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2014/02/24

真に画期的なものは裏通りでは売られていない

KEKの黒猫先生(最近は白猫の写真も多用されているが)が経口の成長ホルモン剤にお怒りのツイートをしていた。

ペプチドホルモンとか酵素のような機能性タンパク質を口から摂取しても胃腸で消化されてしまうし吸収されることもないということは「酵素補説」でも述べた(ただし、そこでも触れたように「タンパク質がそのまま吸収されることはない」については若干の例外事象もある)

これは基本中の基本なので、インチキ健康食品などに騙されないようしっかりと覚えてほしい。タンパク質(ペプチド)は口から飲んでも消化されてしまう。だから酵素やタンパク質性のホルモンを口から飲んでも効かない

しかし口から飲むインスリン製剤の話も聞いたことはある。もちろん真っ当な筋からである。で、「インスリン 経口」で検索するとそういう研究が進められていることが分かる。イノベーションというのは不可能(と思われていたこと)を可能にすることなので、「そんなの無理」と決め付ける前に最新情報を調べてみるのは悪くない。

かつてウイルスメール対策として一時「知らない人から送られてきたメール」や「外国語のメール」が危ないという注意が広まったことがある。ほどなくして日本語のなりすましメールが広がって全く無意味に。無意味どころか「知り合いからだったから」「日本語だったから」と迂闊に開いて感染する例が出て、むしろ有害な〈対処法〉となってしまった。おまけに覚えやすいようにと単純化して注意を広めたセキュリティ担当者への信頼が低下してしまうという副作用まで。だから覚えやすいスローガン(標語)というのは要注意。覚え易いという点では優秀でも、内容が間違っていたり陳腐化しやすかったりすれば、それは悪いスローガン。「四本脚はいい、二本脚は悪い」

「口から摂ったタンパク質(酵素・ホルモン)は栄養素以上のものにはならない」というのを教条的に覚えても実害はほとんど無いだろう。医師から「新しいいい薬が出ましたよ」と言われて「このインチキめ! 次はホメオパシーか」と激昂したら問題だけど、さすがに厚労省が承認した薬品にケチを付ける頓痴気は...いるか orz。ノバルティスのおかげで保険承認薬の権威も揺らいじゃったし。

というわけで、「難しいことを考えるのは苦手」と思い込んでいる人にもすぐ分かる標語はないだろうかと悩んでいて思いついた。真に画期的なものは裏通りでは売られていない(もちろん画期的な製品もコモデティ化すれば裏通りでも売られるようにはなる)

EMとかナノ純銀とかで放射能をなくせるなら、高レベル放射性廃棄物の問題も一気解決ではないか。世界中で売れるから特許をとれば大儲け。生産が間に合わないならライセンス供与をすれば良い。あるいは儲けを放棄して技術公開しても世界の恩人と讃えられることまちがいなし。しかし、これがあるから安心して原発を増設しましょうと言わないのは(言っているのかもしれないが、真に受ける人はほとんどいないのは)、それなりの理由があるのだろう。信じて買うのは、こう言ってはなんだが、騙され易い人たちばかり。

子供向けの読み物とか映画には、お屋敷の屋根裏部屋で発見された古い書物に、世間の人がまだ知らない真理が書かれている、みたいな設定があるけれど、現実にはそういう事はまず無い(歴史的事件の当事者の日記とかだとそういう事はあるかもしれない)。投資のど素人のくせに「絶対儲かる」お得な話が舞い込んでくるなんて信じていると身ぐるみ剥がれてしまう。同じように、「世界の大発明」は特許によって守られ識者のお墨付きとなってから凡人の前に登場すると心得よう。


なお、発端となったと見られるニュース(2011年5月)を見ると、成長ホルモンそのものではなく「成長ホルモンを刺激するプログラム」(として作動する何か)を販売していたらしい。「身長が伸びる」と効能をうたったことで薬事法違反(記事では「無許可販売」となっているが、おそらく無承認無許可医薬品の販売)。中身(原価は1600円)に成長ホルモンが含まれていたら、別の罪状(医薬品の無許可販売)も加わったかも。

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