2013/10/12

この「政府広報」はにせものです

Facebookでは2013年の初めから拡がっていたらしいが、こんな「政府広報」画像をツイッターで見た。

中央にピンクのランドセルを背負った女の子の後ろ姿。その左右に2つの質問がひらがなで。「ご先祖さま(画像では「ごぜんぞさま」)は悪いことをしたの?」「だから私は悪い日本人なの?」。最後に「お子様にどう答えますか?」

うーん。いくら安倍政権でもこれはないんじゃないの?というのが第一印象。それになんか文字は滲んでいるし。もしかしたら昔のもの?と思って画像検索を掛けてみた(怪しい画像を見たときは画像検索で初出を調べるのが賢明。以前にはこんな例もあった。)。そうするとgo.jpドメインが見つからないのは想定の範囲内だったものの、初出を確定すべく2011年に限定した結果からこのブログを見つけて膝から崩れそうになった。

初めはエキセントリックな社長ブログかなと思いながら目で追っていったところ、なんとランドセルの宣伝だった! 写真のサイズ(2912×4368)や鮮明さからしても、これがオリジナルである可能性が大きい。

そして常識的には、政府が民間企業の写真を無断使用して広報を作成するとは考えがたい。というわけで、にせものと判断。

そう思って見ると、左上の桐紋はもっともらしいけれど政府広報のマークではないとかの粗も見えてくる。

これの正体については日刊Yon-go!Hin-go!の記事「紛らわしい記事はシェアするな!」が詳しい。産経新聞記者 阿比留 瑠比氏が語る安倍総理と朝日新聞の裏話というブログ記事が初出ではないかと。

拡散している皆さんが、フェイクと承知で洒落のつもりで広めていたのか、それとも真に受けていたのかは未確認。とはいえ、誤解していたと確認できた人もいるので、コラージュには注意しましょう。偽情報はコラに限らないけど。

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2013/06/12

「サイコロクラスタ」の謎判明

Twitterに「サイコロクラスタ」なるものがある(らしい)。アイコンの片隅にサイコロの目を描き込んでいる。ある人のプロフィールには次のように書かれている。「サイコロクラスターのメンバーは常時募集中です。勝手にサイコロを掲げてください。」

いったいこれはなんなのだろうか? そして、どうもサイコロなのに面が正方形になっていない。均等に目の出ない八百長サイコロではないか。とは思ったものの、深く追究することなくいたところ、先日「どらねこ&なるみーた Cafe」の後の懇親会で、当事者の一人から説明を聞くことができた。

アイコンの片隅に白地に赤丸を描き込んでいる人たちが痛々しいツイートを繰り返している。ああいうのが日本の代表とか多数派とか思われるのはとても不本意。心配するな、あれはサイコロの1の目なんだよ。それをはっきりさせるためにこちらは1以外の目を掲げましょう。ということらしい。ああ、それでサイコロのくせに縦横比を2対3にしてあるのか。

古いツイートを漁ってみると「今日からボクもサイコロクラスターの仲間入りです。現在1の目の方が多いので少数派ですが、負けませんよ。(意味不明)」(2010年)とか「遅ればせながら今日からぼくもサイコロクラスターです。2じゃダメですか?1じゃなきゃ(ry」2010年)とか。まとまった解説ツイートもあった。

【サイコロクラスター】ツイッターアイコンの隅になぜかサイコロの1の目を入れる人が多く、その発言内容には疑問を覚えるモノが多い事に気づいたたどらねこが、他の目も大切にしよう(?)と思い立って自身のアイコンに3の目を入れたことがはじまり。(らしい)

なお、アイコンに日の丸を2つも載せている人(描いているのではなくて写っている)もいますが、以前の野口聡一さんと同じで、これはきわめてまっとうな所属表示です。

野口さんの以前のアイコンを探したところ、あるブログのコメントに添えられていたこの画像がたぶんそうです。

こういう自他共に代表的な日本の宇宙飛行士あるいは日本の宇宙開発関係者と認められるような人ならアイコンに日の丸をつけても違和感がない。むしろ国旗をアイコンにつけて品位を疑われるようなツイートをした人間は国旗冒涜罪で最初は警告して氏名公表、続くようなら罰金、それでも改まらなければ矯正収容所に送り込んだ方がよろしいんじゃないでしょうか。(TwitterだけでなくFacebookなどでも)

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2013/03/25

技術メモ:複数の画像をPDFへ

ことの経緯


旧師のもとへ今の弟子共から雑誌や書籍をスキャンした画像が送られてくるのだが、センセイそれが読めなくて困っている。読めないことはないのだが、印刷しようとするとエラーになるという(その後、色々と聞いてみると印刷全般が不能になっていた)。

Skypeの通話では隔靴掻痒なので(なにしろ「ブラウザは何を使っていますか」「ニフティだ」という調子なのだ)、件のファイルを送ってもらった。その点、Skypeはすぐにファイルが届くので便利。ただし、ウイルスチェックの点で心配は心配だが、中国で作ったファイルならMacに感染することはあるまいと検疫スキップ(後日、ISPのメールボックスへ送ってウイルスチェックをしたところ白だった)

送ってもらったファイルはzip。展開してみると複数のbmpファイル(Windowsの標準画像形式)が出てきたが、ファイル名は文字化けしている。おそらく中国語フォントを使っているのだろう。旧師の使っているWindowsXPではzipの展開までは自動で行えるのでここまでは問題ないはず。問題はbmpと関連付けられているのが「Windows FAXと画像ビューア」で、センセはこれを使ったことがなかった。

そこで画像をまとめてPDFにする作業に着手した。いろいろとトラブったので、後日のためにまとめておく。

作業概略



  1. bmpファイルをGIMPを使って向きを修正し、汚れ(スキャナの読み取り面に毛髪が落ちているぞ!)を除き、適当にトリミングをしてからファイル名を分かりやすく変えて保存。

  2. 最初の画像を「プレビュー」を使って開き、「名前を変えて保存」でPDF形式にする。

  3. PDFファイルを「プレビュー」で開き、サイドバーを表示させ、そこへ残りの画像ファイルをドラッグ&ドロップする。

  4. PDFファイルを上書き保存して完了。

詳細補足


1)向きを修正する際はグリッドを表示させて、それに合わせる(きれいに90度傾いているとは限らない)。傾き修正後は「画像(I)」→「キャンバスをレイヤーに合わせる(I)」処理。なお、MacOSの標準画像表示ソフト「プレビュー」を使って回転させると表示できなくなる不具合が発生した。
汚れの除去は「消しゴム」または「上塗り」が普通だが、画像が大きい(今回はなんと3296×4576)場合は大変なので、範囲を指定して削除してから塗りつぶしツールで背景色にそろえる。
ファイル名はページ数にすると後の作業が楽。

2)画像ファイルを集めてからPDFに変更しようとすると苦労する。

3)当初は律儀にサイドバーからサイドバーへ移していたが、ファインダー上から直接移すことができた。

4)「プリント」→「PDFで保存」では2ページ目以降が真っ黒になる不具合が発生した。


3本処理するとだいぶスムースに行えるようになる。今度依頼が来たらキャプチャをとっておこう。

おわりに


EUC(EndUser Computing)の精神からは、センセ本人にやっていただくのが本来なのだが、Macをもってらっしゃらないし、御老体だし、ということで不肖の弟子が代行する次第。

やい、てめーら、スキャンしたら画像の向きぐらい直せ、そしてせめてJPGで送れ!>今の弟子共

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2012/11/30

彫塑「砲丸」の帰還

前のエントリーで、朝倉彫塑館の屋上にある彫塑「砲丸」は、建物が工事中にもかかわらず外から見えるようになっていることを紹介したが、調べてみるとこの秋まで撤去されていたことが分かった。

彫塑の名前を調べるために「朝倉彫塑館 屋上」で検索し、どうやらそれは「砲丸」らしいと分かったところで「朝倉文夫 砲丸」で検索しなおすと「工事進捗状況 平成24年7月から平成24年10月 - 台東区役所」というページが2番目に現れる。ところがこのページを見ようとすると、「■ページが見つかりません」となる。「平成22年12月6日にリニューアルしました。アドレス(URL)が変更されている場合があります。」とあるので、台東区のトップページへ戻りサイト内検索で「朝倉彫塑館」を探すと、またもや「■ページが見つかりません」となる。おかしいなと思いつつトップページの「文化・観光情報」から探そうとするが、分け入っても分け入っても...見つからない(後で逆引きしたところ「台東区立の文化施設・アートギャラリー」→「主な文化施設」→「朝倉彫塑館(休館中)」→「朝倉彫塑館ホームページ」と判明)

そういえば、朝倉彫塑館のホームページに「保存修復工事の状況について」という項目があったな、と思い出し、覗いてみるとありました「工事進捗状況 平成24年7月から平成24年10月」。「朝倉文夫氏が暮らしていた当時のように豚面の彫塑から上水を出すことができるかどうか」「損傷を防ぐために布でしっかりと包み、 重量400kgの「砲丸」をタワークレーンで吊り上げて屋上まで運びました。」というスニペットにあった文章もちゃんとある。(2つのURIを比較したところ、googleの検索結果が
http://www.city.taito.lg.jp/index/bunka_kanko/bunkashisetsu/
asakurachosokan_koji/asakura2012_7-10.htmlなのに対して実際のページは
http://www.city.taito.lg.jp/index/bunka_kanko/bunkashisetsu/
oshirase/asakurachosokan_koji/asakura2012_7-10.htmlで、10月以降にディレクトリ構造を変更したことが原因と分かる。)

彫塑「砲丸」をアトリエ棟屋上に戻す様子の組み写真

やっと本題。そこの記述によれば10月のはじめにアトリエ棟屋上に戻す作業が行われたとのこと。重量400kgということはブロンズか。クレーンで釣り上げた様子がまるで空を飛んでいるよう(3枚目の写真)。布の白と雲の白をうまくずらし、青空に浮く青銅色を際立たせて撮るとは見事。設置後の写真は、工事が終わり「足場が解体されてしまうと、この角度から彫塑を眺めることは出来なくなってしまうので、非常に貴重な写真です。」とのこと。

サイトリニューアルの際に埋もれてしまわないことを祈る。

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2012/10/15

ググレカスと返す前に

「ググレカス」(グーグルで検索しろ、カス野郎)という言葉はかなり知られてきたようだ。カス(滓)は罵倒語だからさておき、「ググる」という言葉自体、既に『ググる』という書籍が2004年に出版されている(当時は気づかなかったが、筆者は津田大介。アマゾンレビューは星4つ半と高いけれど、この手の書籍の常として陳腐化が早く、今では品切れで、中古品が1円から出品されている。)。「ググレカス」とは「人に質問する前に、グーグルで検索しなさい(それで分かるような初歩的な質問で人の手を煩わせてはいけない)」という意味。

だが、この言葉には矛盾がある。「そんな自分で調べれば簡単に分かることを人に聞くな」は正論である。正論ではあるけれど、そんなに簡単なことならば、手間惜しみをしないでやってあげれば良いではないかもまた正論ではないだろうか。

自分ですべきことをしないで人に頼る「教えて君」(これがいかに嫌われる存在かは、教えてクン養成マニュアルアンサイクロペディアの記事あるいはwikipediaの記載に見ることができるが、一方ではニューカマーにはこれが横暴にも見えるらしく(見えるのを利用して?)教えて君.netなどというサイトもある)の理論武装に使われるのは不本意であるが、携帯電話で迷いこんできたような初心者は基本的な検索の知識もないようだし、本当に手間ではないのなら厭うべきではないだろう。


このことを考え出したきっかけは、風説をツイートしておきながら、情報源を求められると「ソースを尋ねる前にご自分でググったりする習慣をつけてください。」と返す御仁を見かけたこと。これは「セブンイレブンのお弁当は放射能汚染地域の食品つかっています」とツイートし、確認できる情報ソースを尋ねられて「セブンイレブンが放射能地域の食品使ってると言う情報ソースお持ちの方いらっしゃいますか?」とツイートした(今から探すんかい!)のに匹敵する茶番。そのあとで「ヒント」なるものは教えたらしいけれど、何様のつもりだろうか。

というのも、まず「本当に簡単なら」は怪しい仮定だからだ。

検索は実は難しい


検索一般の問題として、今のシステムは適切な検索語を知らないと求める情報は手に入りにくい。ある程度は自然文での検索もできるようになってはいるものの、分かりやすい例を挙げるならば「名前の分からないものを探すのは困難」ということ。あるいは「かっこいい女の子が登場するアクション小説」という文章で本を検索してもAmazonでは見つけられないということ(ちなみにグーグルで検索したらYahoo!知恵袋などがヒットしたが、これはまさに「人に聞く」)

検索語が適切でも、場合によっては数千数万のページがヒットする。それを絞り込むためには検索語を追加したり、否定検索を組み合わせたり、対象ドメインや時期を限定したり、と比較的高度な技法を要求される。


さらに、表示された検索結果は内容の正しさが保証されていない。一般的に言えば上位に表示されるページの内容は多くの支持を集めているわけだけれども、世の中には多数決では決められないこともたくさんある。

そして、そのことが単に「親切は惜しむもんじゃない」という道徳を超えた、ググれと安易に返すことの危険性に結びつく。

質問の意図は本能寺にあり?


たとえばツイッター。ツイートに対して「本当ですか」「それはどこで手に入りますか」などと質問が来た場合を考えよう。元になるツイートをする際に、ググって内容を確認しているだろうか? 否。たいていは記憶に基づいて、あるいは検証もしていない思いつきを書いて、読み直しもしないで送信しているはずだ。とすると、とんでもない勘違いをしている可能性がある。聞いてきた人はググるなり別の確実性の高いソースなりに当たってそれを確認したうえで、弁明の機会を与えるために質問してきているのかもしれない。そうすると「ググって(カスめ)」と返信すると間髪を入れずに「ググッたけれど見つからない」「こんなページもヒットする」「私は学長です」というカウンターを食らう恐れ大。

ことに、自分が学習した当時は正しかったけれど、その後に新しい説が出て主流になった、なんてことは中々気がつかない。本当は自発的に振り返るべきものではあるが、それが無理なら、せめて人に聞かれたときにチェックしてみてもバチは当たらないだろう。


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2012/10/11

電子学術論文誌の広告戦略

電子書籍(電子雑誌)の広告について、差し替えが可能なこと、閲覧数に応じて料金をかえられることを以前に指摘した(今度こそ来るか電子出版の時代(「電子書籍の衝撃」)」や「(電子)書籍がタダになる可能性」)。

現実は逆で、たとえば「原発事故から1年半で見えてきた放射能汚染の“正体”」を特集した週刊ダイヤモンド(9/15号)の電子版を購入したところ、広告がことごとく白ページになっており、表示エラーと誤認させるような素敵な作りになっている。

その後、東日本大震災に伴う原発事故の影響から門外漢も医学論文などを参照することが増えたのを見て、現在では次のように考えている。

・念頭においていたのはnatureのような学術論文雑誌(学会誌を含む)
・販売は1論文ずつで、それに広告を付随させる
・ダウンロード型でもウェブ閲覧型でも対応
・広告の内容は、利益相反にも注意しつつ
 ・使用した試薬や機器などの広告1)
 ・所属機関の広告
 ・著者本人の広告2)
 ・研究資金の提供を受けた財団などの広告
 ・関連する書籍(プロ向け/入門書)の広告
 ・翻訳サービス3)
 ・競合による「その論文よりこっちを読め」広告4)
・料金は基本掲載料+論文指定料+広告経由での注文歩合
・上記のように論文を指定した広告の他に、場所を指定しない一般広告もある
・IPアドレスによって「関西地方限定」のような地域限定広告も導入
・広告への読者のアクションは原則匿名保護されるが、同意のもとに読者属性を提供もできるようにする(その場合は値引販売が妥当であろう)
・発行後、一定期間経過後は更新(差し替え)自由となる
・キャンペーン終了などの場合は、期間内でも広告主による差し替えを受け入れる
・参照の多い論文は料金を上げ、参照の少ない論文は値下げする
・過去の広告はすべて保存される(フォレンジック)

  1. 競合メーカーが「うちのを使えばもっと効率良くできます」という広告を入れることも。誇大広告でなければ読者にとって有益な情報となる。
  2. 雑誌によっては「著者紹介」がないので、売り込みが必要なポスドクらは自前で用意する必要がある。
  3. オープンアクセスの普及で門外漢でも論文を手に取るのが容易にはなったが、英語では読むのに苦労する。専門家以外にも開かれた科学とは、このような実装によって保証される。
  4. 競争しあっている一方の論文しか読まないと見方が偏ってしまう。「〜に言及していながら*を引用していない論文には、この論文サマリーを表示」という依頼を受け付ける。citation index(CI)を上げたい著者やimpact factor(IF)を上げたい編集者が喜ぶだろう。むろん「相対論は間違っていた」「EM菌が世界を救う」のようなものは審査で排除する(EMにはpeer reviewの論文はないようだが)。

科学者だからといって、科学関係の広告にしか反応しないということはない。岩波の「科学」の表4には東芝EMIやタバスコの広告が載っていた。そこまで極端でなくとも、保育サービスであるとか家事代行サービスは十分に需要があるだろう。

また、広告とは別に、その論文の影響力(CI)や評価、その論文を引用している論文や総説の情報を付帯させることで、利用価値は大幅に高まる。あるいは「この論文を読んでいる人は〜も読んでいます」のようなレコメンド機能。もちろんその論文に引用されている論文・書籍(の本文または書誌情報)へのハイパーリンク、著者の現在の連絡先への連絡フォームなどは必須。

戦略というよりは戦術的な話になってしまった。

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2012/10/10

電子書籍は学会誌か広報から

電子書籍の普及を妨げる要因はいろいろあるだろうが、その中でも複製(防止技術)は大きい。

発行側は複製されたら堪らないと考えている。それはそうだろう。保護されていないデジタルデータは複製が容易だし、ネットワークに拡散されたら回収はほとんど不可能。心血注いで作成した電子書籍が複製されて闇流通したら、製作費を回収できない。

かといって、ガチガチの複製防止をかければ良いかというと、それもまた問題を抱えている。これは音楽ファイルなどで先行して発生した。携帯電話で購入したものをパソコンでは閲覧できないとか、機種を変更したら読めなくなるとかいった制限があれば、購入意欲は減退する。角を矯めて牛を殺すのと同じ。

また回し読みができない。発行側としては一人一冊購入して欲しいと思うだろうが、個人間の本の貸借が結果として読者を増やす効果は無視できない。出版界が古書店というものをどう評価しているのかよく分からないが、古書店がなければ読書はかなり貧しいものになっているのではないだろうか。もちろん、書籍を電子化することで、絶版・品切れなどというものは今後一掃します、出版社が倒産しても債権者が継続して提供します、というのなら話は別であるが。

つまり現状の電子書籍には、複製は制限したいけれど、制限し過ぎると売れ行きが悪くなるというジレンマがあるわけである。

広報・公報


その軛から自由な出版物がある。無償で配布されるものならば、複製を制限する必要がない。

無償で配布というと、まず広告宣伝が思いつく。広報も、内容の伝達が目的なので売り上げは二の次(第三種郵便を使う場合はあまねく発売されていることが条件なので値段を付ける必要があった。) 。これらは、改竄されたり内容が古くなったものが最新版のように広まったりさえしなければ良いので、たとえば電子署名を付ける程度の対策で済む。

企業の広報誌は経費節減で青息吐息であろうから、電子化は極めて有望なはずだが、さてどうなっているだろうか。もっとも少数でも「パソコンはもってない」「紙の方が良い」というステークホルダーがいると、「両方出すのは大変だから旧来通りで」となってしまうのかもしれない。

学術誌・学会誌


売り上げよりも読まれることが大事なものといえば、学術論文がある。投稿誌の場合、原稿料をもらうどころか掲載料を支払って載せている。さらに「その論文を読みたい」という要望が来たときのために、リプリント(別刷あるいは抜刷ともいう)を用意しておき、無償で渡すのが慣習(全費用は著者が負担する)。従来は投稿料だけで雑誌を維持しようとすると大変な金額になってしまうので、読者にも応分の負担をしてもらっていたが、電子化によって製作費が軽減されれば、無断複製によって売り上げが落ちても影響を受けなくなる可能性がある。ここまで書いて、オンラインジャーナルの著者リプリントってどうしているのだろうか?と疑問に思って調べてみると、印刷回数に制限のかかったPDFをネットにあげて、希望者に案内して印刷させるという方式があった。そんなことしたってすぐ自炊されると思うけど。このE-printは冊子版にも対応しているのかな? つまり現物を送るのでなく、「ここで印刷して」。)

学会誌のように、あらかじめ会費として〈売り上げ〉の目処が立っていれば、それより多くの人の目に触れることは、歓迎こそすれ、忌み嫌う必要はない。非会員でも読めてしまうと会費納入の動機が薄れると思うかもしれないが、1)投稿するためには少なくとも一人は会員でなくてはならない、2)研究会で発表を聞いたり討論をしたりするのも会員が有利(非会員の参加費は一般に高く設定←非会員を排除していない点に注意)、3)支払う余裕があれば人は正規の料金を払う(いじましい節約を重ねていると良心が咎めるし節約疲れも起きやすい)。つまり、多くの人に読まれ、雑誌や学会の評価が高まることの利益は少しくらいの〈立ち読み〉による損失を上回る。多く読まれている雑誌なら広告も集まる。


商業出版は、売れないことには話にならない。読まれなくても良いから売れた方が良いと思っているのでは、というのは邪推が過ぎるかもしれないが、こんな事件があると、内容なんてどうでもいいと思ってたでしょ、と言いたくなる。

聖書の謎


ところで不思議に思うのは聖書。ホテルの客室で見かけるように書籍版は無償で配布されているのに、電子版では販売されていること。ホテルによっては聖書の代わりに「仏陀の教え」のような書籍を客室に備えているけれど、これは電子版が見当たらない。各宗派の教えの中には電子化されたものもあるようだが、ざっと見たところみな有償。なんで無料公開しないのだろう? 

以上、3つは現状でも取次に依存していないという特徴がある。その点からも電子化へのハードルは一般書よりも低い。

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2012/05/22

好ましくないと思えるリツイートの使い方

Twitterにはリツイート(RT)という機能がある。ある(他人の)ツイートを自分のフォロワーに紹介するもので、公式リツイートとも呼ばれる。

この公式RT機能を、当該ツイートへの論評に利用する人がいる。まずRTし、続けて論評(好意的/批判的/攻撃的)をツイートする。

この使い方には、誤解を招きかねない危険が潜んでいるのだが、おそらく当人は意識していないのだろう。

公式リツイートは表示されないことがある


フォロワーのタイムライン上に意図したようには表示されないばかりでなく、本当に表示されないこともある。

まず意図したようには表示されない例。タイムラインは人によって異なる。たくさんの人をフォローしていれば、たくさんのツイートが現れる。紹介したいツイートをRTしてから、論評するツイートを書いて送信するまでの間に〈割り込まれてしまう〉ことは珍しくない。時間帯によっては10以上のツイートがはさまってしまう。連続して表示されることを前提に書いたものでは意味が通じないかもしれない。

それでも表示されていれば「↓は」とか「今のRTは」で話が通じる希望は持てる。ところが公式RTは仕様的に表示されないことがある。

(だんだんややこしくなるけれど、Twitterを利用している人なら分かるだろうという点は省いて進める)

公式RTは先に別の人が先に公式RTしている場合、重ねては表示されない。
1.Aさんがあるツイートをする。
2.Bさんがそれを見て、フォロワーのDさんを念頭にRTする。
3.DさんはRTされたAさんのツイートを見る。
4.しばし時間が流れ、Dさんのタイムラインにはいろいろなツイートが流れる。
5.CさんもAさんのツイートを見てフォロワーのDさんを念頭にRTする。
6.Dさんのタイムラインには表示されない。
7.Cさんは先のRT(Aさんのツイート)を前提に自分の意見をツイートする
8.Dさんはそれを見て「???」

6.の重ねて表示はされない機能のおかげで、いわゆる人気ツイートを何度も見せられるという苦痛から逃れられる訳なのだが、それが裏目に出ている。

もしCさんがRTを読まれていることを前提にして「こういうバカもいる」と続けていたらどうなるだろうか。Dさんはまず自分のタイムラインをさかのぼってCさんのツイートを確認しようとするだろう。そして全く無関係なツイートがバカにされていると理解する。これは状況によってはとても恐いことになる。

ちなみにDさんがAさんをフォローしている場合は、そもそも最初のBさんのRTも表示されない。ただし、両者の間隔が一定時間以上開いていると表示される。もし5.のCさんによるRTが2.のだいぶ後であればDさんのタイムラインにも表示される。これはおそらく人はツイッターにずっと貼りついている訳ではないという設計思想に基づいているからだろう。

なお、Twitterアプリの中にはRTされた時刻ではなく、オリジナルがツイートされた時刻位置に表示させるという仕様のものがあるらしく、この場合は仮に表示されたとしても見落とす可能性が高いだろう(ツイッターの公式仕様と異なるのはどうかと思うが、話の順番が変わらないという利点は認められる)


(さらにユーザーの中にはRTを表示しないという設定をする者がいるけれど、これはもう意図的な使い方の問題なのでここでは触れない。)

公式RTは賛同とみなされやすい


もともとそういう意図で設定された機能のようだ。晒し上げという発想はないらしい。ちなみにFacebookでも「いいね!」ボタンはあっても「m9(^Д^)プギャー」ボタンのようなものはない(この辺は文化の違いという気もするが、YouTubeには低評価ボタンもあるので、思いつき文化論は述べないほうが賢明だろう)

そうすると批判するつもりでRTしたことが、元のツイートに賛同しているように見えてしまう。個々のツイートには〈誰がRTしたか〉は記録されるけれど、RTした後どんなツイートをしたかは本人にしか分からない。RTされる数が多ければ賛同者の多い内容とみなされるから、批判するつもりでのRTは意図に反する結果をもたらす。

オリジナルが消えればRTも消える


これもTwitterの仕様。元のツイートが削除されればRTも消える(オリジナルが残っていても「リツイートの取り消し」操作をすればフォロワーのタイムラインから消える)

これはチェーンメール的なツイートの拡散を防ぐ重要な仕様だけれど、〈RTしてから論評ツイート〉方式では論評が宙に浮いてしまう。この場合、本人(Bさん、Cさん)のホームを見ても解決しない。むしろ直近の無関係なツイート(もしくはRT)が関連付けられてしまいかねない。(ただし、この問題は本人がtwilogのようなサービスを使っていれば回避可能。)

自分のツイートの中に対象ツイートの固有URIを埋め込む方式でもこれは回避できないが、少なくとも「人のツイートに言及している」ことは明示できる。ちなみに「↓は」などでは誰に対する言及か分からない。なおツイート中のURIは自動的に圧縮されるので、文字数に対する制限となることは少ない。

まとめ


というわけで、RTしてからそれに対する論評を入力してツイートという方式はおすすめできない。

特に、批判するためには用いるべきではない。

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2011/12/24

私がほしいスキャナ

昨日、作家が自炊代行業者を提訴した件を取り上げたけれど、これについては多くの人が一言あるようだ。ただ、法律上の問題を語るのに条文すら見ていないような人もいるのは残念なこと。

その点、専門家はひと味違う。「「原則自由」な社会における自炊代行論争」は、なぜ著作権が保護されるのかにまで遡り、業者は著作権者の権利(創作にかかる投下資本を回収する機会)を損ねないから、この提訴が要求していることは過剰規制であると結論している。また読み取りデータの不法流通などに対しては、それ自体が著作権(公衆送信権など)侵害行為として取り締まれるのだから、自炊代行業を規制する理由にはならないとも。

一方、「自炊代行提訴についての雑感 --- 玉井克哉」は、自炊代行は私的使用のための複製には当たらず違法としたうえで、解禁に向けた法改正論に対しては「「自炊」と「自炊代行」とでは、社会的・経済的な影響がまったく違う」と譲らない。


実はこの二人の論者、しばしば意見を闘わせる仲のようですが、そこは専門家同士、少なくとも玉井先生はこんなツイートも。

自炊代行業の中には高邁な理想などなく、流行りの商売だからと手を出しただけのところや、新古本を手数料付き(!)で集めようと考える小賢しい業者もいて、ひょっとすると闇勢力が手を伸ばすかもと考えると、諸手を上げて「業者頑張れ」とは言いがたい。たしかに、いちいちスキャンなどせず、前のデータを使い回せば濡れ手に粟だ。そうすれば本も裁断しないで済むから、そのまま古書として販売可能。悪い奴が指をくわえてみているはずがない(振り込め詐欺などの進化を見ていると、その知恵を良い方向に使えよと言いたくなるほど、連中は利に敏く頭の回転が速い)。

過剰規制論の弁護士も、(脇が)甘いと全面擁護ではない。

これらの問題に関しては、業界が次のようなガイドラインを作り、安心して任せられる業者を推薦することで緩和できると思う。


  • 発行後一定期間を経過するまでは受け付けない

  • 依頼された本を必ずスキャンする(データ使い回しの禁止)

  • 処理した本は、裁断するしないにかかわらず透明インクなどで「スキャン済み」と押印するか、第三者の証明書付きで廃棄処分

  • データには依頼者の住所氏名、入力業者の連絡先を挿入(依頼者名は名入れサービスで「○○様蔵書」と目立つところに)

  • 処理記録の保存

  • データはディスク渡し(実在連絡先の把握)

特に「依頼した本をスキャンせず、前の依頼人のデータを使いまわし」をされると、書き込みも残したい人には大打撃となる。また版ごとの違いを研究する人にも迷惑至極。それは普通の読者には無関係と思われるかもしれないが、ずぼらな業者なら同じタイトルの別の本のデータを送ってくるくらいやりかねない。

前置きが長くなった。

住居を圧迫する書籍雑誌を電子化したいが断裁することには抵抗を感じる人はいる(本の形を保ったままの溶解処理なら平気なのかなぁ)。そういうツイートを見て思いついたのが、ヘッドマウント型のスキャナ。つまり本を読んでいくときに、一緒に読み取ってくれる機械。普通のカメラ撮影ではガラスで押さえないと歪んでしまい、画像はとても読みにくくなるが、それを解決する技術は開発が進んでいる。この研究のようにパラパラとめくったものを読みとれというのではないから、小型化も容易だろう。

読みながら気になった部分を指でなぞるなどして電子付箋をつけられれば、さらに便利。

読むそばから電子化されていくから、電子書籍で期待されている語句の説明や関連情報へのハイパーリンクも可能になる。Inbookメディアマーカーなどにも関連付けるのが容易になるだろう。こうなるとライフログ記録装置として完成するかもしれない。

未読のまま先に電子化した書籍は読まれない、なんてジンクスもこれで解決。

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2011/12/23

訴えられた〈自炊〉代行業者

書籍をスキャナで読み込んで電子書籍を〈自作〉することを〈自炊〉と呼ぶ。

  1. 書籍雑誌の置き場所が足りない
  2. しかし捨てられない(また読みたい/使うかもしれない)
  3. とっておいても探し出すのに苦労する

電子化によって、上記の悩みは解決する。原理的にはかなり前から構想されてきていたが、スキャナの性能向上とコンピュータのディスク容量増加によって容易になった。

一方、携帯情報端末での閲読が実用的になったことから、「好きな場所で好きなときに読みたい」「全部を持ち歩きたい」が現実的になってきた(音楽ではiPodによってすでに実現している)。蔵書すべてをいつでも持ち歩けるというのは極めて画期的。「無人島へ行くのに一冊だけ持っていくとしたら」という質問は意味をなさなくなる(最高の一冊を選ぶという行為には意味は残る)。

もっともプリミティブな方法は雑誌または書籍をスキャナで読み込み、画像またはPDFファイルで保存・閲覧する。

しかし書籍のコピーをとったことがあれば分かるように、きれいにスキャンするのは意外に難しい。特にのど(本を閉じている側)に影や歪みが生じやすい。また数百ページを読み込むのに、機械のそばで開いてスキャンしてページをめくってを繰り返すのは重労働。

そこで書籍を解体してページをバラバラにし、ドキュメントフィーダ(原稿送り装置)を使って読み込む方法が開発された。そうすると必要な道具は、断裁機とスキャナ。Amazonの2011年売れ行き年間ランキングを見ると、文房具・オフィス用品のトップはなんと断裁機である。

しかし数が中途半端な場合、断裁機を買うほどでもないが、かといってカッターで切り裂くのも面倒というジレンマに陥る。また書籍にはセンチメンタルバリアがあって、初めの一刀を加えるのは敷居が高い。

スキャナも、大量高速処理機を購入すれば、自炊終了後は持て余してしまう。

そんな需要を見込んで登場したのが代行業。本を送りつけるとデータ化してディスクに入れて送り返してくれる(断裁した本の扱いは業者によって異なり、返却するところと返却せずに処分するところがある模様)。1冊100円程度なので、百冊の単位(個人蔵書としては並)であれば数万円で電子化できる。最大のメリットは書棚の整理効果。特に「どこにあるのかわからない」状態に陥っていた場合は顕著。


この自炊代行業者の登場は、最初は話題になったが、いつの間にか雨後のタケノコ、報道によればすでに約100社あるという。

その代行業者が作家から訴えられた。「私の本をスキャンするな」と。

法律の条文を見る限りでは作家側に理がある。書籍の多くは著作物である。著作物を複製するには原則として著作権者の許可がいる。著作権法ではいくつか例外を設けており、自炊行為そのものは私的使用のための複製(第三十条)として認められるものの、これは「その使用する者が複製することができる」という限定があるので、業者による複製行為(スキャン)は該当しない。


なお、以前考察したように、企業など法人においては私的使用のための複製は認められない。しかし「だから違法です」で終わらせるのは頭が悪すぎる。需要はあるのだから、法律を改正してでも、著作権者の権利を擁護しつつ合法化の道を探るべき。例に挙げた新聞の切り抜きは、別途料金を払うことで合法的に社内回覧が可能になる(たとえば朝日新聞の「企業・団体・官公庁などでの新聞記事の内部利用について」参照)。

電子化するために原本が断裁されているから複製ではないという意見もあるが、問題となっているのは中身であって本という物体ではないから無理がある。仮に読み込んだ本を破棄すれば、複製ではなくて移動という主張もなされるかもしれないが、おそらく法的には通用しない。なにしろ「コンピュータに表示させたら、その時点でメモリの中に複製されている」なんて議論がある世界なのだから。

だが疑問もある。

まず問題になるであろうと思わえるのが訴えの利益。前述したように、個人が自分で自分が買った本を解体して電子化することは法的に問題ない。書籍は正当に購入されており、著者には応分の利益が保証されている。たまたまスキャンするのが読む本人ではなく業者ということで、いったいどういう不利益が作家側に生じるだろうか。

代理人もそこは考えたようで、訴えは差し止めに絞ってある。賠償を求めるためには損害を証明しなければならないからだ。

しかし、である。本人には認められている行為を、業者が代行することでどんな不利益が生じるであろうか。これは「みんなやってる」という子供の言い訳とは話が違う。著作権法が私的複製に、家庭内かそれに準じる範囲とか本人が複製するとか公衆用の自動複製機器は使えないとか制限を設けているのは、借りてきて手軽に複製する行為が蔓延したら売上にも影響すると考えたからだろう。繰り返すが、自炊の対象はすでに購入されている。逆立ちしても売上に影響をおよぼすことはない。

売上への影響を懸念するなら、ブックオフなどの古書店の方がよほど影響がある。しかしそんなことを言い出したら、個人蔵書の学校への寄贈とかまで問題になってしまうではないか。それは文化の発展に寄与することを目的とする著作権法(の精神)に反する議論だと言いたい。


ある古本屋が最寄り駅に出した広告は「活かせ古本! 広がる文化!!」だった。子供には「かせ」が読めなくてねぇ。

2番目の疑問は、実は自炊そのものが嫌いなんでしょ?という点。法律的に自炊そのものを問題にできないので、形式的な違反を突いてきた。そういう、浅ましいというか心卑しいというか、なんとも言えない不快感を覚える。


ついでにいえば、私的利用のための複製は「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器」を使ってはいけないのだ。つまりコンビニのコピー機で本や雑誌をコピーする行為は本来保護されない。ただし現在は著作権法附則第五条の二により経過措置が設けられている。法律というのは実状に合わせる必要もあるのだ。コンピュータに取り込んで利用するという発想のなかった時代の規定なのだから、現代的に「自己の所有物は自由」とか「原本を破棄する場合は自由」と条文を改めても良いと思う。なお、昔買ったCDをリッピングしてからリサイクルショップに売るのは自由(仮に問題があったとしても取り締まりは困難)という点も忘れないでほしい。

会見を報じた記事では自炊行為そのものへの嫌悪感も表明されている。

会見場に置かれた裁断済み書籍について、林さんは裁断された書籍について「本という物の尊厳がこんなに傷つけられることはとんでもないことだ」、武論尊さんは「作家から見ると裁断本を見るのは本当につらい。もっと本を愛してください」と話した。

「林さん」というのは林真理子。「ところがこういう業者がハイエナのようにやってきて不法なことをやっている」と感情的。こういう喧嘩腰の物言いは「(再販制度のために年間1億冊が裁断されていることに目をつむった)あさましいポジショントーク」という反応を呼び起こす。

また電子化したファイルがネット上で流通するおそれも指摘し、「依頼者が電子ファイルをどのように使うのか、業者はそれを確認する措置をとっていない」ことも問題視している。

これも代行業者とは無関係。個人が断裁機とスキャナを用意して、ブックオフから二束三文で書い集めて電子化して公開する方がダメージは大きいと思うが、それは代行業を提訴しても防げない。分かってるのだろうか。

断裁された書籍がオークションで売られているなど、作家側がカリカリするのにも理由はある。100円程度でそれらを購入し、家庭用スキャナで読み取ってから再度オークションに掛けられでもしたら新刊の実売に影響が出るかも、と考えるのは分かる。

しかし、いかにも取って付けた理由という感じがする。規制を要求するならオークション事業者が相手ではないだろうか。

それに、電子化して手元に置きたいと思うのは、あえていえば愛読者だ。一読したら(あるいは読みかけで)電子化もせず、したがって断裁もしないが、そのままブックオフへ売ってくれる方がありがたいのだろうか?(電子書籍化によっていわゆる絶版がなくなれば、古書店は歴史的使命を終えたと言えるだろう)

自炊というのはやってみると分かるが、手間はかかるし、出来栄えはいまいち(斜めになる/ゴミが写る/モアレが出る)だし、あくまで正規の電子版が出るまでのつなぎという感じ。それなのに、自炊の技術ばかりが進化していくというのはいびつというほかない。つまりなんで正規の電子版は手に入らないのか。

法律の条文だけ見れば原告に理はあるが、とても不幸な形式主義の発露に見えてならない。

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2011/09/20

ちょっと変わった?適職診断

ある人のツイートで知った自衛官適職診断を覗いてみた。

いくつかの質問に答えると「あなたに合った仕事はこれ」と表示されるという、これ自体はありふれたものなのだが...

全体はアニメーション仕立てで、受診者は基地内を進みながら隊員からの説明を聞いたうえで質問に答えていく。

初めは「幕僚監部Stage」で4つの3択質問を受ける。その後、陸海空の各自衛隊Stageに進むのだが、この振り分けが回答に応じているのか、それともランダムなのかは分からない(複数回試してみると、この幕僚監部Stageの質問自体が毎回変わるので、同じ回答をして結果が変わるかを確かめるのが難しい)。

次に4つの質問(計8問)に答えると「こんな職種で活躍できそう!」とその自衛隊での職種を3つ示してくれる(他に「こんな職種もおすすめです」と他の自衛隊の職種も2つ示される)。ちなみに職種は陸上自衛隊と海上自衛隊が各16、航空自衛隊が15ある。

面白いのは、回答に対して毎回コメントが返ってくること。しかも試した限りすべて肯定的なコメントであった。たとえば自分は誉められて育つタイプだ(=厳しい訓練は向いてない)と答えても「自衛隊はミッションが明確だから達成感もあるし、評価もされる」から向いているよ、と。(応募者を逃さないための苦肉の策ともいえるが、ミッションが不明確な日本の民間会社への皮肉に聞こえなくもない。いや、自衛隊自身への反語的批判か?)

ちなみに「厳しい環境で育つタイプ」と答えると「厳しい状況に直面することは多々あるだろう。」という宣告が。(汗

もっともただおだてるだけではない。
「電子機器の高度な知識を求められる職種もあるが、経験豊富な教官や先輩が丁寧に教えてくれるので、仕事は必ず覚えられるはずだよ。」という説明に対して、「自分にもできそうだ」と回答すると、なんと「ははは、素直に信じる姿勢はいいな。」と返ってくる。背中に冷たいものが流れたぞ(ちなみに「安心できない。相当勉強が必要だろう」と回答すると「ははは、用心深いな。」とくる...続けて「己を過信しないのは良いことだ。でも本当にちゃんと教えてくれるよ?」...なんで最後に疑問符をつけるw)。

また分析的に、こういう性格、こういう仕事が向いていそうというコメントもあるが、決して断定はしない。最後の職種提示にしても「活躍できそう」。性格分析に続けて「仕事となると、また変わってくるかもしれないね。」も何回か目にした。

診断メーカーのような電子ルーレットではなく、人事評価の蓄積とその分析の反映のように思えた。

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2011/03/13

リツイートの作法

11日の地震が収まってさほど時間の立たない頃、救出を求めるツイートがリツイート(RT)されてきた。

地震が起きた時、社内サーバールームにいたのだが、ラックが倒壊した。腹部を潰され、血が流れている。痛い、誰か助けてくれ。ドアが変形し、安定した情報が流れるまでは誰も動いてはならない旨が館内放送で流れている。それでは遅すぎる。腕しか動かない、呼吸ができない。助けを呼ぶことができない。

これは大変だと思った。だが救急へ通報しようにも所在地が分からない。そこでプロフィールを見ると東京の人だと判明。同時にすでに救急出動要請がされているなど事態が変わっているかもしれないと前後のツイートを見ると...なんか異様。

落ち着いて文面を読み直すと、まるで下手な小説のようだ。救出を求めるリアリティが感じられない。普通なら「助けて」「私は××(名前)」「会社は××(名称・連絡先)」という情報を盛り込むし、文章ではなくて電報文のようになるだろう。

しかし「もし本当に瀕死の重傷を負った人だったら?」と思うと安易にデマ判定はできない。結局リツイートしてきた人に返信はせず、いたずらではないかという疑念を表明してから精査に移る。

まずプロフィールに書かれている住所。Google で調べると実在する。しかしストリートビューで確認するとサーバルームがあるような建物には見えない。これでは救急出動を要請しようにも、どこへ行ってくれと指示できないではないか。というわけで打ち切り宣言

ところがひょんなことから急展開。別アカウントで冗談だったと明かしているという情報が。調べてみると確かにそのようなツイートが。

だから RT 嫌いなんだよ。お前等どんだけ連鎖させてんの。馬鹿だなー。

プロフィールと見ると同じ住所が〈場所〉に書かれている。速攻で作ったなりすましアカウント、という可能性には考え及ばず同一人物判定。

お前、自分のやったことが分かってるのかと憤慨しつつも、リツイートの履歴(本人宛メンション)を見ると「もう少し考えて行動しろよ」と言いたくなった。

種が明かされてみると、見えなかったことが見えてくる。たとえば最初に見た端末では無理なのだが、端末を変えると件のツイートはウェブから投稿されていることが分かる。倒れたラックの下敷きになってパソコンを操作できるか? たまたまノートパソコンが手元にあって操作できるならメールが使えるではないか。それをいうなら携帯電話を持っているならツイートではなくで通話が先だ。会社の番号ならアドレス帳に入れているもの。あんな長文を打てるなら電話をかけられないはずがない。119なら目をつぶっていても発信できる。

いっそのこと「両腕が潰された」とか「血が目に入って何も見えない」「傷口から心臓が見ている」とか書いておけば「嘘に決まってんだろ」という弁解も成り立ったかもしれない。それでも反論する猛者はいるだろうが。

そうなのだ。こいつがいい歳して子供みたいなイタズラをして度がすぎるというのは当然なのだが、軽率にもリツイートして、後から死んじまえなどと罵っている人たちにも問題があると思っている。

要するにチェーンツイートなのだ。今回は「拡散希望」と本人は書いていない(書いていたらやはり「ネタと分かるでしょ」論を補強)。フォロワーの誰かが真に受けてリツイートし、本人を知らない〈孫フォロワー〉が拡散させてしまったのだろう。どうも本人の意識ではネタ専用(ウソばかりツイート)アカウントで、真に受けられるとは思っていなかった節がある(糸柳のデマツイートまとめ参照)。そうすると誰が最初に持ち出した(元ツイートのアカウント属性を知らない人達の間に広めた)のか。

それはともかく、その後の動きは「Rhマイナスの血液が不足して」とか「ペットショップが倒産して子犬が」とかと同じ展開。すなわち〈自分では直接助けられない人たち〉が〈善意から〉次々とリツイート。

この「血液が不足」はチェーンメールでも有名で、前世紀からいくども流れている。ある時は中に書かれていた病院に問い合わせが殺到し、業務に支障をきたす事態も起きている。

「ペットショップが」の2010年版では連絡先として書かれた実在のペットショップ(無関係)に電話が来て「犬殺しのブリーダー」などと罵倒される事態に。悪いのは早とちりして電話をし、憂さ晴らしなのかなんなのか話も聞かずに怒る人たちですが、広めた人たちにも責任があります。

あ、これについては以前も書いている。

ボタン一つで実行できるリツイートはチェーンメールと親和性が高い。公式リツイートであれば元を削除すると自動的に消えるらしいが、非公式リツイートはいつまでも残りうる。で、2年前に終わった手術用の血液を求めるツイートが【緊急】とか【拡散希望】というタグ付きで広まる次第。

リツイートではなく返信でも、2時間前に質問が出て、1時間前には解答が集まっている問題にドヤ顔で回答して恥ずかしく思ったようなことが何度かある。リツイートや返信には注意が必要。

リツイートと返信の注意



  • リツイートは公式リツイートを原則とする(twjからのお願い

  • 非公式リツイートの公式リツイートは避ける(元の発信日時が分からなくなる)

  • コメントを付ける場合も、先に公式リツイートしておいた方が良い

  • コメント付きリツイートあるいは返信をする前に、後のツイートを確認する(解決済み問題に回答したり、修正済みの誤りの指摘をしたりするのを避けるため)

  • 知人以外の場合はプロフィールや直近のツイートを確認する(botやネタ専用アカウントのことがあるし、リツイートされるのを嫌う人も実在する)

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2011/02/15

(電子)書籍がタダになる可能性

先に、電子書籍になって書籍が安くなると言っても、せいぜい半分だろうというエントリーを書いた。本体価格1000円の本を例に、まず印税が100円(10%)かかり、仮に制作作業をすべて作家本人がやったとしても(この場合、作家の取り分は実質減少する)、さらに配信や決済の費用が必要だから当面は半額という推定。すると「1/10になる」と主張していた方からメールが来た。私信なので無断公表ははばかられるが、ご都合主義的にねじ曲げたと思われないために、あえて原文を示すと次のとおり。

作家の村上龍が起業した電子書籍会社では、著者の取り分は40%だそうです。取り分の四割が100円だとすると、電子書籍の定価は250円ということになります。

1000円の本を例に出した議論へのコメントだから、紙版なら1000円と考えてよいだろう。現行の印税10%とも平仄が合う。250円は、小学生でも分かるように1000円の1/4。事実上1/10説の撤回か。「いや、それでも細川の言う半分よりは安くなる」と言いたいのかも知れないが、先に1/10を唱えたのはそちら。数値を出したらそこが標的になるって、30mの大浪事件で痛い目にあったはずなのに、もうお忘れか。この先、それで痛い目に会うことはないだろうが、閻魔様の前で「私が犯した罪は三つです」なんて言い切って「本当か」と閻魔様が浄玻璃鏡を持ち出したら舌抜かれますよ。

ちなみに村上龍が相手にするのは、そこそこ売れる作家だろう。部数が出れば単価を抑えてもペイできる。前回も指摘したように最終的に問題になるのは金額であって%ではない。利益率100%でも年商100万円では会社は立ち行かない。

また「結論」と「補足」で分析したように、本によっては相当安くなることも考えられる。

ただ、そのときは触れなかった価格決定要因が2つある。一つは広告(書籍の民放化)。もうひとつはフリーミアム方式。

現状でも雑誌の価格は広告費によってかなり安くなっている。なかにはフリーペーパー(フリーマガジン)なんてものもある。書籍には自社広告以外載せられないという慣行(?)が電子書籍に持ち込まれなければ、製作費をカバーするくらい可能になるかもしれない。実際、ある技術書で「広告ではない、参考資料である」という理屈でメーカーから製品情報を寄せていただいたことがある。

電子書籍に載せた広告は、購入行動に移るまでの障壁が低いので、紙に載せるより強気に価格設定可能。しかも電子書籍端末がオンラインであれば随時差し替えることまでできる。また効果測定ができるので、基本料金+実績、つまり電子書籍一冊一冊がアフィリエイトサイトになることも考えられる。これは決済情報とひもづけるとプライバシー侵害になりかねないが、逆に一部の消費行動のプライバシーを買い取る(値引販売)ことで、書籍購入者ごとに異なる広告を載せて広告商品の購入率向上を図ることができるようになるかもしれない。版元ではなく書店(取次)が広告を管理するわけだ。(書店のレジで本と一緒に広告を袋に入れるのと同じ) 版元には広告費としては入らなくても、卸値を上げる形で還元可能(本の中に広告を入れるには版元の協力が必要)。

フリーミアムにはいろいろな形態がありえる。第一章だけあるいはダイジェスト版や機能制限版を無料または安価で頒布し、全部を読むには正規料金を取る方法。本体は無料で質問権を有償にする方法(参考書など)。ダウンロード後一定期間で読めなくなり、再度読むにはキー購入が必要になる方法。フリーミアムとはちょっと違うが、読んで価値があると思った方からお代をいただく投げ銭方式もある。宗教書は無料で配って献金を受け付ければ、非課税収益になる、なんて邪なことを考えてはいけません。(理由は忘れたけれど、値段をつけないと流通上?不利益があり、1円とか10円とかの値付けをするものがあったけれど、あれはなんだったか。)

画像データをPDFにして印刷不可にしたものはもっとも簡単な機能制限版。

これらを導入すれば普通に印税を払って、特に手抜きをしない電子書籍も非常に安く、ひょっとすると無料で頒布されるようになるかもしれない。

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2010/12/31

iPadの利用シーン妄想

秋の終わりにこんなことを考えていた。(電子出版≠電子書籍参照)

もしかすると誰かの役に立つかもしれないと考えて公表。


iPadの利用シーン

ホテル客室のテレビ代わり
iPadを客へ貸し出す。
地デジ対応の買い替え費用に苦しんでいるホテルにすればテレビより安いiPadの方が導入しやすい。

ホテル設備や観光の案内端末にもなる。紹介した観光施設や商店からは紹介料を取ることができる。

提供できる製品例としては、コンシェルジュアプリ(設備案内、サービスオーダーシステム、観光案内)


美術館でのガイド
観覧客へ貸し出す。持ち込みにも対応。DSで前例がある。

人気の作品は前に人だかりがして、なかなか見ることができない。待つ間にiPadで解説や見所を確認する。古い絵画では作品の損傷を恐れて照明を落としているが、端末上で「作者が見たのと同じ」状態を確認できる。

提供できる製品例としてはガイドアプリ(作品解説(音声)、作品データ提供、館内案内)

観光ガイド
観光客へ貸し出す。持ち込みにも対応。

ユビキタス観光ガイドの端末として、また地図端末としても。

提供できる製品としては地図アプリ、案内アプリ(名所、食事、土産、交通:オフィシャルとスポンサー提供と)

展示会ガイド
参加者へ貸し出し。持ち込みにも対応。

ブースごとのアンケート回答に利用すると、入力が楽な上に集計もリアルタイムに進められる。持ち込みiPadの場合はカタログのダウンロードも。

提供できる製品例としてはブースごとの案内/アンケート/抽選/タイムテーブル/ルート表示アプリ

学会
参加者へ貸し出し。持ち込みにも対応。

ポスターの代わりに参加者がiPadを見ながら発表を聞く(もっとも発表者の手元にも何かないとやりづらい)。

提供できる製品例としてはルート表示アプリ(あらかじめ聞きたい発表を選んでおくと「次はどこへ行く」を指示する)、ツイッターアプリ(「いま面白いセッションはどこ?」の情報収集など)

児童用情報端末
家庭または学校で使用する。母艦であるコンピュータを介したネット接続にすることで、一括フィルタリングを実施できる。

PCよりは汚れなどに強いという印象がある。

提供できる製品例としては学校用は教育アプリ。家庭用は「?」

課題

貸出端末の場合は持ち逃げ防止が重要。ホテルでは身元確認で対応できるが、その他の場合、転売可能な状態なら500円くらいのデポジットでは抑止になりにくい。「よそでは使えない」か「常に位置情報を発信」で。手軽な方法としては小っ恥ずかしいくらいのカラーリングとか名前の刻印

よそでは使えなくする方策としては、シンクライアント化。これによって管理も楽になる。学校で使用する場合、卒業時に記念で渡してしまうのでなければ、年度末にストレージをきれいにする作業が必要になるが、シンクライアントなら端末側での作業は不要になる(現状でも端末側に削除機能はないが、1台ずつiTunesに接続して同期...は数が多いと大変)。

また展示会で貸し出すとなると、大規模なものでは数千台が必要になるので、シンクライアント化でいくらかでも価格を下げられれば障壁は低くなる。

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2010/12/22

電子書籍になっても本の価格は現状の1/10にはならないだろう

電子書籍が普及すれば、本の価格は現状の1/10になると主張する人がいた。

果たしてそうだろうか?

本の価格の内訳はおよそ次のようになっている。仮に1000円(税抜)の本があるとすると

発行元 700円
取次  100円
書店  200円

発行元の取り分のうちから著者におよそ100円が支払われる(印税・原稿料)。取り分600円のうちから印刷製本関係費用、デザイン費用、広告宣伝費、人件費等を除いた残りが発行元の利益となる。

ポイント
発行元は利益を上げなければ存続できない。カツカツの経営では、新人を育成できない。新人とは書き手だけではない。1代限りで潰す個人経営ならいざしらず、会社であれば社員も育成しなければならない。

人件費の対象は編集者だけでなく、営業や総務経理なども含まれ、またその内訳には給与だけでなく社会保険料の会社負担分や賞与、退職金も含まれる。

一般的な慣習として、著者の取り分は本体価格の10%である。したがって、製作流通がタダ働きをしない限り、価格を1/10にすることは不可能であることが分かる。(初刷部数の印税一括払いがなくなれば−−なにしろ初刷部数というものがなくなる−−もっと高率を要求される可能性もある)

ところが、「電子書籍であれば、製作費は劇的に安くなる」と譲らない。

では、製作流通にどれだけかかるであろうか?

製作流通販売にかかる費用


電子書籍になっても書店と取次は必要である。アマゾンやappストアは「書店機能を持った取次」であり、アフィリエイターが小売書店に相当する。現状のアマゾンアフィリエイト(紙の書籍)では最大8%が支払われている。無店舗であることや精算業務までアマゾンが引き受けていることを考えれば書店より低いのは合理的。

発行元からすれば、取次を介する以上は、書店(アフィリエイター)にいくら渡るかはあまり関係がない(直販を進める場合は重要)。で、その取次(アマゾンなど)がいくら取るかというと30-65%(=発行元に35-70%)。ただし、これは競合が現れた場合は「体力勝負の焦土戦」で下落する(『電子書籍の衝撃』第2章参照)が、独占なり寡占なりで安定した場合、再び高くなるであろう。さすがに8割9割となれば独占禁止法(優越的地位の濫用)が介入してくるであろうが。

取次が何%取るのが妥当かを論じる前に、製造原価の削減について考えたい。

製作費用

製版・印刷・製本の費用は不要になる。製版代は刷り部数に無関係なため、少部数の本では大きな割合を占めていた。これが無くなっても発行部数が多いものはあまり影響を受けないが、専門書では大きな減額要因になる。

運送代と倉庫代は通信費とストレージ費用に置き換わる。これは規模の効果によりたぶんかなり安くなる。

電子書籍の「装丁」がどうなるかは興味深い。表紙に相当するアイコンやオープニング画面は本の印象に強く影響するから、これはプロのデザイナーに任せた方が有利。この単価はどこまで下がるであろうか。

フォントサイズは読者が変えられるから決める必要はないとしても、フォントの種類は発行元で決めなければならない。ナールと角ゴチでは印象がまるで違うからだ(まして勘亭流においておや)。読者が違う印象で読むのは自由だとしても、デフォルトは著者が希望する印象をあたえる書体にする必要がある。この選定もブックデザイナーの仕事。依頼する手間を惜しんだ、MS明朝でいいよ、が一時的には流行るかもしれないが、長くは続くまい。(メジャーな読書端末が携帯電話になった場合はどうなるか分からないが)

ちなみに先日 auが発表したbiblio Leaf SP02は、「行頭に句点」「フォントに漱石感ないし」「字間行間もセンスなさすぎ」と散々な評判だった。大手企業の広報のプロでさえブックデザインには気が回らないという好例(現在の広報資料では明朝体になり、1行の文字数が変更されて行頭の句点は無くなっている)。そういう電子書籍ばかりで低位安定化する可能性もなくはないが、やはり「かっこいい」書籍の需要はあるだろう。

また実質プレーンテキストなら問題にならないが、絵であるとか図であるとかを挿入するならば、それを綺麗に描く人が必要になる。写真などを借りてくるなら、著作権処理業務も必要。とはいえ、ICTの力を借りて今までよりは安くはなるだろう。

営業と編集

次に人件費を概観してみよう。

電子書籍になれば「営業」の形態が大きく変わることは想像に難くない。だが、著者や編集者が片手間でできるものとも思えない。

一例をあげてみよう。電子書籍は電子書店でどのように売られるだろうか? 客は著者や書名を指定してくるとは限らない。「なにか面白い本はないか」と探しに来ることもある。書店のトップ画面、あるいはカテゴリ別のトップ画面に紹介してもらえるかどうかは売上に大きく関わってくる。これはリアルの書店と同じこと。むしろ棚の争奪戦よりも厳しさは増すであろう。一画面に収められる点数は平積みできる点数よりたぶん少ない(まして携帯電話でアクセスされた暁には)。一時的に良いポジションを得られても、後から来る新刊にいつ奪われるか油断はならない。「書店営業」は手を抜けない。

次に編集の人件費。これが結構難しい。すでに書いたように、従来の「出版社」は解体しても編集者は残るというのが私の考え。千歩譲っても、諸々の雑用を抱え込んだ著者よりは、執筆に専念できる著者の方が良いものを書くだろうということは容易に想像できる。

(それと第三者が目を通さない原稿の多くは外に出せる品質ではなく、まして金を取るなど論外。個人ブログの惨状を見よ。企業のウェブでさえ「担当者は読んでないのか」というような例が割と簡単に見つかる。)

営業と編集の人件費は外せない。それがいくらになるかというと、刊行点数にもよるので一概には言い切れないし、売れ行きの予想とも関係してくるが、とりあえず著者と同じ100円を当てておこう。

取次は何%までとれるか


素朴な人は、売上から経費を引いて利益を求める。だが営利企業は逆で、まず利益を決める。そこから売上と経費を導きだし、個々の価格を決定する。

「これくらいしかかからないから、これくらいで売る」というのは素人の発想。(営利を目的としないなら正しい決め方ではある)

なお、企業の目標は最大の利益を上げること。つまり儲けられるところではとことん儲けようとする。その貪欲さがないと営利企業は市場からの退場を迫られる。1000円でも売れるとわかれば、原価が10円でも1000円の値付けをするのが営利企業。そこで利益を得ておくと、後発の競合が現れたときに体力勝負(値下げ競争)で退ける戦術をとることができる。また体力があれば、競合に対してより優位性を保てる製品を開発することが可能で−−書籍でいえば原稿料を弾んで著者の意欲をかきたてるとか、取材費を潤沢に提供するとか、ベテラン編集者に担当させるとか−−それは消費者(読者)の利益にも叶う。ま、半分は建前だけれど、こう擁護しないと「企業が儲けるのはケシカラン」と変な人が涌いて出かねないので。

また、率よりも金額のほうが大事ということも指摘しておきたい。薄利は多売によって支えられる。

販売数が劇的に増えない限りは、従来の300円が妥当な線という合意に至るであろう。「いや、モノを動かすより楽になるのだから、もっと下げられる」という意見も出ようが、浮いた費用が100%読者に還元されると考えるのは甘すぎよう。

結論


電子書籍は、紙の書籍の半分程度の価格で提供することは十分に可能と考えられる。
とくに専門書のように少部数発行の書籍では「ものすごく高い本」が「少し高い本」になるくらいは期待できる。

しかし実際につく価格は、売れ行きの予想に依存する。たとえば中高生相手なら価格を抑えて部数を狙うが、経営者相手のものであれば、比較的強気に設定する。

安定して売れる「金のなる木」の出版権を押さえていれば、気持ち安くして普及を図ることはあっても、価格破壊的な値付けはしないであろう(出版権とは、出版社が持つ権利で、他社からの出版を差し止められる)。もっとも、先行き何が起こるのか分からないのが現実というやつだが。

BOP(base of the pyramid)の時代だから、全体的には安めになるであろうが、価格に「ありがたみ」を織り込んだ本はそうは下がるまい。

政治家が、中身の薄い本を立派に装丁して高額販売するのは脱法的政治献金と批判されるだろうが、難民の子が描いた絵を1点500円で販売して援助資金に当てるのは悪くない発想だ。これを電子版で進めれば効率が良い。こう書くとまた「それは本ではない」と原理主義者が異議を唱えるかもしれないが、あなたに正統な書籍を定義する権限はなく、よしんばあったとしても、現状でさえ書店に並んでいるものは90%がそれから外れるのだから、電子書籍にだけそんな理想を求めても意味はない。よって却下。

また再販指定されないため、時期によって、また「書店」ごとに売価が変わることが考えられる。基本的には売れ行き芳しくないものが値下げする方向だろうが、改訂を機に値上げするような強気の対応もありえるだろう。

いちばん安くなるのは自費出版物であろうか。

補足


コンピュータ用ソフトに比べiPhoneアプリは105円など極端に安価に提供されている。「だから電子書籍も」という声が聞こえてきそうだ。この原因はいくつか考えられる。

(1)少額決済が容易になった
(2)単機能製品である
(3)開発環境の違い(?)
(4)移植物は開発費の回収が終わっている
(5)競合が多い

これらが電子書籍に当てはまるだろうか。
(1)少額決済は電子書籍にも当てはまる。セミプロが出すものや、内容の普及を目的としたものは低価格が進むであろう。
(2)単機能に相当するのは小品である。ブックレットは低価格化が期待できる。紙の書籍は造本や配架の都合で、一定の大きさを必要とされたが、電子書籍では歌一首からでも販売は理論的に可能だ。
(3)書籍の製作環境がコンピューティングによって大きく変わり、コストカットが進めば低価格化が期待できる。しかし過渡期にはワープロで完全原稿を提出できる著者とそうでない著者(極端な例では原稿用紙に手書き)とで価格に差が出る可能性がある。
(4)既刊本の電子化は比較的低コストで行える。著作権の切れたものは原稿料さえ必要ない。逆に書き下ろしの新刊にはこの効果は期待できない。
(5)競合の問題は微妙。本来はすべてオリジナルなものであるはずだが、実際には書店の棚を見れば分かるように、似たような本は多い。これらは価格も同じような範囲に収まるだろう。一方で固定ファンがいるような著者が出版社へロイヤリティを示した場合には高止まりする可能性もある。

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2010/11/22

電子出版≠電子書籍

3団体合同「iPad利活用研究会」の末席に連なってiPadの活用事例を聞いてきた。配布資料からは割愛されて、スライドだけでの説明だったので社名は出さないほうが良いだろう。驚いたのはサイネージとしての利用。マス配布はしないのだ。

電子書籍に対する個人的期待はすでに述べた。だが出版≠書籍なのだ。それは雑誌もあるというのとは違う。電子出版は1部(?)発行もありだということ。

ダイレクトメールの名前を差し込み印刷にするのは古典的だが、コンテンツをコンピュータ管理すれば、内容も個人に合わせてカスタマイズできる。電子書籍の特徴に挙げられるアンビエントの「あなただけ」が、文字通り「世界に一つ、あなただけのコンテンツ」になりうることにゾクッとした。

また考えて見れば「生きている図書館」も現実にあるのだ。リメイク版「タイムマシン」に登場するVR司書(?)のように、キャラクターとの会話で情報を得る「図書」は考えられる。画面に映る文字を読むことに限定する必要はない。


「それが出版か?」という意見はあるだろう。だがそんなことを言い出せば、いま店舗に並んでいる書籍でさえ多くは「読書の対象ではない、ただの見るカタログ」という批判を免れないではないか。

バーチャル司書(クラウド展開すればどの端末からも呼び出せる)に自然文で質問をすれば、関連図書(資料)を持ってきてレクチャーしてくれる。もちろんレベルや重点は質問者に合わせてある。こうなるともう秘書というか執事というかコンシェルジェというか。もっともこいつ、外から金を貰って、特定商品をお薦めするようなこともするから油断がならない。十分な給与を払ってロイヤルティを高めるか、利害相反にならない限りで小遣い稼ぎを認めるか、これはユーザーが選ぶようになるだろう。

研究会に話を戻すと、今のところハードウェアとセットでの提供が多いようだ(個人のiPad所有はまだ少ない)。だがいずれ、個人の持つ端末へのプッシュ配信も現実的になるだろう。そこで問題になるのはAndroid端末。NetscapeNavigator2とかInternet Explorer3なんてのから知っていると、ブラウザで見え方が違うのは当たり前だが、出版就中デザインの人にこれは受け入れてもらえない。そうすると機種ごとにピクセル単位の調整なんて地獄の作業が発生しかねない。しかし、だれにでも同じ大きさの字で見せるって、作り手の自己満足ではないだろうか。アクセシビリティの精神に反していると思う。縦読みを仕込むとか、特別なことをするのでなければ「細かいことは気にしない」で行きたいものだ。

余談になるが、無料なので医学界新聞のiPadアプリを落としてみた。紙面そのままのレイアウトよりはテキスト中心レイアウトのほうが断然読みやすかった。

組版に情熱を傾けている方がいることは知っているが、高度になりすぎて文化財クラス=実用性喪失になっていないだろうか。実用性の中に費用対効果も含めると、過剰品質は害になる。いずれ電子出版も爛熟期を迎えれば、凝った組版も日の目をみるかもしれない。その日まで伝統芸能として静かに保護されていてください。

閑話休題。iPadのようなタブレット活用もB2B(対事業者)とB2C(対消費者)の2通りがある。ハードの普及状況を考えるとまずB2Bだろう。そういえば第2回の後で活用シーンの妄想をまとめたはずだ。探してみよう。

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2010/11/04

電報あるいはエスニックレストラン風ツイッター術

ツイッターでは1回に送信できるのは140文字までである。「あいう」も「abc」も等しく3文字と数えられるので、Twitter(7文字)ではなくてツイッター(5文字)と書く、さらに句読点の省略や漢字の多用などユーザーは苦心を重ねている。

それでもユーザー名を指定したり、URIをつけたり、引用をしたりすればそれだけ自由に使える文字数が減る。

勢い省略や短縮が幅を利かすわけだが、これが思わぬ誤解を生むことがある。

ツイッターでは向かうところ敵なしの芦田宏直先生は「アホか」「ネット売春婦」などと端的なツイートをされるため、感情的な反発をしばしば受けている。しかしご本人は改めるつもりはないらしい。

「アホ」ではないとしたら、「バカなことを言ってはいけません」かな。これだと人格攻撃臭がないので、いつもはこれなのですが、140文字ではつらい(笑)。

このツイートを見て思いついた。よく使う定型文に番号を振っておき、それを提示すれば十分な説明ができるではないか。

ちょうど電報文を例文から選ぶあるいは中華料理店のように読めない料理名の代わりにメニューの番号で注文するのと同じ。

こんな感じに。
1:バカなことを言ってはいけません
2:素直さと拒絶が極端な仕方で同居していて、勉強できなくなっている
3:大学教員ならもう少し考えなければいけません
4:これを読みなさい→http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100721/237707/
5 :天才とは、自己を意識せずに対象に没頭できる人。アホほど、「私は…と思います」なんて言いつづける。

10:男との距離の取り方や私生活との距離の取り方が抜群だね。まるで売春婦みたい。
11:学生のくせに一度も勉強したことないのよ。慶大生売春婦みたいになってる。もっと勉強しないと。

ツイッターのプロフィールに定型文を載せきるのが難しければ、自分のウェブページに載せておき、プロフィールに「番号についてはhttp://www.ashida.info/blog/* を参照」としておけば済む。


ご本人にも骨子をリツイートしておいたが、さてどうなるか。w

ちなみに「21」とは、記憶に誤りがなければ、この中華料理メニュー風議論を紹介したナイジェル・コールダーが例示した番号。なにか気の利いた落ちがあったはずだが...

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2010/10/22

某官公庁の底抜けセキュリティ

某官公庁の庁舎に入っている外郭団体の話である。職員一人に一台のノートパソコンが支給されていた。だがノートパソコンというのは持ち運びが実に容易である。というかそのために作られたパソコンだ。庁舎全体にセキュリティシステムがあるとはいえ、業務上個人情報を扱うためだろう、セキュリティワイヤとケンジントンロックも支給された。

ところがだ。デスクが肝心のワイヤを結びつける構造になっていなかった。で、以下のような素敵な処理が行われた。写真は私が使っていたデスクだが、全員これと同じことをやっていた。

机を持ち上げたら容易に外せるセキュリティワイヤ
情報セキュアドを持つ身としては「これでは無意味」と進言はしたけれど、時給900円の臨時職員の言うことは通らない。ま、どうせ短期雇用だからと矛を収めた(軽く扱われる職員はロイヤリティも希薄になる)。

だが、さすがに良心が咎めたので、契約延長後の事務所移転(同じ庁舎内だが)に際して、自分の分だけでもまともなセキュリティ状態に変更した。ちょっと使いにくくなるのが難点。

容易には外せないセキュリティワイヤ

その後、新たに導入されたノートパソコンや外付けハードディスクに関してはまともなワイヤ処理をしたが、かなりの数のPCが底抜けセキュリティ状態にあった。

適正なワイヤ処理を強硬に主張しなかったもうひとつの理由は、鍵の管理が適当だったから。いくらワイヤをしっかり固定しても、鍵で外されたらなんにもならない。2mのワイヤをつけたまま持ち去る方が難しいだろうという判断。USBメモリ突っ込まれたらみんな抜かれちゃうし。

なお、退職時の引き継ぎ事項に書いておいたので、現在は適正に処理されていると信じる。

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2010/10/16

チリの「炭鉱」って書いている人たちは大丈夫?

チリ共和国コピアポ近郊で落盤事故のあったサンホセ鉱山は銅と金の鉱山です。炭鉱(石炭鉱山)ではありません。

ところが炭鉱(または炭坑)と書いている人がいる。日経BPのあるコラム(プロのライターが執筆し、編集のチェックも入っている)にさえ、炭鉱と3回(含む「炭鉱夫」)も書いてある。

もしかして、と思って「チリ 炭坑|炭鉱」で検索をして、目眩を覚えた。1か月以内に限定しても214,000件もヒットする(さすがに「チリ 鉱山」の2,260,000件よりは少ない)。

結果を少し見てみよう。まずニュース。

・ジョブズ、チリ炭鉱生還の33人に新iPod謹呈 ギズモード・ジャパン
・チリ救出劇、中国ネットに飛び火 炭鉱の安全管理批判の書き込み - J-CASTニュース【これは正しい
・【チリ奇跡の救出】炭鉱事故多発の中国でも高い関心 - MSN産経ニュース【これは正しい

さすがにマスコミはしっかりしていると言いたいが、8月にはこんな記事も(期間を絞り込む前に発見した)。

「愛する妻へ」生存知らせたラブレター チリ炭鉱事故 - MSN産経ニュース

8月23日の配信なので、かれこれ2か月間も放置されている。本文は正しく「鉱山」となっているので、整理部のミスなのだろう。

ちなみに「-中国」で絞り込んでも約 64,200 件ヒットする。

「まずニュース」と書き出したが、疲れたのでここで探索中止。

日本で落盤事故と聞いて炭鉱を連想するのは、ある年代以上なら当然かもしれない。また「炭鉱じゃないよ、銅山だよ」という記事もヒットしているだろう(明日にはこのエントリーも仲間入り)。指摘を受けて、書き直す代わりに追記で対応したところもあるだろう(さらに「-鉱山」で絞ると約 42,100 件)。掲示板のスレッドなら、一人が炭鉱と書いてしまえば、残りの参加者全員が銅山と正しく認識していても誤りに数えられる。

比率で言えば、正しく鉱山と書いたページが約50倍ある。しかし炭鉱(炭坑)という勘違いも無視できる数とは思えない。あえて偏見を交えていえば、ニュースをきちんと読み(聞き)とれず、そのくせ一文をものして世界に公表する人がこれだけ(どれだけ?)いるということだ。少数派とはいえ「世間の声の一つ」として影響力を発揮したら面倒なことにならないだろうか。


まさか、石炭を知らない世代が炭鉱=鉱山だと思って書いたと言うオチはないよね?

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2010/10/10

Inbookにおける邂逅 愚かな学生への忠告

Inbookに『モリソン・ボイド 有機化学』から「愚かな学生」のエピソードを投稿した。

すると、前後した投稿と絶妙の組み合わせが誕生した。

愚かな学生の失敗談の下に「失敗したことが恥ずかしいんじゃない、そこから何も学ばないことが恥ずかしいんだ」


以前の悲しむべき経験からはほとんど何も学んていなかったので,」とセットになっていたら最高だったのになぁ!

ソーシャルメディアではこのような思いもかけぬ出会いが起きる。Twitterでは、「やっぱり小泉さんは分かりやすかった」「わかってたまるか、と思って書き続けています」というツイートがタイムライン上に並んで笑ってしまった(互いにそんなツイートと並んでいるとはご存じない)。

2つのツイート


ときどきツイートに通し番号を振って、少し長めの意見開陳を試みる人がいるけれど、見る人によってはその間に不似合いあるいは抱腹絶倒のツイートがまぶされてしまうしまうのだ。それがまた面白い。

板子一枚下は「わなびう」か「うんこなう」か。

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2010/07/03

口蹄疫ワクチンの奇妙な噂にみる脆弱性

30日の昼に、宮崎県の口蹄疫流行についてリツイートが来た(リツイートとはツイッターの仕様の一つで、他人の投稿=ツイートをフォロワーに紹介するもの)。

口蹄疫が止まりだした。どうも富士写真フィルムが即効性のワクチンを、まだ未承認ということで無償で大量供給したらしい。この会社、フィルムがなくなると、もともと得意だった医療機器だけでなく富山化学を買収したり、医薬品開発にも力を入れている。専務さんと会ったことがあるがなかなかやるな。

一読して妙だと感じた。


  1. 富士写真フィルムという会社はない

  2. 未承認薬を家畜に大規模投与するとは信じ難い

かつて富士写真フルムという会社はあったが、2006年に富士フイルムホールディングス株式会社になっている(持ち株会社なので別に富士フイルム株式会社が設立された)。このことから出所の不明な伝聞という疑いを持った。

未承認薬の、それも大規模使用にはもっと疑問を感じた。そもそも国が未承認薬の使用を認めるか? 効果と安全性が確認された外国の薬ならば特例で審査を早めるということもあろうが、新規開発では有効無効以前に安全性が問題だ。副作用が出たら誰が責任を、という発想を役人がしない訳がない。また仮に黙認だとしても、実際に投与するには人手が必要で、当然人件費が発生する。誰がそれを負担するのか。さらにおそらく注射であろうから獣医を動員しなければならない。他にすることがないならばともかく、全国から応援が駆けつけるような修羅場で、効くか効かぬか分からぬ物のために人手を割くことなどできないだろう。

それでまず、公式発表がないかとググる。当然、ない。見つかったのは富士フイルム傘下の富山化学工業が「2年後めど承認申請」という話。しかもワクチンではなくて抗ウイルス剤。あとは当のツイートとそれを無批判に拡散するリツイートばかり。

これは良くないと判断して、「未承認の薬を現場で使うなんて信じ難い。大体フィルムじゃなくてフイルムだし。怪情報の類。」と付加して火消しリツイート。フォロワーが少ないからあまり効果は期待できないが義務は果たした気になった。

忘れかけていた2日の午前。フォローしている一人が、なにかフォロワーから注意されて釈明しているのをツイッターのタイムラインに見つけた。会社名が出ていて迷惑だとフォロワーが書いているので野次馬根性で探ってみると、これが口蹄疫の未承認ワクチンの話だった(直前の否定ツイートを見落としていた)。なんと大学教授までが、迂闊にも拡散リツイートをしていたことを知る(しかも別の大学教授のリツイートを再リツイート)。

大学教授と言えば、発信元も有名な経済学者ということになっている。これは本物か? というわけでそこから調査。ツイッターの自己紹介には「慶應義塾大学経済学部教授の金子勝です。」とあり、金子勝ブログにリンクしている。そこにはオフィシャルブログと書いてある。そして、そこには件のツイートが表示されている。ただ、ここまではニセ者にも出来ること。このオフィシャルブログは本物か? 結論からすると本物。慶応義塾大学経済学部のウェブから学生が運営する慶應義塾大学経済学部金子勝研究会を経てリンクされている。

というわけで、震源地は慶應義塾大学経済学部の金子勝教授と確定。実はこのネームバリューは重要で、迂闊にも拡散リツイートをして突っ込みを受けたジャーナリストが、金子先生のツイートだから信頼して確認はしなかったと正直に答えている。同じような人は多いだろう。

私が知らないうちに拡散と火消しが競っていたようだ。そしてトドメが刺される。農水省の原田英男さん(認証済みアカウントではないけれど、一月前にYahoo!ニュースにも登場しているから本物でしょう)が否定のツイート

「未承認口蹄疫ワクチン大量配布」というツイートについて問合せ多数なので、担当者を通じて富山化学(冨士フィルム子会社)に確認。同社では「口蹄疫ワクチンは作っておらず、抗ウイルス薬の開発を進めている。この薬は実験室内での感染試験はしたが、世の中には一切出回ってない」との回答。

フォロワー5700人(3日現在)の力で怪情報の拡散は止まるだろうか。ちなみに金子教授はフォロワー6700人だが、驚くべきことにただの一人もフォローしていない。完全に発信専用。ツイッター用のアプリケーションは使っていないようなので、タイムラインに現れない自分宛の返信(mention)もたぶん見ていないだろう。道理で「元になる記事を」「大量供給したという事実もないようです。」「訂正を」という質問・要請もナシのつぶてになる訳だ。

さて、ここからが本題。

問題を整理する。


  1. 出所の怪しい、間違った情報が信頼される著名人からツイートされ

  2. 多くの人が確かめもせずリツイートし

  3. その中には著名なジャーナリストや大学教授(医学/情報学)もいた

  4. 火消しに約3日(現在「口蹄疫 未承認ワクチン」で検索するとgoogleでは原田さんのツイートがトップに来るが、サイトによってはそうではない。)

誤情報の発信(原ツイート)者が一番悪いのは論をまたないが、それはツイッターに限った話ではないので割愛する。また多くの人(把握できたところで100人以上、否定も含め検索されるツイート数は約190)がリツイートして拡散してしまったが、"朝ズバっ!で駒野選手のお母さん"の2360件よりは少ない。有象無象のツイートを真に受ける方が悪いといえばそれまで。今回は上場企業の名前も挙がったので、株式市場への影響も心配されたが、まともな投資家ならば「富士写真フィルム?」と気付くだろうから、風説の流布への加担もそう神経質になることもないだろう(証券取引等監視委員会も見張っているし)。

これは困ったと感じたのは、影響力のある人が軽率にリツイートしてしまった例が複数見つかったこと、そして火消しの決定打がなかなか出なかったこと。

本来ならば火消しに回らなければならない人がリツイートしてしまっている。それによって「あの人からのリツイートだから信用できる」と誤情報の拡散・定着に加担してしまう。これは由々しい問題。もちろん一所懸命に火消しに努めた人もいて、そのおかげで私も事の広がりを知った訳だし、しょせんは呟きにすぎない(本来は「さえずり」なのだが日本では呟きと受け取られている)といえばそれまでなのだが。

twitterでは「それはデマです」と打ち消し情報も即座に流れるから問題は少ないと言う主張もある。それって、編集合戦に陥ったwikipediaみたいなものじゃない? 「それはデマです」「デマじゃありません」「デマと言ったらデマだ」「デマじゃないと言ったらデマじゃありません。邪魔しないでください」...140字で誤解を解くのは難しい。

「ソース(出所)は?」というごく当たり前の質問に対してさえ「ソース廚」という罵声がかえって来ることがある。

また誤情報をリツイートしてしまった人が、それに気付いてから尻拭いをするとは限らない。良心的に「ごめんなさい」とツイートする人もいるけれど、私にリツイートしてきた人はいまだに知らぬ顔の半兵衛のようだ。

それにツイッターは、よほど変わった使い方をしていない限り、フォローしている人のツイートを全部読むことなどできない。誤情報で目を汚さないで済むことがある反面、撤回ツイートを見逃してしまうこともある。ツイッター上だけでの否定はおそらく無理だろう。

(リ)ツイートした人が「間違いでした」と言ってきたところで、すなおに受け入れられるとは限らない。「圧力がかかった」「情報戦だ」「そういう事にしておきたいのですね」と疑いだせばきりがない。

その点、今回は農水省の中の人が、ちゃんと名指しされた会社に当たって否定コメントをもらい、個人アカウントではあるが公表したことで、よほどの陰謀論者でない限り打ち止めであろう。ただ、この解決方法は個人の善意に依存しているし、(矛盾するようだが)官庁の人だから採れたとも言える。場合によっては当該企業にたくさんの電話がかかり、それによって業務に支障を来す心配もあるわけで、注意が必要。そのために広報部門があるというのは正論だが。

ツイッターも「ウソはウソであると見抜ける人でないと難しい」世界にして良いのだろうか? そうしてはいけないという気もするし、無意味な抵抗は止めて「ウソを見抜く能力」を身に付けさせた方が前向きという気もする。

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2010/06/25

ホームページを作るには...

23日は日本ウェブ協会の総会に行ってきた。議決権のない準会員のお気楽さで聞いていたが、事業計画の説明で二言目には「マンパワーが不足」と聞かされると、なんかその気になっている。

理事長の森川さんとのお付き合いは、アクセシビリティ実現に必要なのは侠気であるとしたアックゼロヨン・セミナーだった。このセミナーが縁で職を得たこともあったので、ここで背中は見せられない。一昨年のCMSカンファレンスも手伝ったけれど、侠気とは釣り合いを取るものではない。

さて総会の内容については本家からいずれ発表があるだろうから、ここでは懇親会で聞いた話から。それはICTに詳しくない人(たとえば街の個人商店主)が、CMの「続きはウェブで」「××を検索」に感化されて、「うちもホームページを作ろう」と思ったときに、頼れる先があまりないという現実。特に地方都市。

身近に詳しい人がいれば相談できる。だが、実際には「自称詳しい人」の方が多いだろう。流行しか知らない付け焼き刃の「詳しい人」(学生などの息子娘世代)も困るけれど、旧い知識をバージョンアップできていない人(退職した技術者)も困る。本文を全部h3タグで囲うと字が大きくなるだけでなく、検索で上位になるとか。

また情報弱者を食い物にしようとする悪徳業者、とまでは言わないが、クライアントが相見積もりも取れなければサービス内容の吟味もできないことにあぐらをかいて一方的な売り手市場を謳歌する業者もいるだろう。

これらが入り組むと混沌とした状況になる。

  • チープなサービスに法外な値段を吹っかける業者や自称詳しい素人
  • チープの自覚があるので仁義なき価格競争に走る業者
  • 価値を評価せず、ひたすら値切ろうとするクライアント
  • 宣伝チラシとの区別がつかずウェブの利点を殺してしまうクライアント
  • 悪意の第三者に乗っ取られて攻撃拠点に変貌するウェブページ
  • 個人情報を流出するウェブページ
  • 無内容なくせにSEOで検索上位にくるウェブページ
  • 見た目だけ立派なために模倣される低品質ウェブページ
  • 定期的な更新を織り込んでいないため廃墟と化したウェブページ
これらを放置すれば、健全な業者は育たないし、ウェブ標準に準拠したページが広がらないどころか世に害をなす危険なウェブページが氾濫しかねない。また、高い金を積んで作られた誰も訪れない閑散ページを指して、自業自得と嘲笑するのは間違っている。おっさんは被害者なのだ。

来年の事業計画にもある「ウェブ会議」の開催が、ウェブサイトのあり方に関して発注側の理解向上を掲げているのは慧眼だ。

サイト評価プログラム(これも欠点をあげつらうのではなく、長所を誉める方向で進めてもらいたい)と併せて、使いやすい、役に立つウェブの普及を期待する。

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2010/05/16

今度こそ来るか電子出版の時代(「電子書籍の衝撃」)

前世紀の話になるけれど、出版社に勤務していた時にいやだったことが3つある。

1つは校了(責任校了=責了を含む)してしまうと、間違いがあろうがもっと良い表現があろうが、よほどのことがない限り、そのまま本となって市中に出て行ってしまうこと。

そして人間の、しかも凡庸な人間のやることなので、いくら注意をしていても間違いは生じる。たいていは「大して実害のない」ものであるが、ある医師がしみじみと述べたように本の間違いが自然になおることはない

もう1つは、せっかく作った本も売れなければ、その運命は悲しい。返本されてきてからしばらくは倉庫で出番を待つけれど、時間が経って最終的な売り上げの予測が立つと、売れ残り確実な分は、置いておくだけでも倉庫代やらなにやらが発生するので廃棄処分されてしまう。

電子書籍がもつ可能性


3番目はここに関係ないので省略するが、上記2つは紙に印刷することにつきまとう問題だ。もし本の内容を電子データでやり取りできたらどうなるだろうかと考えた。完成版をサーバーで公開すれば、直後から読者は入手可能になる。印刷製本配送の時間が節約できるのでギリギリまで編集ができるのみならず、全国いや全世界同時発売だ。離島にいようが地球の反対側にいようがタイムラグはない。そして改訂をすれば同時に旧版の流通は止まり、動きの悪い書店で旧い物を買うことはなくなる。増補版を出したいけれど、旧版がまだ残っているから待つといった本末転倒もない。逆に品切れ増刷待ちは死語となるだろう。「倉庫代」はデータ保管料に変わるので一概に安くなるとは言えないけれど、安値を求めて不便な遠隔地に倉庫を持つ必要はなくなるし、物理的な盗難や汚損滅失の心配もなくなる。

見落としがちなのは「一冊」という概念の変化あるいは消滅。三十一文字の詩一首、五七五の俳句一つから流通が可能になる。紙の本は一冊になるのに必要なページ数があるので、出版するためだけに書き足しをしたり、紙を厚くしたり、穴埋めの写真やイラストを用意したり、といった工夫が必要だった。そしてどれも価格を押し上げる(すかすかのレイアウトなら大丈夫か?)。こういうこともなくなる。

電子出版で懸念される問題


もちろん良いことばかりとはいかない。まず印刷製本流通業界に深刻な影響が出る。ブックデザイナーも失業だ。だが、いきなりすべての本が電子化される訳ではない。紙の書籍に対する需要もすぐになくなるとは考えられない。当時のデータ回線は高いうえに帯域が狭く(kbps単位)、プリンタも貧弱であったので、専用線を引いた書店でダウンロードし、好みに応じて印刷製本するというようなサービス形態も夢想した。とにかく安く読みたい人はデータだけ買い、印刷版が欲しい人は好みの紙に好みのフォントサイズで印刷して買う。プレゼント用に豪華装丁が必要ならオプションで。書店でオンデマンド出版である。

もう1つの問題が不正コピー。デジタルデータは劣化することなくコピーを重ねることができるから深刻だ。そうでなくても「筆は一本、箸は二本、衆寡敵せず」なので、作家が食い詰めてオリジナルの供給が止まればコピー文化は窮乏する。私がかかわっていた学術系の世界では、特に翻訳物は大部なうえに部数が限られているので高額化し、世の中の常で海賊版が横行していた。ただ、不正コピー対策には前例がある。コンピュータのプログラムだ。当初は正規購入者のバックアップも許さないようなコピープロテクトであったが、やがて「不正コピーもされないが、誰も使っていない」よりは「まず使ってもらい、ファンを増やす」方が有利という判断になった。また「使ってみて気に入ったら金を払う」シェアウェアというものが登場した(機能制限を解除するキーを販売する物もあるが、利用者を信頼して完成版をコピー自由とする物もある)。継続して使用するソフトウェアと1回読めば用済みの書籍は別と考えた人は、世の中には繰り返し読まれる書物もあることを知ってほしい(ついでにいうと、消費税導入の際、書籍の価格表示も内税でと決められたとき、未来永劫税率は変えないつもり、な訳はないから、何年もかけて売る本の存在に思い至らない人たちに失望したものだ。案の定、税率が変わった時に在庫は価格表示変更作業が必要になった。偏狭な書籍観の弊害。)

さらに学術出版の著者はpublish or perish(発表するか、消え去るか)の世界に生きている。自分の研究成果をまとめた論文が雑誌に(原稿料をもらうのではなく掲載料を支払って)掲載されると、さらに別料金を払ってリプリント(別刷り/抜き刷り)を作成し、請求があれば(なくても謹呈と称して)無料で配る世界。大切なのは情報を公開し、公開された情報が入手できることであり、雑誌の値段というのは言ってみれば仲介手数料+実費に過ぎない。電子化によって実費は大幅に下げられる。

というわけで私にとって、雑誌・書籍の電子化(電子出版)は必然的な成り行きであった。しかし現実の歩みは遅かった。

補足

一口に出版と言っても、書籍と雑誌では事情が異なる。またそれぞれいろいろな種類がある。新刊と古書は流通経路が全く違う(出版社の人は頭の中にどうやら古本というものがない、あるいは意識的に無視しているらしいと知ったときは心底驚いた、なにしろ神田の古書店街を目の前にして再販制度擁護で盛り上がるブックフェアがあったのだが、さすがにブックオフなどを無視し続けることは無理と悟ったようだ)。また実態は知らないけれど、世の中にはケータイ小説なるものがあり、これも正統派?からは「あんなものは本じゃない」と蔑まれているらしいが、これって隠れんぼをしている子供が見つからないように目をつむっているのに似ている。

一方、電子書籍もディスプレイで見るもの、音で聴くもの、紙などに出力して見るものなど多彩だ(「本」の概念の拡張)。読書(利用)形態も異なる。Twitter上では、企業が購入している雑誌が電子化されたらどう管理するのか?という問題が提起されていた。

電子書籍の議論を見ていて感じるのは、論者によって前提としている本、そして電子書籍が異なるらしいこと。ある人は携帯電話で見るマンガのことを、別の人は大判の画集、プレーンテキストで十分という人、ハイパーリンク前提の人とさまざま。共通する点もあれば、分けて考えなければならない点もある。この辺りが未整理だと混乱のもと。混乱の果てに出てくるものはショーとダンカンの子供。父親が授けるのはその頭脳かそれとも肉体か。

ここではできるだけ書物一般で考えるようにしたいけれど、読書経験の偏りから欠落する分野があることを了解されたい。

電子書籍の時代が来る


電子書籍あるいは電子新聞の発想自体はかなり古くからあるにもかかわらず、いまだに本と言えば紙の本なのはなぜか。前回紹介した佐々木の『電子書籍の衝撃』(ディスカヴァー携書)を読むとその理由が見えて来る。(なお本書はinbookで読者がそれぞれ気に入った部分を紹介しているので参照してほしい。さらに同感できる箇所には拍手を送ってほしい。)

1つはデバイス(装置)の問題。だがこれは本書にある通り解決の道筋が見えた。kindleやiPadが将来にわたって勝者であり続けるかは分からないが、新しい時代の幕を開けたことは間違いない。

2つ目はコピープロテクトの問題。これについては音楽の例が引き合いに出されている。ナップスターなどで違法だが無料の音楽を楽しんでいた利用者は、iTunes Storeから使いやすくて安価な正規版音楽データが提供されだすと、ちゃんと対価を払うようになった、と(緩いDRMはかかっている)。読者が作者を尊敬し作品を書き続けてほしいと願うならば、海賊版ばかり買って「金のタマゴを産むガチョウを殺す」ような愚はしないと期待できるわけだ。

書店も存在価値を問われるが、本と読者の目利きができて「お薦めの本」を提案できるならば、形は変わっても「書店」は存続するだろう。著者は「この人のお薦めは私に合う」というマイクロインフルエンサーの役割を強調するけれど、なにも高度な読み込みは不要で、「お前らにはこのくらいがちょうどいい」という「書店」もありだろう。たとえば通勤中の暇つぶしのためのワンコイン書店、お任せでダウンロードしてもいつも面白ければ客は寄り付く。

以前の私が全く見落としていたのが取次の問題(第四章)。本のニセ金化! たとえ売れずに返本されて来ようとも、本という物は出せば当座の金になるという。取次は売れた分ではなく、預かった分の代金を前払いしてくれるという太っ腹。しかし返本の際には精算しなければならない。そこでまた新刊を依託して見込み代金を受け取ってしのぐ。ニセ金というよりは多重債務。なるほど、そういう仕組みがあるならば出版不況と言われながら出版点数が増えているというのもうなずける。本が売れないからこそ本を出さざるを得ない自転車操業。

そうすると取次を経由せず、書店や読者に直接コンテンツを届ける電子出版など「冗談じゃない!」ということになる。98年に発足した電子書籍コンソーシアム行き詰まりの原因の一つに取次への遠慮があげられている。

しかし、そんな状況が長く続くのだろうか? 本書によればすでに1967年には山本夏彦がこの自転車操業を批判しているという。40年以上前の話だ。間に好景気の時期があったとはいえ、多重債務状態がそんなに続けられるとは信じ難い。この謎を解く鍵は2つ。記号消費による売り上げと雑誌による広告収入。記号消費とは、読まないけれど所持することに意味のある(=格好になる)書籍を購入すること。うん、これには思い当たる節がある。ところが記号消費が終焉し、不況で広告収入が落ち込んだ今は大手の出版社さえも危うくなってきた(中小はすでに倒産し始めている)。

逆にいえばとうとう日本にも電子出版の時代が来るということか。

電子出版時代の出版人


ただ、ジャンルによっては解決しなければならない問題がある。本書では主に文芸書を念頭においているように感じたが、たとえばノンフィクションの場合、取材費の先渡しが必要になろう。国内の旅行記程度ならネットで協力者を募れば済むかもしれないが、長期取材や海外出張を支えられるだろうか。あるいは助手を大勢雇う必要がある調査とか。さらにノンフィクションでは校閲が重要だ。事実関係の誤りがあれば訴訟沙汰になる危険がある(ネットで大勢に見てもらうという手法はここでアウト)。

体系的なものを企画する場合、「すでにあるもの」を寄せ集めるだけでは不十分で、依頼して書き下ろしてもらう必要が出て来る。「お仕着せのシリーズはいらない。読者が自分でシリーズにする」とは言っても、やはり人の意見は参考になる。マイクロインフルエンサーが「この本とこの本に加えて、後こういう本が書かれていればなあ」と考えた時に、その「こういう本」を実現する存在が求められるわけ。

おそらく既存の出版社は解体し、編集や営業が機能ごとに新しい会社になるだろう。営業の仕事は発掘されてきたモノになりそうな作品(作者)に、きちんと完成させるのに必要な費用を集めて前払いすること。作品・作者ごとの出版投資組合の運営だ。編集者(こちらは編集プロダクションや編集者組合)の紹介も仕事になる。今まではどんなに有望な企画があっても、社風に合わないとか編集者の力量が足りないとかで涙を飲むこともあっただろう。そういう制約がなくなる。

専門分野の出版人よ、うかうかしていると最大公約数的な、平板なプラットフォームができてしまいますよ。少なくとも著者と権利関係をはっきりとさせておきましょう。本が出てから出版契約の締結という慣行、R.ファインマンさんには喜ばれたらしいけれど、これは改めた方が良い(今は変わっているのだろか)。

なお、発行元からT-Time形式のデジタルブック版1000円600円で提供されている(iPhone用ビューワあり)。

ある学会誌の話


会員一万超のある学会の、委任状で成立した閑散とした総会で、担当役員が「学会誌は紙での発行を続けます」と宣言したのを聞いた事がある。「未来永劫」とかそれに類するような強い表現だったと記憶する。あれはなぜだったのだろう。ちゃんと理由を質問すれば良かった。今となっては誰の発言だったかも定かでない。

想像すれば広告収入がなくなるのを心配したのだろうか。しかし各論文にマッチした広告を載せることだって可能でわけで、有効期限を設定し、CI(citation index)の大きな論文につける広告から更新料収入を得ることも夢ではない。あるいは「この論文を読んだ方はこちらの論文も取り寄せています」とレコメンドするとかして、学術上の利便性向上と収益を一致させることだってできる(この場合、他誌掲載論文を紹介して口銭をとる手もある)。もし「紙でなければ広告を載せられない」と思い込んでいたなら残念なことだ。natureなどの電子版では広告はどうなっているのだろうか。

2010.5.17 改稿
2010.5.18 修正
2010.12.22 修正

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2010/04/19

チェーンメールとRT

しばらくTwitterをやっていて気になる現象がある。RT(リツイート)だ。

Twitterのヘルプではリツイートは以下のように説明されている。

「リツイート」は、あるユーザーが投稿した好きな情報を再投稿し、みんなに広めたいときに使います。 投稿の「リツイート」ボタンをクリックすることでその投稿が、自分をフォローしているユーザーのタイムライン(画面)に表示されます。

※この「リツイート」では、自分のコメントを追加することはできません。

Hootsuiteなどのウェブクライアントを使うとリツイートする際にコメントを付加できる。たとえば「この意見に賛成」あるいは「バカ発見」と。しかし素のブラウザで実行すると元のツイート(原義は「さえずり」、日本では「つぶやき」と訳された140字の投稿)の冒頭に「RT」と付加されたものだけが再投稿される。

メールで言えば転送である(佐々木俊尚『電子書籍の衝撃 (ディスカヴァー携書)』の冒頭に引用されている通り、昔はe-mail(電子メール)と区別していたが今ではmailといえば電子メールを意味する)。そして転送メールの徒花がチェーンメール。

チェーンメールと言っても「なにそれ? 食べられるの?」という人も増えたようなので、まずここから解説。

中年以上には「不幸の手紙」のメール版といえばお分かりになろう。「この手紙を受け取ったら、×人に同じ文面で送ること」というアレである。人数は5人とか10人とか(郵便料金の値上げに伴って変化したことだろう)。送らなかったら不幸になるぞ、という脅し付きだったので「不幸の手紙」。

これが電子メールの時代になると、転送には手間も金もかからなくなったので「できるだけ多くの人に転送してください」となった。また「新種のコンピュータウイルスが流行しています」「コンピュータウイルスへの対策はこうです」「手術用の血液が不足しています。助けてください」など、転送するのは良いことだ、人のためになると誤認させる内容になってきた(もちろんほとんどの内容はデタラメで、嘘の「ウイルス除去操作」を実行してPCが動かなくなった例も)。

Wikipedia日本語版の解説(2010年4月3日 13:46 (UTC))では、多数の人への転送を促せばチェーンメールだとしているが、それだけではチェーンメールにはならないと考えている。

1.情報の発信源(責任者)が明確で裏付けがとれるか
チェーンメールの大きな特徴は、情報の出所(=責任の所在)が不明確なこと。典型的なのは「友達がその友達から聞いた」。「新種のコンピュータウイルス」では、IBMなどの名前が出されたが、IBMのウェブサイトで確認することはできない。逆にいえば、そのメール以外でも確認がとれる情報ならチェーンメールではない(「被災地で紙おむつが不足しています」はチェーンメールになるが「赤十字のサイトで被災地で必要な物資を確認しましょう」を転送してもチェーンメールではない)。

2.情報の有効期限は明白か
「××病院で○型の血液が不足」のような話が典型で、発信日も手術予定日も不明確。そのため数年前のメールが漂っているようだ。年月日が明記してあれば古い情報か新しい情報か判断できる(悪意のある人間が操作しない限り)。本当に血液が必要な場合なら、「*年*月*日(曜日)までに」と明記することで野放図な拡散を防止できる。(脱線するけれど、ビジネスの世界ですら、この年月日の明記が疎かなのは呆れるばかり。たとえばウェブページに最終更新日が明記されていないのは珍しくない。)

つまり「いつ、誰が言い出したか明確でない話(したがって責任の所在も不明)を、どんどん広めてね」の3つがチェーンメールの条件。

残念なことに、発端は善意のメールなのに、無責任な転送でチェーンメール化することがある。転送をする人はその結果についての責任を負う覚悟をしてほしい。「善意だから」「有用だと思ったから」は言い訳にならない。

チェーンメールはなぜいけないか


「チェーンメールがどういうものか分かったけれど、それの何がいけないの?」「嘘の情報を流すのは悪いけれど、良い話を転送するのは構わないんじゃない?」という人もいるだろう。

理由は3つ。
まず、デマ(流言飛語)に対する抵抗力が落ちる。嘘ばっかり聞かされていると、騙されにくくなるという見方もできるが、周りの人がみんな言い出したことに「それはおかしい」というのは、実は非常に難しい。だからデマを流布させてはいけない。そのためには「ちょっと良い話」であろうが「バトン」であろうが、転送する前によく考える習慣が必要。相手を選んで、不必要な拡散を防ぐ手段を講じていれば、転送上等だ。正確な情報を、必要な期間、適切な範囲に流すならばチェーンメールと非難されることはない。

次に、ネットワークに負荷をかけ、サーバーを圧迫し、検索の精度を下げる。「できるだけ沢山の知り合いに転送」するのはネズミ算なのだ(ネズミ算を知らない人は、マルチ商法なんかに引っかかって借金を作り友達をなくし親類から義絶される前に自力でお勉強しましょう)。

三番目。そういうチェーンメールを転送すれば、あなたに対するまともな人たちの評価は低下します。受け取った人が「これで20通目(うんざり)」「この話はもう解決済み(ウンザリ)」「私にどうしろと?」と嫌がって、つまりスパム(spam;迷惑メール)扱いしていなくても、あなたは立派なスパマーです。その他にもいろいろとありがたくない称号を奉られることでしょう。いわく「情報通気取り」「はしゃいでいる初心者」「無免許運転」「ジョージャク」...


リツイートとチェーンメール


で、ようやくリツイートに戻る。

リツイート好きのフォロー相手が、集中的なリツイートをしたとき
複数のフォロー相手が、同じツイートをリツイートしたとき
ハッシュタグ付きのツイートがそのままリツイートされたとき

鬱陶しいなぁと感じた。まるでチェーンメール。中には教えてもらってありがたいツイートもあるし、賛同表明が心強いリツイートもある。また140字の応酬で話がそれ気味になった時に、第三者が元のツイートをリツイートすれば軌道修正に役に立つ。そういうメリットもあるのだが...

あるハッシュタグ(フォローの有無に関係なくツイートを閲覧するための検索目印)を追っていて、同じツイートが繰り返し、かつ集中的にリツイートされているのに遭遇すると、本当に読みにくい。なんのためのハッシュタグなのか。これにはテーマ別のメーリングリストにチェーンメールをマルチポストされたような憤りを感じる。しかも(仕様上やむを得ないとはいえ)「同意上げ」なのか「晒し上げ」なのかはっきりしないし、中には野次的なリツイートもあるようだ。ちなみにそこでは私のツイートも51人にリツイートされているけれど、正直そんなメルクマールになるような内容ではない(参考にはなる)。リツイートの際にハッシュタグは自動的に削除されるか、無効化(タグの告知には使えるが検索はされない)してくれればと願う次第。手動であれば、#の前の1バイトスペースを削除すれば拾われなくなる。

もちろんハッシュタグがついていなかったものにタグをつけてリツイートするのは、内容がふさわしければ好ましい行為。

ネットの噂とリツイート


さらに今日(2010/4/19)、Twitter内のストーカーに注意を促すリツイートを受け取った。女性と見るとP2Pのチャットに誘い、断ると誹謗中傷のツイートを垂れ流す云々。調べてみると、オリジナルは約12時間前で、すでに100人以上がリツイートしている。しかもリツイートのリツイートもある。連鎖反応(chain reaction)を起こしているのだ。

ツイッターの場合、フォローしていなくても、ユーザー名が分かればその人のツイートは誰でも確認できる。発信者は「当該アカウントを知りたい方は、俺がフォローしているリストをご覧ください。」というが、1005人(14:51現在)もいる。(仮にそのアカウントを確認できたとして、自作自演でないという保証もない)

ここで問題を切り分ける。
「事実を確認できない噂、あるいは悪意のある個人攻撃」の場合と「被害は事実」の場合。前者の場合は簡単だ。広めてはいけない都市伝説と切り捨てることができる。リツイート禁止。では、後者なら?

「本当だったらリツイートしても良い、いやリツイートすべき」と考える人もいるだろう。でもね、そのリツイートでどんな効果を期待しています? ストーカーに気をつけましょう? 具体的に、どうやって気をつけるのか。分かっているなら、それをツイートすべきではないか。たとえば「フォローは慎重に」とか「0.1%に紛れ込ませて無視する」とか。


ネットで自分の名前を検索したことのある人の多くは、思わぬところで名前が挙がっているのに驚く経験をお持ちだろう。中には不本意な誹謗中傷を受けていることも。だが虚実を問わず事実を挙げられている場合は別として、いちいち評判に食って掛かる必要はない。そんなことをすれば「痛い人」としてさらに祭られる危険すらある。また「おかしい人」から「おかしい」と罵られたら、それは「おかしくはない」という勲章みたいなもの。気にしないで放置すればよろしい(信用調査をされていて変な評判があると困るなど気になる事情がある人は、たとえばgoogle アラートで自分の名前を提起定期検索すると良い)。

つまり「ストーカーみたいなのがいます」という注意は流してもほとんど意味がない。悪口を垂れ流す以上の悪さはできないし、それを止める手段がない(悪口の程度によっては名誉毀損などで訴えることも理論上は可能だが)。そんなものは無視しても大丈夫。レアケースを心配しだせばきりがない。

ただ、昔は「ネットで態度のでかい奴も、会ってみるとおとなしい」と言われていたが(ネット弁慶)、西鉄バスジャック事件や秋葉原無差別殺傷事件のような例もあるので、リアルでの遭遇には気をつけたい。もっともTwitter上で「隙」を感じさせるようであれば、身近な野獣に狙われていることだろう。敵は本能寺にあり。

ちなみにリツイートは重ねるたびに中継者情報が付加されるので、140字を越えた分から末尾が削られて情報の欠落が起きる。自分の名前が付加されて肝心の部分が欠落するのも気付かずにリツイートする人も多いだろうな。ほんと無駄。

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2010/04/09

『電子書籍の衝撃』出版記念講演会

佐々木俊尚『電子書籍の衝撃 本はいかに崩壊し、いかに復活するか?』の出版記念講演会に行って来た(6日)。通常は「読者会」なのだが、発行前(書籍版は15日発行予定、電子版は7日から公開)なので記念講演会。

Twitter上に著者と編集者のやり取りがあると聞いたので、佐々木さんのtweetを去年の11月までさかのぼって取得。スキルがないのでブラウザで「もっと読む」を繰り返してwebarchiveとして保存(htmlソースで保存すると最初の1ページしか保存されない!?)して約5M。ところが他の話題も面白いし、リンク先に飛ぶとまた話が広がるので遅々として読み進まない。そうこうしているうちに当日になってしまった。印刷して持ち出そうとすると色文字のため白地に印刷すると読むに堪えない(モノクロで印刷すると灰色文字に)。某テキストエディタに貼り付けると文字コードが絡む不思議なエラー。全選択だとおかしくなるが、手で範囲指定をしてペーストすると何とかなる。とはいえところどころに地雷が埋まっているらしく、エラー頻発。それでもなんとか2月以降のtweetをプリントできた。しかし時間順に読もうとするとまた大変(結局全部は読み切らないままに講演に)。


この日はまず、新宿でビッグイシュー日本版を購入することにした。新宿東南口駅前広場でも売っているはずだが販売者の姿が見えない。仕方ないので大塚家具前まで行って購入。売り慣れていない様子だが「精一杯」が感じられる接客態度に感心。ところが行動規範第2条(IDカードの提示)を守っていない。注意すると、風が強くてバタバタするのでとかなんとか言い訳をする。「あんた何者?」と思われるのが嫌で、深くは追及せずに辞去。でも通報しておいた方がビッグイシューのためになる。

その足で模索舎に立ち寄る。今年で創立40周年を迎えると言うのに、中小書店の例に漏れず経営は逼迫状態だと聞く。3月の40周年イベントをコロッと忘れてしまった埋め合わせに書籍を購入。「電子書籍」という文字が目に留まって「週刊読書人」も合わせて買う。

失業中なのにこうして予定外の出費が重なったので、そのまま会場のある九段南まで歩くことにする。

早めに会場に着いたので、ロビーで週刊読書人を読む。閉鎖されたフランス国立印刷所(世界最古の印刷所、ただし名称は「印刷局」が正しいらしい)の話とか活版本中心の書店とかの話は面白いことは面白いのだが、なんとも言えぬ苛立ちを感じさせられる。対談している当人もペシミスティックと自認し、「(新しい)世代に対して、印刷された本と電子化された本の違いを訴えることには、意味がないような気がします」とか「しかし、そう思うのは僕らの世代までなのかなあ」などとは言っているのだが、どうも現実認識に差があるように思えた。一つには「アウラ」とか「アティチュード」といったカタカナ語のせいかもしれない。活版印刷には哀惜があっても日本語にはそれを感じないのですか、と不毛な煽りをしたくなる。

現実認識の差と言えば、たとえば検閲の話。たしかに電子書籍の場合、検閲は容易になり得る。アマゾンが、読者の手元のキンドルから書籍を消してしまった事件は有名だ(その消された書物がオーウェルの「1984」とは出来過ぎの気もするが)。しかし、だから紙の出版は自由を守る、なんてのは自由ボケした寝言だろう。言論の自由のない独裁国家では、地下出版物はまず配布ルートが絶望的に弱いけれど、それ以前に、紙や印刷機を政府に抑えられているから地下出版そのものがまず困難なのだ。その点、電子出版であれば全国のPCやネットワークがISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)を取得した企業のように管理されていない限り(そして、そんなことは不可能に近い)誰でもデータを作り、全国に配布することができる。winnyでも使った日には回収不可能(警察も配布に協力してくれる w)。

「検閲は、これをしてはならない」(日本国憲法第二十一条)が蔑ろにされるようになるとしたら、それは技術のせいではない。政治の問題だ。

とまれ、この後で聴いた佐々木さんの講演と比べ、いろいろな点で対比的なので、稿をあらためて考えてみたい。

さて『電子書籍の衝撃』出版記念講演である。イントロが痛快だった。「電子出版なんて...」という言説をいくつか取り上げては、「太陽の下に新しいものは何もない」「歴史は繰り返す、二度目は茶番」とばかり、活版印刷登場時に写本派が持ち出した理屈と並べて一刀両断。

これは既に見たことのある光景。ワードプロセッサ普及期に、「ワープロで手紙なんて失礼千万」のようなことが大真面目に主張されたことがある。じゃあ、なにが礼儀に叶っているのですかと問うと「便箋に万年筆」というお答え。すると博識な人が鼻で笑って、その万年筆も初めは毛筆派から「あんなもの」と誹られていましたね、と。

そうそう「ワープロで書けるのはビジネス文。小説は無理」なんてことも真顔で言われていた。安部公房がワープロで長編小説を書き上げた時には話題になり、宣伝惹句もなった(はず)。今となっては信じられませんよね。

閑話休題。次にデバイスとコンテンツの関係(p.17の図)。「書籍は脳がオフ」には違和感があったが、書籍で確認すると「文字などを入力している訳ではない」つまり受け身という意味。そして書籍や雑誌を電子化した際のリーダーは「近くで見る、大きな画面」である必要がある(したがって携帯電話は画面サイズで脱落)と。(パソコンがオンのデバイスであることを認めても、なぜそれでオフのコンテンツを楽しむことができないかは説明できていないような....まぁ確かにパソコンで長編小説を読む気にはならないけれど)

その次のマトリクスではさらに疑問が。図そのものは手元に無いが、「線的/リンク的」「フロー/ストック」の4象限だったと思う。雑誌はフロー、書籍はストックと言われ「んー」と思っていると続けて「ウェブはフロー」と。待て待て、ウェブだってストックはあるだろうと思っていると、フロアから「wikipediaは?」という質問。「あれもフローです」とあっさり退けられる。普通に辞書事典と言えば良いのに(たとえばyahoo!百科事典は小学館の日本大百科全書(全26巻)がベースになっている)、wikipediaを持ち出すなんてビョーキじゃないの。ところで「辞典は読むもの」と喝破したのは誰だっけ?

ともあれ、電子書籍は「リンク的なストック」になるだろう、と。enhanced book(拡張された書籍)、たとえば音声の出る本、である(このあたりは記憶が曖昧。「書籍はアプリになる」という言い方をしていたかもしれない)。しかし、と佐々木は言う。実用書なら動画付きも便利だが、たとえばお仕着せのBGM付きの小説は読まれるだろうか、と。だから雑誌の電子化は進むけれど、書籍、特に著者の思想が貫かれた小説などは話が別だろう、と。

そうかな? 映画なんてのは、まさにお仕着せBGM満艦飾だ。それどころか歌劇・楽劇なんてものもある。ちなみにニーベルングの指輪は通しでやれば約15時間はかかるという。アルバムというパッケージが壊れて個々の曲がバラバラに購入されると言うマイクロコンテンツ化は進むにしても、“指輪は指輪”(全体で一つの作品であり、たとえば「ワルキューレの騎行」を指して指輪とは言わない)、ではないだろうか。むしろ「ペレアスとメリザンド」を読むのに音楽をフォーレにするかドビュッシーにするか選べるなら自由度の向上で、それは歓迎されるだろう。また、たまたま前日のクイズ番組で知ったのだが、JTBパブリッシングは夏目漱石や太宰治らの小説に旅行ガイドをつけた『名作旅訳文庫』なんてものを出している(番組では売れていると言っていたが真偽は不明)。

それを軽薄に感じて眉をひそめる人もいるだろう。好きだった小説の装丁が後からできた映画のスチール写真になるとげんなりする、という読書家もいる。舞台版の「アマデウス」に涙を流すほど感動し、決して安くはない公演を何度も見たが、映画の換骨奪胎(脚本が同じシェーファーとは!)には失望し、劇書房発行の『アマデウス』の新装丁にがっかりした記憶が私にもある。拡張された書籍もこうなるだろうか? 要は作り方の問題だろう。センスの良い作りを発行者に期待するのではなく、読者が主導権を握る。購入してからテキスト部分だけ分離できるなら、単純に文章を楽しむことも、自分好みにリッチコンテンツ化(カスタマイズ)することもできる。従来の紙書籍ならそれぞれ別に印刷製本せねばならないから難しかったことだ。使い勝手(ユーザーインターフェイス)とあわせて、この自由度は重要な要素になるような気がする。...著作者人格権は弱められるだろうか?

また、聞き漏らしでなければテキストの音声化(読み上げ)には触れられなかったようだ。『電子書籍の衝撃』の中ではキンドルストアのオプションにあることがさりげなく紹介されているけれど。音声データをつけるか、読み上げエンジンが認識しやすいように手を加えたテキストを陰に用意するか、技術的な話はさておき、朗読してもらえれば「読書」の機会は増える。別に視覚障害者に限った話ではない。満員電車や布団の中など本を開くのが難しい場所、暗い場所でも「読める」。そしてこの場合、大きな画面は必要ない。デバイスとしての携帯電話の優位性が一気に高まる。iPod shuffle でも十分。

さてマイクロコンテンツ化と並ぶ電子書籍のもう1つのキーワードがアンビエント(ambient)。元の意味は「周囲の, あたり一面にある」(プログレッシブ英和中辞典)だが、意訳すれば「どこででも」か。「遍在」だとubiquitousと区別がつかないし、なにより「偏在」と誤変換される危険が大きい。(アンビエントは手垢にまみれたユビキタスの改装版という穿った見方もできるが、KDDIでは「いつでも、どこでも」を一歩進めた“「今、ここで、私が」必要とする情報を提供する”と定義している。別のところでは「今だけ、ここだけ、私だけ」とも。なるほどねぇ。) iPodによって音楽がアンビエントになったように、iPadやkindleによって雑誌・書籍がアンビエント化するだろう、と。アンビエント化と脱パッケージの関係がよくわからないが、「私だけ」が関係するのだろうか。

音楽にせよ書籍にせよ、親しんだジャンルの違いは案外大きいかもしれない。オペラの中から一つの歌を取り出すことはあるけれど、ブルックナーの一節を取り出して「フェイバリットメロディー」を作る人はいるだろうか? もちろんいるし、着メロなんてその最たるものだろう。もしかすると多数派を占めるかもしれない。ベートーベンの第五交響曲は、第1楽章冒頭なら知っている(それしか知らない)という人も多い。全曲知っている人の数倍はいるだろう。だからといって今後その傾向が強まり、あの交響曲がバラバラにされ元のパッケージがなくなる運命にあるとは思えない(ここが私の限界か...シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」も今や****(自粛)の間では「2001年の音楽」だし...もちろん冒頭だけ... orz)。

それから大きいのがコンピュータやコンピュータネットワークの経験の差。無知や誤解が前向きな議論の障害になっていることは疑いようがない。そして無知無理解誤解は嘲笑するものではなく、丁寧に説明すべきもの。そうでないと感情的な軋轢に発展しかねない。もっともそれは「前向きか後ろ向きか」の差に飲み込まれてしまうものかもしれない。旗幟の種類は少ない方が良い。旗印が多いと微少な差を言い立てて、際限なく分裂してしまう恐れがある。(この論の難点は、多数派を占める一般消費者は条件が示されなければ前向きでも後ろ向きでもないこと。また同じ前向き派の中にも同床異夢が紛れ込んでしまうこと。)

話戻って、新しいパッケージ(リパッケージ)の核になるのがキュレーション(curation)。目利きと言ったら良いだろうか。この辺りでも「××さんのお薦めも一種のパッケージングではないのか?」「プロモーションが時代遅れなのとプロモーションが無意味なのとでは意味が違うのでは?」と本題を離れて思考は旋回。違いはつまりスケールというか規模。マスプロモーションによるパッケージ化の終焉ということらしい。しかしミドルとマスって、どこら辺で区切るのだろうか? 日本語の文章ならば顧客は最大でもせいぜい1億人。音楽ならば65億人が対象になり得る。

それにしても聞いていて呆れるのは、(日本の)出版関係者って、どうしてそんなに保守的なのだろうか? あ、こういうと「大手出版社と限定して」と注意されるかな? でも中小もずいぶんコンサバな感じがする。取次システムには苦労させられているはずなのに。たとえば、何の工夫もないテキストだけの電子ブックにも紙と比べて大きな利点があることに気付かないのだろうか? 一例を挙げれば盗用の発見が格段に楽になる。盗用だけではない。原稿の使い回しも容易に発見できる。小細工を施したところで悪あがき。すでに大学などには糊紙細工のレポートを発見するノウハウが蓄積しつつあるのだ。紙の本なら解析用のデータを作るだけで一仕事だったが、これからはすぐ解析できる。そして、これは同時に知らずに盗作本を出す危険を回避する助けにもなる。出版前の原稿と既刊本のマッチングテストは必須になるだろう。駄本の多くはこの段階でリジェクトになり、良貨が悪貨を駆逐するようになったりして。こういうシステムがあればセルカン事件も防げたかも。てなことは考えないのかな。

あと余談。オアゾにある丸善丸の内本店正面の品揃えを罵倒していたのが小気味良い。特に勝間本の版元ではっきり言っちゃうところが素敵。

ところで最近、本を読む量が激減していないか?>自分  とまれ『電子書籍の衝撃』を読んでみよう。新書一冊にそんな時間はかからないはず。

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2010/03/10

医者を経て、ビッグイシュー販売員へ、その後なぜか ... 最後はホームレス です

twitterで「ビッグイシュー」を検索すると妙な単文ばかりヒットすると聞いた。

原因はキャリアパスったー。twitterのユーザーIDを入れるとキャリアパスを診断する、という触れ込みの、その実なんの根拠も無い、取り合わせの妙を楽しむ代物。おおもとは診断メーカー。そういえば昔、脳内メーカーなんてものもあった。

それはともかく、そのキャリアパスったーのおかげで、ビッグイシュー関連のtweetを検索する事が事実上不可能になってしまっている。また人生の山と谷のうち、谷のところにビッグイシューを売るという立場を気軽にあてはめ、それを笑いのネタにしていると言うのが何とも軽薄で腹立たしい。人の不幸がそんなの楽しいのか?

しかし、見方を変えれば、それだけビッグイシューが有名になったと言う事だ。

また、これによってビッグイシューの存在を知る人もいる事だろう。実際、札幌の販売サポーターによれば「ビッグイシューって初めて聞いた」というtweetもあるらしい。

それに「何のつもりだ、ふざけるな」と怒鳴り込めば、特に本家がそれをやれば「(ち、うるせーな)反省してま〜す」と引っ込めて、「おっかなかった」と陰口を言いふらすことは十分に考えられる。

悪意があって販売者を揶揄していたのでなければ、味方についてもらってビッグイシューの存在を広く知ってもらうのに協力してもらう事を考えた方が生産的だ。

なにしろ雑誌は売れなければ話にならない。買ってもらうためには、まず名前を知ってもらわなければならない。そうするとお遊びでする「診断」にビッグイシューと出てくるのは、ただで宣伝してくれているようなもの。先ほどサイトを見たら既に13,000以上の「診断」があったらしい。そのすべてに「ビッグイシュー販売員になる」が出ている訳ではないが、twitterの検索結果から見て、相当多数の人が「ビッグイシュー」を目にした事になる。

というわけで、抗議も照会も通報もせず、静観している。

さて、次の一手はどうしたものか。

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2009/10/26

洒落にならない(野武士ジャパンの“お葬式”)

ホームレスワールドカップに出場した日本代表「野武士ジャパン」の応援サイトが表示されなくなっていた。アクセスを試みてびっくり。

nobushijapan.comにアクセスすると「葬儀費用で検索した結果」が表示される

よりによって「葬儀費用で検索した結果」が表示されるとは(これは自動でローテーションしており「リフォームで検索した結果」や「債務整理で検索した結果」も表示された)。

この表示が出るのは、私の知る限り権利が切れてドメイン管理会社が売りに出している場合。

ビッグイシュー日本は以前にもドメインを無効にしてしまったことがある。またやってしまったのだろうか(今でも古いブログ記事には旧ドメインbigissuejapan.comの記載が見られ、クリックすると「笑顔のお姉ちゃん」が"for sale"。善意のリンクを裏切ることがどれほどの悪影響を及ぼしているか会社はどうも分かっていないようだ)。

想定外の人物や団体が取得してサイトを開いたらどうするつもりなのだろう。nobushijapan.comは幸いなことに、まだ第三者が取得することはできない状態。


もしかしたら、経費節減のために大会終了に合わせて店じまいしたのかもしれない。しかし引っ越しの場合だって、移行期間を設けて検索エンジンに新ドメインの情報がいきわたってから旧ドメインを削除すべきもの。寄付してくれた人に会計報告は必要だし、なによりビッグイシュー日本ビッグイシュー基金のサイトからリンクしっぱなし。


ビッグイシュー基金には連絡したが、さてどうなることやら。

続きを読む "洒落にならない(野武士ジャパンの“お葬式”)"

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2009/09/28

画像検索の落とし穴

画像ファイルの検索ではPDF中の画像部分は対象から漏れるようだ。

ある人の写真を探していて、Googleの画像検索ではようやく横顔を発見できただけだった。通常のウェブ検索に切り替えて、丹念に探したところ、PDFにしっかり正面から撮った写真が載っていた。だが、そのファイルは画像検索ではヒットしない。

検索エンジンを変えたらどうなるだろう?

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2009/08/25

ネットで恐いのは見えないトラブル

読売新聞に「高校生5人に1人 ネットでトラブル」という記事がある。一読して、まず「サイトを開いただけで」ってのは明らかに言葉の誤用だと思った。

それはさておいても、まだおかしな点が5つはある。


  1. 炎上など対人関係のトラブルがないのが不可解

  2. 被害者が気付いていない被害(ボットなど)の方が深刻

  3. トラブルに巻き込まれたら上級者とは言い難い

  4. 「フィッシング」も入力前に「おー、釣りだよ」と気付いたならトラブルではない

  5. 「思いがけないグロテスク画像表示」もトラブルではない

いまや小中学生でさえ学校裏サイトなどで対人トラブルを経験していると言うのに、高校生にもなってそれが上位に出て来ないと言うのは、まず信じ難い(プレスリリースを見ると16人が「いやがらせを受けた」と回答していた)。掲示板やプロフへの危険性認識が低いから、本当にトラブってないのかな?あるいはいじめる側だというのが実態だとか。:-p

ボットネットのゾンビになるなど深刻なトラブルは被害者が気付いていないことが多い。リリースを見てもコンピュータウイルスへの言及はない。

「上級者」の定義が不明。「自称上級者」ならトラブるのも当然で、少なくとも既知の問題でトラブったら上級者ではない。自称上級者(=初心者)をあぶり出す簡単な識別方法としては、「使っているOSとブラウザとウイルス対策ソフトの種類とバージョンを答えてください」が有効。偉そうな顔をするのは、せめて「インターネットにおけるルール&マナー検定」で上位成績を取ってからにしてほしい。

(あちゃ、ルール&マナー検定 大人版:2009年」はもう終わってるよ。)

フィッシングサイトなども見ただけならトラブルとはいえない。口座番号とかパスワードを入れてしまったならトラブルだが。グロ画像の表示も一般的にはトラブル未満。それでマシンがフリーズしたとか、あたふたしているところを親に見つかったとかまで行けば、トラブルと認めても良い。

こういう調査・分析で実態を把握して効果のある対応をとれるのだろうか?

この疑念を裏打ちするかのように報告書は半角カナやら潰れたままの文字画像を使うなど、なんか頼りない。ただし冒頭に触れた「サイトを開く」は発表文にはなく、読売新聞オリジナルと思われる。ウェブサイトを開くとは、「ホームページ(およびその下位の一連のウェブページ)を作ること」。ワンクリック詐欺云々の文脈からしてここでは「ウェブページを開いただけ」が正しい。日本一の発行部数を誇る新聞が困ったものだ。

なお、INTERNET Watch にやや詳しい記事がある。

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2009/05/16

企業で自炊は許されるか

自炊と言っても、自分で食事を作ることではない。

池田信夫blog(のコメント)を読んでいて(遅まきながら?)知ったのだが、書籍や雑誌をばらしてスキャニングし、電子ブックを自作することが自炊と称されているらしい。念のためググってみるとwikipediaで取り上げられているだけでなく、まとめサイトすらできていた。由来は2ちゃんねるらしい。

個人で可能になったのはパソコンやスキャナ、ストレージなどの高性能化低価格化の結果であろう。以前、30万画素のデジカメで撮影し、VGA画面で再生してがっかりしたことがある。A4判の雑誌1ページを1画面に収めることができなかったから(収めると字がつぶれる)。そのくせ当時のHDDにとっては侮れないファイルサイズ。

法律的な面で考えると、これは私的使用のための複製に該当するから、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する」限りにおいては合法的だ。

また公共図書館(「公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの」)であれば、非営利の事業として蔵書の電子化を行える(昔からマイクロフィルム化は進められていた)。

問題は企業。ソフトウェアならばバックアップが認められているから、購入物など正当な所有物であればオリジナルを保管することを前提にコピーは可能だ。しかし書籍や雑誌にはバックアップコピーを可とする条文は存在しない。企業内の資料室(図書室)は政令に定める図書館等には該当しないことがほとんどだろう。ましてや総務課の棚においておや。たとえ購入した書籍であっても、それを自炊、つまり自分で電子化することは複製権の侵害、早い話が犯罪になるといわざるを得ない。

書籍だとまだ完全電子化にためらいを覚える人は多いだろう。だが、雑誌や新聞の切り抜きは? オリジナルの切り貼りならば著作権法上なんの問題もない。しかし台紙に貼り付ければ、単純にいって厚さは2倍。ファイリングの基本である「1ファイル1記事」を守れば、たちまち膨大な量になってしまう。しかも検索性は低いから死蔵必至。


余談になるが、時間が経って糊が変色したり劣化したりしたスクラップ(残骸)をみて愕然とした経験を持つ人は結構いると思う。どうもオーソドックスなデンプン糊が一番安定らしい...少なくともゴム糊は激しく劣化した。


気のきいた企業ならば乾式複写(今どき湿式複写なんて役所でも使わないんじゃないだろうか?)、さらには電子化を考えるだろう。場所を取らないから保険を兼ねた社内失業対策としても役に立つ。多くの企業で自炊はされているだろう。

ここでタイトルから離れる。

続きを読む "企業で自炊は許されるか"

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2009/05/13

Excel→PDFの謎

職場で職員(私の立場は二つ下の臨職)から相談を受けた。Excelで画像入りの原稿を作りPDF変換したところ、画像の周りに罫線が出てしまう、と。

オブジェクトのプロパティをいろいろいじってみるが解決できない。「急ぎますか?」と聞くと「午前中に送りたい」と(そのとき10時)。

普段なら「西を向いて念仏を唱えなさい」というところだが、その憂いを含んだ顔にほだされて頑張る気になる。

末席を汚したとはいえ、実験生化学者の端くれ、問題の切り分けに取りかかる。
1)見えている罫線はオブジェクトの囲い線なのか?
 線に色をつけてPDF変換したところ、どうも別の線らしいと分かる。
2)ひょっとして変換ソフトの不具合?
 ググってみたが確証は得られない。

問題のPDFは某社の変換ソフトを使っている。念のため、M社純正のアドインを使ってPDFに変換したところ...罫線は消えていた。というわけでひとまず解決。


しかし末席を汚したとはいえ、実験生化学者の端くれ、これでは満足しない。いろいろと試してみると次のことが分かった。
・M社のアドインを使う場合は罫線は出ない。
・S社の変換ソフトを使う場合、画像をpingやjpgのような形式で貼り付けていれば罫線は出ない(Officeオフジェクトでは罫線が出る)。

したがって解決策も2つ。
・M社のアドインを使ってPDFにする
・画像を貼り付ける際はpingやjpgにする

管理者の了承を得て、共有マシンにM社のアドインをダウンロードしてインストールした(自分のマシンの時は了解なしかよ)。ただ、2つの異なる解決策を提示したことは混乱を招いたようだ。geekは網羅的に知りたがるけれど、その感覚を押し付けてはいけない。

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2009/02/07

ついにファイナル! IT研修

NPO法人ビッグイシュー基金が行う就業応援プログラムの一つIT研修「メール販売」講座がついに最終回を迎えた。

この講座はモチベーションを維持し、日常的にIT利用を継続するために、「電子メールを使って雑誌の注文を受けて発送する」に特化したもの。4カ月にわたる講習を終え最終的に6名が卒業試験に臨んだ。

久しぶりの筆記試験に緊張気味の販売者

試験は実技と筆記の2通り。「筆記試験なんて久しぶり」という販売者は、皆がいくらリラックスさせようとしても「見えないプレッシャーを感じる」とそわそわ。思わず「なら、目に見える圧力をかけたろうか」と口走る私は本当にいい性格。

研修が始まった昨秋は、e-mailはおろかパソコンさえ触るのが初めてという人、ローマ字入力が理解できない人、キートップには大文字しか書いてないため小文字での入力ができない人...正直どうなるかと心配したものだ。しかし、いったん販売への応用の段になると、このおじさんたちはむしろ良い「味」を出し、ICTは主役ではなく、人を助ける従者であるという本来の姿が見えてきた。

試験中に突然現れたセキュリティの警告

パソコンのカレンダーは2002年になっていた

会場となった地域コミュニティセンターのPCの1台は、なぜか日付が2002年の9月5日になっていた。そのため、ウェブメールサービスに必須のSSL証明書の日付がおかしい!とアラート出まくり。見たこともないダイアログボックスの頻出に、可哀想な受験者はほとんどパニック状態。異変に気づいて覗き込んだボランティアも「セキュリティの警告」に顔面蒼白。しかし、証明書に本当に問題があれば、ほかの受験者にも警告が出るはずと気を取り直し、とりあえず別のパソコンに受験者を移動させて試験は継続。

図らずもこの一件で、想定外の事態に対応できない脆弱性が露呈してしまった。自力で解決できればベストだが、そうでない場合は然るべき人に助けを求めるのが正しい対処。訳も分からずクリックするような真似は避けなければならない。もっとも自他ともに認めるインテリの中にも、ことコンピュータになるとアウストラロピテクスと一億五十歩一億百歩、いやチンパンジーのアイにさえ劣るのではないかと思える人がいるから(師匠! あなたのことです、と公開書簡)、これは必ずしも恥じることではないし、ひとりだけこれで減点するのは公平を欠く。とはいえ、インターネットのジャングルに放り出して大丈夫かという懸念は残る。

第2部は企画室円のまどかさんによる、名刺の授受とメールにおけるマナーテスト。ここでも実技試験中にパニック状態に陥る受験生あり。自分のなわばりである売り場なら大丈夫であろうが。

なぜか合否判定には一介のチャランポランティアである私も加わり、むろん内情はここには書けないが、「成功経験を通して自信をつけさせることが大切」という基金側の熱意によって、全員合格となった。採点を甘くしたのではなく、むしろ厳しい採点で問題点を把握し、システム側でフォローしようという方針に納得しての同意。及ばずながらシャペロン役を買って出て成長を見守る予定。いいかげん「すべてか、無か」的発想から脱却しなくては。

そして、講座は修了したが、その成否はこれからのメール販売の結果によって判断される。

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2009/01/18

僥倖

所用で新宿に出た。用を済ませてJRに乗ろうとし、いつもならSuicaを使うのに、残額が少なかったこともあり切符を買い、改札を通ろうとしたその刹那、携帯電話が鳴った。会員になっているNPOの職員からで、新宿のカメラ量販店に来ていると言い、何か困ったことになっているらしい。電池の残量が心配だったし近いことでもあり、行って直接話を聞くことにする。

あと数秒遅ければ改札の中で、JRに貢がなければ外には出られなくなるところ(そうなったらわざわざ出たか分からない)。そもそもSuicaを使っていたら車中の人になっていただろう。それ以前にちょうど新宿に来ている時に電話をかけられたとは。実に運のいい人だ。

さて店で会ってみると、急ぎの印刷中にプリンタのインクが切れたので買いに来たものの何を買ったらよいのか分からない、と。参照するために持ってきたのは不幸にしてサードパーティーの互換製品

いま「不幸にして」と書いた。以前ならば「愚かにも」と書いただろう。間違いを指摘することと人格を否定することは別という主義なので、割と平然と口にも出していた。しかしこの一年で、不必要に人を貶める感情の起きることが減った。間違いは間違いだが、それが愚かかどうかはまた別の話と割り切れるようになったのだ(以前は反語的に「愚か」「馬鹿げた」と口に出したこともある)。それにはそのNPOの事務所に出入りしていた影響が大きい。別に怖い目に遭わされたわけではない。自分でもよく分からないが、そこの人たちのモタツキを見てもあまり苛立つことがなく、しばらくするうちに「辛抱強く」という形容さえ不要になるほど淡々と接することができるようになったのだ。この変化は対象が変わっても持続し、以前なら悪し様に痛罵していた人に対しても相当(当社比)寛容になった。

閑話休題。幸いにも私はプリンタの型番を覚えていたので、それを手がかりに純正品を探す。運良く互換インクも見つかった。

教訓



  • インク(に限らず消耗品)は最後のカートリッジを開封したら次を注文する(あれ?「この箱を開けたら注文」と貼っておいたはずだが)
  • インクはプリンタの型番で探す
  • 校正用や内部文書はインク節約モードで印刷する

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2008/12/27

やっとこさ年賀状の印刷が終了

思うところあって郵便ハガキによる年賀状を復活させた。

思うところとは、応援しているビッグイシューの広告を勝手に載せて宣伝しようという目論見。このことはビッグイシュー基金にも申し入れてロゴなどの使用許可を求めたし、mixiの関連コミュやボランティアメーリングリストでも呼びかけた手前、よもやここに来て「snail mail は出さない主義で」とは言えない。

結局、NPO法人ビッグイシュー基金からはロゴ使用の許可が出て、さらにボランティアが文字やQRコードを組み合わせたものを作ってくれた。しかし雑誌を出しているビッグイシュー日本のロゴは使えない。年賀状だから著作権法第30条(私的使用のための複製)を適用できるが、明示の許可が出なかった以上はためらわれる。

ならばプレーンテキストで、と作り出したが、NPOと有限会社の区分けが意外と難しい。もちろん法的には非営利組織と営利組織だから厳然と違う訳だが、この雑誌を定着・発展させようとする側からすると結構渾然一体となってくるところがある。これは今後の検討課題。結局、二つを併記した。

さて、宛名書きが面倒なので、コンピュータから出力することにした。

ラベル貼付は、印刷ミスを回避できるものの、やはりあまり美しくない。

そこでMS-Wordのはがき宛名印刷機能を使うことにした。

ところが差込印刷で宛名、はWord97でしか経験がない。Mac版Wordはずいぶんと様子が違う。なかなか思うように設定できず、なにしろ50円のハガキで試し印刷をする訳にもいかず、画面を見て呻吟することしばし。

一晩おいて、「例外データは別ファイルに分ければ良い」と活路を見出し、勇んで取り組みなおすと、なんと何もかもがうまくいく。

1枚は失敗したものの、両面の印刷を無事に終了した。

さぁ、あとは一筆加えて投函だ。ここでずれると悲喜劇勃発。

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2008/12/06

ベリファイで無駄足

バッファローの外付けディスク購入にお付き合いした。あまりにポータブル(向こうの責任者が「こんなに小さくて大丈夫?」と容量を心配した...あなたのPCの3倍は入ると言ったら驚いていた)なので盗難が心配。と、それは売る方も分かっているらしく、中にバックアップソフトと一緒に暗号化ソフトが入っていた。

暗号化ソフトの使い道は3つ。
1)ファイル/フォルダの暗号化
2)デバイス(ドライブ)の暗号化
3)デバイスの認証キー化(そのデバイス、たとえばUSBメモリを挿入しないとPCが起動しない)

で、運用を考えて2)デバイスの暗号化に使うことにした。しかし、手順がいろいろと面倒。ま、ちゃんとマニュアルを読めば良いのだが、そのマニュアル自体がPDFで提供されていて、しかもセットアップメニューから読むようになっている。つまりディスクの中を直接のぞいても、どれがなんのマニュアルか分かりにくい。そんなこんなで回り道の繰り返し。

とにもかくにも暗号化して使えるようになったので、次はディスクのバックアップ。ところがデータのコピーが終わってもなかなか完了しない。データのベリファイ(検証)にえらく時間がかかっている。5時間ほどかかって「失敗しました」と。凸(-"-)

ログを見ると、ベリファイに失敗したらしい。もしかして暗号化しているため? ベリファイなしに変更して再度バックアップ。時間的な問題でオーバーナイトにして帰ってきた。どうなってるかな。

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2008/11/28

CMSカンファレンス雑感

セッションはほとんど聞けなかったけれど、暇な時間にカタログをぱらぱらとめくったので、その感想など。

ちなみにCMSとはContents Management System、つまりウェブサイトに載せる内容(コンテンツ)を管理する仕組み。ウェブサイトがシンプルなうちは単純なファイル管理で済んだが、大規模化すると更新作業が複雑になってくる。一口で言えば、それを簡単に済ませようというシステム。

小規模なら「詳しい人」に任せておけるけど、いつまでも名人芸に頼っていると、名人がいなくなった時に困ったことになる。それに、ウェブには詳しいが業務の内容に無頓着でも困る。そもそも「自称名人」をどこまで信用できるか、という問題もある。

さらに会社や官公庁などでは公開する内容について決裁承認を受ける必要がある。それも、いつ・誰が・何を見て承認したのかの記録が必要。そういう承認フローを組み込むことが求められるようになった。

で、いろいろな製品が出ている。操作の簡便性を売りにしたものから巨大サイトの運用をアピールするものまで。わざわざ静的HTMLでの出力を強調している製品もあった。「簡単」のレベルも相手によってずいぶんと変わってくる。

基調講演で言われていたと思うが、CMSは自動車と置き換えることができる。トラックだってスポーツカーだってセダンだって軽自動車だって四輪駆動だってバスだって、みんな自動車。さらに同じ「乗用車」でも快適性を求める人と経済性を求める人とでは選ぶ車種は変わってくる(だろう)。そこを意識しないで「自動車」という言葉で会話を続けるととんでもない齟齬が生じる。

さて、パンフをいくつか見ていて目に留まったのが用語チェック機能。いわゆる機種依存文字のチェックをするのは当然(なのかな? JIS X 0213で解決したような... 音声ブラウザ利用者への配慮か)として、「不適切な語句」も検出すると言う。これが明々白々な差別語罵倒語不快語の類に限られるのか、たとえばお役所言葉も対象にするのか興味あるところ。

B2B(対業者)の会社なら、業務ページは専門用語だらけでも構わないが、たとえばIRページはそれではまずい。そういうチェックができたらウェブの日本語の品質は向上する。

あと意外にあるのは表記の不統一。それを固有名詞でやったら、これはもう誤りのレベル。世界的に名を知られた企業でもやってるんですね、これを。

ユーザーが辞書をカスタマイズできれば、理論的には各社の事情に合わせた用語チェック可能になるけれど、そもそもどんな用語の不統一があるかを把握していないと画餅に終わるでしょうね。

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2008/11/27

CMSカンファレンス2008

26日はCMSカンファレンスの助っ人に行ってきた。

先日のFITと同様、完全ボランティアベースのイベント。400人からの来場があると分かった時点で、ピーク時の人手不足懸念が急浮上。たまたま主催NPOの理事長を知っていた関係でお手伝いを申し出た次第。

「弁当は出ます」と念を押されたのは、ボランティアだが「“手弁当”ではない」という洒落か。そういえばFITチャリティ・ランも「アゴだけ」だったっけ。

で、前にもちょっと書いた通り、メインの仕事はクロークで、その他雑用もお引き受け。人様のお荷物を預かる仕事なので、派遣会社から経験者が呼ばれ、私はその補助ちゅうか補佐ちゅうか。

クロークというのは開演前と終演後はとても忙しいけれど、その間はとても暇。遅れてきて荷物を預ける人とか、途中で帰るので引き取る人とかはいるけれど、10時間半(!)の大半はじっと待機。幸いにも私は頼まれたり自分で見つけたりで、いろいろやることがあったけれど、派遣の人は契約上クローク業務しかできない。暇な時はひたすら座ってじっと待つ。でもさすがプロ、姿勢正しくきちんと座ってじーっとしていた。時々眠そうだったけど。

クローク業務のコツもいくつか教えていただいた。

この日の最終プログラムは、聴衆もビールを片手のパネルディスカッション。会場前にビールとつまみを用意した。ちなみに15g×4連×10パック×10箱の「堅あげポテト」を400個に切り離したのは私。


いったんテーブルに並べたビールをしきりに動かしている人がいる。何をしているのかと思ったら缶の向きをそろえている! そんな...と思ったものの、仕上がりを見せられると確かに美しい。感動のあまり写真を撮る人まで。
Cmsc01

ラベルがそろって分かったが、注ぎ口の向きはまちまち。つまり印刷の時に缶の向きは考慮されていないらしい(あとで聞いたところでは、製缶→ラベル印刷→ビール充填→蓋の順らしい)。ちょっとした発見である。別に何の役にも立ちそうにないが。

Cmsc02


ちなみに「安全装置を外した」成果の一つが、小汚い手書きのポスター。スポンサーから手提げ紙袋が提供されたが、「お持ち帰り自由」と明記されていないので「これ、もらって良いですか?」としきりに聞かれる。そこで急遽作成。フェルトペンがあれば良かったが、ないのでボールペンでしこしこと。

Cmsc03

ただ、あまりの見苦しさに、気づいた本部の人がプリンタできれいなものを作ってきた。やっぱり暴走でしたかね。あはは。f(^^)

肝心のカンファレンス。基調講演は外にいてもはっきり聞こえたが、その他のセッションは音も聞きづらいし、スライドも見えないしでタダ聞きはならず。ビデオはあるそうだが、また同じ時間を費やして聞くには根性が要りそう。

とまれ、盛会のうちに無事終了。内容面では何の貢献もできなかったけれど、まぁ「アクセシビリティ実現に必要」といわれる義侠心は発揮できたと言えるでしょう。


...仕事探しの糸口を、という下心は今のところ満たされておりませぬ。

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2008/11/12

メール誤送信を防ぐには

コラム誤メールを寸止めするグッドアイデアを考えてみた! を読んだ。

前にも書いたけれど、型通りのチェックはほとんど意味がない。

今回紹介された例では、いくらか工夫がされている。
 故意に「いいえ」と答えるべき問いを紛れ込ませる
 送信直前にマシンの反応を重くする
 音声で注意を促す

チェックの質問も定型ではなくて状況依存(文中に「ファイルを添付します」とあるのにファイルが添付されていない場合にのみ「添付忘れはありませんか?」と聞くなど)で生成された方が効果的。

送信ボタンを押したら一定時間経過後に送信(それまでは取り消し可能)というのが、効果の面からも実現可能性の面からも一番だと思う。

あとは「綸言汗のごとし」「覆水盆にかえらず」「ちびった小便は戻らない」と諦めることですな。状況を受け入れて、それから対処を考える。

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2008/11/03

規律は大切だ

メールとかインターネットとかを経験させていく過程には2種類ある。とにかく自由にやらせてみせる方法と、厳重に保護して規定通りに習得させる方法と。

世間では前者の方が受けが良い。だが、本当にそれが良い方法だろうか?

そんな議論の中でふと思い出したのが、ハシェクの小説『兵士シュヴェイクの冒険』に出てくる次の一節。記憶では規律の重要性を強調するのは将軍だったが、念のため岩波文庫(栗栖継 訳)を購入して確認したところ中尉だった。

しかし軍隊では規律というものが絶対に必要ですな。でないと、だれも人のいうことなんか聞かなくなりますからね。ぼくらの隊のマコヴェツ中尉は口癖のようにいつも言っていたものです。『このバカども、規律は絶対に必要なのだ。でなけりゃお前たちは猿のように木に登りかねないからな。お前たちは手のつけようのないバカどもだが、軍隊はお前たちをきっとまともな人間に仕上げるよ。そうだろう? なんなら想像してみるがいい。たとえばカレル広場の公園の木という木に、規律を失った兵士がひとりずつ登っている、という光景を! 何が心配といっても、わしにはこのことがいつもいちばん心配なのじゃ。』

もちろん、この中尉殿は揶揄されている。にもかかわらず、私には一面の真理があるように思えてならない。ろくな教育も受けずにパソコンやメールに慣れてきた人間が何をやらかすか、だいたい見当がつくし、実際に手を焼いてきたから。

幸いにも第一巻で見つかったが、残り三分冊をどうするかが課題。

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2008/11/01

インクの安全性?

インクジェットプリンタのインクは、水酸化カリウムが入っているので皮膚腐食性がある、と昔は言われていた記憶がある。

ところが最近のインクカートリッジを見ても、そういった警告・注意は見当たらないし、本体の取説にも見つからない。

まぁ、手についたら言われなくても石けんをつけて洗うのが普通だけど。(ときどき大胆な御仁を見ることはある)

最近は安全性が高まったのだろうか。

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2008/10/24

地球爆破作戦

ニューズウィーク(日本語版 2008.10.29)を立ち読みしていたら、レッシグがコラム冒頭で映画『地球爆破作戦』に触れていた。

米ソの軍事用コンピュータ同士が手を結んで人類を管理するという作品で、地上波放送で見た事はあったが、タイトルを忘れてしまっていたもの。いやぁ、こんなところで作品名と監督が分かるとは。

ちなみに原題はCOLOSSUS : THE FORBIN PROJECT。(しかし邦題はいかにもB級映画っぽくて関係者の見識を疑ってしまうね。名前を決めた連中は映画を見てないよ、きっと。)

MSNムービーでは間違って紹介されている。やっぱりマイクソソフトって糞ね、と思ったらgoo映画も全く同じ間違い。どっちかが他方をコピー、あるいは双方同じソースに頼ってるんだろうけど、しょーがねーなぁー。wikipediaを見ると、この8月にDVDが発売されたとの事。1970年の映画だけど、今でも見応え十分だと思う。慎重な人はまずはレンタルで。

最後の「君(フォービン博士)は私(たち)を愛するようになる」というコロッサスの言葉は、オーウェルの「1984」へのオマージュか?

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2008/10/17

思い込みの悲喜劇

とある単語を検索していて見つけた「教えて!goo」上の質問「手作りパソコンの価格が納得できません。」 。自称「詳しい人」が「買い換えるくらいなら作リましょう。」とPCを組み立ててくれたが、明細の内容が納得できないので金を払うのが躊躇われる、と言うもの(どうやったら「り」だけカタカナにできるんだろうな。)。

根本的なところ(リサイクルとリユースを混同)で勘違いし、誤った前提で(訳の分からない)疑問を提示した上に、口先だけは一丁前(“どうみても三流です”)という、それ自体が分析のしがいのあるケースですが、少し違った角度から見てみたい。

それは、ここでは蚊帳の外の「作った人」。親切で(下心はあったかもしれないが)、ひょっとしたら出血サービスをしているかもしれないのに、この言われよう(質問者からは“自称「詳しい人」”、回答者の一人からは“ろくなのはいません”)。最終的には誤解も解けて、“代金とは別に食事でも付けようか”と再評価されているけれど、無責任に煽る回答ばかりだったらどうなっていたことやら。当人の全く知らない所で展開というのが恐ろしい。PC組み立て素人にも内容が分かるよう、あるいはせめて誠意が通じるような詳細な説明をすれば良かったのだろうが、持ち出しを隠そうとした親切心が仇になったのか。

今回は、親切な人たちがよってたかって誤解を解いたので、喜劇に終わった(当人は「皆様から無知を指摘され、非常に悔しくも恥ずかしくもあります。」と悲劇のつもりらしいが)。だが、納得しないまま(質問すれば誤解も解けるのにそれをせず)金を払い、以後関係悪化というケースだって考えられる。作った方も、期待した感謝の代わりに手切れ金みたいな金の渡され方をして憮然とするとか。同じことはパソコン以外でも起きているだろうな。

あとで調べたら、あの記事は「パソヲタと一般人の意識ギャップ」の例として有名らしいと分かった。

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2008/10/09

何だこの広告は>Google

gmailで受け取った某女性からのメール。

スポンサーリンクつまり広告を見ると...

>好きな女を振り向かす方法
>興味のない女にしかもてなかった男が
>大好きな女を口説いた方法とは?

そりゃあ、感謝の念は述べられていたけれど。こういう広告がつく匂いがしていたのかな?

で、返事を書いたら、その控えには...

>5分で男が惚れる恋愛術
>この方法、好きな彼に試してください…
>5分後、彼はあなた意識し始めます

わけわからんぞ。明日は早い。もう寝よ。

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2008/10/08

つながるテキスト

Outlook Express(OE)で送ったメールで改行が消える、という相談を受けた。

Mac→Win だと、改行処理の違い(MacはCRのみ、WinはCR+LFなのでCR単独ではWinの改行にならない)で説明がつけられそうだが、そういう問題ではなかった。

さっそく検索してみると、OEの仕様変更が原因らしい。


Outlook Express で折り返し設定が有効にならない

解決策としてレジストリ編集が説明されているが、素人衆にはお勧めできない。

さらに調べると簡易な解決策が見つかった。
a)行頭に半角スペースを入れない。
b)自動改行の値を100とか200とかに設定し、手動で改行。

独立でも有効だが組み合わせれば完璧に近いだろう。自動改行は結構タコだし。

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文章解析の方が有効だろう

Google「真夜中のラブレター」を防ぐツールを公開した。名付けて「Mail Goggles」(ゴッゴルとはおなつかしい)。

しかし、記事を読む限り、その仕組みはあまりいただけない。

本当にメールを送りたいかどうかを問いただしてくれる。

これが大して役に立たない事はPCを使った事のある人なら分かるだろう。毎回出てくると分かっていれば、指が勝手にyを打鍵する。

それよりは「普段よりミススペルが多いようですが」「一般的には使わない方が良い言葉が使われていますが」「論理がねじれている可能性がありますが」という具体的な注意を伴った方が、考えてから判断するだろう。

スペルミスや罵倒語なら校正ソフトで検出可能。意味解析は難しいだろうが、「たぶん...に決まってる」のような論理破綻はなんとかなる。

問題は、普段から誤字脱字が多いとか論理的に整合性のない文章を書く人だと、メールが全く送れなくなってしまうか、チェックが甘くなってしまうこと。添削機能も付ければいいのかな。しまいには「直子の代筆」のGoogle版になったりして。

送信を止められて「良いですか?」と聞かれるとムキになる人も居るだろうから、「ただ今送信しています。週末なので時間がかかりますが、今なら中止できます」表示はどうだろう。本当に一分一秒を争うメールなんてそうそうないし、そういう時は電話をかけた方が賢明。

また自分がまともな精神状態かを判定するための、簡単な計算問題が表示される。

一から十まで数えさせるだけでもいいんじゃないのかな。

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2008/09/20

また、内臓がいっぱい


Viscera_hdd0920

いっぱいじゃなくて一つだけど。

http://www.nikkeibp.co.jp/style/secondstage/kenkou/katunou_080605_02.html
「内臓のハードディスクが立ち上がらなくなっても」

もちろん「内蔵のハードディスク」が正しい。


大石内助も冗談でなしに、それなりのサイトで見つかる。

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2008/09/11

Fetch5


マシンを新調したので、自分で入れたアプリケーションはついでにアップデートすることにした。

FTPソフトFetchは、使っていたのが4で今の最新版は5。シェアウェア料金は払ってある(1999年?のトルコ地震救援金になった)が、バージョンアップにも費用が発生するらしい。

ところがコースが複数あって、どれに該当するのかわからない。

幸い登録番号はすぐわかるので問い合わせ。1890円で済むといいな。

残念、3,150円(税込)との回答。3→4の無料バージョンアップをしていたらしい。

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2008/09/09

Macで録音

「アナログ音源をデジタル化する」のはストレージが安くなり音声ファイルの溜め込みが気楽にできるようになってからの課題であった。しかし原理的には簡単なはずなのに、やたら難しい解説を見るたびに心が萎えてしまっていた。


今般iMacを購入したところ、付属ソフトのGarageBandで録音と圧縮のできることが判明、古いラジカセのPHONES出力とMacのインライン入力をつないだところあっさりと実現した。

50分の講演が50M。フロッピーディスクや1200bpsの時代にはとても扱えないサイズだが、今はデータ便のようなサービスもあり配るのも楽。

あとは倍速で変換する方法の探求かな。

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2008/08/31

転ばぬ先のバックアップ

久しぶりにハードディスククラッシュで痛い目にあったので、データのバックアップを強化した。幸いMacOSX(Leopard)にはタイムマシーンというバックアップ機構がある。

だが、バックアップ先のディスクがクラッシュしたら? 基本的にハードディスクは焼香もとい消耗品と考えた方が良さそうだ。

価格もどんどん下がっているので、ケチらないのが正解のよう。100GBとか200GBの安いのを複数買って分散保存するのが賢明かと。

(信頼性が低くなったHDDは、消す踏ん切りはつかないけれど、消えればせいせいするデータを入れるのに使うとか。)

あとは外部のストレージ利用。これなら家が火事になっても床上浸水になっても泥棒にマシンを持っていかれても大丈夫。手軽なところではgmailで自分宛に送っておく。

なおDVDも安心はできない。粗悪品(価格は無関係?)だと数年でデータが読み出せなくなるらしい。それに10年後にもドライブが残っていると考えるのはナイーブすぎ(フロッピーディスクがよい例)。

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2008/08/29

新しいMacとデータ復旧と

メインマシンのPowerBookが壊れてしまった。

ハードディスクが認識されず、複数のディスク修復ソフトを使っても歯が立たない。

メーカー保証はとっくに切れているので修復業者に出してみたが、そう簡単には直りそうもない。そこでiMacを購入した。到着は明日の予定。一番安いタイプにしたがメモリを足したりUPS(ノートの時はこれが不要)を買ったりすると、それ相応に。

ま、人間万事塞翁が馬。

一方、データ復旧を業者に依頼したところ、失業してなくても個人には荷の重い見積金額が。

「じゃあ諦めます」と言ったら、あれこれ条件を付けて大幅減額してくれる。珍しい症例なので技術担当者がやりたがっているとかなんとか。義理と人情に弱いので「そこまで言うなら」と発注してしまった。(落ち着いて考えると変な話ではあるが)

ネットで評判を調べると、芳しくない噂はある。しかし最後のバックアップ後の空白を埋めるにはこれしかない。

もっと頻繁に取っておけばなぁ。

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2008/07/23

放熱板

いま使っているPowerBook G4 (12)は暑がり屋さんである。

AC電源で使っていると明け方でもファンが回りっ放しになる。

そこで解凍プレート(アルミの板)の上に置いてみたらと考えたが、あいにくとサイズが合わない。両端の縁が高くなっているので、密着しないだけでなく底面に偏った力が加わる恐れがある。大きな解凍プレートは...値段も「大きい」。

アルミホイルを敷いてみた。うーん、いまいち。

そこでアルミの板を買って来た。近所のホームセンターの方が安かったかもしれないが、値段を調べにいった東急ハンズで100×300×3の板が280円だったので2枚購入。

PowerBookの下に敷いてみたが...やっぱりファンはよく回る。ただアルミ板も程よく温かくなっており熱はよく逃がしているようだ。心なしかファンの回り方も緩くなったような。

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2008/07/06

ノートンで悪戦苦闘、シマンテックに感謝

師匠がPCのアンチウイルスソフト(私が入れたもの)を自力で更新しようとした。「更新期限が来た」という注意に従ったのは感心なのだが、プログラムを「式次第」と理解するような教養人、ぐちゃぐちゃにしたあげく「インターネットをクリックしても、ニフティが出ません」と訳わかめなSOSを発して来た。

もっともその救援要請自体がSkypeで、というなんともアンバランス。

Skypeが繋がっているということはインターネットにはアクセスできている訳だが、そういう基本中の基本のキがわかっていない「文明社会の野蛮人」なものだから、「どうやったら「インターネットをクリック」できるのか教えてください。」と頭痛のして来るような質問。おもわず「闘わないプログラマ」の「おしえて下さい」を思い出す。だが、そう罵ったところでカエルの面に水なので、グッと堪えてとりあえず代替ブラウザが利用できることを確認させ、後日訪問することに。

2日後、訪ねてみる。IEでのみDNSエラーが出るが、ぱっと見たところ設定に異常は見つからない。WindowsXPなので面倒くさくなって「システムの復元」をかけると無事開通。

それで終わりかと思うとノートン360をインストールしてくれと言う。不用心に地雷を踏みまくり、PCをスパイウェアの巣にするような人だから無防備状態にはできない。そこで2つもダウンロードされているセットアップソフトの1つをダブルクリックしてインストールしようとすると... 古いノートンアンチウイルスを削除しろという。既に削除して再起動も済ませているのに「削除しろ」の一点張り。どうしたものか...

幸いにも勧められるままに「ノートン・スタートアップサービス」を購入していたのでIEを起動し(直しておいてよかった)、怪しいActiveXをダウンロードしてからシマンテックに電話をする。

これはリモートアクセスでインストールと設定をしてくれるサービス。事情を話して、あとはお任せ。ただし、リモートアクセスが中断した場合に備えてそばに待機。見ているとremoval toolを使って旧製品の削除を始めた。驚いたのは再起動してもリモートアクセスが維持されていること。可哀想なのは、何かするたびにSpybotが「変更を受け入れるか?」と聞いて来ること。これは判断に迷うだろうと、介入。その後、インストール作業に入ると「内部エラー」が頻発している。わぁ、自力で取り組まなくてよかった。

サポート受付時刻をとおに過ぎた頃にすべての作業が終了。お礼を言いたくてメモ帳を起動して「ありがとう」と記入しようとしたが、鈍いPCがもたもたしているうちに接続が途切れてしまった。

というわけで、ここに感謝の意を記す。2100円でよくやってくださいました。

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2008/06/15

47点!

greeで自己紹介を書いていて、「インターネットにおけるルール&マナー検定」をしばらく受けていないことに気がついた。


ところが「大人版」は現在受け付けていない。

そこで通年実施の「ビジネス版」を受けてみた。

結果は47点(50点満点)。
モラル(5問中)  :4問(正答率:80%)
マナー(10問中) :10問(正答率:100%)
ルール(15問中) :14問(正答率:93%)
安全利用(15問中):14問(正答率:93%)
スキル(5問中):5問(正答率:100%)

間違えた一つは「会社のパソコンでウェブを利用する際、社員が理解しておくべき責任について、適切なものをすべて選びその組み合わせを選びなさい。」という問題の「会社において利用するパソコンは会社にとって重要な資産であるため、パソコンを大事にし、ウェブの利用によって汚れたり傷がついたりしないように注意しなければならない。」という怪しい選択肢。

ウイルスやスパイウェア感染も「汚れたり傷ついたり」に該当すると考えて適切に含めたが、解説には「ウェブの利用はソフトウェアによって行われるため」とつまらない常識論。きれいなパソコンの解釈が限定的だ。

「パソコンをきれいにしましょう」と言われて、雑巾がけだけをする人と、修復や不要データ消去もする人、どっちがビジネスパーソンでしょうね。

とアンケートに回答しておいた(もうすこし紳士的に)。

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2008/05/15

内臓がいっぱい

エスカレーターの内部は内臓と言うらしい。


駆動の仕組みに「スイッチ内臓」などと書かれている


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2008/05/05

amazonで古書を買う

クレジットカードを持っていない師匠の代わりにamazonで買い物をした。

版元品切れ(いわゆる絶版)のためマーケットプレイスで買うしかなく、そこはクレジットカード支払いが原則の模様。

ま、もらったリストで検索をして、最安値のをクリックするだけのはずだったが...

まず書名が間違っている。凸(-"-) ベット(bet)じゃない、ベッド(bed)! バック(back)じゃない、バッグ(bag)! ったく、「言葉の専門家」が聞いて呆れる。

次に、なぜか同じ本が2冊欲しいというので続けて購入しようとしたら、1点ものだと断られる。

計5冊を苦労して3店舗で調達したのに、送料は1点ずつ発生。まとめて発送するなら安くしてよ。

かくして本体価格合計560円に対して送料が1700円。支障、怒るかな。

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2008/04/19

pdfを分割印刷するには?

今日から始まるアースデイに、明日の午後から助っ人で参加することになった。

ところが会場地図というのが「A2データです。プリントアウトするときは、縮小、または分割して」という代物。

A2判というと新聞紙1ページの大きさ。ポスター用のデータ流用かよ。

いろいろ工夫してみたがA4用紙2枚に分割するのがやっと。さすが1ピコリットルのインクのせいか、文字の潰れはないが、それでも大幅に縮小されていて読みづらい。せめて100%サイズにしたいもの。指定サイズの用紙に分割印刷する方法ってあるのだろうか?

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2008/01/03

wikipediaに寄付

wikipediaというものがある。記事の信頼性はブリタニカ百科事典並みというNatureの報告を覚えている人もいるだろう。一方で、wikipediaをレポート等の出典としては認めないと決めた大学(文字化けしたらコードをEUCに変更)もあるらしい。といっても「見てもいけない」というのではなく、調べもののとっかかりにするのは構わないが答案や課題レポートに典拠としてあげるのは不適当と言う、ごく真っ当な措置。

なお、注意してほしいのはいずれも英語版の話。言語人口が多く、編集可能な人が世界中にいる英語版は、もちろんおかしなことを書き込む手合いもいるけれど、もっと多くの良識ある人々によって守られている。日本語版の正確性についての研究は知らない(間違いが多いと感じている人は多いようだが、残念ながら感想の域を出ない)。


wiki信奉者としてはこのような試みを応援しないわけにはいかない。今までは明白な誤りを見つけた際に修正するくらいだったが、より積極的な関与を年頭に決めた。

というわけで、今すぐ寄付!ボタンをクリック。英語のページになってしまったがなんとか寄付に成功した。ただ、電子証明書をちゃんと確認したなかったのは反省材料。

終了後、paypalへのアカウント作成を勧誘されていたようだが、「ワタシ、エイゴワカリマセーン」で戻ろうとしたらwikipedia財団のページへ誘導されて、以下のメッセージを頂戴した。


Without the support from people like you, Wikipedia and the other Wikimedia projects would not exist. Thank you for your support!

not exist(存在できない)をnot exit(退場しない)と読んで、一瞬「???」となってしまった。私の寄付で退場してしまう!?

とまれ、編集に続いて寄付という関わりを持った。次はアカウントをとり、編集の議論に参加するかどうか。これはもう少し考えてみよう。

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2007/12/24

Googleで7位をキープ

Googleで7位に喰い込んだ「オープンスクール」での検索で上位表示をねらったエントリーは、24日になってもその順位をキープしている。当分は安泰?

さらにYahoo!では75位と急上昇。

季節的な要因もあるだろうけど、学校サイトでもないのに良いのかなぁ。インチキSEOはしなくて良いので、学校のウェブページはちゃんとしたHTMLで作ってくださいね>関係者

そうすればこのように検索されやすくなる、というのがこの実験の仮説でありかつ結論なのです(みんながみんな、ちゃんとしたHTMLを使うようになれば競争は次の段階に進みますが、その時まだ「見出し要素なしでfontタグ使用」なんてやっていたら一人負け確実ですよ)。

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2007/12/15

Googleで7位

「オープンスクール」での検索で上位表示をねらったエントリーは、浮沈を繰り返しつつもとうとうGoogleで7位になった。またすぐ落ちるかもしれないので記念撮影。

画面:googleで7位

一方、yahoo!では548位と低迷(並みいる学校サイトを押しのけているのだから健闘といえるかも)。

画面:yahoo!では548位

どちらも記事そのものではなくて、ブログのトップページなのは@niftyの御威光だろうか?(被リンク数が多いなど)

また、スニペット(snippet)がこちらで用意した概要ではないのも気になるところ。

いずれにせよ、ちょっとしたSEO施策で検索上位が可能になるほど、この分野(学校関係)はSEOが未普及と言えるようだ。

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2007/12/08

オープンスクールSEO実験第3報

オープンスクールSEO実験第3報。「オープンスクール」に加えて固有(と思われる)単語をキーワードに検索するとYahoo! にも拾われていることが分かったので、執念で下位を辿ると769位で当ブログトップが登場した。

ちなみにYahoo!では「オープンスクール」で606,000件ヒットする(表示できるのは1000件まで)。わずか2日で、ともかくも表示圏内に喰い込めたのだ。新しい情報が優先されるということはあるだろうし、オープンスクールは既に旬を過ぎたキーワードかもしれないが、学校の広報関係者はこの事実をどう思うだろうか。

なお、Googleでは137,000件の33位。どうやらGoogleへの方が効果的だったようだ。

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オープンスクールSEO実験続報

オープンスクール検索で上位表示をねらった木曜のエントリーはGoogleで早くも32位に登場した(いま確認したら33位)。Yahoo!にはまだ登場しない。さて、どこまで上位に行くだろうか。

面白いのが、Googleで表示される概要が、こちらで用意したものではなくて本文中からとられていること。

具体的な校名なしで「近々オープンスクールをやる学校は近所にないか」というのが目的ならば、単に「オープンスクール」一語で検索するのでなく、

キーワードは「オープンスクール」一語。当然、第一段落から登場させているのに、なぜここが概要として引用されるのであろうか?

このエントリーからトラックバックはしているが、インチキSEO(身内相互リンク)はしない方針。

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2007/12/06

オープンスクール

私立学校にとってオープンスクール、つまり学外者に校内を見せる行事は、受験生、もとい生徒募集において重要な位置を占める筈。

ところが「オープンスクール」をキーワードに検索して上位表示される学校サイトのソースを見ると、SEOの形跡すら見られない。なにしろほとんどがテーブルレイアウトで見出し要素がないのだ。

これなら、ちょいとSEOもどきをすれば、「オープンスクール」で上位表示できるのではないか、と考えてこのエントリーを書いている。

SEOといってもきわめてプリミティブ。titleとh3に「オープンスクール」と入れ、最初の「オープンスクール」をstrongに指定したくらい。あとキーワードを少々。

もし上位表示されてしまい、本当にオープンスクールの情報を求めている人を呼び寄せてしまったら申し訳ない(時期的にはもう大丈夫か)。罪滅ぼしにちょいとした検索テクを。

具体的な校名なしで「近々オープンスクールをやる学校は近所にないか」というのが目的ならば、単に「オープンスクール」一語で検索するのでなく、まず学校の種別(小学校か中学校か高校か)、それから地域、日付(いまから9月のオープンスクールの記事を見ても遅いので、「12月」「1月」)を組み合わせるとだいぶ絞り込める筈。また教育関係ポータルサイトを当たってみるのも早道かもしれません。

なにしろ辞書的には「従来の画一的・固定的な教育内容・学級編制の枠をなくし、子供の能力・関心に応じた自由な教育を行う学校。」(大辞泉)で、学校開放とは違いますし。そういう意味では「開催」「見学」「体験」などを絡ませて検索すると良いでしょう。

では実験開始。

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2007/12/02

戌・酉・申

犬鶏猿と鬼の絵を見て子供が「桃太郎」と答える話を紹介した。

桃太郎にはいろいろな異説があるものの、キジに替えてニワトリが供をするという話は見つけられない。

それどころか、本来はニワトリになるはずが敢えてキジにしたという説明が。

そして桃太郎は西北の鬼を退治しに行く。十二支で西方を意味する「申・酉・戌」を伴にした。「申は猿」「戌は犬」ですが「酉は鶏」というわけにいかない。なぜなら「菅公、道明寺の離別」に代表されるように、「鶏飼わず伝承」は天神信仰に大きな影響を与えていたので鶏は避けなければいけない。そこで大阪天満宮の表門に吊られた十二支方位盤が西の位置の鶏を鳳凰に代えたのと同様、桃太郎説話では鶏に代えて雉になった。
「天神信仰と鬼退治説話」

ふーん。まぁこれはこれで一段落。

ところが新たな謎が。実は先に別のブログで同じ説明をみつけたのだが、「菅公、道明寺の離別」の意味が分からなかった。そこで再検索したところも見つけたのが上記記事。

両者は一言一句同じなのだ。これと似た現象は前にも報告した。今回もどちらがコピーしたかは分からない(状況証拠からは上記引用がオリジナル)。御愛嬌なのは、実は一箇所だけ違う。最後の句点がないのだ。コピーし忘れたのだろうか。

もちろん引用は大切だ。だが、引用であることが明示されず、あるいは出典が示されず、あたかも自分の創作のようにするのは犯罪だ。小賢しく「少し変えれば良い」さえしないのは罪の意識がないからか。

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2007/11/26

GyaoとWindows Media Player

連休最終日、暇潰しと運動不足解消を兼ねて師匠宅のPCにご機嫌伺いをしてきた。

はじめ聞いたときは順調とのことだったが、雑談をしているうちに「そういえばこれを聞こうと思っていた」「あれを聞こうと思っていた」と出てくる出てくる。

その一つがGyaoで見られない映像があると言うもの。黒澤明の「夢」が見られないと。

GyaoはWindowds専用なので見たことはないのだが、とりあえず操作を再現してもらう。すると妙なアラートボックスが出て先に進まない。ほかの多くの映像は問題なく見られると言う。よく見るとDRMが云々と書いてある。つまり著作権処理で引っかかっている。

結論からういとWindows Media Playerのバージョンが古くなっていた。ただ、Gyaoの説明(下にちゃんと映像を再生できない場合の解説へのリンクがあるのに見ていない)通りではバージョンアップできないため、MSのサイトへ飛んでダウンロード。無事、見ることができるようになった。

師匠はまたしても「難しいねぇ」といじけていたが、確かにテレビに比べれば破格の難しさだ(コンピュータ操作としては並の下)。Gyao側は、どれほどの人が見ようとして諦めているかを把握しているのだろうか。

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2007/11/24

やっぱりマルチだった

以下は5月に書いたmixi日記から。この8月に経済産業省から業務停止命令(リンク先はPDF)を受けていたのを今さら知る。円天の破綻より早かった。新聞記事によれば「過去に東京都と福井県から是正指導を受けており、経産省は厳しく処分する必要があると判断した」とのこと。

先週、法事で父の郷里に行ってきた(厳密には祖父の郷里らしいが)。

そこで親類の一人がユナイテッド・パワーのセットトップボックス(STB)を売っていることを知った。
http://www.unitedpower.co.jp/rakuichi_top.html

「TVでインターネット」は、かれこれ10年近く前から現れては消えてきた。だが一向に芽が出ない。

ただ、「PCを使えない(使わない)」というのは私の想像を絶する世界なので(なにしろ携帯電話でインターネットがここまで普及するとは思いもしなかったパソコン中心派)、もしかしたらまだ商機はあるかもしれない。

とはいえ、この仕組は怪しすぎる。いやWindowsCEの話ではなくて、まるでマルチ商法なのだ。それに気づいたのは本人が居なくなってからだったので、叔母にはそれとなく「怪しいよ」と伝えるにとどめたのだが。

いろいろ大人の事情があるらしい。うむむ

私が「オヤジのオウム真理教」と呼ぶ船井幸雄がここの社長と本を出している。あんた「能ない脱税」で懲りたんじゃないのかよ。アマゾンの書評はこてんぱんだが、これならまぁ「年内に破綻」ということはないだろう、たぶん。(ん、本が出たのは2004年か... そろそろ刈り入れ時?)

(帰ってきたその日、ちょうど「円天」が報道番組に取り上げられていた。円天といい、楽市といい、楽天のパチモンみたいな名前を良くもまぁ恥ずかしげもなく...)

(「楽市」は楽天の「楽天市場」をパクったものではなくて「楽市・楽座」からという可能性もなくはないが)

あらためて調べてみると、3年くらい前には既に「教えてgoo」に相談が載っていた。また去年の3月には中身の無いITとネットワークビジネスで人々を陥れる企業「ユナイテッド・パワー」というセミナーレポートが公にされている(5月のときは見なかったような)。こういう「自らが本気で体験したことがないのに、良し悪し言うは、愚なりけり」なんて中傷にめげない人を大切にしなければ(幸いニフティからの削除要請も出なかった模様)。

今にして思えば親戚へ「もう一押し」しておいた方が良かったなという反省があるので、業務停止で一安心。詳しくは書けないけど、野放しだと相当まずい結果を招来しかねなかったから(手遅れになっていなければ良いが...)。

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2007/11/23

W-ZERO3を買う

放置状態のウィルコムのPHS契約を活用するためにadvanced/W-ZERO3[es]を購入した。

写真:シャープのPHS端末WS011SH

モバイルコンピューティングを始めたころの携帯電話は帯域幅9.6Kで、メールの送受信だけならともかくWeb閲覧には力不足。対するPHSは64Kで、家庭用ではあこがれのブロードバンド、ISDNと同等だった(20世紀の話です)。

そこでTwo LINK DATA対応の通話先限定の端末を購入し、それなりに利用した。

ところがこれ、PCカードタイプ。メインマシンがPowerBook G4になったら使えない。スリッパなんかも買ってみたが、やはり利便性は低下する。そんなこんなで使わなくなり、月額980円(税別)ということや長期割引が発生していたこともあってずるずると契約だけ引きずっていた(新規契約の方が優遇されるのにね)。

次のBluetooth対応携帯電話とPEG-UX50の組み合わせは順調だったが、タイマーが起動したらしくデータや設定が吹っ飛ぶ事故が相次ぎ、バッテリも弱ってデータ通信をするとたちまち電池切れするようになり、これも引退。

相方を失ったA5504Tでしばらく用を足していたが、親指入力はどうも性にあわない。

QWERTYキーボードと移動体通信と無線LAN。この「三船の才」を備えた小型端末は限られる。で、advanced/W-ZERO3[es]。惜しむらくはWindows mobileということだが、標準ブラウザがOperaなので我慢しよう。

1週間いじってみた感想。
○軽い
○シャツのポケットにも収まり携行性は抜群
○文字入力が楽
○通信費を気にしなければ大いに楽しめそう

一方で
●QWERTYキーボードのテンキーがプッシュホン配列なのは不可解
●華奢な感じ(特にキーボードのスライド)
●カーソルキーのスクロールが使いにくい
●QWERTYキーボードがやや小さく感じる(ただ、隣のキーを押すことは思ったより少ない)
●QWERTYキーボードを使う際にカメラのレンズカバーを触りやすい
●水晶体が固くなった身にはやや表示が小さい(メニューの字は拡大しない)
写真:小一時間問いつめたいキーボードのプッシュホン式数字配列

あと、さっそくSkypeを入れてみたが、なぜか「有効なPocket PCアプリケーションではありません」とインストールできない。

次の目標はこれにオーディオブックを入れて、通勤時間の有効活用。

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2007/09/25

LSDで幻覚を見ているアリが作った蟻塚

『ニールセンのアラートボックス』を読んだ。ユーザビリティーの研究者であるニールセンのコラム「Alertbox:Current Issues in Web Usability」の邦訳。

コラムの邦訳はネット上で読める。本書に収められていない最新のものまで無料で読めるのだから、ネットで読むのがお得だが、書籍には書籍の良さがある。第一に精選されている。第二に通勤電車の中で立ったまま読める。

とはいえ、もともとハイパーテキストで書かれたものを紙に移すと隔靴掻痒。本の欄外にURLを書かれても打ち込む気力は出ません。

また、信じがたいことだが、「プルダウンメニュー」と「ドロップダウンメニュー」という、同じものを指す異なる用語が混在している。実はドロップダウンメニューという言い方を知らなくて、疑問を抱えながら読んだのだ。内容からするとプルダウンメニューのようなもの?と思って調べるとその通り。その時は混在しているとは気づかず、ハイパーテキストなら用語解説も簡単なのに、と思った次第。

訳語の不統一はウェブにおいても見られる。どうやら訳者による差らしいのだが、ひょっとすると原文から異なっているかもしれない。原文に当たれば良いのか...

といった瑕疵はあるものの、ウェブを制作する人は(発注する人も)一度は眼を通しておくべきだ。

私が最も感銘を受け、そして痛くなるほど膝を叩きそうになったのは次の一節。

大部分においてウェブはLSDで幻覚を見ている蟻によって作られた蟻塚のようなものだ。多くのサイトが全体像の中では収まりが悪く、期待される標準から外れているため使いにくいのだ。
(強調も原文)

奇抜な独創は大概が空疎なもの。六角形の本を出して売れるのは宮武外骨くらいと心得るべきだ。才能があるものは五七五の定型でも独創性を発揮する。才能のないものが破調を気取っても駄作にすらならない。

考えてもみよう。自動車のアクセルとブレーキが車種ごとに左右違っていたらどうなるか。携帯電話のキーをテンキー式にしたり5×2列にしたりして受け入れられるかどうか。ユーザビリティーとはそれ自身が合理的であるとともに、事実上の標準から逸脱していないことも大切、と理解した。だから私はQWERTY配列で文字を打っている。

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2007/09/24

なんでジオシティーズ

先に「弁護士のため息」を論じて「橋下弁護士を提訴した今枝弁護士の説明だと言う。といって、それが本当という保証もないのが困ったところ」と書いた。

というのもブログがプロバイダ(@nifty)のものだったから。昔のニフティはクレジットカードを持っていなければ会員になれず、それなりの与信調査をクリア、少なくとも実在は保証されていた。ところが、今のココログはメールアドレスさえあれば開設できる。つまりオーナーは架空の人物かもしれない。

最近は金融機関の本人確認は厳しくなっているらしいので、金を払っているならば、少なくとも全く架空の人物ということはない。で、上記ブログ主である寺本さんは、事務所のウェブとして@homepageを使っているから、架空の人物ではない、とはいえる。しかし本当に弁護士なの?という疑問は残る(たとえば弁護士会の公式サイトがあって、そこに間借りしていれば、現役弁護士であることは保証される)。

その正体不明の人が「事務所に電話をして確認しました」と書いて下さっても「はい、そうですか」と信じるわけにはいかない。記事を拝読した限りでは本物の弁護士らしいけれど。

フィッシング詐欺なんてものを知っていると、ウェブの実在をやすやすと信じてしまう人の無警戒っぷりには呆れてしまう。逆に言うと、ネットで信じてもらいたければ、それなりの努力が必要。ネットショップがhttpsを使っているのもその一つ。

会社であればco.jp(取得するには登記簿謄本か印鑑証明が必要)、その他の法人であればor.jp(法人の登記簿謄本が必要)、私的グループならgr.jp(代表者の印鑑証明が必要)を取得することで、少なくとも「どこの馬の骨とも知れない」という怪しさは払拭できる。あるいは所属組織のユーザーベージを使うとか。

以前、何か政治的な運動をしようというメールを受け取った時、ホームページがジオシティーズだったので、そんな誰でも身分を明かさずに作れるようなウェブは信用されないと忠告したところ、「ジオシティーズはYahooというネットの一流企業のサービスです」みたいな頓珍漢を返されて絶句したことがある。

NTTは元国営で、日本の代表的企業であることに異論はないが、だからといって電話の内容が信じられるかは別問題。現にオレオレ詐欺なんてものがあって、いまだに収まる気配がない。イタズラ電話や脅迫電話も「NTTという日本有数の企業」のサービスを使っているのだ。

(別にジオシティーズにあるウェブがみんな怪しいと言っている訳ではありません。)


光市母子殺害事件の弁護人であり、またテレビで懲戒請求を呼びかけた橋下弁護士を提訴した今枝弁護士が自身のブログを開設している。それがジオシティーズなのだ。

すでに3週間を経過し、多くのところで紹介されているので、よもやニセモノということはないだろう。

しかし、偽サイトを作って支離滅裂な主張を展開して弁護人への敵愾心を煽るなんてのは、実に初歩的な嫌がらせなのだ。サイトを作るまでにはいたらなかったが、イラク人質事件で「ヒミツの大計画」に担がれたおっちょこちょいが多数輩出したことを忘れてもらっては困る。

ご本人も、今枝を名乗るニセモノの登場を警戒していらした筈なのに、よりによってジオシティーズとは。

また光市事件懲戒請求扇動問題 弁護団広報ページはライブドアのwikiを使っている。「広告をいれるのは無神経」と噛み付かれ、「有料で広告の表示されないページを使用するべきだというご意見であるならば,我々はそこまで配慮するべき必要性を感じておりません」と返しているが、誰でも弁護団を名乗って開設できるサービスを選んでいる事自体が無神経だと思う。

民事訴訟は弁護人じゃないということを知っていたら、「弁護団ホームページ? 素人の作ったニセモノじゃないの?」と思いかねない(本文中にはちゃんと代理人と書いてある)。

どちらも、せめて広島県弁護士会のサイトからリンクしてもらうとかすべきだ。

繰り返しますが、ジオシティーズやライブドアに開かれているブログ等が信用できないという意味ではありません。しかし成り済ましての開設が容易なサービスであり、イナゴに対抗する砦としては脆弱に思えてならない(サーバーは頑強だろうけど)。あれはあくまで個人用、趣味向けのサービスだと。

続きを読む "なんでジオシティーズ"

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2007/07/26

システム管理者の日

7月の最終金曜日は「システム管理者の日」だ。

もっとも公式なものではなく、USAの技術者が洒落で提唱したものらしい。新しいプリンタの導入で業務効率が向上したのを喜んだ社員たちが、導入を決めた担当者をプレゼント攻めにするというHPのCMに想を得て、それだったらシステム管理者だってプレゼントをもらう資格がある、という話らしい。

何年か前のZDnetかCNET Japan で読んだのだと思うが、いま探してもヒットするのはWikipedia くらい。


ともあれ、孤独で能力不足の管理者からわがままなユーザーに転身して、白馬にまたがったシステム管理者のありがたみを痛感している。金曜日には菓子折りの一つでも持って行こう。

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実験結果

blogを使った更新チェッカーの実験結果。

WWWCは、更新内容はわからないけれど、更新を見逃さない。サイズの変わらない書き直しとか、見た目は同じソースレベルの変更もチャッチ。

DiffBrowserは、変更箇所を通知してくれるのが特長だが、文字がパラグラフ単位で削除された場合は把握できない。またソースレベルの変更も見落とす。

はてなアンテナは、テキストレベルの変更は検出するが、見た目は変わらないソースレベルの変更を見落とす。


ちなみにココログはこの手の実験に向かない。「ココログからのお知らせ」が変わっていたため条件を統一できなかった。

実験が終わったのでコメント・トラックバックの受付を再開しました。

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2007/07/17

更新チェッカー

わけあってWebサイトの更新チェックツールについて調べている。いろいろな種類があるものだ。オーソドックスなのはheader情報を見て更新の有無を判断するもの。しかし、それでは十分ではないらしい。

よくはわからないが、header情報をきちんと返さないページがあるらしい。動的に生成されるページがそうだとか。動的に生成ってのは、要するに cgi? ブログ、掲示板、wikiだろうか。MTとかを使ってサイトを作る例もあるからブログブログしたページだけが要注意ではない。でも pukiwikiで試したら、ちゃんとLast-modifiedはブラウザが拾えた...そういう問題ではない?

さらに気になるのは、こういう更新チェッカーって、htmlだけ変化した場合も更新とみなすのだろうか。たとえば<:strong>の位置を変えたり、コメントアウトの位置を変えたり...

この記事を使って更新チェッカーの動きを調べています。まずは文字数不変の更新を検知するか。仮説では「しない」。

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2007/03/04

40年経って、新宿は今

不覚にもブログ更新が2ヶ月滞ってしまった。

昨年は年頭に「ブログに最低100エントリー」という目標を立て、クリアしたのは良いが、「2007年はハードルを上げて」と意気込んだのが失敗の元。

やっぱり初エントリーは年頭所感でしょうと思っていたのに、お屠蘇気分のうちに機会を逸し、新たな目標は「帳尻合わせのために集中書き込みはしない」だったのでますます書き難く。

一緒に止まっていたmixi日記は2月に勤務先で開いたセミナーでしゃべるのを機会に復活できたが、こちらは最長不倒記録更新中。

パソコン通信に熱中していた頃、「3日やったら止められないけど、3日止めたら止められる」と言われていたのを思い出した。

止めてしまうと早々に目標未達確定となるので啓蟄を機会に再開する。

さて、本題。

昨日、在米の知人(日本人)が母堂の一周忌と学生時代に師事した教官の退官記念講演に合わせて一時帰国したので新宿で飲み会を開いた。

彼とは生化若手の会(生化学若い研究者の会)で知り合い、turn overのゆっくりな連中で「年長組」を作って付き合ってきた。今回もその年長組4人衆+αで、いつものHHで飲む予定であった。

予定より少し早く着いたので、ルートを変えて花園神社に立ち寄った。ここは黒テント、いや紅テントか、が芝居をやっていた場所。神社とアングラという取り合わせが前から気になっていた。Wikipediaによると、かの「腰巻きお仙」に「『腰巻』では国体に反する」とクレームがついたり、神社総代会より使用禁止を通告されたりと、別にシンパでもなんでもなかったようだ。

もっとも公式サイトをみると


安永9年(1780)と文化8年(1811)には、大火で焼失した社殿を再建するため境内に劇場を設けて、見世物や演劇、踊りなどを興行して好評を博しました。花園神社と芸能の縁は、この頃から始まったものです。

と劇団公演には一定の理解があったことが窺われ、

戦後、甲州街道と青梅街道が交差する開かれた街「新宿」は、雑多なエネルギーに満ちた新しい文化の発信地になりました。花園神社は、そうした文化を育む役割も担ってきたのです。唐十郎らの芝居や、上々颱風をはじめ国内外のアーティストによるライブが行われる舞台として、親しみを持っている人も多いでしょう。

別に恥部とは思っていない模様。

さて、境内を歩いていて、ふと口をついたのが「新宿見るなら...」。これは唐十郎が新宿を引き払うときに言ったらしいから、上記の使用禁止を受けての「さらば花園!」にあるのだろう。

ところが困ったことに、正確な文言、特に続きが分からない。意味としては「新宿を見るなら今のうちだ。そのうち新宿は廃墟になる」なのだが、記憶を頼りにネット検索をかけると複数の説がある。

「新宿見たけれゃ今見ておきゃれ、今に新宿焼け野原」(amazon.co.jpにある森山大道の本のレビューほか)

「新宿みるなら今みておきゃれ。今に新宿、原となる。」(空とぶじゅうたんどこへゆく

「いまに新宿 原になる」(新宿'60sツアー

「新宿見るなら今みておきゃれ、今に新宿 原(はら)になる」(Re: J.ウッズは1947年生まれの「ベトナム反戦世代」

「新宿見たけりゃ 今見ておきゃれ じきに新宿 原になる」(日本映画専門チャンネル

「新宿見たけりゃ/今見ておきゃれ/じきに新宿/原になる」(焼け野原という異聞もある)という有名になったフレーズの出典が、この「月笛お仙」の続演を報じるチラシだったという事に今回初めて気がついた。」(『電脳・風月堂』(資料1)

最後の「電脳・風月堂」はチラシの現物(ただし10月の続演を報じる方ではなくて、8月初日を告げる7月のもの)があるので、おそらく一番正確だろう。ただ、そこをして「(焼け野原という異聞もある)」と注釈をつけている。

少なくとも「見るなら」「見たけれゃ」「今に新宿」は誤りと言えよう。また「さらば花園!」とも関係はない。

ちなみに前段があって、それはまた凄まじい。


「お仙」見たけりゃ

今見ておきゃれ

母ァ殺して 銭つくれ

(「母ァ」は「かかぁ」と読ませるのだろう)

打ち捨てられたチラシがよみがえるのはネットならではだが、不正確な引用が多いのもまたネットの欠陥(上に挙げたほかにも、明らかにうろ覚えというものが見つかっている)。

新宿'60sツアーは、花園神社でビラを読み上げたというのだから、その画像なり全文を載せてくれれば良かったのに。正確な読み上げであることを証明するためなら引用による利用として法的には許容される範囲内。

さて、40年経って、新宿は原にもならず、まして焼かれることもなかった。

続きを読む "40年経って、新宿は今"

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2006/10/09

パソコンをなめるな

いえ、有害物質が出てるとか、不衛生だとか、まして感電するとかいうのではなくて。つまり「甘く見るな」と。

例によって「阿」師匠、夜中にSkypeメッセージで「お聞きしたいことがあります」と来た。何事かと尋ねると、面倒を見ていた院生(在中国)から「パソコンを使っていると二時間くらいで動かなくなる」という相談が来ているらしい。そして「このような症状はどういうことなのでしょうか」。

そんなおしえて下さいみたいに、PCの名称もOSの種類もバージョンもなんもなしに聞かれてもねぇ。思わず「私は占い師ではありません」と返そうと思うも、かろうじて抑えて「まー、いろいろ考えられます」。と打ち込みつつ、そういえばWindowsUpdateでおかしくなるという話があったなと記憶を手繰る。

私「でも、情報不足で判断できません」
と時間稼ぎをしながらググっていると

阿「カーソルで全然動かなくなるということのようです、操作不能」
理解不能 (-"-)

阿「それでスイッチを切ると翌日又使えるが二時間くらいで同じこと、それが何ヶ月か」
なんだよ、最近の出来事じゃないんだ。それならWindowsUpdateの線は消える(そもそもやってなさそうだし)。

OSはなに? 直前の操作に共通性は? おかしくなり始める前に何かしていない? と定型質問を繰り出しているうちに何かが内部でプチっと切れた。

私「この辺がわからないと占い師を呼ぶしかありません。」

メーカーサポートに連絡したら10万円ほどかかると言われたらしい。原因が分からないから相手も高めに言っているのだろう。安くなる分には文句をいう人は少ないから。

で、元の相談者は買換えに傾いているようだ。しかしうっかり「考えられるのは WindowsUpdateの副作用、ウイルス感染、熱暴走、アプリケーションのコンフリクト」と述べたら食いついてきた。熱暴走らしいと。ところがその後がすごい。

阿「本人は、あなたのいう熱暴走というか、冷却が働かないのではといっています
扇風機がだめになって熱が上がるため、自動的に停止になるというのですが」
なんだよ、扇風機って。部屋の扇風機が停まって室温が上がっていると言う事?

私「扇風機? もしかして内蔵の冷却ファンの事?」

阿「ヒーターというのですか、冷却装置です」
こっちの頭が熱暴走しそう。中学英語をやり直せー。

私「ヒーターと言うのは加温装置です。冷却の逆。」

しばしコンニャク問答を繰り返し
私「冷却装置は動いているのか、いないのか。憶測不要。事実のみを。」

結局、冷却ファンの状況はわからないらしい。ファンが全く回らなければ、しばらく使用したら熱暴走するだろう。これはファンの不具合。ファンが回りっ放しになってマシンが動作しなくなるなら、異常な発熱とか吸気口の目詰まりとか別の原因が考えられる。ここでとうとう抑えていた一言。

私「私は占い師ではないのですけれど。」

するとあちらも逆切れしたのか、そーですかわかりませんか、てな捨て台詞。

ムッとはしたものの、書きかけた「これだから素人は困る」は消して、「OSもわからないのでは推測のしようもありません。」

続けて
私「OS(名称とバージョン)
セキュリティアップデート(WindowsUpdate)の状況
異常の発生する状況
おかしくなりだした直前にした事(ソフトのインストールなど)
ウイルスチェックの有無
ハードウェア構成」
質問をする時はこれくらい用意しておいて。

私「熱暴走であれば、稼働時間よりは負荷のかかり方に影響を受けます。がんがん使っていようがただつけているだけだろうが2時間で停まるなら、それは熱暴走ではないでしょう。ちなみに熱暴走の場合は、ファンが回りっ放しになってから起こります。」

私「停まる時に使っているアプリケーションや操作に共通性があるかないかも重要な情報。」

私「中国だと、ボットネットも可能性高し。」
全然信用していない。

私「CPUの稼働率も要チェック。」
パフォーマンスの調べ方はどうだったっけかな。XPから離れてはや半年。9x系列で[Ctrl][Alt][Del]は別の結果をもたらすしなぁ。

私「周辺機器を全部外すだけで改善する例もあり。」

私「実はハードディスクの空き容量が不足しているだけだったりして。」
どんなアプリケーションを使って何をしているかわからないけど、作業領域が足りないとか、Meだったらリソース不足とか、とにかく可能性はいろいろ考えられるのよ。

これが午前2時。そのまま放っておいたら、朝9時にメッセージ。

阿「朝、あなたからのチャットを見て驚きました。あなたが最後に書いた、「実はハードディスク空き容量が不足しているだけだったりして」というところ。それそれ、それかも知れません。」
こうやって目先の結論に飛びつくのが素人の悪いところ。むろん勘が的中ということもあるにはあるが、行き当りばったりに思いつきを試していると設定を戻せなくなって行き倒ればったりになる危険がある。可能性を一つずつ潰して行くのが結局は早道なのよ。義経の糊作りと一緒。

既にこの時の私の心理は月をなめるなと言った清水勇希さんに近い状態。ところが

阿「それともう一つ、パソコンが固まる直前に必ずカチッカチッという音がするそうです」

おーまいが。「ピッ」と鳴ったらご用心(これはMacの話だが)が脳裏に浮かぶ。

私「非常に危険な兆候です。ディスク交換がすぐにできないなら、重要なデータだけでもバックアップするようお伝えください。」

たぶん、ことの深刻さは微塵も伝わっていないだろうが、失われるのは私のデータじゃないしぃ。:-p (私も「半径3mの親切な人」なのだろうか)

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2006/10/02

テーブルの中の見出し

応募した会社の評判を調べていたら批判的な記述を見つけた。ある日記の2005年6月中の「こんな辞令を受けてみたい」。前半は誉めているのだが、最後になってきつい一言。

ところでこの会社ミツエーリンクスの概要を見ると、W3Cの会員なんだね。だけどth要素はご存知ないという・・・。

実際、会社概要のソースを見ると次のようになっている。

<table id="companyInfoTable" cellspacing="0" summary="会社概要">
<tr>
<td class="companyInfoTitle"><h2>商号</h2></td>
<td class="companyInfoDetails">株式会社 ミツエーリンクス</td>
</tr>

確かに商号の所はth要素を使うべき。セルの中に見出しが単独でと言うのも異様に思える。

もっともAnother HTML-lint gatewayにかけると85点で「よくできました」。えっと思って調べると、表組(th,td)は見出しの親要素なのね。

HTMLを厳密にチェックするならW3Cのvalidationサービス。結果は「This Page Is Valid XHTML 1.0 Transitional!」お見事。

ところで、会社概要の右下にWCAG1.0のバナーが貼ってあるけれど、これをクリックしたらvalidationするのかと思いきや...

それは良いけど早く連絡くれないか、と思っていたらメールが届いた。さてさて

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2006/09/30

Gmailで「ググる」は禁句?

gmailをお使いの方は試していただきたい。

もう「ググる」と言わないで!」というお粗末な記事がある。googleという語が「検索する」という一般語になると商標として保護されなくなるので、google社がgoogle someone(だれかについてググる)」といった一般動詞としての同社名の使用を厳重に取り締まる意向を明らかにしたというCNET Japanの8月の記事を後追いしつつ、あたかも日本語の「ググる」が問題になっているように読める記事。

そのこと自体はコメントで批判されているので、今さらここで取り上げるほどの事でもないのだが、件の記事を配信した「もう「ググる」と言わないで [nikkeibp.jp Mail 09/28 夕刊] 」、これをGmailで検索しようとして意外な事実が判明した。

タイトルにも入っているからググるで検索すると、なんとこのメールはヒットしない! 引用符まで含め「ググる」で検索すればヒットするので、別にgoogleがググるをキーワードから除外しているのではないとわかるが、ちょっと驚いた。

カギ(「」)付きの言葉はカギを外すとヒットしないのだろうか? たまたまその号の広告部分に「駆けつける」という言葉があったので「駆けつける」駆けつけるで検索すると、ググるの例にならえば後者はヒットしない筈が、両者ともちゃんと検索される。実に謎である。

ちなみに、元ネタを取り上げたbogusnewsのコメント欄は、さながらマイナー検索サイト総覧みたいの観を呈していて、ちょっと古いインターネットユーザーには実に懐かしい。

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2006/09/26

動物園か料理学校か

日経BPに「Dr.米山の活脳塾」という連載がある。書いてる事は至ってまともなのだが、それ以上に今日は脳を刺激してくれた。

ブラウザで文書を表示する場合、テキストに比べて画像が出遅れる事がある。その場合は代替テキスト(img要素のalt属性)が先に表示される。ちなみに画像の代替テキスト提供はアクセシビリティの観点から強く推奨されているが、「何を書いたら良いのか?」の理解が浸透していないせいか、未提供あるいは不適切なテキストはまだ多い。

さて、活脳塾である。21日の回は「旭山動物園から学べること」。ところが画像が表示される前に妙な文字列が目に飛び込んできた。サブリミナルと言うには十分に長く、料理学校へ云々が読み取れた。動物園ではないのか? シロクマをステーキにして食べてしまうのか?

すでにキャッシュに読込まれているのでリロードしても画像がすぐ表示される。そこでソースを表示してみた。

代替テキストは料理学校へ行こうだが、画像は旭山動物園


たしかに「料理学校へ行ってみよう」という代替テキストが書かれている(上図の上半分)。では、このtitle2_katunou_060921.gifというのはどういう画像か。それがなんと、「旭山動物園から学べる事」なのだ(上図の下半分)。

種を明かせば、料理学校は前回(9月7日)のテーマ。画像は入れ替えたけれど代替テキストの更新を忘れていた訳。

違和感を抱かせるテキストの瞬間表示と言い、代替テキストが軽視されている実例の提示と言い、なかなか脳を刺激してくれました。

なお、編集部にはメールで連絡済み。

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2006/09/24

へろへろ

ご引退のキーボードカバーpku-free2。よく使うキーのところがクレーターのよう。わずか数日の使用でこれ。指先から何か出ているのかしら?

Pkufree2

新しいカバーは薄いし接着剤付きなので密着する。

Purewrapkey

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2006/09/23

キーボードカバー新調

先日購入したばかりのキーボードカバーが早くもへろへろになってしまったので買い直す事にした。

家電量販店で探すと、まずPC(Win)売り場にはエレコムとサンワサプライ。サンワはポリウレタンとニューシリコンの2種類だしていて値段がかなり異なる。エレコムがシリコーン変性熱可塑性ポリウレタンエラストマーだったのでニューシリコンの方が良いだろうか。

念のためにMac売り場にも足を伸ばす。早くもMacBook用のものが出ている。と、PowerBookG4も対象に含まれていた(キーボードサイズは同じなのかな)。なんとなく見覚えのあるMicro solutionのPure Wrap Key #01を980円で購入。

家に帰って取り付けてみるとこれこれ、これですよ。薄く(0.05mm)て丈夫。素材はアジペート系熱可逆性ポリウレタンエラストマーとある(可塑性の誤りだろう)。アジペート系熱可塑性ポリウレタンエラストマーの特徴はとくに耐摩耗性、耐油性に優れているとのこと。発売は2003年。結構新しいんだ。えーと、G4PB買ったのはいつだっけ?

とまれ、お薦めの一品です。楽天でも購入できます。

MicroSolutionPURE WRAP KEY #01 [PWK01121]
リンク先:http://item.rakuten.co.jp/plusyu/34292/

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2006/09/19

キーボードカバー慎重

ノートパソコンのキーボードカバーを新調した。以前はキー配置に合わせた専用のものを使っていたが、よく使うキーの辺りがすぐフニャフニャになってしまい頻繁に買換えていた。数年前にフリーカットのシートに変更したところこれが快適。ところがさすがに長く使っていると、またAキーの辺りが破けてしまった。そこで買換えようとしたが包装が残っていない。しまった製品名もメーカーもわからない!

買った店は見当がついているから、そこへ行けばたぶんある。が、無精をしてネットショッピングで探してしまった。検索すると似た商品がいくつかある。無難に最高級品を選ぶか、僥倖狙いで最安値にするか。緊縮財政中ということもありエレコムのPKU-FREE2を選択。

大仰な包装で到着したカバー

結論から言うと失敗。まずPowerBookG4(12inch)のキーに貼付かない。そしてうっかりゲームに熱中したら早速カーソルキーがふやけてしまった。カバー選びは慎重に。

せめてもの慰めは、端切れで温水洗浄機付き便座のコントロール部分を修繕できた事。

Panel_1

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2006/09/07

アックゼロヨン・セミナー「アクセシビリティ」

mixiのWeb Accessibilityコミュニティでの告知を見てアックゼロヨン・セミナー vol.4に参加した。

講演は、ウェブ制作会社(と言っていいのかな?)のミツエーリンクスとWebサイトのアクセシビリティ対応支援のインフォアクシアから。

ウェブのアクセシビリティ(利用しやすさ)はデザインと対立するものと捉えられがちだった。また「それを高めると儲かるの?」という抵抗にも遭ってきた。

生真面目な人は機会損失を減らせるとか説明するが、プロは違う。「儲かるか儲からないかは中身次第」 つまりアクセシビリティがどんなに高くても、つまらない物は読まれないし、悪い品物は売れない、と。全盲の演者は「mixiはアクセシビリティが低いけれど読みに行きます」とまで。まぁ、中身が同じならアクセシビリティを高めておいた方が多くの人に読まれ、商機に恵まれるに落ち着くのだけど、「アクセシビリティ至上主義(これだけやれば十分)」を警戒しているのだろう。

さて、最初はミツエーリンクスのお二人。辻さんは全盲で、スクリーンリーダJAWSを実際に使ってみせた。視覚障害者が聞き取れる速度は晴眼者の3倍程度と読んだ事はあったけれど、実際に高速読み上げモードにされると何を言っているのか皆目見当がつかない。速聴の訓練に使えるかな?

中村さんの話は本家にお願いするとして(追記参照)、感心した点を2,3。

さすがTim Berners-Leeはお見通し。
Opera9のCSS3対応(speech module)は使えそう。
Firefoxに音声読み上げ機能を付加するFire Voxのサイトで、開発者についてを読もうとすると「まだ読んでるの? はよダウンロードしなはれ(意訳)」とあるのに笑った。有償版は英語のリスニングに使えるほどの品質だと言う。

辻さんはしきりに「障害者用に別物を作るな」と強調していた。つまりそれは差別であるという事だろう。それに呼応してフロアの車いすの女性が「それは車いす用トイレに通じる」と指摘。よくわからないけれどなんとなく「なるほど」という感じ(車いす用のトイレを車いすでない人が使うと文句を言う人がいるらしいが、あれは車いすでも使える普通の公衆トイレだそうだ)。

またユーザも努力が必要(音声ブラウザ等の機能を使い倒せ)とは、確かに「読めない、使えない」と拗ねていても事態は改善しないから正論なのだが、これを健常者側が言ったら、やっぱりダメだろうな。

イメージ要素やアンカー要素でのalt属性やtitle属性の使い方は難しい。しかしアイドルの写真だけを載せるサイトで全盲者へのアクセシビリティをどう保証するかと言うフロアからの質問に私は絶句。「なんのために?」 でも見えなくてもアクセスしたいのだろうなぁ。それがファン心理と言うものか。そういえば昭和時代の話になるが、プレイヤーを持ってないのに気に入った歌手のCDを買った事があったっけ。あの時「どうせ再生できないだろ。CDプレーヤーを持ってない貧乏人には売らない」と言われたら傷ついたよな。それはさておき、辻さんは「作り手が写真で伝えたい事を代替テキストに書いてください」と回答(したように思う)。なるほど、杓子定規は良くない訳だ。

インフォアクシアの植木さんは経歴から話し始めた。アレぇ、スタートは大して違わないのにこの差はなんだ。ウェブの魅力に開眼したにもかかわらず田舎道場のうるさ型でくすぶっていたのが失敗であったか。

大規模サイトのリニューアルの話は実践的だった。「あんた達はわかってない、ダメだ」と文句を言うのが目的ではなく、アクセシビリティの高いサイトを作るのが目的。それを見失うとただの小言幸兵衛になってしまう。

最後はパネルディスカッション。パン屑ナビゲーションが否定されたのにはショック。あれを見た時には「これだ!」と思ったものだが。ひょっとしてホームページから辿る事を前提にしていないだろうか。検索エンジンでいきなり奥のページに来た場合、パン屑は大いに役立つと思う(というか、グローバルナビゲーションだと関連情報を探すのは難しい)。

ちなみに私がセットしたのは
ホーム>2つ上の階層>1つ上の階層>ここ
という形式。最後を「今いるのはここ」とすれば紹介されていた"you are here"に通じるだろうか。冒頭に「現在位置:」よりは良いと思うけど。

ホームと言えば、「ホーム」「トップ」などの、当たり前に使われている言葉は通じているだろうかと言う指摘があった。先日、テレビで苦闘するコールセンターの様子を放送していたが、あの話の通じなさっぷりから推して、ホームに戻ってと言われてブラウザのホームボタンを押している感じ。そういえば、何度も書くが我が師匠「阿」は、プログラムと言う言葉を式次第と理解していて、コンピュータプログラムの省略形で使うと話がまるで通じない。支障、プログラマーって司会者だと思ってたんですかぁ?

閑話休題。主催者の森川さんは、昔は使えない奴が悪いで済まされたが、今では自分らの父母も使う時代、爺さん婆さんにわかるよう作っているかと問いかけていた。

最後にアクセシビリティ実現に必要なのは義侠心、とまとめられていたが、もう少しドライでも良いのではないだろうか。

先日の論述試験で提出したウェブの品質管理で、解決策をほとんど「W3Cに準拠した制作」とした妥当性が裏付けられて満足。

追記

辻さんの参加報告が発表されていました。

アクセシビリティに興味のある方は別のセミナーの報告もご覧下さい。

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論述試験だった(ウェブの品質管理)

某社の面接。時間がかかるというので噂にあったSPI( synthetic personality inventory:総合適性検査)を覚悟して臨んだが、クレペリンテストみたいなのとY-G性格検査みたいのが前菜で、面接が終わると論述試験が待っていた。A4の紙2枚に問題が1行ずつ。時間は一時間程度。

●ウェブの品質管理上で起こりうる問題点とその解決策を述べよ
●ウェブプロモーションで起こりうる品質管理上の問題点と解決策を述べよ

記述式なら何とかなるが、論述式は昨春のシステム管理試験で露呈した弱点。書くべき項目は湧いて出るが、どう整理するか。

試験後のメモに後知恵を加えながら再現すればこんな感じ。エピメテウスだなぁ。とにかく書き上げるのに必死でコピーをとるのを忘れていた。落ち着いて対処できなかったって事は不合格の可能性高し? (T_T)



ウェブの品質管理上で起こりうる問題点とその解決策を述べよ


ウェブ制作上の問題はI.新規制作時とII.更新時にわけた。前者をさらに、1.制作者の環境に起因する問題、2.閲覧者の特性に基づく問題、 3.その他に分類。

1.の典型は「Windows版IEで見栄えしかチェックしない」作り方(モニターは17インチ液晶?)。だが世の中にはいろいろなブラウザがあるし、バージョンアップも行われる。小手先の技で見栄えを調整していると閲覧環境が変わった際に不具合が出かねない。モニタはデスクトップで巨大化する一方、モバイル機器の小さな液晶での閲覧も増えてきている。携帯電話ではブロードバンド前提のサイトも利用しにくい(PCサイトを閲覧できる携帯電話は増えてきている)。

解決策としては、W3Cに準拠した制作、UAの振り分け、定期的なサイト更新。


2.の実例として小さく固定された文字(高齢者や弱視者)、コントラスト弱い配色(色覚障害者)、小さいボタンや動くボタン(高齢者や肢体障害者)、説明のない専門用語や一般化していない外国語の使用(児童、高齢者、知的障害者)を列挙。

解決策としてはやはりW3Cに準拠した制作(障害者用UA開発の基準だから←書き漏らし)。そしてバリアフリー的対応ではない、ユニバーサルデザインの導入。

3.その他は思いつきの列挙。ローカルファイルの参照(実際にある)、誤字・脱字・誤変換。慣用句や敬語の誤用は「無教養」と一刀両断。また、うまく書き表せなかったが、googleなどにより単独で取り出されて閲覧される(ナビゲーションが別枠にあって役に立たないなど)。
 解決策:
 アップロード後のチェック。
 経験者による校正。
 統一フォーマット。

II.更新時に起きる問題

 ファイル単独で起きる問題
 修正の誤り(漏れ、過剰削除、位置誤り)。
 文字コードの不一致。
 Doctype宣言との不一致(新しい要素の使用)。

 ファイル相互で起きる問題
 デッドリンク。
 どこからもリンクされない孤島ファイル。
 修正漏れで旧ファイルへのリンクが残る。
 共用していた画像の変更で忘れていたファイルで不具合発生。
 消したファイルがgoogleキャッシュやInternetArchiveで参照される。

 解決策:
 リンクチェッカー。
 サイト構造の論理化。
 不要ファイルはすぐに削除せず、新ファイルへの誘導など内容を変えて残しておく。


ウェブプロモーションにおける品質管理上の問題点と解決策を述べよ


 UAのミスマッチ。たとえば携帯電話によるアクセスが多いのにPC版しか作っていないなど。
 データに基づいて事前予測を行う。開始後UAを含むアクセス解析を行う。

 最終ページまで進んでもらえない。
 アクセス解析で動線を追い、不自然に長く滞留するページ、戻ったり他サイトへ行ってしまうページを発見したら原因を究明する。ありがちなのは説明がわかりづらい、質問が多すぎる、内容がセンシティブなど。
 また当該ページでアイ・トラッキング調査と利用者インタビューを行う。

 予想を上回るアクセス。
 内容が反発を招き、2ちゃんねる等で「祭り」状態になると自然発生的DDoSとなる。また意図的な攻撃も招来する。アクセス解析を継続するとともに、テクノラティなどで評判をチェックする。blogでの取り上げ方が好意的かそうでないかを解析するサービスがある。


結局、心理テストのせいか社長面接のせいか、はたまたこの論述のせいか、不採用と相成りました。悔しいので別の会社の応募の際に、日本語環境がなくても見られるFlashムービーが海外で人気を博しアクセスが予想を上回る可能性などを加えて再利用。

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2006/09/05

通信の秘密侵害に当たるのは

日経のIT Proには「腕試し」というクイズがある。8月29日のお題は「以下のケースのうち,「通信の秘密」を侵害しているとして問題となるのはどれでしょうか」。

四択のうちそれらしいのは冒頭の二つ。
1. プロバイダがネットワークの安定運用の目的で,P2Pファイル共有ソフトの通信を識別してトラフィックを絞るためにパケットの中身を解析すること
2. 企業のネットワーク管理者が情報漏えいを防止するために,従業員の許可なくメールの中身をチェックすること

今春、NTT系ISPのぷららがWinnyの通信を遮断しようとしたところ、総務省から違法である(通信の秘密の侵害に当たる)可能性が高いと指摘されたのは記憶に新しいところ。

というわけで自然、1.を選んでしまったのであるが、正解は2.だという。

調べてみると、ぷららがストップをかけられたのは情報漏洩と流出情報の拡散を防止することを目的としたためで、それは本来の業務ではないと。まして遮断はやり過ぎということらしい。ちなみにぷららは一律全面遮断を止めて申し込み制にすることでクリア。

設問をよく読むと「プロバイダがネットワークの安定運用の目的で,P2Pファイル共有ソフトの通信を識別してトラフィックを絞るためにパケットの中身を解析すること」なので、これはOKだ。しかし解説にはぷららの事例は挙げられていなかった。名前を出す必要はないけど、不親切に感じた。

翻って、企業によるメールの検閲はどうなのか。設問が曖昧だが、メールサーバは企業の管理下にあると考えるのが普通。建前として、業務用のメールシステムにプライバシーは存在しないでしょう。そしてLANは電気通信事業法の対象外。

などと理屈をこねなくても、情報漏洩や不正を防止するのためのメールツールに内容チェックがあるのは常識。もちろん導入に当たっては従業員への事前の説明が望ましいとされているけれど、「許可」をいただくようなことではない。

ISPの@niftyは法人向けサービスの中で、 利用者のメールを全文保存(添付ファイルを含む)し、管理者が閲覧できるメール保存サービスを売りの一つにしている。@nifty.comのメールの秘密は不可侵だけど、@hoge.co.jpのメールは会社(hoge)が管理できますよ、と。まぁ当たり前。

したがって、正解が2.従業員の許可なくメールの中身をチェックすることというのは納得しがたい。まさか従業員が社内で送受信する、個人契約のISPメールを含めているのではないでしょうね(個人のメールを社内で自由に使えるというのも問題だが)。


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2006/09/02

『ウェブ・ユーザビリティルールブック』

ウェブ関係の仕事口を探していて薦められた本。初版2001年だが既に大手書店でもネットでも品切れ状態。アマゾンのマーケットプレイスにて購入。

ネット関係の書籍で5年も経つと大概は古くて役に立たない。もっとも『コンピュータネットワークの政治学』のような例外はある。この本は12年前の発行だが、7年前に読んだ時には十分役に立った(今はどうだろ?)。

本書も登場する主要ブラウザがIE(5.5?)とNN(6?)でFirefoxもOperaもSafariも出て来ないし、解像度は800×600を基準としているし、スタイルシートでレイアウト指定はしないと主張するしと、時代遅れな面はある。もっとも640×480も念頭に置けという注意は、携帯電話でフルブラウザの時代にはまた活きてくるから面白い。

では絶版が妥当な古書かというと、そうではない。今でも悪い例に挙げられたサイトは多い。自己満足な個人サイトはさておき、企業サイトにおいてもみすみす機会損失になる構成のサイトは目立つ。本書の存在価値はまだまだある。

内容はウェブサイトを作る上での常識、みたいなものが多い。というか、見られるサイトを作る上での常識集である。繰り返すが、この常識をわきまえていないサイトはまだまだある。手元に置く必要はないが、常に「このページのユーザビリティは」と意識するためにも一読する価値はある。知っているつもりでも見落としはあるものだから。

参考になったのはウェブライティングに関する事項。それまで薄々感じてはいたが意識化されていなかった「ウェブは可読性が低い」「ユーザは常に次のページを読みたがっている」「斜め読みされる」「概論より特定論、曖昧より明確、抽象より具体的な物を好む」という特徴が明記されていた。

なんとなくウェブは書籍に代わるものと位置づけていたが、なるほど書籍とは受け取られ方が違うのだ。書籍のように扱ってほしければ、現状では印刷を前提とする他はないようだ。

それとリンクの使い方も参考になる。一部のブログに導入されている自動テキストリンクが鬱陶しい訳だ。

参考になるだけに、画面上で読むとプリントアウトで読むより25%遅くなるのを「25%のスピードでしか読めない」と書く(p.143)ようなミスは惜しい。他にもp.162では図で囲む記事を間違えている(ブルームバーグではなく、外国為替の記事を囲む)といったミスがある。

また、当時はスタイルシート(CSS)の実装が不十分なブラウザが多かったのでやむを得ないが、レイアウトにはスタイルシートを使わない、は不満。まして「レイアウトはテーブルで制御すべき」は残念。

表組を使わなくても一行の長さは制御可能です。私はmaxwidthを使っていました。これだと高解像度でウィンドウを広くしても一定幅以上に広がらない反面、画面が狭ければ自動で縮小(折り返し)される。もっともIEは対応していませんが。

「コンテンツのタイトルなどに太字を使うのが一番効果的で一般的」(p.137)...それってH1の役目じゃないでしょうか。

blockquoteをインデント指定に使う(p.139)べきではありません。(これもCSSでレイアウト指定をしないを前提とした苦肉の策でしょうが。)

時代の変化に対応した改定版が望まれます。

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2006/08/29

とにかく重たいOhmyNews

OhmyNewsを覗いてみた。

とにかく重い、の一言に尽きる。ダイヤルアップ時代を思い出すようなもっさり動作。読者コメント(「この記事にひと言」)を読もうとするとまた読込み直し。おまけに新しいものから数発言ずつしか見られない。

少ししか見ていないのに誤字(誤変換)が目についたのも気になる。ちゃんとした編集者が見ているの? ベテランじゃなくても、基本が身についた人なら対処できるレベル。そういう点では、記事へのコメントとは別に、匿名通報システムがあれば良いと思う。誰が見てもわかりそうな誤記の指摘にわざわざ名乗る気にはならないし、かといって放置すれば確実に評判に悪影響を及ぼす。

【自然】三宅島の風景〜2006夏のようなオリジナルらしい記事があるのには期待が持てる。既報焼き直し“論評”(言いたい放題)なら2ちゃんねるがあるから。

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2006/08/12

ゼロディ攻撃って

OSやアプリケーションにセキュリティホールが見つかり、対策ソフト(修正パッチ)が公表される前に攻撃されるのがゼロディ攻撃。修正のリリース第一日の前だから。更新定義ファイルがリリースされる前の新型ウイルスもこれ。いずれも検知できない、予防できない、駆除できないという嫌な代物。

それゆえセキュリティアップデートやウイルス対策ソフトの更新をどんなに真面目にやっていても防げない被害は発生する(これを口実に対策をさぼろうとする手合い−−シートベルトをしても事故は防げない、煙草を吸っても吸わなくても人は死ぬ、の同類−−も管理者の頭痛の種)。

だから被害は不可避を前提に対策を立てる必要があるわけだが、それを納得してもらうためにもゼロディ攻撃の理解は必要。

ところが日経IT Proの腕試しで、実に43%もの人が誤答している。こりゃなんとしたことか。回答者は自他ともに認めるITのプロの筈。

もっとも内訳を見ると、31%の人は「ベンダーがセキュリティ・ホールを修正するパッチが提供されるまでの間に攻撃される」を選んでしまっている。つまり「間違っているものはどれでしょう?」が問われているのに正しい答えを選択してしまったようだ。最初の選択肢が見え見えの誤りで、その次だったので脊髄反射でチェックして回答ボタンを押してしまったのだろう。不注意だなぁ。

人の事は言えませんけどね。f(^^;

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今どき表組でレイアウトとは

特技の一つはHTMLの手入力である。だが、職を得るのにそれだけでは学校出のツール使いと勝負にならない。デザインのセンスもないし。

そこでアクセシビリティに目を付けた。若造がシニア向けサイトを作るのは金持ちが天国に入るより難しい。閲覧環境を変えてチェックするという発想もない(人が多い)。

一方こちとら、ブラウザの違いが表示に与える影響については長らく気を遣っていた。前職のクライアントはシニアが多いのでサイト製作にもそれなりに気を遣い、アクセシビリティを意識していた。

そこでアクセシビリティをキーワードに求人をチェックすると、ありました。なんと仕事内容はウェブのチェック。すぐに応募するが例によって音沙汰がない。

待っている間にバイオインパクトという会社のサイトをチェックしてみた。面白そうな会社で求人もしているので内容調査がてらに。

いくつか問題(表組レイアウト、リンク切れ、表記不統一、誤字脱字など)を発見したのでmixi経由でメッセージを送る。それにしてもこういう仕事は性に合っている。

で、先の会社にこのレポートを送ってアピールしようと考えた。が、思い直して当の会社のサイトチェックをする事に。

すると、なんとこちらも表組でレイアウトをしていた。(-"-;

三井英樹によれば表組(table)レイアウトは過去のものだという。


HTMLコーディング界では,「tableレイアウト(tableタグを用いたレイアウト)派」と「CSSレイアウト(CSSを用いたレイアウト)派」とに二分されてしまいました。最近の若い技術者は後者しかわからないというほどで,あたかも旧世代と新世代という様相を呈しています。
Webデザイン エンジニアリング 第19回 リッチなUIにおけるアクセシビリティ

それなのに、できたての会社とウェブのプロと、そろいもそろってtableレイアウトとは。流行りのブログでサイドバーがどう作られているか確認しなされ。

リンク切れやリンク先誤指定など看過できないミスもあったので二度目の状況お伺い(催促)メールに詳細なレポートを添える。もっともJISで表組の要素をレイアウトのために使わない事が望ましいと定められてはいるが、直ちに致命的な障害になるとは限らないので、居丈高な「JIS違反!」は避け、穏便な表現に。全部を作り直すのも大変だろうし。過去の例では担当に伝わらない事もあるので念のため別アドレスにも同報。

すると翌朝、人事担当から「ますますのご健勝とご活躍をお祈り申し上げ」というメール。あらら、薮を突いて蛇を出してしまったか。ちゃんと先に誉めたし、刺激的な文言は推敲で削ったんだけど。まぁ、会社選びも恋人選びもノーと言われたら諦めが肝心。f(^^)

(と、次の会社選定に入っていたら、急転直下「面接においで」という連絡が。恩赦の可否に結論が出るまで処刑は延期せよ、という事か?)



追記


「Webデザイン エンジニアリング」へのリンクを修正しました。

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2006/07/28

インターネットにおけるルール&マナー検定2006下期

インターネット協会による「インターネットにおけるルール&マナー検定2006下期」が始まっていました。早速挑戦。

あなたのスコア:96スコア
スコアの評価:あなたは、インターネットについて職場や教育現場で指導的な役割を担う人として必要なルールとマナーの知識を身につけています。
モラル (5問中):5問(正答率:100%)
マナー (30問中):30問(正答率:100%)
ルール (30問中):28問(正答率:93%)
安全利用 (30問中):28問(正答率:93%)
スキル (5問中):5問(正答率:100%)


公的個人認証サービスの公開鍵証明書
「証明書の発行受付は市町村で行いますが、公開鍵証明書の発行は都道府県という役割分担になっている」
あれってWindowsでしか使えないから興味なし。
クーリングオフ
長期間におよぶ高額のサービス契約はクーリングオフの対象。
スパイウェア
「通常のウィルス対策ソフトでは活動を防ぐことはできませんが、ウィルス対策ソフトの中には、スパイウェア対策機能を備えたものもあります。」 ぉぃぉぃ、たしかに論理学上は「ウィルス対策ソフトで防ぐことができる。」は「すべてのウイルス対策ソフトで」を意味するが、今やメジャーな市販ウイルス対策ソフトなら防ぐ事ができるのだから、○で良いのではないか。
また「スパイウェアはウィルスではないので、ウィルスのように感染・拡大することはありません。」とあるが、ウイルスのなかにはスパイウェア機能を持つものがあるのだから、感染しないとは言い切れないだろう。
メールフィルタリングソフトの機能(誤った記述を選べ)
前回に引き続いて正しい機能を選んでしまった。なんたる不注意。orz

スパイウェアについては納得行かないのでアンケートでクレーム。


現在、メジャーな市販ウイルス対策ソフトはスパイウエア対策が可能ですから「通常のウィルス対策ソフトでは活動を防ぐことはできません」は2006年下期としては不適切と考えます。

またスパイウェア機能を持つワーム/トロイの木馬もあるので「感染・拡大することはありません。」と言い切るのもどうかと思われます。

しまった、「携帯電話からインターネットを始めた人たち向けの内容を充実させて」を忘れた。もう一回受けてみるか。

アクセシビリティについての「間違った記述」例として「画像はまったく使わず、新しい技術も利用しないようにする。」とあったのには苦笑。今でもそう勘違いしている人は...いるだろうな。

インターネット利用アドバイザーについては引き続き見送り。

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2006/07/23

広告ブロックされた掲載サイト一覧

Mypointというサイトがある。マイレージで提携サイトへ集客して物やサービスを売るところらしい。

ところがどうも店の表示がおかしい。説明文はあるのだが、店名がない。そもそもアンカーが有効になってないのでアクセスできない。

Safariで見ているせいかと思ってIEに変えたがやはりダメ。そこでソースを見ると、なんとNorton Privacy Controlによってブロックされている事がわかった。不当な広告と判断されたのだ。「遮断した広告を置換する」にチェックを入れると、拒絶を示す画像は表示されないが文字が出た。

広告遮断を表示させた場合

NPCの現設定はアフィリエイト満載のブログも正常に表示できるのに、一体ここは何をやっているのだろう。

この会社はウェブ制作メンバーの募集をしているから、御注進がてら応募してみようか。

(NN7ではブロックされずにバナーが表示された。謎)

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2006/06/21

Excelのソートは便利?お節介!

MSの表計算ソフトExcelのソートは、標準状態(デフォルト)では「ふりがな」を利用していることを知った。「そんなの常識」と思われるかもしれないが、MS-DOS時代からPCをいじっていると、「ソートは文字コード順」が固定観念なのら。律儀にバージョンアップして新機能を調べる訳でもないし。ちなみにコード順でソートしたければ、「データ」→「並べ替え」→「オプション」で「ふりがなを使わない」を選択するようだ。

この機能、どのバージョンから実装されたか不明だが、すでに3年前に驚いている人がいたので、Office2000には入っていたのだろうか。

思い返せば、OfficeXPで奇妙なソ−ト結果に悩まされていたのはこれが原因かもしれない(どう奇妙なのか記憶が曖昧なので検証できないが、後述の「同じ字を別の読み方で入力」か「テキストデータのインポート」が怪しい)。

ふりがなを使えば便利なことはある。たとえば名簿のソートで吉川(よしかわ)さんと吉川(きっかわ)さんは自動的に判別される。

ところがぎっちょん、オペレータがキッカワさんをヨシカワさんと入力して変換していると、見た目はまともでもデータとしては欠陥を抱えてしまう。従来のコード順ソートなら別途ふりがなフィールドを作るから検証も楽だが、こいつは「並べ替えるまでわからない」というロジック爆弾を抱えてしまうのだ。だいたい名前の中には一発変換できないものがある。その場合は別読みの熟語を入力して修正といった方法がとられる。当然ふりがなは違うものが。単語登録してあると、その「読み」がふりがなになるので、これまた厄介(短縮形で登録してある場合など)。

しかし一番の問題は、MS-Office以外、たとえばテキストデータから貼付けた場合だ。こちらにはふりがなデータがないからコード順にソートされる。Excelで入力したデータと混在したらふりがなを使ったソートは混乱しか招かない。とすれば、ふりがなを使うソートがデフォルトとはとんだお節介。

あと不思議なのはひらがなとカタカナ。以前はコード順、つまり「あ−ん」「ア−ン」それぞれで並べ替えられていたと記憶するが、少なくともExcel X for Macでは、ふりがなを使わないを選択しても「アあイい...ンん」とカタカナ先行で混在する。辞書を作るにも使えないし、カタカナ語の抽出なんて作業はできなくなってしまった(別の方法はありそうだが)。

教訓
ときどきはデジタルARENAの実践テクニックでも眺めよう。今回は役に立たなかったけれど...


今回の発見の端緒となった、人の注意を無視してプログラムを操作する「阿」師に感謝します。

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2006/06/20

Webアクセシビリティ・セミナー

webのアクセシビリティとは使いやすさのこと。視覚障害者(全盲)向けの読み上げブラウザ対応から取り上げられたため alt 属性の記述のようなバリアフリー化で認識されてしまったが、視覚障害(弱視)、色覚障害、運動障害さらには知的障害があっても利用可能なユニバーサル化が本来の姿。

その普及を目指すWebアクセシビリティ・セミナーに参加した。平日の18時から21時というのは異例だが、主催NPOメンバーの都合らしい。つまり兼務(昼間の本業が別にある)。

  1. 基調講演 竹田義行(総務省 情報通信制作局長)
  2. 特別講演 石田守(NTT-PCコミュニケーションズ社長)
  3. パネリスト 猪子和幸(NPO法人 イーエルダー理事)
  4. パネリスト 岩崎未希子(総務省 情報通信利用促進課 企画係長)
  5. パネリスト 岩下恭士(毎日新聞 ユニバーサロン編集長)
  6. パネリスト 白井夕子(物産サービス)
  7. パネリスト 宮地一郎(デンソー)

岩下さんは全盲、白井さんは弱視。

基調講演は「デジタルデバイドのないICT社会の実現に向けて」。総務省は一生懸命Information and Communication Technologyという言葉を定着させようとしている(私が最初に聞いたのは2002年)が、残念ながら日暮れて道遠しの観。

またさりげなく「字幕放送が特別な装置なしで受信できるようになります」とデジタル放送のアピールをしていた。お疲れさま。

それはともかく、総務省としてはインターネット利用者に占める高齢人口の増大にアクセシビリティ向上の必要性を見いだしている。現在バリバリ利用している中堅若手でさえ、歳をとって白内障が進み、震顫が現れたら使えなくなるサイトが続出するだろう。糖尿病等で失明する人も出てくるし。

e-Japanの次はu-Japanだそうである。uとはubiquitous(遍く)、universal(万人の)、user-oriented(ユーザー本位の)、unique(類いなき)の4U(for you)だそうで。

アクセシビリティについては日本工業規格で定めた(JIS X 8341-3)が、実現方法が不明確という課題があったので具体的な手順書を作成したらしい(みんなの公共サイト運用モデルで配布している手順書がそれか)。W3CのWCAGも商品名を挙げてないのでわかりにくいと毎日新聞の岩下編集長が言っていたが、普遍性とわかりやすさ(特殊条件への適合)の両立は難しい課題。

次の特別講演は、マイクの調子が悪いのか、アンプの調整が悪いのか、演者の話し方が悪いのか、空調の音がうるさいのか、ほとんど聞き取れなかった。ネットワーク進化の話をしたらしいのだが...

休憩を挟んで第二部はパネルディスカッション。これの白眉は、ZoomTextを使ったサイトの検証。パネリストの白井さんは弱視のため視力は両眼0.1弱だが、近づいて配色やフォント、コントラストを調整すれば小さい字でも見えるという。ところがユーザ側で変更すると元の組み合わせによっては困ったことになるらしい。セミナー主催のイーエルダーや後援の総務省のサイトは配色やコントラストを変えてアクセスすると読めない箇所があることが露呈した(画像と文字の組み合わせが問題らしいが詳細は不明)。にこやかに事実を示す姿はどんな声高な糾弾よりも力強い。

壇上に並んだ岩崎係長、「サイト作成は広報でして...」というお役所答弁では逃げ切れぬと観念してか、帰って検討します、と白旗。この方、写真で見るよりほっそりしてました。至近距離だったので「まいった」という表情が手にとるように。それはともかく、発言のたびに「総務省の岩崎です」と名乗るので奇異に感じていたが、参加している視覚障害者への配慮だったかもしれない。そうだとすればなんと素晴らしい気遣い(単に録音から議事録を起こす際に便利というテクニカルな習慣かもしれないが)。

と好意的に受け取りたいのだが、ご自慢のみんなの公共サイト運用モデルはいただけない。読み上げブラウザなど支援ツールが正しく機能するためには、サイトが正しいHTMLで作られていることが前提。ところが一目見ただけで「これはひどい」という代物。念のため帰ってからAnother HTML-lint gatewayでチェックすると 99個のエラーがあり、44点。評価こそ「普通です」だが、tableにサマリーを書かない、同一の内容で異なるリンク先を示すといったアクセシビリティの問題以前に、見出し要素を使わない、リスト要素の間違った使い方などイソターネット丸出し。tableで見出しを書くなぁ! 正直ガッカリ。

デンソーの宮地さんは企業サイトの制作側から発言。ウェブ自体をわかりやすく使いやすくすることが結果としてアクセシビリティを向上させるを指摘した(バリアフリーからユニバーサルデザインへ)。それでも企業としては投資効果のはっきりしないことはやりずらいので、行政の率先垂範を期待していた。それに対して、消費者に直接販売する企業は金のない若者相手の商売を止め、リッチなシルバー相手のウェブを作って儲けたらという提案も。

課題は、ユニバーサルデザインに正解がないこと。ある障害者にとって使いやすい工夫が、別の障害者には役に立たない、時には邪魔になることもある(弱視者にとってポップアップする長い代替テキストは邪魔らしい)。ユーザーテストは一人でではなく、同じ障害にも複数のテスターを配置してほしい、とは障害者側の弁。

最後にフロアの全盲者から、役所の大好きなPDFについて、せっかくのアクセシブル機能が活かされていないという指摘があり、これにやはり全盲の岩下編集長が「プレーンテキストが一番」と大正論。もっともタグ付きPDFは読みやすいとのこと。裏技としてはgoogleを介することでPDFをHTML化できると(障害者は工夫している!)。役所のPDF好きは、印刷書式重視の名残りで、アクセシビリティへの配慮からではないらしい。


Macintoshは環境設定でズームや白黒反転、コントラスト調整ができるけれど、見る限り各種支援ツールは全部Windows用。クライアントのOSに依存しないASPサービスはできないのだろうか。

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2006/05/27

携帯電話の時代

総務省の「通信利用動向調査」によれば、インターネット利用:携帯電話が主流に パソコンを上回るとのこと。

これはわからないでもない。いつも身に付けているし、電源オンですぐ使えるし。

でも携帯電話でインターネットは好きになれない。パソコン利用から入ったというのが一番の理由だろうが、他にも
・完全従量制で広帯域の恩恵に浴せない
・閲覧できるサイトが限られている
・定額制で利用できるのは囲われたコンテンツ
・掟破りの絵文字が当然のメール
・メールのヘッダが見えない
・携帯電話でメールを始めた人はタイトルなしで送ってくる傾向

パソコン(だけ)を使っている人と携帯電話(だけ)を使っている人とでは、「常識」が相当かけ離れているように思う。たとえば「メールは36文字毎に改行」なんて、携帯電話ユーザに言わせたら「なんで?」「めーわく!」なことだろう。逆に全文引用はPC初心者にも多い顰蹙行動だが、携帯電話から来ると「パケ死したいか、このマゾ」と罵りたくなる。

ウェブサイトの方はどうだろう。まだ「Windows+IE+SXGA(1280×1024)」を前提に作っている所は多いだろうが...気がついたら携帯サイトを充実させた方が勝っていたりして。

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2006/05/19

日経パソコン マラソンテスト

日経パソコン創刊500号記念の「マラソンテスト」をやってみた。

第一回 Windows編 2月23日開始
あなたの得点は 16点 平均点16点、解答者14694人中7231位です。
第二回 Office編 3月9日開始
あなたの得点は 19点 平均点16点、解答者11954人中1879位です。
第三回 ハードウェア編 3月23日開始
あなたの得点は 17点 平均点15点、解答者10842人中3192位です。
第四回 インターネット/セキュリティ編 4月6日開始
あなたの得点は 19点 平均点17点、解答者10230人中1621位です。
第五回 パソコンとネットの常識編 4月20日開始
あなたの得点は 20点 平均点17点、解答者9808人中1位です。

受けた順番は、4,5,2,3,1。解答者数は日々更新されている(2日のセキュリティ解答者は8423人)。

正解「ウイザード」の引っ掛けに「ウィニー」とあったりして笑えた。当てずっぽうを防ぐため「わからない」もあったので、お手上げの場合は正直に選択。思いのほかMS-Office関係が高得点だったのが不思議。

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2006/05/17

ウイルス対策ソフトを導入しても

日経IT Pro SMB(中堅中小企業)の Q&A:ウイルス対策ソフトを導入しても感染する原因は?にコメントを記入。

全ドライブの予約スキャンは実際的でない。業務に影響が出ないよう「金曜17時から」にセットすると「終わるまで帰れない」「急いでいるから残業しているのに仕事にならない」という苦情必至(昼休みなら前者は解決)。スキャンは常駐させる前に一回やれば、パターンアップが正常に行われている限り行う必要はないと考える。

ウイルス対策ソフトと定義ファイルが最新でも防げない場合がある。まず、対応する定義ファイルがリリースされていない最新のウイルスは検出も駆除もできない(0day攻撃)。また派手な活動を行わないものは対策ソフトメーカーの目に留まらないので対応されない。

ウイルスはセキュリティホールを衝くものが多いので、システムおよびアプリはなるべくバージョンアップする(最低限セキュリティパッチが出たら当てる)。これが基本。ウイルス対策ソフトはその次。0 day攻撃に備えて「必要でかつ安全と確信できたファイルのみ正当に利用する」(「怪しいファイルは開かない」は「怪しい」を適切に判断できないから無意味)を徹底する。それでも防ぎきれないのがウイルスなのですよ。だからデータバックアップは必須。

字数制限で省いたけれど、トロイの木馬が組み込まれたソフトが2年間以上も有名ダウンロードサイトで公開されていた例がある。これは作者が不正利用を発見するために仕掛けたもの(世界最初のコンピュータウイルスも不正コピーに腹を立てたプログラマによって作られたというのを思い出す)。それで当初「安全と確信できたファイルのみ開く」としてあったのを正当に利用すると変更。

巷間「怪しいファイルは触らない」が心得として語られているが、「怪しい」を見抜く力は一朝一夕には養われない(身に付いた人はそれを忘れがち)。また下手に勘違いされて、全うなファイルを捨てられる危険もある。逆にいま話題のWinnyなんて、ほとんどが「怪しいファイル」を求めているのだから、開くなといっても無理がある。

「安全と確信できるファイル」とすることで利用者に能動的な判断を求められる。また送り手も誤解を受けないように、件名をちゃんと書く要件もちゃんと書く(「添付ファイルをご覧下さい」は×)、添付ファイルの名前も本文に書くといったことを守るようになるだろう(できれば「添付ファイルは××のバージョン××でウイルス検査済み」とダウンロードサイト並の注意も記入してほしい)。

思えば昔(といっても10年経ってない)は、「知らない人から送られたファイル」が怪しいファイルだった。ところが送信者詐称ウイルスでこれがパー。また日本では「英語(または他の外国語)のメールは要注意」だった。これも日本語タイトルのものが現れてパー。「実行ファイルは危険」に至っては「実行ファイルってなんですか? 拡張子ってなんですか?」というユーザの前に崩れ去る。おまけにjpegウイルスなんてものまで現れて。かと思うとgoodtimesとかpenpal greeting!とかの類を信じてチェーンメールばらまく人もいるし(「テキストだけでうつるウイルスは無い」と言い切れた時代が懐かしい)。


最近の自動車はABSとか衝突予防システムとか積んでいるけれど、それでも公道を運転するには免許が必要な訳で、PCも素人への野放しは考え直した方がよろしいんじゃないでしょうか。AT限定で良いから免許を取れと。

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2006/05/04

防ぐ気あるのか情報流出

アスキー社主催の情報漏えい対策セミナーに5250円払って行ってきた。

まず電通国際情報サービスの熊谷誠治が、お寒い日本の実情(電車の中でマル秘と書かれた書類を広げて仕事をする公務員など)を告発。Winny使用を禁止すれば取りあえず流出は抑えられるし、日本企業の実情云々なんて言ってるから流出を止められない、と意表をつく分析(セミナーの惹句が“「Winny禁止」「情報管理体制強化」では何も解決しない!”なのに)。「何をやっても効果はある」(ただし、費用対効果は別の話)と。そしてまずやるべきはルールの策定、次にルールが守られるための仕組み(道路におけるハンプのようなもの)を作ること。

※発表ではバンプ(bump=衝突)と書かれていたが、自動車を減速させるための道路の段差はハンプ(hump)。

このルールや仕組みは組織・人・技術力・業務内容によって異なる。人のスキルが高ければ投入する費用は安く済むし、ルールは柔軟にできる。組織の中で資格を認定するのも一法。

※これを組織外に広げると半ば冗談半ば真顔で語られるインターネット免許になる。真面目な話、無知不用心大胆傲慢な人はネットから隔離したいヨ。組織内資格は、たとえば昭和(ネット利用禁止)、二十世紀(制限ユーザで利用可)、平成(一般ルール適用)、二十一世紀(緩和ルール)の四段階はいかが。

次にIPAの加賀谷伸一郎が「眠くなる時刻ですので、トピックをいくつか」と登場。「人はなぜウイルスを踏むのか」という考察と懲りない面々の相談事例には会場から失笑。

※考えてみれば我が師匠「阿」の行動はこれそっくり。近々査察をかけねばなるまいな。
「反セキュリティ対策行動」は案外と根深い問題かもしれない。2005年4月にウイルスバスターの不具合でWindowsXPが動作しなくなる事件が起きた際、2ちゃんねるでは、いち早くウイルスバスターが原因と気づいたのは立派だが、「常駐を解除しろ」「アンインストールしろ」と無茶苦茶なアドバイスが。そして「それは危険」という意見には罵倒が雨霰。最新パターン(定義)ファイルを削除して一つ前の版に戻すだけで済むのに、アンインストールまで突っ走るのはなぜなのか。なぜウイルスに対して無防備になるという真っ当な警告を発した者(ちなみに私ではない)に罵声を浴びせるのか。なにか歪んだ美意識の存在を感じる。

「心構え」と「技術」の両面からの対策が必要であるとし、
心構えとしては
○漏れては困る情報の管理は厳重にする
○ファイル交換ソフト(Winnyに限らず)の利用を止める
自分だけでなく情報をやり取りする相手にも注意
○規則を遵守する意識の醸成
技術としては
○OSおよびアプリを最新状態に保つ
○ウイルス対策ソフトの導入とアップデート
○パーソナルファイアーウォールの導入
などウイルス対策 7箇条にまとめられているもの。

※2004年のファーストキンタマでは、チャット相手が感染していて、会話内容をキャプチャで暴露された人がいた。正直なところ、これではメールも迂闊に送れない。MLで注意を促そうかな。あるMLにはklezに感染した県議さんもいたし。

三番目は日本ネットワークセキュリティ協会の山田英史が登場し、いきなり「山田ウイルスの作者ではありません」(笑)。報道された情報流出事故を分析し、2004年までは
○盗難・紛失が件数で過半数
○紙媒体・PC本体が7割
○ところが被害者数では不正な持出しが55%でトップ(数は少ないが、一件あたりの被害が大きい)
と結論付ける。権限のある人間が意図して持ち出すのだから宜なるかな。

そして2003年度情報セキュリティインシデントに関する調査報告書で示された方法により、2004年度には一件あたり約14億円、総額4667億円相当の損害と計算する。ただし、実際には被害者のうち訴訟に参加したのは0.02%(今後もこの率が保たれるかは不明)。

そうすると対策としては、「盗難・紛失」に対するもの(電車の網棚を使わない/自動車の車内に残さない/飲食店では身近におく/暗号化/持ち歩く情報の選別等)と「内部不正」に対するもの(ルールの強化/教育/秘密保持契約/監視等)の両面作戦。

※聞けば盗人は被害者の行動パターン・心理をよく読んでいる(パチンコ屋の駐車場は狙い目とか)。無差別の金品狙いでこうなのだから、特定の人が持つ情報を狙われたら赤子の手をひねるようなものではないか。
そういえば熊谷さんも嘆いていたが、出張にPCを持参したら、ホテルに残すのはNG、肌身離さずを守ると迂闊に飲み屋にも行けないというジレンマに。

しかし、対策をとっていても完全には防げない。流出事故後の後始末も大切。インシデント発生後の対応フローを作っておく必要がある。

アリエル・ネットワークの徳力基彦は、「「Winny問題」から、ソフトウェア開発者が学ぶべきこと」のなかで、事故が報道されているにもかかわらずantinny等による情報流出が続出していること、それどころか(Winnyではなくカタカナで)「ウイニー」「ウイニー ダウンロード 無料」といった検索が非常に増えており、つまり興味本位のド素人が警告を無視して手を出している可能性の高いことを指摘。「ウイニーを使うのを止しましょう」は対策として不十分と結論付けていた。

※世の中には呑気に「Winnyは悪いソフトだから使わせなければそれで十分」と対策に消極的な人もいるようだが、AIDS封じ込め失敗の愚を繰り返さないようにしてほしいものだ。

グローバルナレッジネットワークの片岡正枝が、Windows基本機能で情報漏えいを防ぐ方法を解説したが、肝心のActive Directoryを使っている人が会場にもほとんどいなくて残念でした。

※だいたいさぁ、まだWindows98やMeを使っている会社だって多いあるんですぜ。それにライセンスを購入する必要がある上、効果は限定的なんだから。もちろんActive Directoryを使っているところは大いに活用してもらいましょう。

そのあとベンダーによるソリューション提案があったが割愛し、お待ちかねの金子さんによる「Winny開発者にできること」。まずWinnyは「情報共有ストレージ=電子図書館」を実現するソフトであると説明。Windowsの「フォルダ共有」のWAN版であるとたとえる。

次の昨今の情報流出事故を分析し、
1)重要な情報の組織外持出し ←この時点ですでに流出なのだ!
2)外部PCが情報漏えいウイルスに感染
3)情報がWinnyネットワークで閲覧可能に
これらすべての課程過程を経なければならないと指摘。Winny使用=情報流出という世間の見方に異を唱えた。

続いて現在の暴露ウイルス(情報漏えいウイルス)の仕組みを解説。なんとWinnyは公開フォルダをupfolder.txtで設定しており、それを書き換えるというのが暴露ウイルスの基本動作だという。さらにWinnyは「サブフォルダは公開しない」「隠しファイルは公開しない」という制約をしていたが、「隠しフォルダは公開可能」という見落としがあり、ここを衝かれた(アップフォルダ内に隠しフォルダを作り、そこへ非公開領域のファイルをコピーして公開か)。

そこで対策の第一は、バージョンアップ等で設定ファイルの名前をupfolder.txt以外にする(ちなみにupfolder.txtをリードオンリーにしても属性を変更されて書き換えられる由)。このあまりに簡単かつ効果的(既存antinnyは無害化)には「すぐ亜種が出る」と/.辺りでは不評のようだが、伝聞や孫引きではなくオリジナルを聞いてから批評しようや。ちゃんと設定ファイルの暗号化さらには設定ファイル書き換え時の警告もセットになっている(但し、「アップフォルダが変更されますがよろしいですか?」はうっかりユーザーにはあまり効果が無いだろう。デフォルトを「いいえ」すれば大丈夫?)。

しかし、京都府警に対してバージョンアップをしない旨の念書を出していること、また裁判では頻繁なバージョンアップが幇助に問われているので、自分ではバージョンアップは難しい、と。

※免責保証があれば喜んでやる感じだったので京都府警か検察が頭を下げれば万事丸く収まるのではないだろうか。検察が××をこねるなら総務省か経済産業省が大人の対応をみせるとか。

バージョンアップ以外の方法としてはパッチがある。パッチなら開発者以外でも作れるので「誰か作りませんか」。ただし、セキュリティパッチという触れ込みでウイルスがばらまかれる可能性もあるので、公表されても適用には十分注意してほしい、と。

※この「誰か作りませんか」がまた幇助に問われたりして、と半ば冗談でレジュメに書き込んでいたら、次の壇弁護士が「パッチを作って逮捕されたら、京都の人なら面倒は見ます」と警戒感を表明していた。あれ、センセ大阪では?
講演後はあきらかに他の演者に対してより盛大な拍手。参加者の多くは企業のシステム管理者であると聞いたが、皆さんWinnyが情報流出を起こしているのではないとわかっており、またWinnyは著作権侵害のための悪いソフトとも思っていないことが感じられた。たしかに電子図書館ソフトだ。だけど、そうだとすると初期設定がダウンロードオンリーって妙じゃない?

最後の壇俊光は金子勇の弁護人(弁護団事務局長)。ご本人のブログには皆さんのお目当ては金子さんだったりするので、私はとても気が楽と書いてあるが、どうしてどうして、世間の誤解、司法記者クラブの怠慢(無能?)、キンタマ(本人は伏せ字を使っていたが)被害者の壊れっぷり、検察の...をしっかり弾劾。

※このセミナーに来ていた人には常識だろうが、「Winnyで情報流出」が正しいなら「Windowsで情報流出」とも言えるんだよね。すでに「山田オルタネイティブ」などWinnyネットワークを介さない情報流出もあるのだから、マスコミも頭使えや。まぁiPodもmp3プレイヤー扱いだから無理か。

「情報漏えいの要件」としてあげられた項目はそのまま「antinny被害者の謎」
○Winnyをインストールして複雑な設定をする
 弁護団で実際にやってみたところ、ほとんどの弁護士がポートの開け方がわからなかったという。感染者はTCP/IPの知識はあるのにセキュリティの基礎が守れない。どうして?
○暴露ウイルスをダウンロードして実行する
 暴露ウイルスの簡単な偽装すら見破れない。どうして? 「人はなぜカチカチとするのか」と軽率なダブルクリックをお嘆き。
○暴露ウイルス感染PCに公開されてはマズい情報が第三者に閲覧可能な状態で入っている
 そもそも機密情報の取扱がなっていない。どうして? 情報の秘密度・重要度のアセスメントを行い、適切に処理(ex.暗号化)をしてあれば、仮に流出が起きても被害は少ないのに。

後半は情報流出事故に伴う責任問題の解説。北海道警(県警じゃないでしょ!)アンティニー事件国賠訴訟では、過失の要件である予見可能性が高裁で否定された(原告上告中?)が、現在これだけ報道された後ではもう無理。従業員が暴露ウイルスによる流出事故を起こせば会社は使用者責任を問われると警告。

情報のアセスメントをしておくことが重要。万一流出事故に至っても、「この情報ならQuoカードで済む」かどうかの判断ができる。


***

いやぁ、5時間の長丁場でした。おまけに本屋によって月田承一郎さんの遺稿本を買ったりしていて昼食を摂り損ねて。

まとめると
○本質は機密情報の不適切な取扱い。Winny利用の有無は二次的な話(Winny非依存の暴露ウイルスの存在、PCの盗難・紛失の方が数は多い)。
○精神論で解決できる問題ではない。
○人が最大のセキュリティホール。ルールを守らせる仕組みが必要。

というところか。どの演者か忘れたが、「Winnyを強制削除するようなツールを導入しても、ユーザはツールを停めてWinnyを動かしますよ」と言っていたのが印象的。

それにしても政府は本当に情報流出を防ぐ気があるのだろうか? ひょっとして「Winnyを使うのが悪い」という思考停止に陥っていないか。政府主導で対抗コンテンツ放流は冗談としても、もう少し実効性のある対策はとれないものか。防衛庁が私物PCの持ち込み一掃に取り組んだのは英断だが、盗難・紛失という鬼門もあるし、「Winnyじゃなければ良いんでしょ。役所の方が高速回線だから」というダウソ厨がいれば元の木阿弥。

もっと恐いのは、Winnyユーザ成敗論だ。キンタマウイルスはWinnyユーザを「懲らしめる」ために放流されたような気がする。JASRACやACCSはそんな過激なことはしないだろうが... サイバーマフィアが親切ごかしにP2Pソフトユーザに攻撃を仕掛けるかもしれない。ファイル共有ソフト悪玉論に安住し、現実に苛ついていると、悪魔のささやきに乗ってしまわないだろうか。そしていつの間にか自力救済の世界に。それはまた弱肉強食の世界だ。おお、なんと素晴らしき新世界!

(でも、「基本的セキュリティ知識があれば避けられる、しかし感染すれば致命的なウイルス」を放流することで、アホユーザを人為淘汰するという考えを振り切ることができない。誰か私を納得させて!)

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2006/05/01

Creator's Table Vol.4でのアンケート

 28日に参加したCreator's Table Vol.4 「デザイナーが本当に聞きたい『Webの話』」へのアンケート回答。懇親会で知り合った方に内容の一部を話したら、なぜかすごく感心された。ということは他にもこれが役に立つ人がいるだろう(一人でもいれば意味がある)ということで公開。色字は補注。

2.今、マスメディアの、宣伝媒体としての実効果や有り方が問われています。これからの媒体はWebが主流となると思われますでしょうか?
 思う
 思わない
○どちらとも言えない

4.その理由(自由記述)
20年後なら(終末戦争がなければ)そうなっているだろうが、5年後だとわからない。まして来年再来年においておや。

5.今、宣伝やプロモーションの有り方が問われています。新しい手法にはデザインや見栄えだけでなく、心に響くメッセージや見せ方が必要になると言われています。マーケティングとデザインの今後の関係については、どうお考えでしょうか?(複数回答可)
 無縁でなく密接なもの
 マーケティングはクライアントの領域
 クリエイターはデザイン、センスが命
 出来ればマーケティング視点からデザイン提案をしたいと思う
○その他(プッシュ型プロモーションは禁止になるかも。)

(これは半分冗談、半分本気)

6.メディアミックスと言われて久しいですが、現実にWebと連動する宣伝媒体として、一番何を連想しますか?
 テレビなど電波
 広告(商業印刷)
 新聞・雑誌
 フリーペーパー
○ケータイ

11.本イベントについて伺います。内容についてはいかがでしたか?
 充実していて、良かった
 今ひとつ物足りなかった
 詰め込みすぎて、消化不足だった

(記載漏れ:「○充実していて良かった」)

13.もし有料となった場合、どの程度の金額でしたら参加を希望されますか?
 2000円

14.次回以降、ゲストで呼んでほしい方をお書きください。
 視覚障害のあるユーザー、デザイナー

(デザイナーではないが日本IBMの浅川智恵子や静岡県立大学の石川准、東京大の福島智らを想定)

16.その他、ご意見・ご感想など、なんでもご記入ください。
 このアンケートは字がテカテカしていて読みにくい。

(富士ゼロックスご自慢のプリンターなのだろうが...文字は艶消しブラックが良いよ)

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2006/02/26

ルール&マナー検定2006

インターネットにおけるルール&マナー検定2006上期が始まっていたのでやってみた。94点。

あなたは、インターネットについて職場や教育現場で指導的な役割を担う人として必要なルールとマナーの知識を身につけています。
本当のことを言ってもお世辞にはならないぞ。:-p どちらかというと「こども版(ふりがななし)」を連続5回クリアした方が実際的な気がする(つまり大人版はややマニアックな出題が散見される...オトナの問題はこども版ではあつかってくれないだろうが;クレジット決済など)

それにしてもさすがに百問回答はくたびれる。43分で片付けるのも無謀といえば無謀だが(1問平均26秒)。

間違えたのは「ルール」で5問(正答率83%)、「安全利用」で1問(正答率96%)。


サイバーモールの責任
忠実屋ペットショップ事件を逆に理解していた(原則としてモールの責任は問えないが、テナントとモールが同一体と誤認されても仕方がない態様の場合は有責)。
児童買春防止法
児童ポルノも持っているだけなら(今は)お咎め無しなんだ。
SOHOビジネス勧誘とクーリングオフ
通販にクーリングオフは適用されないという理解は合っていたが、SOHOビジネスの勧誘は通販ではなく業務提供誘引販売取引っていうんだ。だからクーリングオフは適用される。
契約の成立時点
平成13年に成立した「電子契約法」で到達主義、つまりpopサーバに届いた時点で未読であっても契約成立に変更。(って、その前は発信主義だからいずれにしても間違ってら)
e-文書法のメリット
データの改ざんが容易って、ぉぃぉぃ、電子署名は義務づけられていないのかい。しかし媒体の劣化などは問題だね。物理的劣化以前に読み出す機械がなくなりそう。
メールフィルタリングソフト
ケアレスミス(「間違ったものを選べ」だよ)。選択肢を見たら答えられると豪語している人もいるが、こういう罠があるからね。

例年間違えていた薬の個人輸入問題はクリアできた(けど忘れた)。

さて90点以上はインターネット利用アドバイザー試験を受けることができる、とあるがなんだかんだで20,000円近くかかる。それだけの価値はあるのだろうか? わ、15,750円は論文審査と面接の費用で、合格するとさらに講習料10,500円が必要なんだ。

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2005/05/03

Skypeの誤作動?

先日来、師匠からやたら「何か用か」とSkypeで呼び出される。こちらから呼び出されたとおっしゃるのだ。間違ってcallボタンに触ってしまったのかと思ったが、それにしては数が多い。もしかしてバグ?

今日、謎が判明した。Windows用の新しい版ではサインインすると画面向かって右下に「*がサインインしました」と出るのだが、それを呼び出されたと勘違いしていたのだ。

まぁ、コンタクトしているのが私一人だからというのは斟酌しないといけない。

日常Skypeを使っていると、この「サインインしました」がつなぎっぱなしと思える人でも頻繁に繰り返していることがわかる。おそらくスーパーノードが切り替わっているのだろう。と説明してもわからないだろうなぁ。P2P云々以前に、どうもサーバという概念すらご理解されていないようなのだ。

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2005/01/23

Salling Clicker

2ちゃんねるの「正直iPodがこれほどの物だと思わなかった人→ 」というスレを眺めていたら、 Bluetooth でマックをリモート操作する SallingClicker というソフトがあるという。おお、これは使えそう。

実は私もiPod登場時「ふーん」と思った口(その頃、突発性難聴で聴力を失っていたこともありますが)。それで「恥ずかしながら私も先見の明のない一人」と思って読み始めたら、その謙虚さに天が感じるものがあって?いいことを発見した。v(^^)

私の携帯電話はbluetooth対応だし、それようにBT対応のclieも持っている。寝床にいながらにしてBTイアホンでiTunesを使えるな(今日も、遠隔操作ができないので面倒臭がってシャッフルにしておいたら、ブルックナーの次にアイヌの歌と言う凄まじい事態に)。

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