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2014/06/29

遺伝子組換え作物見学会再び

日本モンサント社から毎夏恒例の遺伝子組み換え(GM)作物の試験栽培の見学会の案内を頂戴した。昨年8月の見学会に参加し、その様子をブログに書いたためだろう(モンサント社には連絡していたし、ツイッター上で参加を募っていたのぎ茶会のブログにも紹介されていたから)。といってもまた来いというのではなく、後から届いたメールによるとブログで紹介して欲しいという趣旨。

それで久しぶりに「遺伝子組み換え作物見学会のブログ」を覗いてみた。9月の見学会参加者の感想とか収穫までの報告とかが掲載されていた。ただ、残念なことに「次回以降は、参加者の方々から頂いたご質問にお答えしていきます。」と書いてあったのに、それはなく次の記事は2014年度の見学会案内(ただし、9月19日の記事でラウンドアップの残留性への質問には答えている)

今年の見学会は7月25日(金)から9月10日(水)までに16回開催(土曜開催も1回あり)される。費用は常磐線佐貫駅までの往復交通費のみ。1回の定員は25名(先着順)。1人から申し込める。逆に10名以上の団体であれば別枠での開催も検討とのこと。

私は昨年8月下旬に参加し、除草剤を撒かない対照区で雑草が荒ぶっている様子に圧倒された。後半に見学した方が耐性遺伝子導入作物と除草剤の組み合わせの威力を実感できるが、懐疑的なので丸め込まれたくないという人は前半に行った方が良いかもしれない(昨年の8月第一週にははっきりとした差が確認できる状態だったので、7月中が狙い目か? アワノメイガの幼虫もまだ小さいし)。今年の夏はどれだけ暑くなるかも分からないし、台風が来て以降の見学会は中止なんてことも考えられるし。

佐貫駅は上野駅から電車で40分弱の距離にあるが、利根川を越えることもあり、小旅行の趣がある(以遠から通勤している皆さんごめんなさい)。駅からはモンサント社の用意したバスで20分ほど田園地帯の中を走るので、都会の疲れを癒すのにも有効か。

圃場見学の前に1時間ほど座学がある。特に予習していかなくても理解できると思うけれど、懐疑的なので丸め込まれたくない(またかよ)という人は、自分の感じている疑問をまとめていくと良いだろう。質問をしたり意見を述べたりする際も、典拠が明確なら説得力があるし、モンサント社の人も回答しやすいだろう。もちろん〈消費者のモヤモヤとした気持ち〉を率直にぶつけるのもまた有意義ではあるけれど。

なお、日本国政府がすでに認めてしまったこと、たとえば栽培許可についてを蒸し返そうとしても無駄だと思う。仮に広報の人を言い負かすことができたとしても、栽培許可が取り消されることもないし、モンサント社が日本での展開を諦めることもない。25人枠をお仲間で埋めない限り、「反GMの人って」という顰蹙を買うのが落ち(鮮やかに立ち往生させられれば別かもしれないが)。そこは行きのバスの中で署名する同意書にある通り、運営を妨げない範囲で頑張ってください。むしろ本音を引き出すことに専念するのが吉かと。

そうそう、賛成であれ反対であれ、可能ならばダイズかトウモロコシを作っている農家の人と一緒、それが無理なら話を聞いてから参加すると理解が進むでしょう。作物に触れたことのない都会人が語る農業って、やはり地に足がつかないことが多いから。そして農業に従事している人には、世界の種子産業の考えていることはきっと参考になるでしょう。

あー、もいっぺん行ってみようかな。遺伝子組換えダイズで作った納豆もほしいし(ぉぃ)。単騎乗り込みはちょっとという人はご一緒に。

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2014/06/22

「ゴジラ」鑑賞の妨げ

映画「ゴジラ」(1954)をデジタルリマスターで観た。映画館のスクリーンで見るのはテレビとは大違い。しかしなんとなく不安は覚えていたものの、予想以上に突込みどころが多くて困惑。

志村喬演じる山根博士が原爆と水爆の区別が付いていないようなのは仕方あるまい(専門は古生物学だし)
ジュラ紀を200万年前というのもご愛嬌(wikipediaの「ゴジラ (1954年の映画)」2014年6月7日 (土) 08:10版によれば「香山滋の「原作」からこうなっている」)
山根博士が自宅でも白衣を着ているのも「映画的な嘘」と認めよう、
ゴジラはまだ海中にいるのに山根博士宅で地響きが聞こえる(「ジュラシックパーク」のティラノサウルス登場シーンは、このシーンへのオマージュか)のもゴジラのライトモチーフと納得しよう、
警戒線を越えようとして阻まれ「山根博士だ」と名乗るのも許そう(自分のことを〜博士ということはない)
ゴジラに比べて電車が小さすぎるのも、
海岸沿いに高圧鉄塔があっという間に建ち並ぶのも、
それら鉄塔が赤熱して融けていくのに架線が切れないのも、
海上保安庁の名前は出ても自衛隊の名前は出ない(防衛隊というものが登場する。ちなみに防衛庁も協力したらしい)のも、
日本の安全を保障する名目で駐留するアメリカ軍の姿が一切見えないのも、
戦闘機からのミサイルがことごとく外れているのも、
GMカウンターで人体の汚染を確認しても除染しないのも(救護所では汚染した児童を部外者である山根嬢が無防備に抱き上げる始末)
芹沢研の実験室にテレビがあるのも(当時であれば1台あれば御の字だし、オキシジェン・デストロイヤーを作用させる際には高電圧機械っぽいものを動作させており、テレビを置くには不適切な環境)
応接から階段を降りるから実験室は地階かと思ったら窓から日が差しているのも(崖っぷちに建っているのなら理解できる)
海中のゴジラをGMカウンターで見つけるというのも(ガンマ線といえども数十メートルもの水があれば遮蔽される)
実験室では電気機械が始動して反応を始めたオキシジェン・デストロイヤーが海中ではあっさり〈酸素破壊〉を始めたのも、
パカっと割れたオキシジェン・デストロイヤーの球が中空だったのも、
いつの間にそんな大量のオキシジェン・デストロイヤーを製造したんだというのも、
オキシジェン・デストロイヤーでゴジラ退治に向かう船に、山根嬢が乗り込んでいるのも(そればかりか少年まで乗船している)

みーんな許そうではないか(詳細を詰められなかったので挙げていない疑問点は未だある)。しかし、

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2014/06/10

象牙と象の密猟と

「ビッグイシュー日本版」にコラム「ノーンギシュの日々」を書いている滝田明日香さんが一時帰国して精力的に講演会を開いている。その一つ「アフリカケニアで野生動物と生きる~滝田明日香さんを囲む市民の集い」に参加した。会場は久しぶりの四谷ひろば(旧・新宿区立四谷第四小学校)。大雨にもかかわらず体育館には百人近い聴衆が。

5月末にNHKのクローズアップ現代「追跡 アフリカゾウ密猟とテロ」に出演された効果もある? (なぜか「動物園クライシス~ゾウやキリンが消えていく」と勘違いしている人もいたようだが)

受付で「ボランティアをされましたか?」と聞かれたが、きっぱり「いいえ」と答えて資料代を払う。もう基金会員もやめちゃったしね(寄付金控除を受けるため)。

お話は、イヌを使って家畜を獣害から守る仕事から始まり、現在のアフリカゾウ保護まで。野生動物が密猟されるのは、その肉(ブッシュミート)が珍味というか高級食材というか、とにかく市場で良い値で売れるからというのに最初の驚き。現金収入は魅力なのだ。

で、本題のアフリカゾウ。密猟のために絶滅の危機に瀕しているという。なぜ密猟されるのか? 象牙が高値で売れるから。ただし、ここから話は少々複雑になってくる。

整理してみると、こうなる。


  1. 現地では開発に伴い野生動物との接触が増え、獣害が問題になっている(特にそれまで象の通り道だったところに作った農場は侵入されがち)

  2. それゆえ現地農民はアフリカゾウに好感を持っていない

  3. アフリカゾウも人間を「危害を加えてくる対象」として敵視

  4. アフリカゾウから採れる象牙は(ホワイトゴールドと呼ばれ、闇市場で)価格が高騰し続けている

  5. 日本と中国が大消費国として象牙需要を支えている

  6. 各地の反政府武装勢力が資金源として象牙取引に着目

  7. 今では密猟には自動小銃が使われるありさま

  8. 密猟監視人との間に銃撃戦も起こるようになり「完全に戦争状態だ。」

  9. アフリカゾウを一頭倒せば年収に匹敵する現金が手に入るので密猟組織の手先になる現地人も

  10. 経験豊富なリーダーを失ったアフリカゾウの集団は、未熟なリーダーのもと、子象を守りきれず、また農民との衝突を回避できず、ますます危機的状況に陥る

つまり、象牙取引が完全になくなっても、農民とアフリカゾウの間に軋轢があれば密猟は止まらない。しかしながら、現在は象牙取引がおいしい商売であるため、密猟が過剰殺戮になっている。また、現地農民とアフリカゾウの関係が修復されても、象牙目的の密猟をなくすことはできない。そしてこれは個人的な推測だけれども密猟組織は協力的でない現地住民にも銃を向けるようになるだろう。これは容易に解決しそうにない。

また、非常に根本的な問題として、アフリカゾウって絶滅したら困るの? に対する答えも必要。農場を荒らされている側からすれば、いなくなって、おまけに現金まで手に入るなら一挙両得と思っても不思議ではない(絶滅させたら、象牙による収入は絶えるけれど、それはまた先の話)。一方で、イスラム過激派の資金源を断つためにアフリカゾウを絶滅させてしまえ(たしかに象牙取引は不可能になる)という乱暴な考えが出ないとも限らない。麻薬ではこの考え方は実行に移されていて、ケシ畑の破壊が行われている。

保護キャンペーンに協力しているヒラリー・クリントンの本当の関心はアフリカゾウの絶滅だろうか? イスラム過激派対策が真の狙いというのは穿ち過ぎか。中国を牽制できる話題だから乗り出したのではないと言えるだろうか。アンケートに「USAの思惑も真意がどこにあることやら」と書いたのはそういうこと。そっちの片がついたらサッサと手を引いたりしないだろうか。現地の親米的政権が〈合法的〉に乱獲を始めてもだんまりを決め込む可能性は?

この点、滝田さんにとってアフリカゾウを保護し絶滅から守ることは自明のようだ。もちろん、それは世界でも公式の常識である。でも、そういう常識を共有していない人が相手なのだから。(滝田さん自身は過激な反捕鯨派のような「アフリカゾウが第一」論者ではなく、ミツバチフェンスのように人間にも利益のある共存策を探られている)

休憩時間に水口編集長?と名刺交換する滝田さん。とても美しく迫力のある方でした。


取り組む相手は、「象牙取引の規制が厳しくなれば、値段は高くなる」と算盤を弾くような人間なのだ。その発想に従って密猟者は〈増産〉に、販売者は在庫の確保に、消費者は駆け込み購入に精を出す。講演に感銘を受けた聴衆が「私は象牙を買わないようにしよう(それまでだって買ったことはない)」と決意したところで、ほとんどなんの効果もないだろう。象牙をありがたがっている人に諫言しても「大きなお世話」と返されるのが落ち。幸か不幸か「これは合法象牙です」に対しては、違法象牙がロンダリングされているため、合法取引が密猟の後押しをしているという再反論が可能なのだが。

日本国内に限って言えば、象牙の用途は印鑑や根付といった小物であり、人工象牙など代替品の開発や印鑑文化の衰退(期待するのはまだ早いか?)によって需要は減っていくのではないかと希望的観測。問題はイケイケドンドンの最中にある中進国ではないだろうか。経済的に成功したエネルギッシュな彼らは〈ステータスの象徴〉を求める。それは希少であり高価でなければならない。「このまま消費すれば絶滅してしまうから」という説得はブレーキではなくアクセルになってしまいかねない。もっと相応しいと思えるものを提供するか、「象牙を持つのは格好悪い」というような文化を生み出すか。

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