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2015/09/22

コンサート会場でCDを売るのは催眠商法?

「怪しい情報に騙されないための思考法」というテーマのサイエンスカフェに参加したところ、終盤で講師が自著を紹介し、参加者がメモる様子を見てから、これが催眠商法の手口と諌めた話を書いた。

講演のテクニックとして見事と感心する一方で、「いや、買うときは冷静に考えますよ」という反感も覚えた。そんなことをいったら、コンサート帰りにCDを買うのだってカモられたことになってしまう。購入するのは演奏の興奮覚めやらぬ時だし、「サイン入り」と煽られるし、握手してくれると行列ができていれば並んでしまうのが人情だし。しかし、それが悪徳商法と規制されることはないし、規制が好ましいこととも思わない。

催眠商法についての行政の説明を見てみよう。


  1. 商品説明会や安売りセールを名目に人を集め

  2. 初めのうちは欲しい人に手を上げさせ日用品や食料品を無料で配り

  3. 会場内を熱狂的な雰囲気に盛り上げ

  4. 最後に高額な商品(市価より高額)を買わせようとする

コンサートの場合、3番目の熱狂的な雰囲気こそ当てはまるけれど、集まった人は当初からその音楽や演奏家目的で、チケットを購入しおり、そのうえ売値も市価と同じなので、催眠商法には当てはまるまい(もっとも公演中に壇上から「この還元なんとか水で体調良好」と商品のステマをしてロビーで売っていれば催眠商法の疑いあり)

繰り返すと、1)高額商品の販売を目的としながら、2)そのことを表に出さず、3)無料配布等で興奮状態にして、4)高額商品購入を申し込まざるをえない状態に追い込むのが催眠商法。売っている商品は価値がないか、あっても価格に見合わないことが多いけれど、それは本質的ではない。たとえ有用なものであろうとも、判断力を低下させてから購入させるのは悪徳商法(酔客に酒や料理を勧めるのはどうなのかというのは一瞬迷うが、常識的な限度を超えればボッタクリである)

というわけで、会の講師紹介に著書が挙げられていて、書籍販売は主目的ではなく(人数分の書籍を持ち込んでいたら怪しいが、現物はなかった)、購入するかどうかを判断する時間的余裕を与えていたから催眠商法ではなく、われわれも引っかかったと叱られるいわれはない(という自尊心に振り回されてはいけない)。しかし、とても印象深かった。

催眠のキモは考える時間を与えないことであろう(荒っぽい業者は、カモが正気に帰っていても態度を豹変させて購入を迫るそうだが)。また値段を数万円程度にすることで「ま、いっかぁ」という気にさせる業者もいるらしい。今後はスマホを使わせてオンラインで申し込ませる手口にも注意が必要だ(クーリングオフが難しい)。サクラがその場でネット購入し、それを「さすが奥さん」とおだて上げ、おまけの一つも出したら釣られる人続出だろう。会場では品切れにして欠乏感を煽るかもしれない。とはいえ業者が白に近いグレーゾーンを攻めてきたら第三者は口を出せない。乗せられやすい人は自重を。

ところで挙げられた2冊について書名を書いていなかった。『なぜ疑似科学を信じるのか: 思い込みが生みだすニセの科学 (DOJIN選書)』と『「自分だまし」の心理学(Amazonアフィリエイトへのリンクを張りましたのでゆっくりとご検討を)。会の案内には他にも書名があがっていた。興味のある方は著者名で検索を。

「私は騙されない」という人も


最後に。催眠商法の現場に行っても自分は大丈夫という人はいるでしょう。慣れた人ならばもらえる物だけもらって帰ることもできるでしょう。標的にされた場合と違い、「騙されないと自信のある人ほど危ない」は必ずしも当てはまらない。

しかし、あなたはその場を盛り上げ、被害者の判断力を低下させる共犯者になっている。あなたが逃げきることで、逃げ切れなかった人たちが餌食になる。

頒布会そのものを台無しにするならば話は別だが、会場に入ること、その場にいること、手を上げること、物をもらうこと、そのすべてがおとりしての役割を果たしかねないということを理解してほしい。

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