2012/08/14

感動の一枚が怪写真に化けるまで

ロンドンオリンピックのサッカー3位決定戦。負けてがっかりなところへ来て、浮かれた韓国選手が「独島は我が領土」なんてデモンストレーションしたものだから、頭に血がのぼった日本人は多かったようだ。

そこへ春・夏・秋・冬というブログに載った試合終了後に清掃する日本人応援団という写真が出回り始めた。Facebookを始めあちこちに紹介され、サッカーにあまり関心のない私のところにまでツイッターで伝わってきた。

しかし、日本人サポーターは日本での試合終了後と同じように、自分達の応援席を中心にしたスペースのゴミ拾いをして清掃している姿が外国人記者の目に止まり、その姿を写真に収められた。
ややもすれば、負けたことの腹いせにイスを壊したりモノを投げたりの暴挙に出るやもしないのに、冷静に清掃する・・・誇らしい姿じゃないか。

ふーん、と思いながら読んでいたが「外国人記者の目に止まり、その姿を写真に収められた」というところで引っかかった。つまり外国の(?)雑誌あるいは新聞に載った写真らしいのに、出所がどこにも書いてない。屈んでいる二人は大きな日章旗らしいものを羽織っているので、オリンピック会場というのはそうだろうけれど、本当にサッカー日韓戦後のスタジアムで撮った写真ですか?と問われると確答しかねる。

そこで、とりあえずブログのツイートボタンからは出所不明の写真であると指摘してから、出所を確認すべくgoogle画像検索にかけてみた。ところがヒットするのは日本語のページばかり(検索に言語指定はかけていない)。日付指定をして絞りこむと、どうやら初出は前記ブログ。変ではないか。

ネットには嘘がいっぱい


ツイッターというのはほんとうに嘘が沢山流れてくる。割合で見れば少ないのかもしれないが、とにかく総ツイートが膨大なので、結構な数の嘘が目に付く(情報の真贋を見極められない人ばかりフォローしてる、ということはない)。特に目を引く写真は要注意で、もっともらしい説明が付いていても、実は無関係な写真に適当なお話を付け加えただけというシロモノが結構多い(黒猫先生も具体的に注意している)。それが「シャレである」という認識が共有されているなら、やれ出所がどうのこうのというのは野暮であるけれど、糸柳事件を持ち出すまでもなく、〈お約束の冗談〉がいつの間にか〈本当の話〉として広がることは起こりうるし、担ぐ気まんまんで流されたらたまったものではない。

騙されているにもかかわらず、嘘を信じて、その筋の専門家に喧嘩を売っている痛々しい素人もそう珍しくはない。

オリンピックでは、石原慎太郎都知事が「銅メダルなんて誰でも取れる、金を取らなきゃメダルじゃない。金を取らないと日本に帰ってこられないようなもっと重たいものを課せばいい」とTVで発言したという8月6日付のツイートもあった(14日現在11,232RT)が、調べてみるとこれは2010年の冬季オリンピックの時の発言。ほんっとウカウカしていると騙される。

ホームページの時代から怪情報はあったけれど、掲示板、ブログ、ツイッターと手軽になるに従って、騙された人間が拡大再生産して爆発的に広がるようになってしまった。

この写真は本物か


で、冒頭の写真に戻る。少なくとも外国の新聞雑誌には載っていない写真らしい。もっとも撮影した外国人記者から直接もらい、記者の記事は没になった(あるいは紙誌面だけでネット版不掲載)という可能性も残るから、間接的に韓国の悪口を言うために「日本って素晴らしい」を捏造したと断定することはできない。しかしまぁ、なんか怪しい写真であることには違いない。そこで調査結果をツイート(このツイートに書いたURIは現在無効)して、美談を鵜呑みにはしてないよ、をアピール。

1日経って、今度は顔本でもこの写真を目にした。「みんなイイ話と思ってるみたいだけど、なんか怪しいよ」とコメントすべく、念のため再度画像検索をかけた。すると12日にこの写真を付してツイートしている人を発見。たしかにロンドンオリンピック男子サッカー三位決定戦後の写真と書いてある。しかしツイートに表示された現在地はパリ。(?_?)

この写真は本物だ


この人はTwilogに登録していなかったが、幸い直近200ツイートの中に残っていた。前後のツイートを読むと、オリンピック観戦後ユーロスターでパリに出てきて、ドゴール空港から帰国するらしい。矛盾するようなツイートは見当たらないので、あの写真はこの人が撮ったと判断。

そうするとおせっかいの虫が動き出し、御注進に及ぶべく、まず証拠固め。ひょっとしてもう気付かれているかもと思い、さらにツイートを追ってみると13日にこの写真を撮ったのは僕ですと。

そして件のブログ主も「伝聞をそのまま鵜呑みにしてしまいました。早速(本日14日午前中には)訂正して撮影者様のことも記載訂正いたします。」と詫びをいれている(14日8時)。え?と思ってエントリーを見直すと、末尾に追記がしてあった。こういう場合は「清掃している姿が外国人記者の目に止まり、その姿を(追記参照)写真に収められた。」のようにすべきだと思う。

引用では出所を明示する


間違いを書いたブログ主が最初にどこでこの写真を見たのかは不明だが、自分のブログで紹介するときに、引用のルールに従って出所を明示していれば(しようと努力していれば)、こういう間違いはしないで済んだろう。コメント欄でも転載元を明記した方が良いと注意されているのに、「ご指摘ありがとうございます。今後の参考にさせていただきます。」と他人事のよう(13日20時半)。その12時間後には冷や汗を流すことになる。

今回は撮影者の了解を得られたから良いものの、出所を示さず、あまつさえ間違えた説明(外国人記者が撮影)を付して掲載した行為は著作権法違反(十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金)に問われる行為だ。注意したい。

なお、引用絡みで言えば、韓国選手がかかげたボードに「竹島は我が領土」などと書いてあるわけがない。元が韓国語なので翻訳の問題もあるけれど、たとえるならば無実を訴える死刑囚が「不当判決の撤回を」と書いているのを「確定判決の撤回を」と書き直すようなもので、間違ってはいないけれど、それをやったら検察に肩入れしてると見られるだろう。おそらくブログ主は「竹島は日本固有領土に決まっている」と思っていて、ためらうことなく「竹島」と〈翻訳〉してしまったのであろうが。

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2009/10/25

ホームレスワールドカップ

22日深夜にフジテレビのNONFIXで、9月にミラノで開かれたホームレス・ワールドカップに出場した日本代表「野武士ジャパン」のドキュメンタリーが放送された。

IT研修講座が終わってから出番がなく、ビッグイシュー基金とはご無沙汰気味だったのでビデオに録り、金曜夜にやっと見た。

基金便り(No.48)に「勇気をふりしぼって5年ぶりに帰省、父親と酒を酌み交わし、住民票取得の協力も得られた」とあったのは佐々木さんと判明(番組で名前を出していた)。彼は...悪い人間ではないと思うのだが、不器用というか、社会性を身につけていないというか...「憎めない困ったちゃん」から「避けられるトラブルメーカー」になりかかり、見かねた東京事務所のマネジャーが懇々と説教をし、その場に居合わせたものの私は可哀想に思って見に行かなかったけれど、様子をうかがいに行った人が戻って来て「正座してる〜」と笑い転げているのを見て「ああ、ホントに疎まれちゃってる」とやや同情し、後日マネジャーから事情らしきことを聞いてさらに見る目は少し変わったけれど、なんか自分の悪いところを強調して見せられているような気がして、あまり近づきたくはない存在。

放送された大会中の様子でも、大敗した悔しさからか、試合後に相手チームから求められた握手を振り払ってしまったり、チームメイトに「勝ちに来たのか、負けに来たのか」と迫ったり(どちらも非難囂々)と「佐々木さんぶり全開」にはハラハラさせられる。

でも、きっと成長して戻って来たことでしょう。(1回は振り払ってしまった相手チームへも、出直して握手をして来たし...しかし2月のパーティーの後の出来事もそうだけど「評判を落とすようなことをしてから名誉を回復する行動」って、しないよりはマシだけど誉められたことじゃないよ...ちがうかな?)

そうそう、出発前の交流試合でボロ敗けし、人目も憚らず大泣きしていた様子が映されていた。それだけ(本人としては)真剣だったのだ。見直したぜ。番組を締めくくるナレーションは「彼らは努力が足りなかった。サッカーにも、人生にも」と突き放していたけれど、努力しても及ばなかった人間に対して、あれはちょっと冷淡が過ぎる。少なくとも人前で涙を見せた佐々木さんは悪い人間ではない、と重い鯛。

ちなみに結果は不戦勝2つで、事実上の最下位でした。世界のチームはレベルが高い(年齢が若い/プロチームからのスカウトも狙っているなど)。「点を恵んでもらう」に至っては、ありがたいやら情けないやら(正論としては手を抜かずに徹底的にやるのがスポーツマンシップではあるが、ホームレスが叩かれ弱いことへの配慮だったかもしれない)。

そういえば番組では選手は基本「さん」付けで呼ばれていたな。身障者のスポーツ大会を取り上げた新聞記事で、さん付けで書かれているうちはスポーツ記事ではなくて三面記事と喝破した人がいたっけ。実際、社会復帰訓練の一環ではある。しかし、いつか「スポーツ大会」として認められる日が来ることを願おう(そのとき社会復帰はどこが担うんだ?)。

ところで、寄付は足りたのかな?

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2009/08/24

野武士ジャパンへカンパ

「ホームレス・サッカーワールドカップ」ミラノ大会に日本代表野武士ジャパンが出る。excite.ニュースに記事が載り、mixiにも転載されたのだが、ストリート・ペーパーの国際組織が主催し、欧州サッカー連盟も協賛するまっとうな大会で、日本からはビッグイシュー日本の販売者が出場するという肝心な部分が欠落しているため、「野武士? 乞食だろ」「落ち武者www」「そんなことしてないで働け」とさんざんな言われよう。

幸いにも朝日新聞大阪日日新聞の記事ではその辺が触れられている。

ちなみに、ホームレス状態の人をサッカー大会に出場させると、目論見通り次のような変化が起きるという(調査対象のケープタウン大会に日本代表は出場していない)。


2006年のケープタウン(南アフリカ)大会に参加した選手への聞き取り調査結果:92%…生きる新たな意欲がわいた/78%…麻薬やアルコール依存症を克服したり仕事についた、学校に戻った、家族との絆を取り戻したなど人生が良い方向に変った。


さて、出場が決まっているのだから最低限の費用は確保したのだろうが、陰から「がんばれよ」と声援するだけなのも能がないので寄付をしよう。

三菱東京UFJ銀行 新宿支店
ビッグイシュー基金サッカー
口座番号6512659

しかし野武士と聞くと、反射的に思い起こすのは「七人の侍」である。とすると振込人名はやはり「久蔵」だろうか。その心は...背中を撃たれる ってのは不穏?

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2007/08/23

カヌーに挑戦

ダムサイト見学のあとはダム湖でカヌーに挑戦した。

ダム湖のカヌー乗り場

湖上から

ボートと異なり、カヌーは前向きにすすむ。とはいえ、複数で漕いでいると2番手以降の目の前は人の背中。前を確認しないで漕いでいると、岸に向かったり、他のカヌーとニアミスしたり。で、たびたびブレーキをかけることになるが、漕いでいるのと反対側でパドル(櫂)を止めると、実に小気味よく転回する。

ダムの取水口(左)と洪水吐(右)。手前に流木止めがあるので近づけない。

ボートより軽快に感じたのは船体幅が狭いせいか。とにかく上流端まで行って、次は下流の流木止めまでと実にスイスイ。この流木止めのために取水口まで行けなかったのは残念。って、吸い込まれたらどうするんよ。

大雨の中を必死に戻ってくるカヌーたち

雲行きが怪しくなって来たので、桟橋に向けて戻りだしてしばらくしたら雨が降りだした。警戒感が幸いしてさほど濡れないうちに上陸できたので、うっかり遠出していた船が大慌てで戻ってくる様をゆっくり撮影。

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