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2011/02/11

タンタルかカンタルか

電熱線は別名ニクロム線といわれる。ニッケルとクロムの合金だからだ。ところが実際の電熱器に使われるのはニクロム線ではない、と昔何かで読んだ記憶がある。理由は値段が高いから。だから家庭用の電気コンロに使われているのはタンタル線、というのが私の記憶。

悲しいかな、そのころの私は本に書いてあることは正しいと信じていて、特に裏付けを取ることもなくそのまま覚えた。

時は流れて...普通ならニクロム線と書くところ、衒学趣味でタンタル線と書いた。アップしてから「本当にタンタルか?」という疑問が湧いた。そこでググルと意外なことが。

いわゆるレアメタルの一であり、産業的にきわめて重要な物質である。近年、価格高騰が著しい。(wikipedia 2011年1月14日 (金) 13:27の記事

タンタルは安いから代替品に、という前提が崩れる。そして用途を見ても電熱線とは書いていない。どういうことだ? 歳月が事情を変えたのか? そこでニクロムの項目を見る。

電気抵抗が大きいため、発熱素子として、電気ストーブなどによく使われる。 (wikipedia 2011年1月16日 (日) 13:28 の記事

どこにも高いから廉価品はタンタル線で代用するなんて書いていない。それよりも「主な電熱合金」の表に、ニッケルを使わない鉄クロム合金が載っており、本文の説明によれば耐酸化雰囲気特性、耐クリープ性でニクロムより劣る、この合金の名前はカンタル(!)。

Yahoo!百科事典(内容は小学館の日本大百科全書)でニクロムを調べると、「これに鉄を20%程度加え、低価格としたもの(ただし耐熱性はやや劣る)もある」という記述。カンタルは低価格のようだ。ああ、カンタルをタンタルと読み間違えるか、覚え間違るかしていたのだろうか?

この事典にはなぜか「ニクロム線」という項目もあり、書いてあることはニクロムとだいたい同じだが、「電熱」という項目へのリンクがしてある。やや長めの記事を流し読みしていくと、末尾に「赤外線の熱源はニクロム線、タンタル線などを用いたヒーターや、赤外線電球を用いる。」とある! おお、やはりタンタルで良いのか!

で、そこをクリックしてタンタルの記事を見ると...電熱線としての用途には触れられていない。

謎である。

「タンタル 電熱」でググると発熱体として使用しているという記述は見つかるものの、どうも特殊用途のよう。

結局、私が読んだ本になんと書いてあったかは不明なれど、安価な電熱線は、ニッケル含量を減らして代わりに鉄を加えた合金(カンタル)というのが正しいようです。ちなみに電熱材料を扱う会社でその名もカンタルがありました。

本件、なにかご存じの方がいらっしゃいましたらコメントいただけると幸いです。

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コメント

電気コンロに使われているのは、普通にニクロム線だと思いますよ。
取替え用のニクロム線がハンズなどで売られていますので。

カンタル線は逆に一般的ではなく、電熱線メーカーに問い合わせないと手に入りません。
値段もカンタル線の方が高いはずです。

投稿: | 2011/05/01 02:46

電熱線は、「カンタル」ですね。
名前が紛らわしいのですが、カンタルは鉄・クロム・アルミニウムからなる鉄系耐熱合金です。
Kantzowさんというスェーデンの発明家が発見したことからKanthalと名付けられたそうです。

クロム添加による不動態被膜と酸化アルミニウム添加によるクリープ耐性によって、繰り返し発熱しても劣化しない特性があることから、比較的安価な電熱線・発熱体としてよく用いられています。

ちなみにタンタルも融点が高いので、優秀な電熱線として使えるのですが、大気中だと酸・窒化して、ボロボロに崩れてしまいます。
アルゴンガスや真空中限定で2000℃を超える高温を出せる電熱線・発熱体として用いることができます。タンタル電熱線は、気相ダイアモンド合成の発熱体として用いられます。

タンタルの稀少な価値がごっちゃになってはいけないと思い、書かせていただきました。

稀少なタンタルで結婚指輪を制作しています。
http://ringology.org/
廣瀬智規でした。

投稿: 廣瀬智規 | 2011/08/16 23:00

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