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2015/09/09

献血ルーム巡り10(福島県・福島県赤十字血液センター)

なかなか仕事が決まらないため、暇つぶしと社会貢献を兼ねて始めた献血ルーム巡り。福島県の二番目は福島市内にある県赤十字血液センター内の献血ルーム。今回も前泊することにして、「ホテルを予約して、ホームレスの生活自立を支援しよう」というhotels4changeから白河市のホテルルートイン新白河駅東を予約。ここは福島エクスカーションに参加すべく新白河駅に降り立ったときに「あ、ここにもルートイン」と思ったものだが、距離も手頃、値段も手頃ということで決定。

前泊


翌朝撮影したホテルの車寄せ。隙間なく駐車している。
booking.comの情報には「駐車場なし」と恐ろしいことが書いてあるが、ホテルのページには「無料」「先着順」「113台」「近隣コインパーキング有り」と(最後の一項目が意味深だが)頼もしいことが書いてある。Googleストリートビューでホテルの駐車場があることを確認して出発した。しかし、着いてみると満車! フロントでは車寄せに停めても構わないというけれど、そこもすでに一杯! もう一回相談すると近くの〈無料駐車場〉を紹介してくれた。新幹線駅の目の前なのに、皆さん自動車で来られるんですなぁ(人のことを言えるか)。着いたのが21時を回っていたため、ホテルのレストランは閉店、周辺に店らしい店もなく(駅まで行けば〈はなの舞〉があるのは分かっていたが)虫の知らせか途中のPAで蕎麦を食していたのを良いことにそれを夕食とすることに決定。

前回宿泊したいわき泉駅前はバス・トイレの広さとバリアフリーに驚いたけれど、残念ながらこちらは普通に狭い〈ホテルのバス・トイレ〉。便座が斜めなので普通より狭いかもしれない。それでも放尿姿が鏡に映らないのは高評価。また部屋着は浴衣でなく甚平で、1階の大浴場もその格好で行けるのはありがたい(今まで経験したビジネスホテルの多くは、浴衣姿で廊下に出るなというので、自販機に飲み物を買いに行くにも着替える必要があった)。WiFiも前回の設定がそのまま使えた。ところがアラーム時計の時刻が合っていない。はじめは2分ずれているだけかと思ったが、よく見ると11時間58分ずれていた!

試しに午前10時25分に鳴るようセットしたら、午後10時23分に鳴り出した。モーニングコールも(さすがに午前/午後は合っていたが)なぜか2分早くかかってくる。

それでも旅の緊張からか、寝過ごすこともなく無事に起床、朝風呂を浴び(寝ぼけていたらしく、大浴場のロッカーでセットした錠番号が偶然にも部屋番号と一致! 後で気づいて冷や汗である)、朝食を摂って予定の時刻に出発できた。白河インターから東北自動車道に入り、安全運転で福島西インターまで。そのあとカーナビに導かれて福島県赤十字血液センターに予定よりやや早く9時半頃に到着。

血液センター献血ルーム


福島県赤十字血液センターは3階建ての大きな建物で、3階の窓に「献血ルーム」と貼ってあるけれど、ルームそのものは1階にある。航空写真で見てもらうとよく分かるが駐車場も広くとられ、うち6台分は献血者用に確保されていた(もっとも枠外に停めてから気づいたのだが)。入り口ロビーはガラス張りで、駐車場側からみると複数のヒト形パネルが白い裏面を見せていて、なんか現代芸術っぽい(ああ、写真撮り損ねた。来週また福島市を通るけど、駐車場に入って写真だけ撮って帰ったら怪しまれるよなぁ)

ロビーに貼り出された「本日の血液在庫状況」の表ロビーには「本日の血液在庫状況」が貼り出され、この日(8月27日)はAとOが「超ピンチ」、BとABが「ピンチ」という厳しい状況。そして200mL献血は「高校生のみ受け付けます」と完全に「全血400mLまたは成分献血」に舵を切っていた。ちなみに保存のきく血漿はABが「少し心配」のほかは「安心」、血小板がいずれも「超ピンチ」となっていて、血小板を提供するつもりで来ている身としては我が意を得たり!なのだが、よく考えると血小板や血漿の輸血にABO式血液型って関係あるのだろうか?(血漿中には血液型に応じた抗体が存在するので無視はできないのだろうが)

トイレ

トイレのペーパーホルダーの脇に設置された非常呼び出しボタンロッカーが目立たない場所にあったため、カバンを担いだままカウンターに行き10時予約である旨を告げると、すいていたためかすぐに受け付けが始まった。最初に服薬と歯科受診の確認(3日以内に歯石除去のような出血を伴う歯科処置を受けていると献血はできない、次にセルフで血圧測定。朝食の時刻と睡眠時間を申告したらタッチパネルを使った問診。最初の「体調は良好ですか」に「はい」と答えた後は軒並み「いいえ」。かるがもクリニックでMMRワクチンを接種したのは去年の8月26日なのでワクチンの質問にも久しぶりの「いいえ」。ただし海外旅行の経験には「はい」。結果はICカードに書きこまれてフォルダへ。右手首に受付番号の入った紙テープをまきつけられる。医師による検診を待つ間に荷物をロッカー(美術館などによくある、後で戻ってくるけれど100円効果を入れないと鍵の閉まらないタイプ)に入れ、トイレをチェック。〈朝顔〉の上には献血後は座位で用をたすようにとの注意が貼られ、気分が悪くなった時のための非常呼び出しボタンは個室の中にだけ。押す面が大きくて非常用向き。

検診と事前検査

そんなことをしているうちにマイクでの呼び出し。慌てて戻り、男性医師の検診を受ける。特に問題もなくすぐ血液検査へ。いちおう両腕をチェックして検査用採血は左腕からに。ナースの白い医療用手袋は指先に破れ目があるのが気になる。しかし処置前に消毒液を擦り込んでいるから問題ないか。針を抜いた後、これまでだと厚いガーゼのついた絆創膏を貼られ、止血帯を巻かれるのだが、なぜか畳んだガーゼを当てて「押さえていてください」。

このカウンターは採血ベッドから見えるので、献血中に別のナースが担当する後の人の様子を見ていると、手袋は毎回交換した上に消毒しているし、採血の後は止血帯をまいてもらっている。中には本採血用の腕に温パックを巻かれている人も。何なのこの違いは?

待合室に戻って待機。自動販売機(無料)から炭酸入りアクエリアスを飲んで水分を補給する。書棚を見ると主に新書判コミックスで、漫画雑誌も少々。「美味しんぼ」が並んでいるのを見ると「撤去しちまえ」と毒づきたくなる。壁にはナースが撮った写真や小学生の献血ルーム見学の様子が貼られている。ガラスケースの中には継続的な献血協力者への感謝状や記念品の見本も。また献血および供血状況を示したパネルも展示されていた。骨髄バンクの案内にはパンフレットだけなく、ノートパソコンを使った動的コンテンツも用意されている。

採血

そうこうしているうちにベッドの用意ができた。ベッドは(たぶん)10台。ここのは明るい黄色である。ヘッドレストにスピーカーの内蔵されたタイプ。今までテレビもビデオも見る気がないので、着席するとすぐに消してしまっていたから、よそでは音声をどうしていたか思い出せない。隣の音が聞こえてこないのだからイアホンか何かを使っているのだろうが、考えてみると見知らぬ他人の使ったイアホンを耳に入れるのは気持が悪い。こういうタイプが増えていくのだろう。

靴を脱いで上がる。アームレストには温パックが用意されていた。腕を載せてしばらくすると、温かいを越して熱くなってきたので間にタオルを入れてもらう。エタノール綿で清拭してからヨード液で消毒。ヨード綿棒は1本ずつパックされていた。驚いたのはナースが自分の人差し指をヨード綿棒(使用済み)で念入りに消毒していたこと。これは他所では見た覚えがない。ヨード液が乾いたら採血開始。4サイクルおよそ40分で血小板を提供。

テレビはスピーカーを確認してすぐに消してしまった。テーブルの上にパウチされた書類が何枚かあるの手にとってみると、献血後の注意(気分が悪くなったらしゃがめ、内出血の予防法、提供した血液の使用を止めて欲しい場合の連絡方法)とレッグクロス運動の案内。この運動も献血ルームごとに微妙に異なるのが面白い。ナースの指示でやってもらうから、それまでに読んでおいてと書いてあるが、結局指示はなかった。まぁ、勝手に始めていたからかもしれないが。基本は両足首を重ね、上下から押しつけ合う運動なのだが、力をいれる時間がルームによって6秒だったり5秒だったり。同時に腹にも力を入れろというところもあれば、足首の屈伸を組み合わせろというところも。

ベッドがちょうど検診室と事前検査カウンターの前だったので人の動きを見ていると、前述したようにナースによって処置が微妙に異なることを発見。これは他所のルームでも見られた。ちなみに服装はパンツの人とスカートの人が半々くらい。全員がエプロンを着用し、マスクはきちんと鼻まで覆っていた。

包帯を巻かれた右腕少しうとうとっとしたところで終了。こちらも止血帯は使わず、ガーゼ付絆創膏の上から包帯を巻かれた。少し朦朧としていたのか、血圧を測る前に降りようとして制止されてしまった。この終了後の血圧測定もルームによって使う機械が違うのが面白い。家庭用の手首に巻くタイプのところもあれば、腕にカフを巻くタイプのところも。共通しているのはセットすれば自動で測定するところ。上下とも問題のない血圧であった。

献血を終えて

待合室に戻ると定型の儀式。ただ、よそだとドナーのところへ職員が一式持って来るけどね。献血記念にティッシュボックス(例の、東北六県ご当地けんけつちゃんの描かれた物)それと予約して行ったのでもう一品選べるというので血迷って佐賀の「名水そうめん」をいただく。

自販機専用のコインももらえたのでセブンティーンアイスクリームを食すことに。ボタンの数は4×2+3×3で、その名の通り17種類あるはずなのだが、よく見ると重複があって12種類しかない。がぜん刺激されて、「17種類コンプリートを目指す!」となり、ひとまず今まで食べた記憶のない「ミルクあずきモナカ」を選択。ちなみにメーカーサイトを見るとセブンティーンと言いつつ20種類ある(年齢詐称アイドルみたいだ)ので、献血ルーム以外でもチェックしておく必要がありそう。期間限定商品もあるな。

さらに水分を補給し、約30分休憩して退出。ここもロッカーは出入口のそばで、職員は奥の方にいるので、荷物を取り出したら黙って出ていくことになる。

信夫山


せっかく福島市まで来たのだから、すぐに帰るのはもったいない。ということで福島大学の松川資料室に見学を申し込んであるのだが、約束の時刻は15時。それまでには間があるので信夫山へ行ってみる。

第一展望台には登らず直下の駐車場から福島市街を眺めている人たち市内を一望できるという第一展望台周辺は工事中であったため(左端に写っているのは工事関係車両)、駐車場から景色を眺める人も。

岩に嵌めこまれた「暁に祈る」の歌碑展望台には「暁に祈る」の歌碑。なんでここに? と不思議に思い、帰ってから調べると、これは戦時歌謡の「暁に祈る(作詞をした野村俊夫が福島市出身)で、シベリア抑留中に起きたリンチ事件(「暁に祈る」事件)とは無関係だった。歌の方が先にできているので「本家はこっちだ」と言われれば返す言葉がない。

駐車場の隅に設置されたリアルタイム線量計駐車場にはリアルタイム線量計が設置されており、その値は0.30μSv/h。この値はおそらくバックグラウンド値込み。よく持ち出される「年間1ミリシーベルト」はバックグラウンドと医療用被曝(そして職業被曝)を除いた追加被曝線量なので、この値を単純に外挿して「年間2.6ミリシーベルトだ! こんなところには住めない」と騒いではいけない。

このあと信夫山公園にも回ったが、鉄板で囲って工事中のところが多く、危うく身動きが取れなくなりそうにもなったので早々に退散した。


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