セシウムの性質
セシウムについて正しい記述はどれでしょうか。
1)常温で気体である
2)生体内では甲状腺に蓄積しやすい
3)生体内では骨に蓄積しやすい
4)放射能を持たない同位元素が存在する
解答と解説
4)の「放射能を持たない同位元素が存在する」が正しい。
1)× セシウムは沸点641℃、常温では固体(融点が約28℃なので、液体になる場合もある)の金属
2)× 甲状腺に蓄積しやすいのはヨウ素
3)× 骨に蓄積しやすいのはストロンチウムなどのアルカリ土類金属
4)○ セシウム133は放射能を持たない
放射性セシウムで汚染されたかもしれない瓦礫の焼却に反対する理由の一つとして、「セシウムは沸点641℃なので、気化して煙突から出る」というのが挙げられていましたが、これは単体と化合物を混同しています。セシウム(単体)は火の中ではもちろん、乾燥した冷たい空気中でも急速に酸化してしまいます。また食塩のような塩素化合物がそばにあれば、塩化セシウム(沸点は1295 ℃)になります。
ちなみに1秒や標準時を決めているのはセシウム原子時計で、これに使われているセシウムに放射能はありません。
出題意図
ストロンチウムと同様、セシウムも原子炉事故に絡めて初めて耳にした人は得体のしれないお化けのように感じているかもしれないが、その物理的化学的性質を把握すれば放射性セシウムの害を避けるのは難しくはない。
なお、セシウムによる内部被曝の恐怖を語る人の中には、時おり他の放射性物質と混同しているのではないかと思われる主張をする人がいて気になる。
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