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2013/04/27

東京大学へ寄付をする

東京大学には、医学部附属病院でお世話になったのと何人かの飲み仲間が関係しているくらいで、さしたる義理もないのだが、母校にすらろくに寄付をしない私が寄付をしたのには訳がある。

2011年の原発事故に際し大学院理学研究科の早野龍五教授は、原子炉については門外漢ながら、原子物理学者のバックグラウンドを元に、混乱する情報の「見える化」と解説を精力的に行ってきた。大学本部からの「早野黙れ」という圧力に少し臆し、また家庭の危機に見舞われながらも情報提供とガイガーカウンターミーティングなどへの支援を惜しまず、こうした活動によってパニックから逃れられたと述懐する人もいる。

11年も夏を過ぎると人々の関心が内部被曝に移りだした。しかしもっとも気にされた学校給食の検査には、食材にサーベイメーターを当てるという形ばかりの〈測定〉は論外として)事前に食材を抜き取り検査して弾くという方法では検査すり抜けと精度という問題がある。そこで早野教授は食材ではなく給食自体をゲルマニウム半導体検出器で精度良く測る陰膳調査を提案した(その意義についてはFOOCOM.NETでも解説されている)。ところが役所は「検出されたら手がつけられない」と及び腰。まるで隠れんぼで鬼に見つからないように目を瞑る子供のような反応。そこでとうとう私費で検査を開始されたのが2011年の秋。やがて東京大学基金経由で寄せられた浄財がそれを支えるようになる。

なお、陰膳調査は現在は文科省予算によって進められているが、厚労省管轄の保育所は対象外というお役所仕事っぷりに目が離せない状況。

というわけで、一口乗ったのが去年。今年は従来の装置では難しかった小児用WBC「BABYSCAN(仮称)」開発スタートを記念して(「収入が安定したら」なんて言っていたら何時まで経ってもできない、と観念したせいもあり)追加した。昨年は苦しい財政事情を考慮して2000円にとどめたが、そこへ領収証と礼状(総長からとご本人からと計2通)と活動報告書が送られてくるので恐縮した、という事情もあって増額。寄付とあわせて寄せたメッセージは基金のページで閲覧できる(早野教授支援寄付以外の人の分も一緒)

なお、自分も一口乗ろうという方は注意書きを見てから申し込まれたい。

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2013/04/26

遅ればせながらの放射線測定

周回遅れの感は否めないけれど、放射線測定機を借りて測定をしてみた。以前は1泊2日の貸し出しで、予約待ちの状態と聞いていたが、現在は7日間に延びたのに、15台ある貸出機は10台以上が待機状態。ウェブで手順を確認してから役所へ電話。窓口まで来れば即日貸し出すというので、すぐに行ってきた。

貸出機は堀場製作所の環境放射線モニタ PA-1000 Radi。ガンマ線測定に特化しているのでベータ線を測って大騒ぎする心配はないのだが、微量のセシウムを見たい場合にはちょっと力不足か?

窓口で簡単な説明を受けて受領。貸し出し許可書の裏面には「他人の所有地等で許可無く測定しないこと」などの注意書き。そりゃそうだ。開放されている土地でも、管理権者の意思に反する行為であれば立件されかねないし、過去にはこんな騒動(他人の土地に侵入して放射線測定をし、写真をネットにアップしたことに抗議を受けたのに、開き直ったところで炎上)

さて、結果であるが、結論からすると、予想は見事に外れて、どこもバックグラウンド値(役所が測定して公表している空間線量値0.04~0.07μSv/h)の範囲に収まってしまった。それでも雨樋につけた雨水貯留タンクへの採水分岐やタンク底部付近が0.06μSv/hと室内(0.041μSv/h)よりやや高めだったのは放射性Csの影響か。

ちなみに役所が公表しているマニュアルでは、電源を入れてから約1分間、装置が安定するのを待ち、「測定したい場所に1cm程度まで近づけて、60秒以上待ってから表示される値を読み取」るというものだった(過去60秒間の移動平均を表示するため)が、屋内ではデジカメの30秒インターバル撮影で記録してみた。

すると一連の測定でも変動幅が0.01くらいある。雨の日は窓際のほうが心持ち高く出る(大気中に自然に生成した放射性ビスマスの降下で0.02くらいは上がるらしい)。同じ場所でも雨天の日のほうが高い...時もあったがそうでない場所もあって、はっきりしたことは言えない。

屋外では、2分も3分もカメラを構えていられないとインターバル撮影をやめたけれど、結局「ダルマさんが転んだ」状態だったので、正確な間隔で撮れるインターバル撮影のほうが賢明だった(測定機にも時計機能が付いていると便利だと思った)

今回の測定のハイライトは、高圧洗浄機を使った雨樋の洗浄前後での線量変化であるが、0.059→0.051とかなり微妙。いずれにしても問題になる線量ではないから良いのだが。

ところで借り出すときに、石岡であった事例をあげて、校正について質問したけれど、役所はその手の危機感はお持ちでなかった。動作確認の時に普段と違う値が出れば分かるという説明に安心して借りてきたが、返却時に様子を見ていたら、電源が入ることくらいしか確認していなかったような(少なくとも2分間は見ている必要があるのだが、そこまではしていなかった)。故意に設定をいじる人はそうそうはいないと思いたいが、カバーや本体を汚染させてしまったり衝撃を与えてしまったりは悪意がなくても起こりがち。本当は1年おきに校正が必要なのだ。とはいえ費用もかかることだし、1年間不正確な測定機を貸し出すことにもなりかねないので、せめて定期的に15台並べて値をチェックしてもらいたいな、と思った次第。というわけでウェブから意見を送っておいた。

測定機は毎年校正が必要と聞きますが、費用もかかりますし、ずれた値を示す機械を貸し出してしまう心配もあります。もう実施済みかもしれませんが、定期的(月1回)に全台で一斉に測定して、値のずれを確認していただければと思います。

それと、標準線源があると、バックグラウンドを測定して鳴るアラームにビクビクしないで済む。チェルノブイリ事故で汚染されたノルウェーでは、トナカイの胃の内容物を密封した標準線源が利用されているという。

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2013/04/22

丸の内で零円札

先週の木曜日(18日)、「クラゲドリーム債」の購入に失敗したあとの悄然とした足取りで丸の内に向かった。そこにあるJPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテクが目的。前日のNHK「探検バクモン」で「博士の愛したコレクション」として紹介されていたのを見てそそられたから。

中央郵便局の跡地に建てられたJPタワーの2階にある博物館は11時開館。オアゾの丸善で時間を調整してから行くと、上りエスカレーター前になにやらすごい行列ができている。どうやら上階でなにやらイベントがあるらしい。誘導係の人に聞いて2階までは階段で。

館内は写真撮影禁止ということで写真はない。24日に探検バクモンの後編が放送される筈なので、それを見てほしい。あるいはNHKオンデマンドで。

東京大の保有する標本などが展示されていて、素人にも「おおっ」というものから専門家ならば垂涎なのだろうなというものまで多彩。ただ、説明がとても貧弱(そもそも説明プレートがないもの、離れたところにあるものに加え、説明プレートだけがあったりして、もう「前衛芸術かっ!」と言いたくなる)な上に、どうも新しい説明書きをわざと古びて見せかけている風があって鼻白む思い。そんなところよりも工夫すべきところがあるでしょうに。火星の表面写真を古びた額に入れて抽象絵画的に見せるのはまだ理解できるけれど。

新しい博物館なのだから、ニンテンドーDSガイドのようなものを導入すればよいのに、と思った。そもそも東大にはデジタルミュージアム構想があったはず。今ならiPad(やその他タブレット)とBluetooth(あるいはWiFiなど)で多彩な説明を提供できるはずだ。

という感じで、気落ちしていた上に歩いた疲労も重なって少し不機嫌になりつつ3階のギャラリー3を出ようとしたとき。紙幣の展示物の中に異様なものが。あ、これは赤瀬川原平の大日本零円札 ! まさかこんなところで再会できるとは。込み上げてくる笑いを抑えきれず、満面の笑みで会場を後にした。

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2013/04/19

残念! クラゲドリーム債

館内のレストランで「クラゲラーメン」を出すなど、特異な展示をしてきた山形県鶴岡市立加茂水族館(わーお、ドメイン名もkamo-kurageだ!)を2014年にリニューアルオープンするために、鶴岡市が市債を公募した。その名も加茂水族館クラゲドリーム債

新聞記事でそれを知り、支店が一番近いきらやか銀行に電話をしてみたところ、「関心が高く、先着順のために割り当ての少ない当行での申し込みはお薦めできない」という意外なお返事。そこで割り当てがもっとも多いという荘内銀行で購入すべく、口座を開いたのが3月。最近はマネーロンダリングを防ぐとかで、口座一つ開くのにも色々うるさいが、目的を告げると好意的に質問に答えてくれた。購入代金は現金よりも預金の方が処理が早いとのこと(現金持参の場合、いったん口座に預けることになる)。そんなこともあろうかと持参した購入資金を預金し、準備万端とほくそ笑みながら帰還。

唯一の心配は受付開始日までに就職が決まってしまい出勤日になってしまうことだったが、幸か不幸か音沙汰がなくメールを送ってもナシのつぶて、電話をしても出ない一社を除いてすべてリジェクト。

受付開始の18日。一番乗りを目指して久しぶりの満員電車に揺られて日本橋室町に赴いた。開店前に行っても仕方あるまいと思いながら支店のあるビルに入り、エレベーターの前に行くと人がいる! 胸騒ぎを覚えながらエレベーターに乗り込むと、支店のある階のボタンが既に点灯! この人もそうなのか。エレベーターが止まる。位置的に先に降りることも可能であったが、ぐっとこらえて順番を譲る。エレベーターホールに出てみるとなんと人が並んでいる。「これはきっと北都銀行の...」と思おうとしたが、そんなのは自己欺瞞。開店前からクラゲドリーム債を買おうという人が並んでおり、整理券が配られている。私は16番。もし抜け駆け的にエレベーターを先に降り、整理券15を受け取っていたら、開店を待つ間は針の筵であったろう。人間、常に公正に振舞わないといけない。

見れば入り口に貼り紙が。

「開店までお待ちください」と「整理券を配っています」の2枚の貼り紙

やがて9時。整理券の順番に受付が始まる。どうやら窓口ではなく応接室を使うようだ。初めて来て、口座をこれから開く人もいるのかな... 行列は少しずつ進み、ホールにはイスも運び込まれて全員が座れるようになった。行員が申し訳なさそうに山形県の観光パンフレットの入った袋を配る。往復の電車の中で読もうと思って持ってきたビッグイシューを読みながら待つ。

9時15分。「申し訳ありません。クラゲドリーム債は売り切れました」 なんと。東京支店で購入できたのはわずかに3名。そのうちの一人の女性は、それを知って頻りに「ごめんなさい」と頭を下げるが、皆さんにこやかに「良かったね」。

取材のテレビクルーまで来ており、購入できた人はインタビューを受けることに。

呆然の体で一階まで降りるが、来年に予定されている次回発行分(今回の倍、6億円)を購入するにせよ、普通預金で放っておくのはもったいないと気づいて支店まで戻って定期預金に預け替えた。その手続き中にも、何も知らずにやって来てクラゲドリーム債を申し込もうとする方が。

結局、1年間「スポーツ応援定期」で預けることにした。J2のモンテディオ山形がJ1リーグへ昇格した場合、またはプレーオフ進出した場合は特別金利になるという。こう聞けば、それまでサッカーに興味がなかった人も順位を気にし、J1昇格の暁には一緒に喜んでくれるだろう。うまい仕組みだ(過去にはイチロー預金なんてものもあった)。ちなみに荘内銀行サイトの説明ページにはタイポがあったけれど、19日に電話をしたところ晩には修正されていた。

あまりにもあっさりと売り切れてしまったので、「他行では買えるかも」と考えた人もいるようだが、午後には早々と完売しましたと鶴岡市財政局が宣言していた。報道によれば20分で完売したとも。さっさと諦めて良かった。

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2013/04/08

うがい薬を飲まない

2年経ってみると「あの時の騒ぎはなんだったのか」と思えるようになってくることがある。

先日、練馬区の〈男女共同参画センターえーる〉へ過剰広告に惑わされないための科学的見方を聞くために行ったところ、廊下にあったポスターで吹き出した。

原発事故が起きたときの行動を説明した新聞見開きほどの大きさのポスター

制作主体のよく分からない「その時、あなたはどうする!」というポスターは、地震などいろいろな事象を列挙して危機管理を促す内容なのだが、その一つに「放射能汚染」を挙げていた。読むと内容は玉石混交で、明らかに「それは誤解だろう」という内容もあるのだけれど、我慢して読み進むと「原発震災になったときに」「【避難先では】」として「ヨウ素を含むうがい薬を飲まない」と。

「ヨウ素を含むうがい薬を飲まない」という注意が5番目に

あの頃は昆布出汁を飲めとかいろいろな説が飛び交いましたね。

なぜうがい薬を飲んではいけないのか。その理由は被災地でさえヨウ素剤の配布が行われなかったのと同じ。ヨウ素の過剰摂取等による副作用が懸念され、それは服用しないことによって予想される被害より大きいから(放射線で予想される被害の方が小さかった)

ただし、この方針というか広報は大いなる反発を受けたし、実際問題公平性を疑わせるところはあった。なぜって、薄めたうがい薬を飲むことが本当にそんなに害があるなら、うがい薬にその旨の注意が明記されていなければおかしいが、一般的な「用法用量を守れ」以上の注意があった記憶はない。それどころか喉に直接噴射するのど薬があるし(噴射後薬液を吐き出してとは聞いてない)、古典的にはルゴール液という代物さえある。喉が荒れていると、塗られた後はゲェゲェしたくなるけれど、治ってくるとケロリンパで、薬液も普通に飲み込んでいた。だから「数滴を薄めて飲め」で重篤な過剰症が出るかのようにいうのは危険を強調しすぎ。

もちろんヨードアレルギーというものはあるし、心配のあまり十数滴を希釈したり原液を飲んだりするようなパニック行動も起こりうるから(「飲み過ぎないで」ではなく)「飲まないで」と広報したのは正しいのだが、疑心暗鬼となっている人々には「事態を過小に見せかけようとする政府の陰謀」と受け取られてしまったようだ。

事故を過小に見せかけるのに、どうして自衛策を禁じるのだろうか? そのつながりが分からない。空港や駅に警官が出て検問をし、自主避難を妨げるようなことをしただろうか? 駅に人が殺到して混乱したならば規制もされたかもしれないが、幸いそんなこともなく、逃げたい人は逃げられた。治安的にはこっそりうがい薬を飲むよりも荷物をまとめて西へ避難する方がよほど問題になるのに「避難してはいけません」などとは言われなかった。それがうがい薬で「飲んではいけない」と政府機関から注意(PDF)が出たのは、端的に言って有害無益だから。なお、放医研の説明ではヨウ素過剰は理由に挙げられておらず(むしろ少ないから効果がないと)、服用を想定されていない外用薬成分の摂取を危険視している。

さて避難先で注意点としてあげるならば、「安定ヨウ素剤は指示に従って服用すること」を主とすべきであり、「勝手に飲んだり、配布されないからと言ってヨウ素を含むうがい薬を薄めて飲んだりしない」というのはどちらかというと副次的。

どうもこの「その時、あなたはどうする!」はピンぼけな感じがする。

一読しておかしいと感じた点を列挙すると、こんな感じ。


  • 放射能に汚染されたがれきは増え続けている(増えてません
  • 手抜き除染による汚染の効果と拡散(除染後に下がった測定値がまた上がるのは手抜きとは関係ないし、「汚染の効果」は意味不明
  • (セシウムは)カリウムと入れ替わって筋肉に蓄積(入れ替わったりはしないし蓄積もしない
  • 原発の風下に向かって逃げない(近隣ならいざしらず、どの原発からも遠い首都圏で風下云々は無意味

「先の見えない不安がいっぱい!」と赤で書くことにどんな意義があるのだろうか? その不安を軽減・解消するためのポスターではないのか?

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