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2011/03/25

単位をそろえて考えよう 210ベクレル/kgとは

22日に東京の金町浄水場で水1kgあたり210ベクレルの放射能が検出されて大騒ぎになった。

でもほとんどの人が「210ベクレル」の意味を実感していないと思う。ニュースを注意深く見た人は暫定規制値100ベクレルの2倍ということに気づいたであろうが、ではその暫定規制値とはなんぞやを説明できる人はほとんどいないのではないだろうか。

また「乳児による水道水の摂取を控えて」という発表を受けて、どうしたら安全になるかが話題になり、煮立たせたらどうだろうとか浄水器はどうだろうと賑やかになった。一時は塩素からの連想で「煮沸すれば揮散する」と言われたが、実験したところヨウ素は揮散せず、水が減った分だけ濃くなると分かってまた大騒ぎ。単体(=化合物になってない)なら揮散しただろうが、ヨウ化物イオンとかヨウ素酸イオンになっていたと思われる。(この実験を、水にヨウ素を加えて煮立たせるという系で組んでいたらと思うと、水道水とそれを煮立たせたもので放射能を測定したことに敬意を表したい。)

単体ヨウ素なら活性炭に吸着されるだろうが、ヨウ化物イオンだったらどうだろうか。海水を炭に通しても真水にはならないだろうから、たぶん無駄。そもそも吸着と言っても、1原子も残さずに取り除くわけではない。もともとヨウ素が極めて薄かったら素通りだろう。〈極めて薄い〉ってどれくらい? 1ベクレルというのは1秒間に原子1個が壊れて出る放射線。18gの水(約18ml...たとえば目薬1本分)には水分子がおよそ6×1023すなわち600,000,000,000,000,000,000,000個。1kgならこれの55.56倍。210ベクレル/kgならこの膨大な分子の中に210個の放射性ヨウ素原子が、と言いたいところだが、1秒間に210個壊れている(崩壊している)ので実数は分からない(直感的にものすごく少ないとは分かるが)。ではこれを%とかppmに換算してみよう。

wikipediaでベクレルを見ると、「ベクレルと原子核の個数」という項目があり、計算方法が載っている。

226ラジウムを例に、半減期が1600年で1gには2.66×1021個の原子があるので3.64×1010ベクレルである、と。逆算すればベクレルから重量が出せるのだが、慣れないのでまずヨウ素131が1gあったら何ベクレルになるかを計算する。

ヨウ素131の原子量は131
ヨウ素131の半減期は8.02日=692928秒

核種ラジウム226ヨウ素131
半減期1600年8.02日
原子量226131
1gあたりの原子数2.66×10214.60×1021
1秒間の崩壊数3.66×10104.60×1015

で、計算が正しければ4.6×1015ベクレル。ラジウムの計算値がwikipediaと微妙に異なるのは有効数字を考慮しないままExcelで計算したためだろう。210ベクレルだからこの逆数を210倍すればよろしい。すなわち4.6×10-14g

10-14とはSI接頭辞で言うとピコ(10-12)よりも小さい。

1gの千分の一が1mg(ミリグラム)
1mgの千分の一が1μg(マイクログラム)
1μgの千分の一が1ng(ナノグラム)
1ngの千分の一が1pg(ピコグラム)

つまり金町浄水場の水1kg中にヨウ素131は約0.05pgあったというわけ。どのくらい少ないか視覚的に分かりやすくすると
0.000000000000046g

%で表すと0の数を間違えそうになる。微量を表すので有名なppm(百万分の一)ではどうであろう。4.6mg/lならば1ppmである。そのまた千億分の一。(慣れない桁数なのでどこかで間違えていそう)

おそらく放射線以外では存在すら確認できないくらいの微量である。仮に単体であっても活性炭で取り除くことは難しいだろう。

またイオン交換樹脂で取り除くのも非現実的に思えるが、これについては識者の意見を待つ。

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