つながらない線路:上総中野駅
太平洋に昇る朝日を見に来たついでに巡る房総半島の旅。椿公園の次は御宿にある「月の砂漠の像」の予定であったが、自動車を停める場所を見つけられなかったので場所だけ確認して通過(駐車場はいくつもあったが、早朝のことで管理人はおらず、かといって無断で停めていると揉めそうな雰囲気があって、「もういいや」ということに)。この辺りで疲れが出てきたのか、勝浦まで海沿いの道路を走ってから大多喜街道を北上するつもりでいたのに、ナビへ粟又の滝(別名「養老の滝」)の位置を設定してしまったため、すぐ半島中央部に向かってしまった。粟又の滝近くまで来て上総中野駅のことを思い出し追加設定したのだが、カーナビというのは基本的に「ここでUターンしろ」とは言わないようだ。方向転換するためにかなり大回りをすることに。ともあれ6時半ころに駅前に到着した。
2つの鉄道が出会った駅
この駅は2015年6月21日に放送された「ヨルタモリ」の「始点・終点」に登場している。印象的なナレーションを書き起こしたページがある。
つまりここは、
ふたつの車止め標識が向かいあう
極めて珍しい始点・終点。
鴨川を目指して五井から南下してきた民間の小湊鐵道と、日本国有鉄道が内房の木更津と外房の大原を結ぶために建設してきた国鉄木原線(国鉄民営化後いすみ鉄道いすみ線に)は、この上総中野駅で出会ったところで力尽きたように延伸が止まり、今に至っている。そして駅は列車が互いに乗り入れられない構造になっている。ナレーションの結びは繋がらない線路のもどかしさを語っているようだ。
上総中野駅の二つの車止め標識は、
70年以上もの間、
複雑な思いを抱きながら
行きかう電車を見守り続ける。
ところがである。実は小湊鐵道といすみ鉄道とを結ぶ線路は存在する。Googleマップで見てもらえば分かるように、東から来た小湊鐵道線は駅舎寄りに、西から来たいすみ鉄道線はその南のホームに引きこまれているが、もう1本、ホームのないところを通っている側線がある。
@hikoriblue グーグルマップで見ると、実は線路は一本につながってるのね。ただし、ホームのないところを通ってる。
— 細川啓%求職中 (@hosokattawa) 2015年6月21日
つまり、「ここはあくまでリレーの中継地点。」というのは一種のフィクション(実際、保守用車両ではあるけれどいすみ鉄道から小湊鉄道へ乗り入れた例もある)。それを知ってやや興ざめした思いで見回すとそもそも電車は走っていないということにも気付く。幻想を打ち砕いてから現地に赴くというのも旅の醍醐味(ぉぃ)。
駅全景

パノラマ写真は縮小して全体を見るより、ダウンロードしたものをウィンドウ幅1000ピクセル程度で原寸大表示にしてスクロールした方が実際に見渡しているのと似た見え方になる(ココログは仕様上1600ピクセルより幅広い画像をアップできないので、外部に幅8416ピクセルの画像を載せた)。向かって左端に駅前駐車場が見える。車止めで終わっている手前の線路は小湊鐵道のもの。左手から伸びてきている線路は大多喜を経て大原と繋がるいすみ鉄道。無人駅なので改札口はなく外から直接いすみ鉄道のホーム(1面1線)へ渡ることができる。いすみ鉄道のホーム右端には車止めが見える(その奥に側線が通っている)。小湊鐵道の線路はその右側を伸びている。駅舎は手前の小湊鐵道ホームにある。
駅前に着いたとき、ちょうど大原行きの始発列車の出るところであった。見ての通り気動車(ディーゼルカー)であり電車ではない。小湊鐵道も電化されていないことは架線がないことで確認できる。
小湊鐵道ホームには木造の駅舎がある。無人駅なので改札口も券売所もない。外から来て右手(五井方面)は禁煙、左手(大原方面)は喫煙可となっている。扉がなく中央部が吹き抜けなので煙が漂ってくることはないだろうが、実におおらかな〈分煙〉である。なお、トイレは外へ出たところに竹筒型の公衆トイレ(写真は撮ってこなかったのでwikipedia参照。この写真には側線もはっきり写っている。)がある。
wikipediaの駅舎写真にはっきり写っているので、今さら載せる価値もないのだが、いすみ鉄道の線路と側線の分岐部分は撮ってきてある。手前の車止め標識は小湊鐵道の終点。
こうして出かけたときはなにかしら地域経済への貢献を考えるのだが、この時刻では開いている店もない。やむなく待合室の外にあった自販機で入場料代わりに飲み物を1本購入するにとどめた。次の目的地は粟又の滝(別名は養老の滝、正式?名称は高滝)。
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コメント
突然の耳子登場にビックリΣ(゚д゚lll)
パノラマ写真すごいですね。
DLして見ましたが臨場感たっぷりです。
投稿: 耳子 | 2016/06/08 17:40