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2016/06/11

水没コンピュータ

今年も国立情報学研究所(NII)のオープンハウスへ行ってきた。2日間開催されていたが、両日行く元気はなく28日(土)のみ。

参加登録をすると2次元バーコードの参加証が送られてくる。昨年まではこれを印刷して持参していたが、今年はiPod touchで撮影し、その画像を提示した。あっさり通過。以前、飛行機に乗るのに携帯電話に受信したメールのバーコードをかざしたが読み取られず、念のため持参したプリントアウトで事なきを得た経験があったけれど、今回は杞憂。

ガイドブック(PDFでも提供されている)をもらう。昨年までのA4判からほぼ半分のコンパクトサイズになり扱いやすくなったが、アンケート用紙がはみ出すのが邪魔。まずは2階の一橋講堂へ行って「NII研究100連発」。

NII研究100連発


NIIの研究者10人が1人7分30秒の持ち時間の中で、それぞれ10件の研究成果を発表する「NII研究100連発」。これはニコニコ生放送で生中継された(プレミアム会員ならばタイムシフト視聴可能)ほか、現在はyoutubeでも見ることができる(しかしこの動画は明らかに途中から始まっている)

450秒で10件なので、平均すると1件45秒のプレゼンテーション。なんだか「全英プルースト要約選手権」(プルーストの長編「失われた時を求めて」を15秒で要約するというモンティ・パイソンのスケッチ)みたい。

100も聞いて覚えていられるはずもなく、今すぐに思い出せるのは、かつてAIは画像認識が苦手だったが、今はディープラーニングによってそこそこの成績を収めるようになってきたという話(では何が不得手かというと、会場では「ほほぉ」と思ったのに、もう忘れている。調べてみるとどうも「意味の理解」らしい)。追い追い動画を確認しておこう。そういえば会場で「あ、これは去年のポスター会場で聞いた」ってプレゼンもあった。

水没コンピュータ


昨年までは中会議室にポスターセッションが詰め込まれていたが、今年はポスターは廊下・講堂前ロビーで、中会議室は半分が「デモ・体験コーナー」になっていた。


「直接自然水冷却PC」「浸水耐久試験中」とラベルの貼られた水槽の中で剥き出しの基板が水に沈められている
水槽の中には水草と金魚
で、足を踏み入れてすぐに目に入ったのがデモB10の「水と光をつかった未来のコンピュータの建築学」(鯉渕研究室)で展示されていた水没コンピュータ。水の中で動かせるコンピュータと言っても、水中で操作できるパソコンを目指しているわけではない。見ての通り電子部品を着けた基盤部分を水漬けにするのが目標。その目的は冷却。高価な特殊冷媒ではなく普通の水が使えることを強調するために水槽には金魚と水草が入れてあった(初日はイモリも入れていたそうだが、夜のうちに脱走してしまったという)


種明かしをすると、チップやメモリなどを組み上げたボードを防水性材料で丸ごとコーティングしてしまう。当然、部品の交換は無理(その気になればやってやれないことはないかもしれないが、費用対効果が悪い)で、故障したらボード毎交換となる。これはグーグルの「マシンは消耗品」という考え方(『アップル、グーグル、マイクロソフト』に書いてあったように思うが手元にないので確認できない)と同じだろう。実際、動画中の質疑で(部品交換はできないと答え、質問者がエコじゃないと不満げなのに対し)「でもデータセンターなんてみんなそんな感じじゃないですか」と答えている。

映像から人の顔を識別


会場では本屋さんコーナーが設けられていた。素見で手にとったら面白そうな本やゲームが沢山。さんざん迷って『IDの秘密』と『おしゃべりなコンピュータ』を購入。ひと休みしようとNII Cafe のテーブルに座ったところ、ちょうど戸山高校とのワークショップ「映像から人の顔を識別してみよう!!」をやっていて、気を回したスタッフが端末を持ってきてくれたので参加。


まず配布された資料に載っている三人の首相経験者(小泉・鳩山・福田康夫)の写真を専用アプリで読み取って映像アーカイブを検索。小泉・福田の二人についてはうまくいったけれど、なぜか鳩山の顔を検索しても別人しかヒットしない(資料を作る段階でチェックしなかったのかなぁ? それとも「こういうことも起きる」という見本?)。それからスクリーンに投影された人物映像を読み取って検索するデモンストレーション。概ねうまくいくのだけれど、緒方貞子(国連難民高等弁務官)の検索結果に堀江貴文がヒットしてしまうのは、まぁなんと申しますか(あんまり面白かったので結果のいくつかは写真撮影してきた)


今はまだ映像の解析だけのようだが、いずれは「怒っている人」「喜んでいる人」を映像アーカイブから抽出することもできるようになるだろう(研究の目的に「赤ちゃんのように目から入ってくる情報の意味を理解して学習」と書かれている)。たとえば国葬で弔問客の中から悲しんでいない人間を見つけ出す、なんて恐ろしいこともできるようになるのだろうか。もっとも問題になるのはその次のアクションであって、「やっぱり不人気だったなぁ」と諦めるとか「功績が理解されていないからもっと周知しよう」とかなら、それほど恐くはない...と言い切れるかな?

アンケート


スタンプラリーには参加せず、アンケートを提出して記念品としてフリクションペン(去年もこれだったっけ)をもらって退去。


アンケートでは、ポスターの前に立ち止まると説明を申し出る積極性と、中会議場内の通路が例年より広かったことを肯定的に評価。興味を持った展示には上記に加えD08「人工頭脳プロジェクト ―東大入試に迫るコンピュータから見えてくるもの―」を記入(「東
ロボくん」はどうやって問題文を読み込むのかと質問したところ、機械可読形式に変換して人が入力しているという答えに軽く失望)

餃子と鱧


帰りは神保町駅に向かい、神田すずらんまつりでビールを飲んで餃子を食い、ついでに和亭『なにわ』にも足を運んではしご酒。来週(5月30日)から鱧(ハモ)料理が始まるとのこと。夏である。

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コメント

http://inbook.jp/serif/184342
グーグルのデータセンターでは「基本的に修理はしない。壊れたものは破棄され」る、とあった。

投稿: 細川 啓 | 2016/07/03 13:09

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