« 「ミリ」の意味 | トップページ | ストロンチウム90の「90」の意味 »

2013/11/03

単体と化合物

「部屋の酸素が足りない」といった場合は分子状の酸素、つまり単体の話ですが、「クラーク数が一番大きい元素は酸素」という場合は化合物も含めます(空気の成分を見ればわかるように分子状の酸素よりは分子状の窒素の方が多い)。

では、次のうちで単体の話をしているのはどれでしょうか。
1)椎茸からセシウムが検出された
2)うがい薬にはヨウ素が含まれているけれど、放射線防護のために飲んではいけない
3)セシウムで汚染された木を燃やすとき、セシウムはカリウムと挙動が同じ
4)昆布にはヨウ素が多く含まれている

解答と解説


2)の「うがい薬にはヨウ素が含まれているけれど、放射線防護のために飲んではいけない」が正しい。

1)× セシウムはとても反応性の高い金属なので、生体内では必ずセシウム化合物。
2)○ ポビドンヨードは遊離したヨウ素を含む(すべてのうがい薬に入っているわけではない)。
3)× セシウムもカリウムもとても反応性の高い金属で、空気に触れればすぐに酸化される。
4)× ヨウ素も生体内では化合物。

ちなみに放射線防護のために服用するのはヨウ化物(ヨウ素の化合物)です。単体のヨウ素は刺激性の強い物質で劇物に指定されています。

出題意図


単体(一種類の元素だけからなる物質)と化合物(複数の元素が結合している物質)の混同は意外と多い(もう一つ混合物というのがあり、これは複数の物質が混ざった状態)

2011年に「水道水から放射性ヨウ素検出」と報道された際も、塩素と混同して煮沸したら対策になると誤解した人が多かった。また被災地(岩手・宮城)の瓦礫の県外焼却に対し「セシウムの沸点は641℃だから、焼却炉の煙突から出てくる」といった主張も目にした。アルカリ金属であるセシウムは化学反応性が高く、常温の空気に触れるだけで酸化され、水に触れれば発火する(そのため保存は鉱油の中に)。当然、放射能雲の中のセシウムも化合物(セシウム塩)であるし、土壌や生体の中に存在するときも化合物。木灰中のカリウムは炭酸塩なのでセシウムも炭酸塩と仮定すると、その融点は610℃または793℃(沸点のデータは見つけられなかった)。またゴミ焼却炉の場合は食塩の影響で塩化セシウム(沸点は1295 ℃)になると考えられている。

単体と化合物とでは話がまるで違ってくることがあるので注意が必要。

|

« 「ミリ」の意味 | トップページ | ストロンチウム90の「90」の意味 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 単体と化合物:

« 「ミリ」の意味 | トップページ | ストロンチウム90の「90」の意味 »