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2010/09/12

*年ぶりの夏の学校(1)

生化学若い研究者の会(生化若手の会)主催の夏の学校へ久しぶりに参加した。研究者ではないし、もう若くもない※のになぜかというと、今回がなんと50回目の節目と言うことでOGOBにもお声がかかったから。

※ 生化若手の会の定義では「自分が若手だと思っていたら若手」だが、それにも当てはまらない。

当初は4日夜の特別企画から参加のつもりでいたが、4日朝のサイエンティフィックフォーラムに岩田想先生が講演されることに気づき、予定を急遽変更。しかし宿泊は4日の晩しか予約していない。そこで新宿6時半発の高速バスを使うことにした。予約した乗車券は発車の30分前までに引き取らなければならないので、29日に芦田宏直の夏期「哲学」特別講義へ行く途中で案内所に寄って購入しておく。そのとき発車場である35番乗り場そばではビッグイシューを売っていたが、さすがに土曜の早朝は立っていない。しかし街には人がたくさん。

1列目という眺望抜群の席に座って2時間余り。無事、白百合台バス停に到着。前を行く青年も学校参加者かもしれないが、一般宿泊客もいるらしいので声はかけない。

箱根高原ホテルの看板

受付を済ませ、荷物を持ったまま「2.生命科学を革新する技術」会場へ。お目当ての岩田先生は第29回夏の学校の事務局長。それまでの四支部持ち回りから共同開催に変更され、校長が事務局長になった最初の学校。共同というと聞こえが良いけれど、「関東にお願い」となることを恐れた彼は、名古屋で開かれた会議に少人数で臨むようなことはせず、愛車シティに男5人を詰めて乗り込んだ(さらにもう1台出したかもしれない)。この名古屋遠征には2度同伴した(並び大名)。会議のことはほとんど覚えていないけれど、帰途、前照灯のランプが切れるとかハイトバランスのガスが抜けるとか、いろいろ大変だったのは覚えている。特に後者は最後の会議を終え、「名古屋まで来たからには味噌カツでも」と食事を終えて戻ってみると「なんか車が傾いてない?」。これが日曜の夕方。幸い開いていたホンダ販売店に飛び込むと「走れないことはない」とか。用心しいしい(そうでなくても満員で重い)東京まで帰ってきた。途中、サービスエリアで隣に停車中のシーマを見て「あっちと交換シティ」「交換シーマせんか」なんて苦しいギャグも出る。「高速道路で沿道にその手のホテルのネオンサインが目立ちだしたらインターチェンジが近い」というM博士の蘊蓄も確認しながらの夜間走行だった(一同あまりに感心するので「妻の発見だ」と打ち消しに必死)。あー、なんかどうでもよい話に逸れている。あのときの閉校式についてはいずれまた(功をねぎらうべきスタッフが各支部に分散したためメモを用意して臨んだものの...)。

さて最初の講演はGEヘルスケアジャパンの梶原大介さん。しばらく業界から遠ざかっていて、新しい会社かと思っていたら、昔は横河メディカルシステムで、アマシャムとファルマシア バイオテクが合併してできたアマシャム バイオサイエンスを買収している名門(つまりSephadexはいまGEヘルスケアジャパンの製品)。協賛会社にも名を連ねていて、ここが出した『生化夜話』という書籍(メールマガジン掲載の1-15話をまとめたもの:非売品)は太っ腹にも夏の学校参加者全員に配られた。

それはともかく講演は標識を使わずに物理化学的な変化の観測で分子間相互作用を解析する技術のお話。今回は、SPR(Surface Plasmon Resonance)について。印象的だったのは、「SPRができます、ではなくてSPRでこういうことができますをアピールしていきたい」(技術提供会社の矜持)と、「ペーパーはまだ出ていませんが、カタログはあります」(そういう時代なんだ)。

今回は触れられなかったけれど、カロリメトリーでも相互作用を直接測定できるとは驚き。もちろんマイクロスケールなのだが、比熱の大きな水系でない方(たとえば液体アンモニア)がより精密に測定できないかな、と素人妄想。もちろん質問するほどの勇気の持ち合わせはない。

次の岩田さん「50回記念というから歴史を語るのかと思ったらテクニカルセッションなんですね」と。昔であればスライドの用意があるから演題変更は大変だが、今はノートパソコンに全部入っているから問題ない。ちょっとした今浦島の気分。膜タンパク質の構造解析のお話を拝聴する。シトクロム酸化酵素の騒ぎには触れない。見た目にきれいな結晶が採れてもX線回折には向かないと言う話、大昔に某雑誌で読んではいたがなぜかは分からなかった。その理由をきれいに説明されて納得(こうやって抱え込んでいた疑問が全部解決したら、死んでしまうんじゃないだろうか)。後半、QOL(生活の質)をあげる薬の需要についても言及。ここでもプロペシアが出てきたから、使ってみようかな。あ、献血できなくなるんだ。

アグレッシブな人だから高血圧と聞いても驚かないが、心筋梗塞を患っていたとはびっくり。幸いにも発作を起こした時の訪問先が医学部で、素早い処置でことなきを得たとか。

三番目の楠見明弘先生まで来ると、何しろこの日は5時起きで朝食抜きだったので、アカデミックな興奮でも集中力の維持が難しくなってくる。それでもmeso scaleすなわち μmとnmの間はブラウン運動の支配を受ける変わった世界ということが朧げながら理解できた。

今回の夏の学校は、参加者をあらかじめ参加セッションごとに小グループとし研究紹介やテーマ討論をさせている(これは午後のシンポジウムでも活用された)。このフォーラムでは4グループができており、それぞれに前日の討論も踏まえて「なにを、どんな手法で解くか」(だったと思う)を発表させた。それを講師三人が審査して2つを表彰。そのうちの一つに「〜を20年かけて」というのがあった。遠大な構想は立派だけれど、「20年やったけれどダメでした」では話にならない。ロードマップを描き、10年目には〜まで、5年目には〜までと小刻みに目標を立てた方が良いと思った。先日いただいたある本にあった目標はデイリーに落とせ(毎日の目標を立ててクリア)の影響か。

回答したアンケートアンケートには「機械の写真を載せた方が具体的なイメージを持てるのでは」としょうもないサジェスチョン。

昼食は予約していなかったので外へ食べに出る。覚悟した通りの観光地価格。住民のいるところまで行けばコンビニくらいあるだろうと思っていたが、下調べ不足が露呈。

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