好ましくないと思えるリツイートの使い方
Twitterにはリツイート(RT)という機能がある。ある(他人の)ツイートを自分のフォロワーに紹介するもので、公式リツイートとも呼ばれる。
この公式RT機能を、当該ツイートへの論評に利用する人がいる。まずRTし、続けて論評(好意的/批判的/攻撃的)をツイートする。
この使い方には、誤解を招きかねない危険が潜んでいるのだが、おそらく当人は意識していないのだろう。
公式リツイートは表示されないことがある
フォロワーのタイムライン上に意図したようには表示されないばかりでなく、本当に表示されないこともある。
まず意図したようには表示されない例。タイムラインは人によって異なる。たくさんの人をフォローしていれば、たくさんのツイートが現れる。紹介したいツイートをRTしてから、論評するツイートを書いて送信するまでの間に〈割り込まれてしまう〉ことは珍しくない。時間帯によっては10以上のツイートがはさまってしまう。連続して表示されることを前提に書いたものでは意味が通じないかもしれない。
それでも表示されていれば「↓は」とか「今のRTは」で話が通じる希望は持てる。ところが公式RTは仕様的に表示されないことがある。
(だんだんややこしくなるけれど、Twitterを利用している人なら分かるだろうという点は省いて進める)
公式RTは先に別の人が先に公式RTしている場合、重ねては表示されない。
1.Aさんがあるツイートをする。
2.Bさんがそれを見て、フォロワーのDさんを念頭にRTする。
3.DさんはRTされたAさんのツイートを見る。
4.しばし時間が流れ、Dさんのタイムラインにはいろいろなツイートが流れる。
5.CさんもAさんのツイートを見てフォロワーのDさんを念頭にRTする。
6.Dさんのタイムラインには表示されない。
7.Cさんは先のRT(Aさんのツイート)を前提に自分の意見をツイートする
8.Dさんはそれを見て「???」
6.の重ねて表示はされない機能のおかげで、いわゆる人気ツイートを何度も見せられるという苦痛から逃れられる訳なのだが、それが裏目に出ている。
もしCさんがRTを読まれていることを前提にして「こういうバカもいる」と続けていたらどうなるだろうか。Dさんはまず自分のタイムラインをさかのぼってCさんのツイートを確認しようとするだろう。そして全く無関係なツイートがバカにされていると理解する。これは状況によってはとても恐いことになる。
ちなみにDさんがAさんをフォローしている場合は、そもそも最初のBさんのRTも表示されない。ただし、両者の間隔が一定時間以上開いていると表示される。もし5.のCさんによるRTが2.のだいぶ後であればDさんのタイムラインにも表示される。これはおそらく人はツイッターにずっと貼りついている訳ではないという設計思想に基づいているからだろう。
なお、Twitterアプリの中にはRTされた時刻ではなく、オリジナルがツイートされた時刻位置に表示させるという仕様のものがあるらしく、この場合は仮に表示されたとしても見落とす可能性が高いだろう(ツイッターの公式仕様と異なるのはどうかと思うが、話の順番が変わらないという利点は認められる)。
(さらにユーザーの中にはRTを表示しないという設定をする者がいるけれど、これはもう意図的な使い方の問題なのでここでは触れない。)
公式RTは賛同とみなされやすい
もともとそういう意図で設定された機能のようだ。晒し上げという発想はないらしい。ちなみにFacebookでも「いいね!」ボタンはあっても「m9(^Д^)プギャー」ボタンのようなものはない(この辺は文化の違いという気もするが、YouTubeには低評価ボタンもあるので、思いつき文化論は述べないほうが賢明だろう)。
そうすると批判するつもりでRTしたことが、元のツイートに賛同しているように見えてしまう。個々のツイートには〈誰がRTしたか〉は記録されるけれど、RTした後どんなツイートをしたかは本人にしか分からない。RTされる数が多ければ賛同者の多い内容とみなされるから、批判するつもりでのRTは意図に反する結果をもたらす。
オリジナルが消えればRTも消える
これもTwitterの仕様。元のツイートが削除されればRTも消える(オリジナルが残っていても「リツイートの取り消し」操作をすればフォロワーのタイムラインから消える)。
これはチェーンメール的なツイートの拡散を防ぐ重要な仕様だけれど、〈RTしてから論評ツイート〉方式では論評が宙に浮いてしまう。この場合、本人(Bさん、Cさん)のホームを見ても解決しない。むしろ直近の無関係なツイート(もしくはRT)が関連付けられてしまいかねない。(ただし、この問題は本人がtwilogのようなサービスを使っていれば回避可能。)
自分のツイートの中に対象ツイートの固有URIを埋め込む方式でもこれは回避できないが、少なくとも「人のツイートに言及している」ことは明示できる。ちなみに「↓は」などでは誰に対する言及か分からない。なおツイート中のURIは自動的に圧縮されるので、文字数に対する制限となることは少ない。
まとめ
というわけで、RTしてからそれに対する論評を入力してツイートという方式はおすすめできない。
特に、批判するためには用いるべきではない。
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コメント
フォロワーのタイムラインに意図したようには表示できない一例→http://twitpic.com/51g6aq
投稿: 細川啓 | 2012/06/14 17:02