊心の問題「わたしをバカにするな」であると思う。手を焼いた人達の間では、半ば冗談で、これはもう池上(彰)さんに登場してもらうしかないのではという声さえ聞こえる。反知性主義なら池上さんは逆効果だが、彼がにこやかにスタジオの「おバカ引き受け役」に解説するのを聞けば、すんなり受け入れることだろう。

つまり、納得してもらうためには自尊心を傷つけない配慮が必要。これが第四。

ところで解せないのは国会議員の反応。あれは知らないというよりは、知っていて、あるいは突込みどころではないことを承知の上で騒いでいたのだと思いたい。なにしろ予算委員というのは国会議員の中でも選りすぐりだ。そんなウェーバーも知らないバカの集まりなワケがないだろう。それが危険な火遊びであるのは天皇機関説事件以降の歴史を見れば明らかなのだが、さすがにそこまで賢くはなかったか。

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2010/10/16

チリの「炭鉱」って書いている人たちは大丈夫?

チリ共和国コピアポ近郊で落盤事故のあったサンホセ鉱山は銅と金の鉱山です。炭鉱(石炭鉱山)ではありません。

ところが炭鉱(または炭坑)と書いている人がいる。日経BPのあるコラム(プロのライターが執筆し、編集のチェックも入っている)にさえ、炭鉱と3回(含む「炭鉱夫」)も書いてある。

もしかして、と思って「チリ 炭坑|炭鉱」で検索をして、目眩を覚えた。1か月以内に限定しても214,000件もヒットする(さすがに「チリ 鉱山」の2,260,000件よりは少ない)。

結果を少し見てみよう。まずニュース。

・ジョブズ、チリ炭鉱生還の33人に新iPod謹呈 ギズモード・ジャパン
・チリ救出劇、中国ネットに飛び火 炭鉱の安全管理批判の書き込み - J-CASTニュース【これは正しい
・【チリ奇跡の救出】炭鉱事故多発の中国でも高い関心 - MSN産経ニュース【これは正しい

さすがにマスコミはしっかりしていると言いたいが、8月にはこんな記事も(期間を絞り込む前に発見した)。

「愛する妻へ」生存知らせたラブレター チリ炭鉱事故 - MSN産経ニュース

8月23日の配信なので、かれこれ2か月間も放置されている。本文は正しく「鉱山」となっているので、整理部のミスなのだろう。

ちなみに「-中国」で絞り込んでも約 64,200 件ヒットする。

「まずニュース」と書き出したが、疲れたのでここで探索中止。

日本で落盤事故と聞いて炭鉱を連想するのは、ある年代以上なら当然かもしれない。また「炭鉱じゃないよ、銅山だよ」という記事もヒットしているだろう(明日にはこのエントリーも仲間入り)。指摘を受けて、書き直す代わりに追記で対応したところもあるだろう(さらに「-鉱山」で絞ると約 42,100 件)。掲示板のスレッドなら、一人が炭鉱と書いてしまえば、残りの参加者全員が銅山と正しく認識していても誤りに数えられる。

比率で言えば、正しく鉱山と書いたページが約50倍ある。しかし炭鉱(炭坑)という勘違いも無視できる数とは思えない。あえて偏見を交えていえば、ニュースをきちんと読み(聞き)とれず、そのくせ一文をものして世界に公表する人がこれだけ(どれだけ?)いるということだ。少数派とはいえ「世間の声の一つ」として影響力を発揮したら面倒なことにならないだろうか。


まさか、石炭を知らない世代が炭鉱=鉱山だと思って書いたと言うオチはないよね?

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2010/10/12

コロンタール村

アルミニウム精錬工場からの有毒汚泥流出事故が起きたハンガリーのコロンタール(Kolontar)村とはどんなところか地図で調べた。


大きな地図で見る

村の東に池がある。池の間を鉄道が通っていて、車中からはさぞや風光明媚と思いきや、これを航空写真で見ると!


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なんと水は真っ赤。これぞ有毒汚泥の貯蔵池であろう。

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2009/12/07

「なにわ」新聞に載る

懇意にしている神田神保町の大衆割烹「なにわ」が毎日新聞の記事になった。

掲載されたことはメールマガジンで知っていたが、どんな記事か分からなかった。店主から、ブログに書いたけれど元記事へリンクしていないので、と依頼が来てURI判明。

ALS、割烹店主の生きがい 自慢の鍋と落語会

この落語会は初回から聴かせていただいている。毎回満員御礼で、この数年間は即日完売のプラチナチケット状態。もう少しキャパがあれば人数を増やして収入も増やせるだろうし、新しいお客さんにも来ていただけるのだが、自分の店でやるところに意義があるし、今となっては新しい客層の開拓よりも今までの客を大切にしたいことだろう。

なんでも記事は大反響。もっとももっぱらママの年齢に驚きの声とか(苦笑)。

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2009/07/29

もしも私が殺されたら

もちろん家族や親戚、友人知人には悲しんでもらいたいし、憤ってももらいたい。しかし...5年経っても10年経っても「あの日から時間が止まったまま」「犯人が処刑されても悲しみは死ぬまで続く」なんて言われたら、それこそ成仏できない。

霊魂なんて信じていないから、なおさら心配だ。夢枕に立って「私のことを追慕するのは良いとして、あなたはあなたの人生を生きてください」と告げることもできないのだから。

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2008/12/06

加藤周一逝く

巨星墜つ...

『羊の歌』を読み直してみようか... それとも近著を読むべきか。

羊の歌

続・羊の歌

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2008/12/02

「共犯」が執行猶予付きということは

万引き後に追ってきた店員をひき殺してしまった事件に無期懲役が求刑されたという。

これ、たしか今年の8月の事件。もう論告求刑で5日に判決とは、重大事件にしてはずいぶんと速い裁判だ。事実関係は争わず、情状面に絞ったか。

こんな奴は縛り首!との声が多いようだが、「共犯者」が執行猶予付きで確定しているということは、殺害はおろか強盗の事前共謀すらないと検察も判断したのだろう(だから強盗殺人の共犯ではなく、単純窃盗で有罪→執行猶予)。それだと死刑求刑は難しいだろうな。

これで最低30年間は獄中の人となる訳で、仮釈放は51歳以上。そのころ娑婆はどうなっていることやら。結構、行刑の大改革があって、手に職をつけた真人間になって出てきたりしてね。

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2008/11/08

福岡事件まめ知識

「福岡事件」の元死刑囚、石井健治郎さんが死去した。

この事件については青地晨の『冤罪の恐怖』(1969)で読んだくらいしか知らないのだが、wikipediaによると同書の「勝率」は高い。

『冤罪の恐怖』と『魔の時間 六つの冤罪事件』で取り上げた合計11の事件は執筆時点ではいずれも冤罪を訴えて再審請求を起こしたり裁判中だったが、再審請求中に被告が死亡した3件と名張毒ぶどう酒事件を除いて他の七つの事件(免田事件、徳島事件、仁保事件、島田事件、松山事件、梅田事件、弘前大教授夫人殺人事件)すべてで被告の無罪が確定し[2]、各事件を冤罪と論じた青地の判断の的確さを裏付けている。

(現時点で、丸正(元被告人死亡)、竜門(元被告人死亡)、帝銀(元被告人死亡)が上記3件とすると計算が合わない)

同書によれば
・石井元死刑囚は確かに2人を射殺しているが、これは誤想防衛と主張(復員軍人である石井は戦場で経験したのと同じ殺気を感じて反射的に銃を撃ったと)
・事件を主導したとされる西は事前共謀を否定(現場にも行っていない)
・被害者の一人が戦勝国の中国人であったため、厳罰を求める圧力(あるいは圧力と感じる日本側の雰囲気)があった模様

アリバイがあるとか犯人は別にいるとかいう事件と違い、救援運動が困難を極めたことは想像に難くない。中心となったのが今回喪主を務める古川龍樹の父である古川泰龍(故人)。以下、まめ知識(敬称略)。

現場に行って銃を撃ったことも認めている石井は恩赦で無期刑になったが、一切の関与を否定した西は恩赦を却下され即日処刑された(1975)。
同時に恩赦を退けられた死刑囚に免田栄がいる(後日、再審で無罪)。
僧侶である古川泰龍は教誨師として2人に出会い、助命嘆願を始めた(1961頃)。
佐木隆三の「復讐するは我にあり」(先日物故した緒形拳主演で映画化)のモデル、西口彰は弁護士を騙り運動へ協力したいと古川の寺を訪れ一家殺害を狙った。
しかし古川の次女(当時11歳)が手配中の殺人犯と気づいたため難を逃れた(1964)。
冤罪事件の弁護で知られる正木ひろしは、この次女の印象を「まるで天女」とハガキに書いて送っており(年代不明)、正木の生涯を扱ったTV番組では「ラブレター」と紹介された。

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2008/10/23

血を吸うのかと思いきや

クモが自分よりも大きな鳥を捕獲するという外電

クモは捕らえた虫の体液を吸うものだと思っていたが、調べてみると消化液を注入し、溶けたところで吸い取る(体外消化)そうだ。それなら鳥でも食べられるか。(記事を見た当初は「肉は食わないだろう」と思った次第)

ちなみに日本でもツバメを食う例が観察されたとか。

なにごとも調べてみるものですな。ま、wikipedia頼りが問題なのは別の話。

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2008/09/28

ハイブリッドバイク

ホンダがハイブリッド二輪車を開発するという。

1充電30kmではお話にならないが、ハイブリッドだとガソリン車並みの距離が期待できそう。出先での給油も簡単だし。燃費5割増なら、単純に考えて航続距離は1.5倍。もっともモーターを積む分、ガソリンタンクは小さくなるのかな...

ただ、燃費が良くなる、排ガスがきれいだけだと魅力を感じないライダーも多いかもしれない。加速性能は良いように思えるけれど、どうだろう。

ハイブリッド(電動も)のもう一つの特徴は音が静かなこと。静かすぎて危ないくらい(特に後方からとか視覚障害者に対してとか)。それについては、指向性のスピーカーで、前方に対してのみ警戒音を発すれば解決かな。通り過ぎたら静か、というのがエンジン車より快適。好きな音源を選んで、原付クラスでハーレーのエンジン音、なんてね。

深夜早朝の住宅街でも気兼ねなく走行できるのはうれしい。バッテリーの性能によるけど、暖機運転不要も期待できる。ああ、なんて地味なライダー。実は最近全然乗ってない。orz

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「中国がうらやましい」

失言大臣、またすごいことを言っていたそうだ。

(空港整備が進む)中国がうらやましい」と述べた。

想像されるメンタリティからして何の驚きもないが、顔を真っ赤にして(と邪推)発言を擁護している人は、ここにも賛成なんだろうか。

いやいや、街の論評家や2厨ねらならともかく、国務大臣がこういう考えを持っているってのは、やはり相当危険だろう。いくら選挙管理暫定内閣だとは言え。

米ソ対立華やかなりし頃、日本国内では自民党と社会党が対峙していた訳だが、自民党の議員がアメリカに行くと「自由のはき違え」に憤慨し、一方ソ連に行くと「なかなか秩序だった国」と感心したらしい。考えてみればアメリカってのは、英霊が命をかけて戦った敵であり、平和憲法を“押し付け”、“国民 をダメにした”戦後教育の土台を作った張本なんですから当然ですわな。w 

日本が「世界で唯一成功した社会主義国」と言われることからも、自民党と共産党官僚の親和性はなんの不思議もない。(一方、社会党議員は「人民の敵、米帝」に行くとその自由さを賞賛し、労働者の国ソ連に行くとその杓子定規・官僚主義に憤慨したとか。)

(地元の人たちも)公のためにはある程度自分のことを犠牲にしてでも尽くす精神が必要だと日ごろ思っている

ふーん。三里塚・芝山の農民には、国策を信じて満州(当時)開拓に赴き敗戦で命からがら逃げ帰ってきた人たちがいますよね。で、また国策で北総台地に入植し、苦労に苦労を重ねて成功したところで「空港を作るから出て行け」。十分に自分を犠牲にして公に尽くしてきた人たちに向かって、なんと無礼な発言であることよ。

この辺りの苦労は、財団法人航空科学振興財団の歴史伝承委員会が開いた「空港前景 木の根・天浪の戦後開拓」で垣間見ることができる。


国土交通省・千葉県・成田市などの後援を受けて開いた「—土・くらし・空港—  「成田」40年の軌跡1966-2006」では、「事前に地元住民の意思を確認せず、合意も得ないまま進められたこの「国策」に対しての不満と憤りが爆発し、生活と権利を守る闘いになった」という表現に見られるように、国側の落ち度を認めている。

歴史伝承委員会だより(第5号)(PDF)
歴史伝承委員会だより(第6号)(PDF)

(ちなみに企画展のアンケートでは、反対派に偏向した展示という批判もあった。それくらい感情のしこりをほぐそうと努力しているのに、所管大臣が「ごね得」なんていったら水の泡。地元が怒るのも当然。)


この件に関しては千葉県の方がよっぽど賢明。(収用委が機能停止だったせいもあり)強制収用に頼らない開発に努め、かずさアカデミアパークは土地買収に反対する地権者とうまく折り合いを付けられた、とこれは県庁の人から聞きたことがある。空港と違って、敷地の形状に自由がきくという利点はあるものの、「先祖伝来の土地だから売ることはできない」という地権者に、「なら貸してください」と柔軟な対応をしたというのは見事。

買収も借り上げもできなかった土地でくびれているアカデミアパーク敷地(PDF)

航空写真で見ると農地らしい(かずさ3号公園付近)

それにしても、毎度思うことだが、どうして基本的な事実を確認しないまま、平然とでたらめを流せるのだろうか。大臣じゃなくて、ネットで大臣を擁護している人たち。あなたたちが大っ嫌いであろう中国と同じことをしようと言ってるのですよ、あの大臣は。

(「中国がうらやましい」 よもや書き換えはないとは思うが、念のため魚拓も。)

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続・典型的なアナクロ

早くも辞めてしまいましたな。

単一民族と成田については早々に撤回し、抗議にもお詫びで対応していたが、日教組については面会もしなければ撤回もしないどころか「日教組をぶっ壊す」とか息巻く始末(ニュースで見た限りでは、地元、しかも自民党内での発言のはずなのに、拍手も歓声も起きていない...身内にも見限られたか)。

とにかく低レベルというか、事実関係からしていい加減。

空港反対闘争と戦後教育については、時間的に全く関係がないことは既に触れた通り。反対同盟の中でも老人行動隊の勇猛さは語り継がれているが、70年前後に老人ということは、どう考えても1910年より前に生まれている訳で、戦後教育の影響などある訳がない。まさか大正デモクラシーのせいにする? 「親の代から自由党支持」なんて同盟員もいたそうだ。そうそう、第一次強制代執行の時には、農民放送塔に日の丸が掲げられたっけ(黒く縁取りされていたけど)。そして流された音楽は軍艦マーチ。

(前大臣は言及していないが、世間には「左翼が農民を利用した」と素朴に信じている人も多いようだ。だが聞く限り、同盟が主で支援者は従という関係はきっちりしていた。たとえば7月仮処分に備えて作られた地下壕には支援者は入れなかったとか。あるいは革マル派を除く「過激派」が集結していたのに、30年以上にわたって内ゲバはおろか小競り合いさえ「ほとんど」起きなかったこと。)

日教組についても、そもそも「日教組の子どもは成績が悪くても先生になる」が意味不明。「組合員の子供は成績が悪くても口利きで教員になれる」という意味だろうか? だが大分の事件、分かっている範囲では校長とか教頭とか、日教組とは無縁の人たちではないか。また世間は「日教組の影響下では学力が伸びない」と解釈しているようだが、「学力のない子が教員になれる」ことの説明ができない。かの大分県の試験要項を見ても「大分県の小中高出身者に限る」とは書いていない(資格は「県内のどこにでも赴任できる者」)。つまり全国から受験者が来る。そうなれば不正をするかアファーマティブアクションを発動するかしない限り、優秀な県外勢が教員がなる。デキの悪い子は採用されないから、この論は破綻。

だいたい教育の責任は文部省(文部科学省)にあると考えるのが普通でしょうに。建前は教育委員会にある訳だけど、教科書検定と学習指導要領で実際に統率してきたのは文部省。「円周率は3と教えると日教組が決めた」なんてことがある訳がない。「日米同盟が大切」と「アメリカに押し付けられた憲法を改正」が矛盾なく並立する頭なら無問題なのかもしれないが、私には訳が分からない。


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2008/09/26

典型的なアナクロ

アナクロニズム(時代錯誤)もはなはだしい大臣発言。

成田空港の滑走路拡張問題でも、「ごね得というか、戦後教育が悪かったと思う」

おいおい、戦後教育って。成田空港建設が現在地に決まり、反対闘争が始まったのは1966年だよ。反対運動の中心になったのは、外地から命からがら引き上げてきて入植し、農地を切り開いた農民だよ。戦前の教育を受けた人たちだからね。

ついでにいうと、現在地への計画変更は「不時着」と言われたほど唐突なもの。そして「もう決まったことだから」と、地元の反対に聞く耳持たずの姿勢を示したのは当時の政府。どっちがゴネ得を狙っていたのやら。


こいつ、深く考えないで印象だけで語る癖がついているんじゃないだろうか。と、印象批判。:-p

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2008/09/17

ボトル回収

先週、なじみの大衆割烹からメールが来た。

例の事故米をつかまされた薩摩宝山は、事故米を使用していない製品も含めてメーカーが回収するということで、キープボトルも引き取られたという(ボトルキープはしていないが、顧客への一斉メール)。代わりの焼酎ボトルが提供されるというけれど、中には記念品的なボトルがあったりして。

風評被害もかなり出ているらしい。メーカーはじめ善意の関係者としてはとんだ貰い火だが、こういう時にきちんと対応して「雨降って地固まる」となることを願おう。

それにしても、役所といい不正転売した業者といい、どうなっているのだ。

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2008/07/13

これもある種の2000年問題

先を見る目がないと言うか、学習しないと言うか。

ガソリン価格が200円に届きそうになって、ガソリンスタンドの価格掲示電光板が199円までしか表示できない問題が浮上しているという。

百の位は0と1しか表示できないというのだが、そんな限定をすることでどれだけ利益があったのだろう?

また、とりあえず百の位には「2」と手書きしたボール紙を貼っておけば済むのではなかろうか。

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2008/06/21

記念品はデーツ

世界献血デー(6月14日)に合わせてサウジアラビア大使館が行った献血イベント、1週間前になっての報道で火がついて5000人を超える申し込みがあったとか。結局キャパの問題などもあり先着申し込み800人が受理され、私はリジェクト。

その日赤からのお断りメールに、大使館が記念品を用意している、とあるので献血ルームに行ってきた。前のエントリーにも書いたけど、「記念品を用意? 遠慮します」はかえって失礼にあたるだろうし。

王国の紹介と手紙とデーツ

大使閣下からの手紙

送られて来たメールを印刷したものと引き換えに、デーツ(ナツメヤシ)のパックとリーフレット(「未来をひらく協力関係 サウディアラビア王国と日本 国交樹立から50周年)をいただいた。それと大使閣下からのお手紙。

閣下のお手紙は大使館に来た人に出したものらしい。もっとも14日にはサウジアラビア政府に敬意を表して都内の献血ルームで血小板を提供しているから「献血にご参加」には該当する。

Ohmynewsによると、一部の申込者には追加開催の案内があって15日にも大使館で採血は行われたらしい。この15日組は「ナツメヤシのドライフルーツのパック」をいただき、館内で「サンドイッチと、ナツメヤシのドライフルーツ、そしてサウジアラビアのコーヒーを振る舞われた」そうだ。

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なら「縛り首の邦夫」と呼ぶことにしようか

鳩山法務大臣は、朝日新聞のコラムで「死神」と書かれたことに不快感を示したそうだ。

なら「縛り首の邦夫」と呼ぶことにしようか。

信念を持って絞首刑を執行させているのだから、文句はあるかい、だ。

ま、商鞅の故事も念頭にない訳ではありませんが。:-p ただ、商鞅ってのはかなり有能な人だったようです。


それにしても、このところの死刑執行で、世間が慣れてしまい、人を殺めることへの抵抗感が薄れてしまったように感じる。

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2008/06/08

謙虚と礼節

世界献血デー(6月14日)に、東京の在日サウジアラビア大使館で献血に協力するとアラブ料理を振る舞われると聞いた。

なんでも本国から、在留サウジアラビア国民を滞在国の献血に協力させなさいと指示が来たのに、在日サウジアラビア人の多くが英国留学経験があり、日本の基準でははねられてしまうための窮余の一策だとか。政府の指示は国王の命令、従えなければ、まさか首が跳ぶ(斬首刑)ということはないだろうけど、大使としては大失点。しかし知恵者がいるねぇ。一説には「金に糸目は付けず最高の素材の料理や菓子」を提供せよとの指示が出たらしい。それはともかく「できません」で終わらせない態度は見習わなくては。

今日日、大使館なんて用もないのに入るのは難しいから、人助けを兼ねて行ってみよう。特にサウジアラビアってステレオタイプのイメージしかないから。

ところで、えーと、奥ゆかしく「食事は結構(料理目当てじゃないよ)」と遅くに行くのが良いのか、用意されたものを喜んで食べるのが礼儀に叶っているのか、どっちでしょうね。なんとなく後者の方がアラブの風習に合っていて喜ばれそうだけど。

しかし事前に、政府指示の「自国民に滞在国で献血させる」が日本では無理と分かってよかったね。

なお、大使館のウェブページに載ったお願いによれば「セキュリティ上、事前の連絡が必要」とのこと。

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2008/05/15

むかし、首なし事件というのがあって

むかしむかし、警察官が取調室で被疑者を殴り、外傷性脳出血で死なせてしまう事件があった。病死(脳溢血)ということにして隠蔽しようとしたのだが、不審に思った民間人が墓を暴き、頭部を切り取って東京大学に持ち込み、暴行が原因であるという法医鑑定を引き出した。

(墓地に残された胴体も後に掘り返されて鑑定され、地元警察が行ったという解剖が形ばかりのものであることが露呈した。見物人の間で「首がない」と囁かれたことから「首なし事件」と呼ばれるようになった。)

紆余曲折を経て、殴った警官は特別公務員暴行凌虐致死罪で下獄する訳だが、否認を貫き、有罪が確定するまで地元警察は休職にもしなかった。

被害者の雇い主の協力(というか要請)があったとはいえ、遺族の了承を得たという話もなく、告発者には墳墓発掘・死体損壊で罪に問われる可能性があったし、それで告発を封じようと言う動きはあったらしい。しかし最終的には不問に付された。正当行為ということになったのだろうか。


この経緯は東宝で映画化され、小林桂樹が告発者である正木ひろし弁護士を演じている。ただ、正直言って出来はあまりよろしくない。特に、実際に首を切り出した解剖学教室職員を怪人物のように描いていて不愉快(実際には釣りを趣味とする好人物らしい)。


なんで古い事件のことを思い出したかと言うと、それはアレ、ほれ

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2007/11/24

やっぱりマルチだった

以下は5月に書いたmixi日記から。この8月に経済産業省から業務停止命令(リンク先はPDF)を受けていたのを今さら知る。円天の破綻より早かった。新聞記事によれば「過去に東京都と福井県から是正指導を受けており、経産省は厳しく処分する必要があると判断した」とのこと。

先週、法事で父の郷里に行ってきた(厳密には祖父の郷里らしいが)。

そこで親類の一人がユナイテッド・パワーのセットトップボックス(STB)を売っていることを知った。
http://www.unitedpower.co.jp/rakuichi_top.html

「TVでインターネット」は、かれこれ10年近く前から現れては消えてきた。だが一向に芽が出ない。

ただ、「PCを使えない(使わない)」というのは私の想像を絶する世界なので(なにしろ携帯電話でインターネットがここまで普及するとは思いもしなかったパソコン中心派)、もしかしたらまだ商機はあるかもしれない。

とはいえ、この仕組は怪しすぎる。いやWindowsCEの話ではなくて、まるでマルチ商法なのだ。それに気づいたのは本人が居なくなってからだったので、叔母にはそれとなく「怪しいよ」と伝えるにとどめたのだが。

いろいろ大人の事情があるらしい。うむむ

私が「オヤジのオウム真理教」と呼ぶ船井幸雄がここの社長と本を出している。あんた「能ない脱税」で懲りたんじゃないのかよ。アマゾンの書評はこてんぱんだが、これならまぁ「年内に破綻」ということはないだろう、たぶん。(ん、本が出たのは2004年か... そろそろ刈り入れ時?)

(帰ってきたその日、ちょうど「円天」が報道番組に取り上げられていた。円天といい、楽市といい、楽天のパチモンみたいな名前を良くもまぁ恥ずかしげもなく...)

(「楽市」は楽天の「楽天市場」をパクったものではなくて「楽市・楽座」からという可能性もなくはないが)

あらためて調べてみると、3年くらい前には既に「教えてgoo」に相談が載っていた。また去年の3月には中身の無いITとネットワークビジネスで人々を陥れる企業「ユナイテッド・パワー」というセミナーレポートが公にされている(5月のときは見なかったような)。こういう「自らが本気で体験したことがないのに、良し悪し言うは、愚なりけり」なんて中傷にめげない人を大切にしなければ(幸いニフティからの削除要請も出なかった模様)。

今にして思えば親戚へ「もう一押し」しておいた方が良かったなという反省があるので、業務停止で一安心。詳しくは書けないけど、野放しだと相当まずい結果を招来しかねなかったから(手遅れになっていなければ良いが...)。

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2007/09/24

なんでジオシティーズ

先に「弁護士のため息」を論じて「橋下弁護士を提訴した今枝弁護士の説明だと言う。といって、それが本当という保証もないのが困ったところ」と書いた。

というのもブログがプロバイダ(@nifty)のものだったから。昔のニフティはクレジットカードを持っていなければ会員になれず、それなりの与信調査をクリア、少なくとも実在は保証されていた。ところが、今のココログはメールアドレスさえあれば開設できる。つまりオーナーは架空の人物かもしれない。

最近は金融機関の本人確認は厳しくなっているらしいので、金を払っているならば、少なくとも全く架空の人物ということはない。で、上記ブログ主である寺本さんは、事務所のウェブとして@homepageを使っているから、架空の人物ではない、とはいえる。しかし本当に弁護士なの?という疑問は残る(たとえば弁護士会の公式サイトがあって、そこに間借りしていれば、現役弁護士であることは保証される)。

その正体不明の人が「事務所に電話をして確認しました」と書いて下さっても「はい、そうですか」と信じるわけにはいかない。記事を拝読した限りでは本物の弁護士らしいけれど。

フィッシング詐欺なんてものを知っていると、ウェブの実在をやすやすと信じてしまう人の無警戒っぷりには呆れてしまう。逆に言うと、ネットで信じてもらいたければ、それなりの努力が必要。ネットショップがhttpsを使っているのもその一つ。

会社であればco.jp(取得するには登記簿謄本か印鑑証明が必要)、その他の法人であればor.jp(法人の登記簿謄本が必要)、私的グループならgr.jp(代表者の印鑑証明が必要)を取得することで、少なくとも「どこの馬の骨とも知れない」という怪しさは払拭できる。あるいは所属組織のユーザーベージを使うとか。

以前、何か政治的な運動をしようというメールを受け取った時、ホームページがジオシティーズだったので、そんな誰でも身分を明かさずに作れるようなウェブは信用されないと忠告したところ、「ジオシティーズはYahooというネットの一流企業のサービスです」みたいな頓珍漢を返されて絶句したことがある。

NTTは元国営で、日本の代表的企業であることに異論はないが、だからといって電話の内容が信じられるかは別問題。現にオレオレ詐欺なんてものがあって、いまだに収まる気配がない。イタズラ電話や脅迫電話も「NTTという日本有数の企業」のサービスを使っているのだ。

(別にジオシティーズにあるウェブがみんな怪しいと言っている訳ではありません。)


光市母子殺害事件の弁護人であり、またテレビで懲戒請求を呼びかけた橋下弁護士を提訴した今枝弁護士が自身のブログを開設している。それがジオシティーズなのだ。

すでに3週間を経過し、多くのところで紹介されているので、よもやニセモノということはないだろう。

しかし、偽サイトを作って支離滅裂な主張を展開して弁護人への敵愾心を煽るなんてのは、実に初歩的な嫌がらせなのだ。サイトを作るまでにはいたらなかったが、イラク人質事件で「ヒミツの大計画」に担がれたおっちょこちょいが多数輩出したことを忘れてもらっては困る。

ご本人も、今枝を名乗るニセモノの登場を警戒していらした筈なのに、よりによってジオシティーズとは。

また光市事件懲戒請求扇動問題 弁護団広報ページはライブドアのwikiを使っている。「広告をいれるのは無神経」と噛み付かれ、「有料で広告の表示されないページを使用するべきだというご意見であるならば,我々はそこまで配慮するべき必要性を感じておりません」と返しているが、誰でも弁護団を名乗って開設できるサービスを選んでいる事自体が無神経だと思う。

民事訴訟は弁護人じゃないということを知っていたら、「弁護団ホームページ? 素人の作ったニセモノじゃないの?」と思いかねない(本文中にはちゃんと代理人と書いてある)。

どちらも、せめて広島県弁護士会のサイトからリンクしてもらうとかすべきだ。

繰り返しますが、ジオシティーズやライブドアに開かれているブログ等が信用できないという意味ではありません。しかし成り済ましての開設が容易なサービスであり、イナゴに対抗する砦としては脆弱に思えてならない(サーバーは頑強だろうけど)。あれはあくまで個人用、趣味向けのサービスだと。

続きを読む "なんでジオシティーズ"

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淵の森緑地

先日、新聞に取り上げられていた淵の森緑地を訪ねて来た。

淵の森の碑

秋津駅側の入り口そばに立つ石碑。「淵の森」と刻んである。

柳瀬川の清流
柳瀬川の清流。すぐ後ろは西武線の高架。

柳瀬川に泳ぐ鯉
大きなコイが泳いでいた。

林の中の道
鬱蒼とした森、のように見えるが、電車の走行音が響き、ある意味「千と千尋の神隠し」の世界。

柳瀬川の淵
ここがおそらく名前の由来となった淵。

「淵の森の掟」の高札
淵の森の掟。役所の名前で出されると素直には聞けないのは不健全? 後ろは今回開発が問題になった対岸。木々の間に家が見える。

対岸
宅地開発の危機は去ったと言うが。森の限界はすぐそこに。

此岸
こちら側も。

緑のトンネルの先は駐車場
出口は民間駐車場の奥。

駐車場の奥にある入り口
看板も横を向いていて、入り口とは分かりづらい。

包囲された小さな緑地であることが分かる
柳瀬川の上流側橋上から緑地を望む。

なお、「サツキとメイの淵が森」に見事な写真がある。現地に行って「猿沢池だ」「札幌の時計台」「播磨屋橋」と騒がないよーに。

ところで雑木林とは人間が手を入れることで遷移を中断してできた人工林だ。クヌギやコナラといった落葉広葉樹の林は放っておけば数十年でシイやカシといった常緑広葉樹の林(極相林)になってしまうという。「既に40年放置された狭山緑地では、その前兆が散見される。」という気になる指摘もある。この雑木林は誰が手入れをするのだろうか。

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人を殺したら死刑、の愚

賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶと言います(私に言わせれば経験に学ぶ=痛い目にあわないと分からないのは凡人で、愚者は経験しても学ばない)。

「死刑または無期懲役」しかない犯罪がありました。懲役刑は禁固刑よりも重いという規定に従えば、「死刑または無期禁錮」の内乱罪(刑法77条)よりも重い犯罪です。国家転覆よりも重い罪とは何か? それは親殺し。

君に忠、親に孝を説く社会にあっては、親殺しは大逆罪(主君殺し)に匹敵する大罪というのは分かります。

ですが法の下の平等を説く現代日本ではちょっとまずい。特に、被告人にどれほど酌(く)むべき事情があったとしても3年6か月の実刑を科さなければならない点が争点になった。そして最高裁判所は、尊属殺人重罰規定は憲法に違反して無効という判決を出した(1973年)。

なぜか。酌むべき事情がありすぎた。被害者は被告人の実父。未成年だった娘を強姦し、15年に渡り性的関係を強要し5人も子供を生ませた極悪親父。被告人である娘には刑を軽くする理由が山ほどある(心神耗弱、過剰防衛、自首、情状酌量)一方で、再犯の恐れは微塵もない。それなのに尊属殺人罪を適用すれば刑務所に送らざるを得ないのだ。

判決は14対1の圧倒的多数で、尊属殺人罪の重罰規定を憲法違反と断じた。もっとも内訳を見ると8人の裁判官は、普通の殺人と別扱いする事自体は合憲だが、執行猶予を付けられないような重罰規定は違憲というもの。(ちなみにただ一人合憲を唱えた下田裁判官も、恩赦を使えば下獄させずに済むと主張した。つまり刑務所送りは避けたかったらしい。)

「人を殺したら死刑が当然(酌量軽減は不要)」とか、極端なのに至っては「人を死なせたら死刑(傷害致死も過失致死も殺人罪に統合)」とかいう主張を時々目にする。広いネットで結構目にするのだから、絶滅危惧種ではないでしょう。この人達は上の親殺しの女性も吊るせというのでしょうか。

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2007/09/23

無期懲役への誤解

無期刑は10年(判決時に未成年なら7年)で仮出所できるという。たしかに法律にはそう書いてある。だが、あくまでも「することができる」であり、「釈放する」でもなければ「しなければならない」でもない。

懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。(刑法第28条)

しかも「改悛の状があるときは」という条件付き。

先日、コメントをいただいた瑠璃子さんのブログに紹介されている弁護士のブログによれば「死刑求刑事件の無期受刑者については、服役期間が30年をたたないと、仮釈放の申請ができない。」という(この服役期間には未決勾留を含むのだろう)。

また“悪質事件”については、検察がほかの「無期囚」より長期間服役させる方針だという。

保坂展人に対する法務省の国会答弁(2000年)によれば、平成になってから仮釈放になった無期懲役者の平均服役期間は20年弱。904人の受刑者の中には服役期間が50年を超える者もいる。

というわけで、無期懲役の場合、10年で仮出所というのは、「高校2年生でも飛び級で大学に入学できる」あるいは「宝くじが当たれば3億円もらえる」みたいな話。

それで本題。山口県光市の事件で被告人が「7年で出られる」と書いた手紙が憤激を呼んでいるが、これは被告人の誤解と言わざるを得ない(だから二審の裁判官も重視しなかったのだろう)。おまけに、その知識の出所が、実は被害者の夫が書いた本で、その本を差し入れたのが手紙の相手、しかも手紙を検察に御注進したのだと言うからなんともはや。

なお、瑠璃子さんによれば現在手に入る『天国からのラブレター』にその記述はないが、初版本には記載されている。疑い深い人のために画像まで付けていただいき感謝。

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2007/09/09

12人の怒らぬ男

以下は6月に書いたmixi日記から。ニュースにリンクさせたので、炎上するかもと思ったが、捨てアカウントをとって荒らしにくる暇人の目には触れなかったらしくごく真っ当なコメントをいただいて終わった。

有名な法廷劇である「12人の怒れる男」だが、もし死刑事件でなかったら、彼らはあそこまで熱く真剣に取り組んだだろうか。いや、最初にたった一人で有罪に疑問を呈した8号は、「何の討議もなしに死に追いやってしまうことはできない」と述べている。無期懲役なら、多少の疑問はあっても、刑務所の中で頭を冷やすのもいいだろうと合理化してしまったかもしれない。

劇の中の少年(被告人)は無実を訴えた。しかしもし警察なり検察なりが、「死刑にはならない。無期懲役でも十年で仮釈放になる。その間に手に職をつけたらどうだ。」と囁いていたらどうなるだろう。どうせ大人は言い分を聞いてくれない。それなら裁判なんてサッサと終わらせて30歳になる前に出所した方が、と妥協することは考えられる。

被告人が争わなければ国選弁護人が事を荒立てることはまずない。裁判官は職権で真相究明に乗り出すことはできるが、それは理屈の上での話。かくして一丁上がりとなる筈が...

人生を諦めた者に運命は過酷だ。あの世から正木ひろしを呼び寄せても勝ち目はあるまい。いや、真相はわからないが。

それにしても、詳しく知らないことでよくまぁ怒れる人の多いことよ。

■光市の母子殺害被告、差し戻し審で殺意・乱暴目的を否認(読売新聞 - 06月26日 16:42)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=240162&media_id=20

つまり、「反省の色を示せば無期懲役」という予定調和に惑わされて真相究明が疎かになっていたのではないか、という疑問。

最近、弁護人に対して多数の懲戒請求が出され、それをテレビ番組で煽ったとされる弁護士を提訴するという場外乱闘が始まった。その話題を追っている途中で(被告人は)「下手に争って死刑のリスクを高めるより、反省の情を示し無期懲役を確実にする方が得策」と示唆を受けたという記述を見つけ、「やっぱりね」。

もっともこのblogがデタラメを書いていない保証はないので、当該フレーズで検索してみると、今度は「弁護士のため息」というブログの記事がヒットした。これは今回、橋下弁護士を提訴した今枝弁護士の説明だと言う。といって、それが本当という保証もないのが困ったところ。ほかの記事を見た限りでは騙り弁護士ではなさそうだが。

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2007/07/26

名を取って実を捨てる

先日、私的な勉強会で、某放送局の記者を話題提供者にして報道における実名・匿名問題を議論した。

テキストは『報道被害』。著者は弁護士で、誤報やメディアスクラムなどの被害者の側に立って来た人。で、当然、(私人の)犯罪報道の匿名化を主張。

一方、記者さんは実名報道の擁護者。で、話を聞いてみると確かにメリットはある。納豆騒動の某番組に限らず、モザイクと音声変換を使えばいくらでも架空の話が作れてしまうと言う。名前を出して顔を映すのが報道の真実性の担保である、と(私はそう理解した)。

ただ、なぜか話は少年犯罪の匿名問題にそれて行き、いつ実名報道に踏み切るか、という興味深い話を聞いた。少年法が少年の氏名などの報道を禁止するのは更正の可能性を保証するため。それゆえ更正の可能性が断たれた場合、被疑者死亡とか死刑確定とか、は堂々と実名報道できると手ぐすねを引いているらしい(社によって方針は異なる)。

またかつて凶悪事件を起こしながら、少年故に匿名扱いだった男が成人後にまた事件を起こした例。もちろんネットでは過去の事件と実名(と称するもの)バンバンだったが、マスコミは対応に苦慮したらしい。二度目も同じ凶悪事件なら躊躇はしなかったが、微妙な粗暴犯だったとか。さて少年時代の事件に触れて良いものか。結局、その社では今の事件は実名報道する代わりに過去の事件には触れなかったそうだ。うーん、ニュースとしては「かつての少年凶悪犯が、性懲りもなく」の方が報道する価値があるのだから、匿名にして少年時代の事件に触れた方が良かったのではないだろうか。「そんな悪い奴をなぜ匿名にする」という感情論に押されたのだろうが。これを名を取って実を捨てると言う。

あと、実名原則と言いながら、実際には微罪は匿名化に向かっている。問題は被疑者が公人、あるいは公人に近い場合。事件の性格や規模、被疑者が私人かどうかを勘案し、偉いさんが毎回合議で決めているらしい。でも、そんなものは「アキレスはカメに追いつけない」。「これは実名、これは匿名」と規準を決めたところで、その中間は必ずあるのだ。傍目には甚だしく労多くして実りの少ない仕事に思えた。


この本の80ページは注目に値します。優秀な日本の裁判所は、事件の起きる一か月前に犯人に死刑判決を出しています。どうしたの、岩波書店。

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2006/08/29

とにかく重たいOhmyNews

OhmyNewsを覗いてみた。

とにかく重い、の一言に尽きる。ダイヤルアップ時代を思い出すようなもっさり動作。読者コメント(「この記事にひと言」)を読もうとするとまた読込み直し。おまけに新しいものから数発言ずつしか見られない。

少ししか見ていないのに誤字(誤変換)が目についたのも気になる。ちゃんとした編集者が見ているの? ベテランじゃなくても、基本が身についた人なら対処できるレベル。そういう点では、記事へのコメントとは別に、匿名通報システムがあれば良いと思う。誰が見てもわかりそうな誤記の指摘にわざわざ名乗る気にはならないし、かといって放置すれば確実に評判に悪影響を及ぼす。

【自然】三宅島の風景〜2006夏のようなオリジナルらしい記事があるのには期待が持てる。既報焼き直し“論評”(言いたい放題)なら2ちゃんねるがあるから。

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2006/06/21

カミツキガメは噛み付くのか?

野良カメ化したワニガメやカミツキガメがニュースになっている。身体はでかいし見るからに凶暴そうな顔つきで「指を喰いちぎる」なんて聞くとブルッてしまうけれど...

どこかで「実はおとなしい」「小枝を噛み切るテレビの映像はヤラセ」と読んだ記憶がある。

そこでググってみるが「凶暴」「指を噛み切る」「飛んで襲いかかる」のオンパレードなので、wikipediaをみると、ワニガメは「カミツキガメが攻撃性が強いのに対し、神経質な性質とされている。怒りやすいカミツキガメに対し、ワニガメはあまり怒らないため普段はカミツキガメ程の危険はないが、」という記述。ならカミツキガメは危険なのかというと「性格は凶暴だと一般に思われているが非常に臆病であり、水からあげない限りは非常におとなしい。(中略)空腹時や攻撃を受けたときなどには名前の通り噛み付く」と、こちらも記憶にそった解説。

ご丁寧にも「一般に指を食いちぎる・骨をも砕く等と報道されているが(中略)実際に噛まれた時にはたいがいの場合ネコに引っ獲かれた時とき程度の怪我(切り傷)で済む」と記されていた(「引っ掻かれた」「時程度」の誤りか)。

また野生のカミツキガメについて「体の大きさや陸上で追いつめられた際の反撃とその名前から「獰猛で危険な動物」と悪いイメージがあるが、元来は藻などを主食とす雑食で比較的おとなしい性格である。水中では素早く動ける為、追いかけても襲い掛かってくる事無く逃げて行く事からも好戦的で無い事がうかがえる。」という解説も見つかった(赤字部修正/下線は引用者による)。アウトドアのツアーガイドだから、実体験に基づいての記述だろう。「水中なら追いかけると逃げる」というところはリアリティを感じる(陸上で追いかけると怒るようだ)。


そういえば危険という説明は多々見るが、実際に「噛まれた」という話はほとんどない。見つかったのはソースが確かでない「湖で泳いでいた少年、カミツキガメに股間を噛まれる」というドイツ発の外電のみ(最近はbogusnewsとか航空機新聞みたいなネタサイトがあるのでうかうか引用できない...大丈夫だろうな)。その記事にも「普通は追い詰められない限りは人間を襲うことはないとされるカメだけに、地元警察はなぜ突然少年の股間に噛み付いたのか分からないと」とある。

とすると、役所のサイト含めたあの「危険!」「指を喰いちぎる!」はなんなのか?

見た目に加えて、動物の愛護及び管理に関する法律で危険動物(人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物)に指定されていること、長命(約50年)で巨大化(最大で甲長80cm・体重80kg)するため飼育放棄される例が目立つことが原因だろう。

外来種なので野生化が生態系に影響を与えることも懸念されている。

しかし捨てガメをする無責任な飼い主への非難と動物の危険性は本来別個だ。危険性も、人畜に対するものと生態系に対するものとは自ずと別問題。「ケシカラン」を理論武装するために無理矢理仕立てた凶暴イメージのような気がする。ただの「大きいカメ」だと「竜宮城に連れて行ってくれるかも」なんて呑気な反応がでて卒倒するかもしれないから。

これは携帯電話の「危険性」にも似た話。満員電車や優先席付近等の指定場所で電源を切ることに異論はないが、それを超えて文字通り電波な電波恐怖症を唱えられると眉に唾。「迷惑」だけより反論しにくいからと「危険」を無理矢理持ち出すのは退廃だ。「買ってはいけない」的な難癖は、一部の事実誤認発覚で全体を否定されてしまう危険を抱える。

閑話休題。「凶暴なカミツキガメ」という誤認はホラーハウス社会の症状の一端ではないだろうか。暗澹たる思いにさせられるのは、そのホラーハウスの煽動を批判するブログでさえも、野生化? 産卵!の報道に幻惑されて「肉食獣を捨てるなよー」と書いてしまっていること。RSSフィードも登録して注目しているのに。

一つ一つ、自分が何を根拠にして論を立てているか常に気をつけていないとアッサリ足下をすくわれてしまいそう。論拠を認識していれば、君子豹変もできる。


ちなみに、mixiにあるワニガメ飼育愛好家のコミュニケーションを覗くと、飼っているのはまだ小さいのかもしれませんが、全体に「可愛い、可愛い」で、巷の反応とのギャップを感じます。噛まれたという体験談も見当たらず(ヒーターを噛み割られたという話はあった)。まぁ無頓着だから捨てガメをするという推論も可能ではありますが、マスコミがあまり恐い恐いとあおるので家族が反対して放棄という可能性だってありまして、やはり事実に基づかない報道は問題だと。

Snappingturtle

沖縄の公園で見かけた注意を呼びかける看板。どう気をつけろと?

ps
怒らせれば噛み付くということですから、不用心に手を出してケガをしても、当方としては責任を負いかねます。特に幼・小児が無邪気に突いたりしないようお気をつけ下さい。野外で発見したら刺激しないで警察か保健所に通報ですね。

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2006/04/27

大胆! 捏造データで特許出願


研究上の不正行為に関して「捏造・改竄と盗用は本質的に異なる。前者は虚偽だから事実によって覆される。論文稼ぎには使えるが、ロイヤルティを取って世界にお披露目したら一発で化けの皮がはがれてしまう。」と書いたが、なんとなんと捏造データで特許出願をした猛者がいた。

8通りやったことになっている実験のうち5通りはやっていないことが確実。本人は「発明の価値をさらに上げるため(実験していないデータについて)予測可能な値として書いてしまった。」とコメント。発明の価値を上げるためとはどういう意味? 結果に違いはないけれど見栄え良く細工したというのとも違うようだ。

NEDOの研究助成が目的だった? 助成金をもらえれば結果を出す自信があったのだろうか。

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2006/03/06

アカデミー賞アニメ部門はウォレスとグルミット

ウォレスとグルミットがアカデミー賞を受賞した。「ハウルの動く城」がノミネートされていたので期待した人もいただろうが、正直なところ敵ではないと思う(「ハウル...」を見ないで言うのも失礼な話だが)。

はじめて見たのは世界初のクローンヒツジ、ドリーの毛で作ったセーターと世界初のDNAモデル(但しレプリカ)を見に行った「大英国展」にて。「ペンギンに気をつけろ」などの抜粋を放映しており、あまりの面白さに後日全編を見てビデオまで買ってしまった。

ワンシーンずつ撮影して作るクレイアニメ。今回の「野菜畑で大ピンチ! 」は企画から5年、撮影だけで18ヶ月かかっているという。前作までは約30分の短編だが、今度は長編。あのテンポで85分やられたら息も絶え絶えになってしまうだろう。

宮崎アニメも素晴らしいけれど、アカデミー賞をW&Gと競っても勝てないと思う。いえ、W&Gを貶している訳ではありません。

ところでNHKの7時のニュースは「受賞を逃しました」しか伝えず、何が受賞したかに触れなかったが、こういう報道の仕方は困る。

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