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2012/12/03

アボガドロ定数(用語解説)

科学的な説明は『理化学辞典』やwikipediaを見てもらうこととし、ここでは感覚的に把握できる説明をしたい。なにしろ正統的説明ときたら、次のような調子で、いきなり1モルときては第二センテンスに進めない人が輩出してしまうだろうから。

物質1モル中に含まれるその物質を構成する粒子(原子、分子、イオン、ラジカル、電子など)の数に相当する。(日本大百科全書

そもそも原子と分子の区別も、健全な市民にとってはどうでもよいことらしいということを最近知った。いや、知っているという人だって単原子分子とかイオン結晶とか金属とかを持ち出して、これは分子?それとも原子?と聞いたらしどろもどろになるのではないか。

大胆に言うと、アボガドロ定数とは原子分子の世界と日常世界がどれほど隔たっているかを示す数字。12グラムの炭素(炭)の中にある炭素原子の数と同じで、602,213,670,000,000,000,000,000(これを6.022×1023と書く)。

この数は18gの水の中にある水分子の数とも同じだし58.5gの食塩中の塩素原子の数とも同じ。そしてまた342.3gの砂糖の中にあるスクロース(=砂糖)分子の数とも等しい。高校理科の知識が残っている人はこのへんで「原子量または分子量の値にグラムを付けると、その中に含まれる原子または分子の数はいつも同じ」を思い出されただろうか。それがアボガドロ定数

いろもの物理学者さんが「アボガドロ数を実感する」というページを作っている。10倍ズームを23回行うとはどういう事か実感できましょう。

さて、1ベクレル(Bq)という値は1秒間に1つの原子が崩壊しているということ。100Bqなら100個。100Bqの放射能を持つ物質内では1分間に6000個、1時間に360,000個、1日では8,640,000個の原子が崩壊し、それだけ放射線が出てくるわけだけれど、864万も!と騒ぐ前に、それが原子の数としてはとてもとても少ないということに気づいてもらいたい。864万という数はアボガドロ定数に比べると1/100,000,000,000,000,000。放射性セシウムは137グラムで1モル(すなわちセシウム137原子が6.022×1023個)なので、864万個というのは137ミリグラムの100万分の1のそのまた100万分の1のさらに100分の1くらい。それが1kgの中にあるわけで、どれほど希薄か想像できるだろうか。

なお、膨大に思えるアボガドロ定数ではあるけれど、ホメオパシーで100倍希釈を12回繰り返すと10012=1024、つまり1/1,000,000,000,000,000,000,000,000倍に希釈されるので、最後の希釈液には1原子(分子)も残っていない蓋然性が高い(このことはホメオパシーを推進する側も認めている)。

一方、最強の毒物群に数えあげられる細菌毒素の中には、その1分子が入っただけで1つの細胞が死んでしまうほど強力なものがある。しかし、これは通常の毒物とは異なる機構によっている。

放射性元素の場合、1原子が放射線を発する機会は原則として1回だけなので、生体の中でいつまでも悪さをし続けるということはない(セシウムの場合、β線とγ線を1回出して終わり)。

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