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2013/04/08

うがい薬を飲まない

2年経ってみると「あの時の騒ぎはなんだったのか」と思えるようになってくることがある。

先日、練馬区の〈男女共同参画センターえーる〉へ過剰広告に惑わされないための科学的見方を聞くために行ったところ、廊下にあったポスターで吹き出した。

原発事故が起きたときの行動を説明した新聞見開きほどの大きさのポスター

制作主体のよく分からない「その時、あなたはどうする!」というポスターは、地震などいろいろな事象を列挙して危機管理を促す内容なのだが、その一つに「放射能汚染」を挙げていた。読むと内容は玉石混交で、明らかに「それは誤解だろう」という内容もあるのだけれど、我慢して読み進むと「原発震災になったときに」「【避難先では】」として「ヨウ素を含むうがい薬を飲まない」と。

「ヨウ素を含むうがい薬を飲まない」という注意が5番目に

あの頃は昆布出汁を飲めとかいろいろな説が飛び交いましたね。

なぜうがい薬を飲んではいけないのか。その理由は被災地でさえヨウ素剤の配布が行われなかったのと同じ。ヨウ素の過剰摂取等による副作用が懸念され、それは服用しないことによって予想される被害より大きいから(放射線で予想される被害の方が小さかった)

ただし、この方針というか広報は大いなる反発を受けたし、実際問題公平性を疑わせるところはあった。なぜって、薄めたうがい薬を飲むことが本当にそんなに害があるなら、うがい薬にその旨の注意が明記されていなければおかしいが、一般的な「用法用量を守れ」以上の注意があった記憶はない。それどころか喉に直接噴射するのど薬があるし(噴射後薬液を吐き出してとは聞いてない)、古典的にはルゴール液という代物さえある。喉が荒れていると、塗られた後はゲェゲェしたくなるけれど、治ってくるとケロリンパで、薬液も普通に飲み込んでいた。だから「数滴を薄めて飲め」で重篤な過剰症が出るかのようにいうのは危険を強調しすぎ。

もちろんヨードアレルギーというものはあるし、心配のあまり十数滴を希釈したり原液を飲んだりするようなパニック行動も起こりうるから(「飲み過ぎないで」ではなく)「飲まないで」と広報したのは正しいのだが、疑心暗鬼となっている人々には「事態を過小に見せかけようとする政府の陰謀」と受け取られてしまったようだ。

事故を過小に見せかけるのに、どうして自衛策を禁じるのだろうか? そのつながりが分からない。空港や駅に警官が出て検問をし、自主避難を妨げるようなことをしただろうか? 駅に人が殺到して混乱したならば規制もされたかもしれないが、幸いそんなこともなく、逃げたい人は逃げられた。治安的にはこっそりうがい薬を飲むよりも荷物をまとめて西へ避難する方がよほど問題になるのに「避難してはいけません」などとは言われなかった。それがうがい薬で「飲んではいけない」と政府機関から注意(PDF)が出たのは、端的に言って有害無益だから。なお、放医研の説明ではヨウ素過剰は理由に挙げられておらず(むしろ少ないから効果がないと)、服用を想定されていない外用薬成分の摂取を危険視している。

さて避難先で注意点としてあげるならば、「安定ヨウ素剤は指示に従って服用すること」を主とすべきであり、「勝手に飲んだり、配布されないからと言ってヨウ素を含むうがい薬を薄めて飲んだりしない」というのはどちらかというと副次的。

どうもこの「その時、あなたはどうする!」はピンぼけな感じがする。

一読しておかしいと感じた点を列挙すると、こんな感じ。


  • 放射能に汚染されたがれきは増え続けている(増えてません
  • 手抜き除染による汚染の効果と拡散(除染後に下がった測定値がまた上がるのは手抜きとは関係ないし、「汚染の効果」は意味不明
  • (セシウムは)カリウムと入れ替わって筋肉に蓄積(入れ替わったりはしないし蓄積もしない
  • 原発の風下に向かって逃げない(近隣ならいざしらず、どの原発からも遠い首都圏で風下云々は無意味

「先の見えない不安がいっぱい!」と赤で書くことにどんな意義があるのだろうか? その不安を軽減・解消するためのポスターではないのか?

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