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2010/07/06

冷え、泡、麦=麦酒、枝豆

ツイッターのタイムラインに突然、「ヒエーーーーーーー!」という悲鳴が現れた。フォローしている人がなにか驚くような目にあったらしい。照れ隠しか「ヒエーーーーーーー!アワ、ムギ、」となっていた。稗、粟、麦の洒落である。気に入った。

何か応えようとして思いついたのが「麦酒」。向こうが3つ並べているのだから、せめて2つはと思って「枝豆」を追加。

しかし全部並べてみると、冷えた、泡、麦酒、枝豆ときれいにつながった。さて、なんと返ってくるだろう。

アホなことしてないで仕事見つけろ>自分

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2010/07/03

口蹄疫ワクチンの奇妙な噂にみる脆弱性

30日の昼に、宮崎県の口蹄疫流行についてリツイートが来た(リツイートとはツイッターの仕様の一つで、他人の投稿=ツイートをフォロワーに紹介するもの)。

口蹄疫が止まりだした。どうも富士写真フィルムが即効性のワクチンを、まだ未承認ということで無償で大量供給したらしい。この会社、フィルムがなくなると、もともと得意だった医療機器だけでなく富山化学を買収したり、医薬品開発にも力を入れている。専務さんと会ったことがあるがなかなかやるな。

一読して妙だと感じた。


  1. 富士写真フィルムという会社はない

  2. 未承認薬を家畜に大規模投与するとは信じ難い

かつて富士写真フルムという会社はあったが、2006年に富士フイルムホールディングス株式会社になっている(持ち株会社なので別に富士フイルム株式会社が設立された)。このことから出所の不明な伝聞という疑いを持った。

未承認薬の、それも大規模使用にはもっと疑問を感じた。そもそも国が未承認薬の使用を認めるか? 効果と安全性が確認された外国の薬ならば特例で審査を早めるということもあろうが、新規開発では有効無効以前に安全性が問題だ。副作用が出たら誰が責任を、という発想を役人がしない訳がない。また仮に黙認だとしても、実際に投与するには人手が必要で、当然人件費が発生する。誰がそれを負担するのか。さらにおそらく注射であろうから獣医を動員しなければならない。他にすることがないならばともかく、全国から応援が駆けつけるような修羅場で、効くか効かぬか分からぬ物のために人手を割くことなどできないだろう。

それでまず、公式発表がないかとググる。当然、ない。見つかったのは富士フイルム傘下の富山化学工業が「2年後めど承認申請」という話。しかもワクチンではなくて抗ウイルス剤。あとは当のツイートとそれを無批判に拡散するリツイートばかり。

これは良くないと判断して、「未承認の薬を現場で使うなんて信じ難い。大体フィルムじゃなくてフイルムだし。怪情報の類。」と付加して火消しリツイート。フォロワーが少ないからあまり効果は期待できないが義務は果たした気になった。

忘れかけていた2日の午前。フォローしている一人が、なにかフォロワーから注意されて釈明しているのをツイッターのタイムラインに見つけた。会社名が出ていて迷惑だとフォロワーが書いているので野次馬根性で探ってみると、これが口蹄疫の未承認ワクチンの話だった(直前の否定ツイートを見落としていた)。なんと大学教授までが、迂闊にも拡散リツイートをしていたことを知る(しかも別の大学教授のリツイートを再リツイート)。

大学教授と言えば、発信元も有名な経済学者ということになっている。これは本物か? というわけでそこから調査。ツイッターの自己紹介には「慶應義塾大学経済学部教授の金子勝です。」とあり、金子勝ブログにリンクしている。そこにはオフィシャルブログと書いてある。そして、そこには件のツイートが表示されている。ただ、ここまではニセ者にも出来ること。このオフィシャルブログは本物か? 結論からすると本物。慶応義塾大学経済学部のウェブから学生が運営する慶應義塾大学経済学部金子勝研究会を経てリンクされている。

というわけで、震源地は慶應義塾大学経済学部の金子勝教授と確定。実はこのネームバリューは重要で、迂闊にも拡散リツイートをして突っ込みを受けたジャーナリストが、金子先生のツイートだから信頼して確認はしなかったと正直に答えている。同じような人は多いだろう。

私が知らないうちに拡散と火消しが競っていたようだ。そしてトドメが刺される。農水省の原田英男さん(認証済みアカウントではないけれど、一月前にYahoo!ニュースにも登場しているから本物でしょう)が否定のツイート

「未承認口蹄疫ワクチン大量配布」というツイートについて問合せ多数なので、担当者を通じて富山化学(冨士フィルム子会社)に確認。同社では「口蹄疫ワクチンは作っておらず、抗ウイルス薬の開発を進めている。この薬は実験室内での感染試験はしたが、世の中には一切出回ってない」との回答。

フォロワー5700人(3日現在)の力で怪情報の拡散は止まるだろうか。ちなみに金子教授はフォロワー6700人だが、驚くべきことにただの一人もフォローしていない。完全に発信専用。ツイッター用のアプリケーションは使っていないようなので、タイムラインに現れない自分宛の返信(mention)もたぶん見ていないだろう。道理で「元になる記事を」「大量供給したという事実もないようです。」「訂正を」という質問・要請もナシのつぶてになる訳だ。

さて、ここからが本題。

問題を整理する。


  1. 出所の怪しい、間違った情報が信頼される著名人からツイートされ

  2. 多くの人が確かめもせずリツイートし

  3. その中には著名なジャーナリストや大学教授(医学/情報学)もいた

  4. 火消しに約3日(現在「口蹄疫 未承認ワクチン」で検索するとgoogleでは原田さんのツイートがトップに来るが、サイトによってはそうではない。)

誤情報の発信(原ツイート)者が一番悪いのは論をまたないが、それはツイッターに限った話ではないので割愛する。また多くの人(把握できたところで100人以上、否定も含め検索されるツイート数は約190)がリツイートして拡散してしまったが、"朝ズバっ!で駒野選手のお母さん"の2360件よりは少ない。有象無象のツイートを真に受ける方が悪いといえばそれまで。今回は上場企業の名前も挙がったので、株式市場への影響も心配されたが、まともな投資家ならば「富士写真フィルム?」と気付くだろうから、風説の流布への加担もそう神経質になることもないだろう(証券取引等監視委員会も見張っているし)。

これは困ったと感じたのは、影響力のある人が軽率にリツイートしてしまった例が複数見つかったこと、そして火消しの決定打がなかなか出なかったこと。

本来ならば火消しに回らなければならない人がリツイートしてしまっている。それによって「あの人からのリツイートだから信用できる」と誤情報の拡散・定着に加担してしまう。これは由々しい問題。もちろん一所懸命に火消しに努めた人もいて、そのおかげで私も事の広がりを知った訳だし、しょせんは呟きにすぎない(本来は「さえずり」なのだが日本では呟きと受け取られている)といえばそれまでなのだが。

twitterでは「それはデマです」と打ち消し情報も即座に流れるから問題は少ないと言う主張もある。それって、編集合戦に陥ったwikipediaみたいなものじゃない? 「それはデマです」「デマじゃありません」「デマと言ったらデマだ」「デマじゃないと言ったらデマじゃありません。邪魔しないでください」...140字で誤解を解くのは難しい。

「ソース(出所)は?」というごく当たり前の質問に対してさえ「ソース廚」という罵声がかえって来ることがある。

また誤情報をリツイートしてしまった人が、それに気付いてから尻拭いをするとは限らない。良心的に「ごめんなさい」とツイートする人もいるけれど、私にリツイートしてきた人はいまだに知らぬ顔の半兵衛のようだ。

それにツイッターは、よほど変わった使い方をしていない限り、フォローしている人のツイートを全部読むことなどできない。誤情報で目を汚さないで済むことがある反面、撤回ツイートを見逃してしまうこともある。ツイッター上だけでの否定はおそらく無理だろう。

(リ)ツイートした人が「間違いでした」と言ってきたところで、すなおに受け入れられるとは限らない。「圧力がかかった」「情報戦だ」「そういう事にしておきたいのですね」と疑いだせばきりがない。

その点、今回は農水省の中の人が、ちゃんと名指しされた会社に当たって否定コメントをもらい、個人アカウントではあるが公表したことで、よほどの陰謀論者でない限り打ち止めであろう。ただ、この解決方法は個人の善意に依存しているし、(矛盾するようだが)官庁の人だから採れたとも言える。場合によっては当該企業にたくさんの電話がかかり、それによって業務に支障を来す心配もあるわけで、注意が必要。そのために広報部門があるというのは正論だが。

ツイッターも「ウソはウソであると見抜ける人でないと難しい」世界にして良いのだろうか? そうしてはいけないという気もするし、無意味な抵抗は止めて「ウソを見抜く能力」を身に付けさせた方が前向きという気もする。

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