米を食べて、治す・予防する
フェイスブックで教えてもらった講演会「知らないではもったいない!!! 米を食べて、治す・予防する研究が進んでいる」(PDF)に行ってきた。
以前、石浦さんの講演を聞いたことがあるのだが、セロトニンレセプター(の数だったかタイプだったか)がその人の好奇心の強さと関係があるようだという話をしてから聴衆に、今はデータの集積中なのだが検査に協力してくれる人はいますかと問いかけ、手を挙げた人に「あなた方は好奇心の強い人だからサンプルとして偏ってしまう」というようなことを言われたのが記憶に残っている。
小島さんは去年BLOGOSに「非科学的な遺伝子組み換え作物論争に終止符を!」というインタビューが掲載されていた人。『誤解だらけの遺伝子組み換え作物』の編集人でもある。
第二部のバネル討論は盛り上がりを見せたけれど、終わってすぐに神保町にある和亭『なにわ』の創業40周年感謝フェアへ行って八海山に溺れてしまい、翌日はコピスみよしへ行ってまたワインとビールに浸ってほとんど流れてしまったので、会場で書いたアンケートを清書するにとどめる。
アンケート回答
1)基調講演について
「スギ花粉症緩和米の臨床研究における効果」 | どちらとも言えない |
---|---|
「アルツハイマー病の予防」 | やや満足 |
「健康機能性米への期待」 | やや不満 |
「メディアの立場から」 | やや満足 |
2)具体的にどの点が
「スギ花粉症緩和米の臨床研究における効果」はペプチドの作用機構が理解できなかった。
「アルツハイマー病の予防」は挑発的で結構。もっとやれ。
「健康機能性米への期待」はもう少し落ち着いてしゃべってほしい。薬に近いものを素人判断で摂取できる食品として提供して大丈夫?
「メディアの立場から」改宗者の方が信仰心は篤い。信用できる。
3)遺伝子組換えイネ等を用いた機能性作物の開発についての期待感
やや期待する
4)具体的に
○投与が簡単。生産手法が確立していて安価に供給可能。成分が安定。新しい薬草・生薬といえる。
△効きすぎる成分を入れたものが想定外の事態を引き起こし、反動が来ることを懸念。
5)遺伝子組換え技術について
大いに期待する
6)(自由記述)
「知識を与えれば理解される」という欠如モデルは大人には当てはめられない。
不安をもっている人の中には事実を突きつけられると怒り出す人がいる。
あまり無知をバカにしない方が良い。バカにされて話を聞こうとするのは優等生くらい。とはいえNMRをMRIといいかえたのは不満。
「健康に良いもの」として提示すれば、考えの固まっている大人も受容する鴨。海外で普及させてから逆輸入という奇策も。←「人体実験」と非難される
補足
「不安をもっている人の中には事実を突きつけられると怒り出す人がいる」というのは、昨年「誤った情報を正すための3つのコミュニケーション術」という記事で話題になった。9月のICRPダイアログセミナーで東京大の早野教授が引用したのを聞いた人もいるだろう。上記記事は全文を読むには会員登録するか雑誌を定期購読する必要があるのだが、幸いなことに公開されている最初のページにこう書いてあるのが読める。
1979年にスタンフォード大学のチャールズ・ロードらが行った画期的な研究では、人間は事実に基づく科学的な証拠によって自説の間違いを示されると、ネガティブな反応を示すことが判明した。自分が持っている考えと一致する証拠だけを受け入れるこの現象を、ロードは「確証バイアス」と呼んだ。
これは先行研究で、本題はその次。
ダートマス大学のブレンダン・ナイハンとエクセター大学のジェイソン・ライフラーは、「バックファイア効果」というさらに危険な傾向を実証している。実験では、誤りを指摘された人々はその誤認をさらに強めたという(英語論文)。
端的に事実を指摘されただけでもこうである。もし、揶揄嘲笑とともに浴びせられたらどうなるだろうか? 権威ある専門家から理解できない難解な用語や数式を散りばめた反論を受け、衆人環視の下でぐうの音も出なかったら考えを改めるだろうか? どちらも期待できないし、たぶん復讐の炎は地獄のように我が心に燃えとなるであろう(これをマイクロアグレッシブだと感じた方は、自尊心ばかり無駄に強い男が勘違いで怒り狂う歌をご教示ください)。
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