ネットで恐いのは見えないトラブル
読売新聞に「高校生5人に1人 ネットでトラブル」という記事がある。一読して、まず「サイトを開いただけで」ってのは明らかに言葉の誤用だと思った。
それはさておいても、まだおかしな点が5つはある。
- 炎上など対人関係のトラブルがないのが不可解
- 被害者が気付いていない被害(ボットなど)の方が深刻
- トラブルに巻き込まれたら上級者とは言い難い
- 「フィッシング」も入力前に「おー、釣りだよ」と気付いたならトラブルではない
- 「思いがけないグロテスク画像表示」もトラブルではない
いまや小中学生でさえ学校裏サイトなどで対人トラブルを経験していると言うのに、高校生にもなってそれが上位に出て来ないと言うのは、まず信じ難い(プレスリリースを見ると16人が「いやがらせを受けた」と回答していた)。掲示板やプロフへの危険性認識が低いから、本当にトラブってないのかな?あるいはいじめる側だというのが実態だとか。:-p
ボットネットのゾンビになるなど深刻なトラブルは被害者が気付いていないことが多い。リリースを見てもコンピュータウイルスへの言及はない。
「上級者」の定義が不明。「自称上級者」ならトラブるのも当然で、少なくとも既知の問題でトラブったら上級者ではない。自称上級者(=初心者)をあぶり出す簡単な識別方法としては、「使っているOSとブラウザとウイルス対策ソフトの種類とバージョンを答えてください」が有効。偉そうな顔をするのは、せめて「インターネットにおけるルール&マナー検定」で上位成績を取ってからにしてほしい。
(あちゃ、ルール&マナー検定 大人版:2009年」はもう終わってるよ。)
フィッシングサイトなども見ただけならトラブルとはいえない。口座番号とかパスワードを入れてしまったならトラブルだが。グロ画像の表示も一般的にはトラブル未満。それでマシンがフリーズしたとか、あたふたしているところを親に見つかったとかまで行けば、トラブルと認めても良い。
こういう調査・分析で実態を把握して効果のある対応をとれるのだろうか?
この疑念を裏打ちするかのように報告書は半角カナやら潰れたままの文字画像を使うなど、なんか頼りない。ただし冒頭に触れた「サイトを開く」は発表文にはなく、読売新聞オリジナルと思われる。ウェブサイトを開くとは、「ホームページ(およびその下位の一連のウェブページ)を作ること」。ワンクリック詐欺云々の文脈からしてここでは「ウェブページを開いただけ」が正しい。日本一の発行部数を誇る新聞が困ったものだ。
なお、INTERNET Watch にやや詳しい記事がある。
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