« 電子学術論文誌の広告戦略 | トップページ | ググレカスと返す前に »

2012/10/11

特別展「元素のふしぎ」を楽しむ

国立科学博物館で開かれていた特別展「元素のふしぎ」に行ってきた。

この夏に旧・生花若手の会関東支部年長組の暑気払いで元若手が集った際、北海道から帰省していた福井元支部長が家族を連れて見に行ったという話を聞いてそそられはしたものの、手元不如意ということもあって諦めていた。

それが閉幕直前になって、結晶美術館を主宰する山猫だぶさんが入場券付きで鑑賞ツアーを開催するというのをツイッターで知り、急遽参加することにした。

集合場所のクジラ前に集まったのは、主催者(研究員)、その夫人、化学系院生、中学教師、ウェブデザイナー、阿久悠botの中の人そして失業者。招待券に加え特製クリアファイル特製ポストカードセットまでいただいて、いざ出発。

閉幕直前なので混雑を心配したけれど、午前中ということもあってかさほど混んではおらず、比較的ゆったりと見ることができた。観覧ツアーと言っても、旗について歩くわけではなく、自由に観覧し、ときどき説明を聞くという形式。

こういう展示はある程度知識がつくと、単純に驚嘆してばかりもいられない。入場してすぐに「尾形光琳も元素のおかげで絵を描けた」と「紅白梅図屏風」の川の部分に銀箔が使われたという説明。「あれ? これはNHKが取り上げた、X線分析で箔ではないと分かったものでは?」と疑問がわく(これは二重の勘違いで、問題となったのは金地の部分であり、この展示の中盤で「長らく議論となってきた下地は金粉ではなく金箔を押したものであることも判明した」と説明されていた。)。疑問を覚えたらすかさず写真で記録(館内はストロボを使わなければ撮影自由。ただしなぜかビデオは不可と。)

周期表の前では、「原子番号の順に並べたっていうけど、その原子番号はどうやって決めたの」と同行者にふっかける(原子番号はモーズリーが特性X線の波長から求めたもので、そういう話は立ち話では無理)

原子核と原子の比率がせいぜい1:30の原子模式図

原子の模式図の前でもツアーコンダクターを差し置いて、「原子核の大きさは原子の1/10,000以下なのだから、この図はおかしい」と一席。

Imgp4986

しかし電子雲のガラス模型の前では素直に驚嘆。原子の構造と太陽系構造が相似とか何とか聞いた風なことを言う奴は、なんて悪態は仕舞っておく。

ガラスアンプルの中で鉱油に浮く金属リチウム塊
「元素のふしぎ」展の特徴の一つは現物展示。これはツアーコンダクターに言われて気づいたのだが、金属リチウムは比重が0.534なので、保存用の鉱油中で浮いている!(これじゃ鉱油に浸す意味が無い。)

黄リンと白リンを別のものとした説明
ついに見つけました。リンの説明。「黄リンは空気中で自然発光し、白リンは湿った空気中で発光する。」 えーっと、まず黄リンとは白リンの表面に赤リンの膜ができたもので、実質的には白リン。そして白リンの発光に湿気は関係しない。この説明は明らかに変。

金属カリウムの前では「やさしお®なんかよりもβ線は強いだろう」としたり顔。

セレンの整流器
セレンの整流器を見て「セレンの洗面器」という空耳を思い出す。

柄が可愛らしいセラミック包丁
ジルコニウムの用途としてセラミック包丁が展示されていた。「これなら金属探知機に見つけられずに旅客機内に持ち込めますね」「でも、こんなピンクの包丁ではハイジャックしても様になりませんね」とおばかな会話。

前述したように現物展示が特徴の一つ。重さに驚かせる金のインゴットとか、やや玄人受けするような巨大石英ルツボ(シリコン精製用)の陰で無色のガスはひっそりと。しかしクリアファイルではガラス容器に入って写っていたフッ素ガスは現品展示なし。理由を聞くと、乾燥フッ素でもガラスは徐々に腐食されて長期保存はできないからだと。前述福井元支部長のお嬢さんは(「好きな元素アンケート」があったので)「好きな元素はフッ素」と言っていた。理由は自分のイニシャルがFだからと。「名前のイニシャルSは」と聞くと「匂いが変だからいや」と。思わず「君はフッ素の匂いを知っているのかね」と突っ込んでしまった(大人げない)。現物が展示されていないと知っていたら、もう少し説得力のある説明ができたかも。

主な用途として「用途はない」
第七周期元素になるとさすがに現物展示はほとんどない。わずかにウランガラスの製品があるのみ。気に入ったのはフランシウム(87Fr)の用途。「用途はない。」

主な用途の説明として「研究上の興味だけで、用途はない。」
これがアクチノイド以降になるとダメ押しで「研究上の興味だけで、用途はない。」www (アメリシウムあたりだと煙探知機に使わていることがあったりする。)

しかしこれらの元素を合成するには、運転時には「都市一つ分」の電力を消費する加速器をがんがん動かすわけで、「それって何の意味があるの?」という疑問をもつ人もいた模様。無理に「なんの役に立つ?」と問い詰めると苦し紛れに「高レベル放射性廃棄物の放射能を短期間に弱めることができるようになる(かもしれません)」とか言い出して変な期待を持たれても困るので「22世紀のためのもの」くらいが良いのではなかろうか。しかし、私の知識は103のローレンシウムで止まっていたことを再確認。104は暫定クルチャトビウム(正確には覚えていなかった)だもんね。

|

« 電子学術論文誌の広告戦略 | トップページ | ググレカスと返す前に »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 特別展「元素のふしぎ」を楽しむ:

« 電子学術論文誌の広告戦略 | トップページ | ググレカスと返す前に »