18禁 ショパン
4日から5日かけて、東京オペラシティコンサートホールで開かれた横山幸雄のショパン・ピアノソロ 全166曲コンサートを聴いてきた。
朝9時から始まり終演は25時という、なんともすごいコンサートだ。いくらショパン生誕200年記念の年とはいっても、ふだんなら「ふーん、すごいね」ですませてしまうのだが、今回はなぜか通し券を購入していた。魔がさしたとしか思えない。
深夜にかかるため第四部は「18歳未満お断り」というのはいいのだが、チケットにも「公共交通手段は無い場合があります」と書かれているように帰りの足が問題。結局、会場の近くのホテルを予約した。ネットカフェやカプセルホテルで十分だったかもしれないが。
まるで耐久レースのような166曲演奏、しかも総暗譜とは際物企画のようにも思えたものの、ベートーベンのピアノ協奏曲全5曲連続演奏の経験を読んで、なんとなく納得できた。ランナーズハイにも似た感覚があるようだ。ある種の憑依を期待しているのかもしれない。
実際、終盤になると音の響きが変わってきた。華麗と言う言葉しか思いつかないけれど、とにかく響き渡る。ほかの聴衆は大喜びで、最後はスタンディングオベーションだったけれど、個人的にはちょっと響かせすぎに感じた。もとの曲からしてそうだったのかもしれないが、いささか鼻白む思いで「アマデウス」のローゼンベルク伯爵の台詞「音符が多すぎる!」を思い出してしまった。ピアニストの名誉のために付け加えておくと、終盤でも静かな曲は静かに弾いていたし、最後の幻想ポロネーズもオーバーアクションではなかったが。
「あれ、こういう曲だっけ?」というところがあったとはいえ、集中して全部というのは、聴く側にとっても得難い経験であった。惜しむらくは、曲についての予習が不足していたこと>自分 (軍隊ポロネーズを聴きながら、mixiの「灰とダイヤモンド」コミュで間違ったことを書いたかなどと心配するのは誉められたことではない)
なお24時間以内でもっとも多い曲数を1人で弾いたアーティストとしてギネス記録の認定を受けたけれど、これはいわば余興であって、多く弾けば良いという話ではない。多くの曲をちゃんと芸術的に演奏したことが素晴らしいのだ(加えて構成を考え楽譜を吟味した点も)。数とか時間ばかりを取り上げるのははしゃぎ過ぎだし演奏家に対して失礼だろう。カウントダウン的な場内放送も興ざめだった。
なお、演奏家の模様はTOKYO FMで生中継されたほか、5月11日フジテレビ「めざましテレビ」で特集されるとのこと。
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