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2016/06/07

養老の滝だけど落ちてくるのは水

太平洋に昇る朝日を見に来たついでに巡る房総半島の旅、上総中野駅の次は粟又の滝(川の名前から養老の滝とも呼ばれ、正式には高滝らしいが「高滝」で検索すると下流の高滝湖ばかりヒットする)

当初、(あわ)又の滝なのに(くり)又と読み間違えていた。おそろしいことにグーグルでは「栗又の滝」で検索してもトップにヒットするのは「粟又の滝」。しかも「もしかして」などの注意も出ない。自尊心を傷つけないようにとの配慮は愚か者を甘やかすのではないかな。

それでも不思議なことにカーナビへのは設定できた。どうやったのかは覚えていないが、たぶん近くのランドマークで検索してから地図上で「ここ」とやったのだろう。カーナビの履歴には「粟又付近」と残っていた(それをノー天気に「くりまた」と読んでいた)。そして有名な観光スポットなので近くまで行けば案内看板が立っている。

滝へ降りる道


県道の川側に楼門のような木造の建物があり、3メートルほどの高さに「上総養老の滝」という白い行灯型看板町営駐車場に自動車を入れ、県道178号を徒歩で滝へ向かう。降り口には門があり看板もかかっていて分かりやすい(が、これは〈罠〉だと後で分かった)。看板に「養老の滝」とある(申し訳程度に「粟又の滝」とも)のは川が養老川だから。養老の滝といえば居酒屋(「養老乃瀧」が正式)ではなく、滝の水が酒に変わったという養老孝子伝説を連想するが、それは岐阜県のお話。したがって滝に流れているのはお酒ではなくて水(岐阜の養老の滝だって酒が流れているわけではないが)


「滝見苑の駐車場をご利用ください」とあるから、これは向かいの旅館滝見苑が設置したものだろうか。ちなみに駐車料金は1時間までなら300円と町営よりも安く、滝にも近いから、早朝に来ても使えるならこちらの方が便利。

粟又の滝


谷へ降りる道。幅は60センチメートルほどでセメントで舗装されていて谷側にはロープが張ってある。木々の向こうに滝が見える。この入口から降りていくと滝の中腹に出る。上流への道は途中で途切れているので、滝壺へ降りてみる。セメントで補強されているところもあるが、傾斜が急なところもあり、歩きやすいとは言えない道であった。




左手に滝が見えてきた左手に「粟又の滝」の検索結果で見慣れた滝の姿が見えてくる。やれやれもうすぐか、と思ったら甘かった。


滝壺脇へ降りる狭い鉄の階段。傾斜は急で20段以上。降りた先に川を渡る飛び石が見える。
降りてから振り返った鉄階段。最後の2メートルは階段が無くなっている。
なんと長くて急な鉄階段が現れた。しかも最後の数メートルは階段が途切れ、手すりはロープに変わり、足元は濡れた石段である。単に濡れているのではなく、どうも水が流れているようだ。これは滑りやすそう。


正面から見た粟又の滝。緩やかな岩肌を水が流れ落ちてきている。
川を渡ってから振り返ると下流に大きな看板のある階段が
それでも降りきるとおなじみの滝の姿が見えて「ああ、来たんだな」と安堵する。しかし、今のルートは万人向けとは言いがたい。どうしたものかと思いながら飛び石を歩いて川を渡り右岸を振り返るとしっかりした階段が見えた。よし、帰りはあそこを通ってみよう。


90メートル先に避難口があると知らせる木製看板
左岸に遊歩道があるので、しばらく下流に向かって歩いてみた。しばらくすると「避難口2番 90m」という気になる看板が。避難口って何?


川は右へ曲がり、青空が見え、山肌の緑が輝いていた。
木々が覆いかぶさるような道を歩いて行くと突然、視界が開け、朝日に輝く森が見えた。調子に乗って歩いてしまうと駐車場に戻るのが大変(あの上り階段が控えている)。そこでそろそろ戻ろうかと算段しているところで「避難口2番」の看板が見えた。

避難口


避難口2番とかかれた新聞紙を広げたほどの大きさの白い看板
セメントで固めてはあるが、落ち葉の積もった急な坂道。
公道に繋がる部分は高さ1メートルほどの竹垣で塞がれていた。
看板には細かい字でなにやら書いてあったようだが、今は読めない。好奇心に駆られて上り始めてすぐに後悔。なんという急坂だ。しかも落葉が積もっていて滑りやすい。つづら折れを上り、ようやく上の道路に出たと思ったら、なんと柵で塞がれていた。映画「地下水道」で負傷したコラブを連れて歩いたデイジーの気分。実際に避難する段になったら開放されるのだろうし、そうでなくても簡単に乗り越えたり倒したりできそうな代物だが、あの勾配と落ち葉は避難を妨げること請け合いだ。ってなことを考えながら降りてきた。


道端に落ちていた「避難口1番へ140メートル」の看板
滝まで戻る途中に「避難口1番 140m」という看板が倒れていた。向きからすると上流。だが滝壺まで戻り左岸を調べたがそれらしいものはない。


滝への入り口は


階段下に建てられていた遊歩道案内図なんのことはない、先ほど右岸に見えた石の階段が避難口1番。遊歩道全体の案内図もあり、どうやらここが起点らしい。つまり先ほど県道から降りてきたのは公的なルートではない。そういえば途中の休憩所風のところに「私有地」と書いてあったっけ(〈罠〉と書いた所以であり、憶測だけど途中に土産物屋でも店開きするのだろうか?)。そしてこの避難口の意義は、雨が降って急な増水の恐れがある場合に観光客を避難させるためのものであった(恐いのは避難口3番と4番の間には「この間は避難口がありませんので十分注意してください」という、具体的にどう注意するの?と疑問符のつく注意書きがあること)


避難口1番の石段。幅は2メートル弱でセメント製の手すり。
石段の上端から県道までの坂道。コンクリで舗装され、中央にはロープ。
県道へ出たところ。「粟又の滝自然遊歩道入口」「滝めぐりコース 養老の滝200メートル、(中略)下り口」という看板が。
さて、その避難口1番は、急ではあるものの広くてしっかりした階段であった。狭くて中途半端な鉄階段よりは使いやすそう。体力があれば人を背負って昇降も...金と力のない私には難しいか。階段が終わると今度は坂道。これまた急峻で長い。しかし上り下りが分離されており、歩きやすい。


そして県道178号に出て振り返ると、設置者名こそ書いてないものの「粟又の滝自然遊歩道入口」等の看板があり、ああ、ここが滝へのオフィシャルな入口だと分かる。


駐車場


町営駐車場出入口脇の小屋に紐でくくりつけられた「駐車料金はこの中へ」「1台500円」と手書きされた白い木箱。駐車場に戻っても、この時刻(7時40分)では1台だけ。当然、管理人の姿も見えない。料金収納箱が置かれているということは利用者の良心任せの無人駐車場なのかも(第三者が勝手に設置したニセ料金箱の可能性は...ま、ないだろうけど、手書き文字の怪しい箱だ。)。当然のことではあるが500円を納付してから出発。出口で人が突然現れて「金払わなきゃだめじゃないか」と難癖をつけられたら、と妄想して投入するところを写真に撮ったが、よく考えたら動画にして「入れるふり」でないことも明白にしておかないと証拠としては弱い。幸いなことにそんな人物は現れなかった。


滞在時間は約40分だったので、今度来るときは滝見苑の駐車場を第一候補にしよう。さて、次は飯給駅だ。


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コメント

チャレンジングなコースですね!!
階段怖すぎです。
滞在時間が40分って・・駆け足したんでしょうか・・

そして複数のトラップが用意されている旅w

投稿: 耳子 | 2016/06/08 17:43

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