献血の制限は厳しい
献血をしようとする場合、3種類の制限がある。一つは献血する人の健康を慮るもの。採血やそれに伴う消毒等によって健康を害してしまっては申し訳ないという理由。たとえば貧血とかヨードアレルギーとか。もう一つが輸血を受ける患者の健康を慮るもの。感染症が典型(発熱等体調不良は両方にかかる)。そして採血する側の都合。たとえば血管が細くて針が刺しにくいと断られる人がいると聞く。また製剤の寿命が短い血小板は「今日の分は足りてます」ということがある(この場合は血漿献血に切り替わる)。
日本赤十字社のサイトには「献血をご遠慮いただく場合」というページがあって、詳しく解説されている。そして献血の現場でも問診項目になっており、該当すると「今回はできません」ということになる。だから献血に協力しようと思い立ったらこのページをチェックするのが吉。でないと無駄足になることがある。ちなみにこの解説にはない項目もあって、実はそれに引っかかったことがある。一つは肝機能値の一つALT(GPT)が高すぎるという理由、もう一つは朝食にカレーを食べていたという理由(血液が脂肪で濁る乳びのため)で。
それらを網羅した解説ページがあれば便利だとは思うが、時々刻々変化するものであるのですぐ陳腐化してしまう(厳しくなるだけでなく、緩和されることもある。たとえば以前は花粉症で服薬していると一律アウトであったが、いまは非ステロイド系抗アレルギー薬であれば当日服用していても問題ない)。結局のところ職員・検診医にお尋ねくださいに落ち着く。しかし、わざわざ出かけていって、検査用採血までしてから(医師による問診が検査用採血より前の場合もある)「残念ですが、また今度」となるのは双方にとって無駄になるので、前記「献血をご遠慮いただく場合」をその都度確認し、気になる場合は行こうとしている献血ルームか管轄する都道府県赤十字血液センターに事前に問い合わせておくのが吉。できればメールで回答をもらい、それを持参して見解の不統一があった場合に備えよう(電話の場合は名乗っておくと回答記録があれば参照しやすい)。
問診で答えにくくないだろうか?
さて、献血には前世紀から協力しているのだが、全体的な傾向として制限が厳しくなってきたという印象がある(前述のように緩和された項目もある)。とりわけ感染症予防のための制限がそう。2014年には、タッチパネルで答える質問にはないけれど検診医から「代々木公園・新宿中央公園・外濠公園に行きましたか」と聞かれたり、注意書きが貼り出されたりしていた(デング熱の国内感染を警戒しての注意だが、冬になったらもう無意味)。
それくらいならイエスでもノーでも答えやすいのだが、次のような質問はどうだろうか。
- 過去6カ月間に麻薬・覚せい剤を使用しましたか?
- 過去6カ月間に不特定の異性または新たな異性との性的接触がありましたか?
- 過去6カ月間に男性どうしの性的接触がありましたか?
- 過去6カ月間に上記に該当する人と性的接触をもちましたか?
「麻薬・覚醒剤を使いました」と正直に申告する人はどれくらいいるだろうか。また特定の異性であっても親密な交際が6か月以内なら申し出ろとは、かなりプライバシーに踏み込んだ質問。高校献血キャンペーンとかで学校に献血バスが来て、後ろに同級生や教職員がいる中でこんな質問に答えさせているのだろうかと余計な心配までしたくなる(性体験を自慢し合うような学校だと見栄張ってアウトになるおっちょこちょいが出で一騒動起きるかも)。企業の中にも職場に献血バスを呼ぶところがあるけれど、カミングアウトしていない男性同性愛者にとっては踏み絵のような苦痛らしい(もっともその辺は赤十字職員も心得たものでうまく処理してくれると聞いたことがあるが)。最後に「上記に該当する人と性的接触を」に至ってはもう「カレシの元カノの元カレを、知っていますか?」(動画)の世界。結婚している人にとっては「夫/妻は浮気をしているか、覚醒剤を打っているか、」と聞いているようなもの。正確に答えられるはずもないし、深く問えば家庭を壊しかねない。
赤十字としても問診で完全にハイリスクグループを排除できるとは考えていないだろうが、それなら問診をもう少し簡素化できないだろうか(献血ルームの場合、これらの質問にはタッチパネルで回答する)。献血する側の負担が強くなっているようで気になる。
いろいろ書き出してみると考えがまとまらなくなってきたので、とりあえず前半を公開。後半は...未公開のまま終わるかも。
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