ひのもとおにこ(日本鬼子)で萌えられるか
ひのもとおにこ(日本鬼子)という萌えキャラを作ろうという計画が進められているらしい。
その趣旨は以下のように説明されている。
日本鬼子ってキャラを作り、日本鬼子に別の意味、概念を作る事その新しい概念が定着した人間が反日デモ、暴動見たとき日本鬼子! って旗持った奴が顔真っ赤にしてシュプレヒコール挙げてたらどう思うか? 日本鬼子ってなんだろうってググったら萌えSSやかわいい鬼子ちゃんがTOPででてきたらどうだろう?
反日暴動の画像みたら萌えオタが暴動起こしてるように見えるんじゃないか?
中国の反日デモをいなそうというわけだが、反中国あるいは逆に日中友好といった政治的目的があるわけではないとしている(キャラクターへのスローガンの書き込みは明示で禁止されている)。
スラッシュドットでこの話を読んだときは、「斜めに受けて」という姿勢や、紹介されていた中国側の反応に笑ってしまった。
中国国内ですら「糞青」とバカにされることがあるらしい憤青(怒れる若者)の暴走気味反日行動への対応としてはエレガントにさえ思えた。
しかし日本鬼子は単なる蔑称ではない。戦争を知らない世代にとってはそうかもしれないが、日中戦争中は恐怖と憎悪が込められていたはずだ。今の日本でこれに相当する語感のある言葉はさがすのが難しい(なんと平和でありがたいことか!)が、「ピカッ」はそれに近いかもしれない。美術グループが広島市の上空に飛行機雲で「ピカッ」という字を描いて非難されたことがある。この表現行為に理解を示す評論家も「「ピカ」が戦後数十年間にわたって原爆に対する激しい怒りや原爆症に対する差別意識をも含むネガティブな言葉として用いられてきた歴史的認識や配慮がなかった。あるいはあったにしても甘かった。」と指摘している。
とすれば、日本鬼子に新しい意味を付与しようとする試みは、たとえるならばアメリカが no more hiroshima という萌えキャラを作って反核兵器運動を脱力させようとするのと同じではないだろうか。世界で一番核兵器をもつアメリカが、そのようなことをすれば、被爆者は憤るだろう。
同胞の「ピカ」に対する感情さえ理解出来ないのだから、親しみを覚えない異国の老人への配慮を求めても無理だろう。しかも、そういう老人たちが「ひのもとおにこ」の絵を見る可能性は極めて低い。カウンターを喰らって慌てふためくのは自らの経験には基づかない言葉を振り回す憤青だけだ。その理屈はもっともだ。
だが、この無邪気さになにか寒々しい感覚を覚えてしまう。
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