良心は人をカウボーイにする(用語解説)
出典はサキの「ラティスラブ」。英国伯爵夫人のドラ息子が急にメキシコ辺りへ出奔した。それを聞いた男爵夫人が驚いて「なぜ?」と聞くと「イギリスの諺にあるわね。『良心は人をカウボーイにする』って。」と澄ましている。
正しくはシェイクスピアの戯曲『リチャード三世』からで、カウボーイではなくてカワード(coward)、つまり「良心は人を臆病者にする」。
男爵夫人が、彼に良心があるなんて知らなかったと皮肉を言うと、ほかの人の良心に責められるからなのよ、と泰然自若な伯爵夫人。
息子が逐電したのに落ち着いている事情は冒頭に説明されている。「彼は家中のブラックシープ(厄介者)だった。ただし家族一同かなりブラックがかった一家である。」
それだけの話なのだが、この勘違いが面白く、ついついシェイクスピアの代わりに引用してしまう。
なお、「ラティスラブ」は『ザ・ベスト・オブ・サキ(1)』に収められている。
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