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2009/05/21

地方都市こそメール販売?

ビッグイシューのメール販売を取り上げたエントリーにコメントをいただいた。

私は基本的にコメントにコメントでは応答しない。誤りの指摘や価値ある情報の付加であればエントリーに反映させてお礼をするけれど、spamコメントであれば通報のうえ削除し、そうでなければ価値を認めないコメントも手つかずで残している。

そして誰が見ても愚劣なものなら晒しものにして他山の石に、叩く必要があるものは別途エントリーを建てて、というのが基本方針。とはいえ、修練中なので口汚い痛罵を並べるエントリーは自制している。それでここで取り上げるコメントがついたエントリーには、もう一つ、これは不快なコメントが付いているが、ヤブ蚊を潰すにロケット弾は使わず、で放置していた。良い機会だから片付けておこう。ビッグイシューの購入は寄付じゃねーぞ、○○○○(←お好みの四文字言葉をどうぞ)。

いかんいかん、単なる黙殺ではなく軽蔑をもって黙殺することを身につけなければ。

閑話休題。

件のエントリーは、電子メールで注文を受けて雑誌ビッグイシューを販売する「メール販売」の仕組みを紹介したもの。後日「補足」で説明したように、公式サイトの説明では不十分だという不満から執筆したものなので、公に書けることは書き尽くしている。それに対して経緯を知っていたら教えてと言われても、これ以上、何をお知りになりたいの?としか返せない。

もっともこういう場合、得てして「敵は本能寺にあり」であることが多い。

「倒れる時も前向きに」を座右の銘候補にしている身としては、良い方向へ話を進めたい。そう思いながら、とりあえず基金にメールを送り、地方の協力者と意思疎通をもっと良くすることを進言してからカップ麺に湯を注ぎ、しばし黙考。

そうだ、この人は広島でもメール販売をしたいのではないだろうか? 考えてみれば、メール販売は機会損失の三重奏が響き渡る地方都市でこそ有効な方法だ。


  1. 販売者が少ない
  2. 人口密度が低い
  3. 交通手段として自家用車がよく使われる

一人の販売者に500人の購読者が付けばアパート入居が可能になる(手取り16万円は、無保険無年金かつ税金未納であることを差し引いても、まず人並みの所得)。広島市は100万都市であり、周辺市町村を含めれば潜在購読者は多数いて、路上脱出支援力はかなりある。しかし何度も書くが雑誌ビッグイシューは路上で販売者と遭遇できなければ買えないのだ。メール販売はその隙間を埋められる。前世紀であればアクセスポイントの少ない地方都市では電子メールを使うのは大変だった。いまでは携帯電話というものがある。

また東京でやっている大掛かりなシステムは戦艦大和の観を呈している。もっと簡便なシステムも可能だと思う。

パソコンを用意できない...携帯電話を使う
顧客個人情報の管理が難しい...営業所止置きサービスを利用すれば住所を知る必要がなくなる
専従の管理者をおくのが難しい...ボランティアグループが協同で管理

もちろん細かいところは実際に即して詰めなければならない。解決する意欲のないものは障害を数限りなく枚挙するけれど、意欲と能力のあるものが臨めば解決は難しくない。東京のメール販売が安定したら(出向くのは無理としても)実現に向けた協力は可能、と表明しておこう。広島以外であっても。

あと、路上生活者=デジタルデバイド/教育からの疎外、と思い込んでいる人も多いと思うが、たしかにそういう例は多いものの、明らかに該当しない人もいるし、派遣切りのあおりを受けた人たちは(社会教育からは疎外されていてサラ金の恐ろしさを知らないなど危うさがあるけれども)携帯電話くらいはなんとか使える。この辺の変化を見落としているのではないだろうか。私が例外的存在しか知らない、という面はあるにしても。

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2009/05/16

企業で自炊は許されるか

自炊と言っても、自分で食事を作ることではない。

池田信夫blog(のコメント)を読んでいて(遅まきながら?)知ったのだが、書籍や雑誌をばらしてスキャニングし、電子ブックを自作することが自炊と称されているらしい。念のためググってみるとwikipediaで取り上げられているだけでなく、まとめサイトすらできていた。由来は2ちゃんねるらしい。

個人で可能になったのはパソコンやスキャナ、ストレージなどの高性能化低価格化の結果であろう。以前、30万画素のデジカメで撮影し、VGA画面で再生してがっかりしたことがある。A4判の雑誌1ページを1画面に収めることができなかったから(収めると字がつぶれる)。そのくせ当時のHDDにとっては侮れないファイルサイズ。

法律的な面で考えると、これは私的使用のための複製に該当するから、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する」限りにおいては合法的だ。

また公共図書館(「公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの」)であれば、非営利の事業として蔵書の電子化を行える(昔からマイクロフィルム化は進められていた)。

問題は企業。ソフトウェアならばバックアップが認められているから、購入物など正当な所有物であればオリジナルを保管することを前提にコピーは可能だ。しかし書籍や雑誌にはバックアップコピーを可とする条文は存在しない。企業内の資料室(図書室)は政令に定める図書館等には該当しないことがほとんどだろう。ましてや総務課の棚においておや。たとえ購入した書籍であっても、それを自炊、つまり自分で電子化することは複製権の侵害、早い話が犯罪になるといわざるを得ない。

書籍だとまだ完全電子化にためらいを覚える人は多いだろう。だが、雑誌や新聞の切り抜きは? オリジナルの切り貼りならば著作権法上なんの問題もない。しかし台紙に貼り付ければ、単純にいって厚さは2倍。ファイリングの基本である「1ファイル1記事」を守れば、たちまち膨大な量になってしまう。しかも検索性は低いから死蔵必至。


余談になるが、時間が経って糊が変色したり劣化したりしたスクラップ(残骸)をみて愕然とした経験を持つ人は結構いると思う。どうもオーソドックスなデンプン糊が一番安定らしい...少なくともゴム糊は激しく劣化した。


気のきいた企業ならば乾式複写(今どき湿式複写なんて役所でも使わないんじゃないだろうか?)、さらには電子化を考えるだろう。場所を取らないから保険を兼ねた社内失業対策としても役に立つ。多くの企業で自炊はされているだろう。

ここでタイトルから離れる。

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「各区」はなんと読む?

先月から疑問に思っていたこと。

各区 (意味はそれぞれの区、たとえば東京都下なら荒川区、板橋区、大田区...)

なんと読むのが「正式」であろうか?

候補は2つ。

かくく
かっく

類語を見ると
 各国 「かっこく」としか読まない
 各人 「かっじん」とは読まない
 各村 「かっそん」とは読まない
 各省 「かっしょう」とは読まない
 各党 「かっとう」とは読まない(もう少し葛藤があっても罰は当たらないぞ>ノーテンキな政党人)
 各方面 「かっほうめん」とは読まない

2字目の読みがKで始まる場合は「っ」になるかと思ったが、そう簡単でもない。
 各県 「かくけん」が主?
 各局 「かっきょく」が主? でも「かくきょく」とも言いそうな。

口語と言うか話し言葉では「っ」の方が言いやすいから「各県」も事実上「かっけん」と発音しているにしても、文字にする場合は「かくけん」が妥当だろう。

各科、各課、各期、各機、各個、各戸...悩ましい例はまだある。

一部で不評ではあるが便利なIM判定法(日本語変換で出てきたら正しい、あるいは広く通用すると判断)を使うと各区は「かっく」有利となる。

とはいえ、IMがまだFEPと呼ばれていた頃、大衆受けを狙って「えっか」で液化と変換しますみたいなのを売りにした製品があった(記憶に間違いがなければその後買収されて、いまはIMEと名前を変えている)から当てにはならない。

何を悩んでいるかと言うと、各区に「かっく」とルビを振ってあるのを見たから。そもそもルビ自体が「むづかしい漢字をやたら使ったために、そこからわき出たボーフラ」(山本有三)的な面を持つのに、気取って使った言葉の読みが誤っていたら目も当てられない。粛々を「せいせい」、脆弱を「きじゃく」、既出を「がいしゅつ」、巣窟を「すくつ」...と読むようなもの。いや、別に各区は難しい言葉ではないけれど。

読みの難しい語にだけルビふるのなら(その語を使う必然性がある限り)合理的だ。「写しん」「せん動」「き業」といった交ぜ書きは正気の沙汰とは思えない。

しかし、さして必要があるとも思えない「各区」にわざわざルビをふる理由があるのだろうか? しかも意味理解のための振仮名だ。「かくく」とすべきではなかっただろうか。

別にポリシーがあって「かっく」と振った訳ではなく、ワープロを使って振仮名をつけた結果だろうとは思う。だが、その無定見さが別のところで恥をさらしているのを見ると、だから総ルビはやめなさいと言ったでしょうとぼやきたくなるのです。

(正確には、先にそのブッ飛びの恥ルビに気付き、ルビ総点検をして「各区」にも引っかかった次第。少なくとも恥ルビだけは増刷分で修正されていることを願う。本物の堤防がアリの穴から崩れることがないことは承知の上で。)

ま、提案通り簡単な言葉に書き換えて、なおかつ総ルビもありえるから、どのみち「かっく」は残ったかもしれない。その場合はこれほど気にはならなかっただろうな。

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2009/05/14

5月の肝機能値

献血の血液検査項目にグリコアルブミンが加わった。これは持続的な血糖値を反映するというので(たぶん)HbA1cと同じ。血糖値が高いと糖分がタンパク質に結合してしまうとかなんとか。

幸いにも標準値16.5%を下回り、要注意とされる15.6%をもクリア。

で、肝心の肝機能値だが、これも標準値以下(γ-GTPはすれすれ)。もっとも肝細胞が壊れきってしまうと ALTなんかは下がると聞いた気もする。あれ、ASTが検査項目からなくなってる。

ALTは27、γ-GTPは62、グリコアルブミンは14.7

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2009/05/13

Excel→PDFの謎

職場で職員(私の立場は二つ下の臨職)から相談を受けた。Excelで画像入りの原稿を作りPDF変換したところ、画像の周りに罫線が出てしまう、と。

オブジェクトのプロパティをいろいろいじってみるが解決できない。「急ぎますか?」と聞くと「午前中に送りたい」と(そのとき10時)。

普段なら「西を向いて念仏を唱えなさい」というところだが、その憂いを含んだ顔にほだされて頑張る気になる。

末席を汚したとはいえ、実験生化学者の端くれ、問題の切り分けに取りかかる。
1)見えている罫線はオブジェクトの囲い線なのか?
 線に色をつけてPDF変換したところ、どうも別の線らしいと分かる。
2)ひょっとして変換ソフトの不具合?
 ググってみたが確証は得られない。

問題のPDFは某社の変換ソフトを使っている。念のため、M社純正のアドインを使ってPDFに変換したところ...罫線は消えていた。というわけでひとまず解決。


しかし末席を汚したとはいえ、実験生化学者の端くれ、これでは満足しない。いろいろと試してみると次のことが分かった。
・M社のアドインを使う場合は罫線は出ない。
・S社の変換ソフトを使う場合、画像をpingやjpgのような形式で貼り付けていれば罫線は出ない(Officeオフジェクトでは罫線が出る)。

したがって解決策も2つ。
・M社のアドインを使ってPDFにする
・画像を貼り付ける際はpingやjpgにする

管理者の了承を得て、共有マシンにM社のアドインをダウンロードしてインストールした(自分のマシンの時は了解なしかよ)。ただ、2つの異なる解決策を提示したことは混乱を招いたようだ。geekは網羅的に知りたがるけれど、その感覚を押し付けてはいけない。

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2009/05/06

検索3位なのに

「ビッグイシュー日本版」に載っている「ビッグイシュー基金通信」(広告扱い)でメール販売が3回にわたって紹介されている。そこに、詳細は「ビッグイシュー メール販売」で検索、とあるのでやってみた。

google で1位はボランティアのブログ。2位が本家で、3位が当ブログの記事。

しかしながら当ブログは3位なのに、検索ワードを調べても「ビッグイシュー」こそ17位に入っているが、「メール販売」は35位。如何に検索されていないかがうかがわれる。

改めてテクノラティなどで調べても、「ビッグイシュー "メール販売"」でヒットするエントリーはきわめて少ない。

検索にヒットしないということは、ネット上では存在しないも同然なのだ。

あろうことか本家は「まず販売者から名刺を受け取って」という、今時どーよ的な展開を図っており、支援者の間には少数ながら疑問の声があがっている。(該当する販売者は都内に6人しかいない)

未販売地域は路上の販売者と競合しない大きくて有望な市場なのだから開拓しない手はない。

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丸木美術館開館42周年

開館42周年を迎えた「原爆の図丸木美術館」に行って来た。

いつもなら、美術館クラブ(工作教室)が終わってから行くのだが、今年は先に「沖縄戦フィルム1フィート運動の会企画制作の映像上映」があるというので早起きして10時半到着を目指す。

ところが高坂駅から歩いたところ、途中で道を間違えたらしく予定時間を超過。着いた時には11時。やはり慣れるまでは地図を用意しなくては。沖縄戦ビデオはとっくに始まっていた。ただ、幸いなことに複数回上映だったので、後半と次回の前半をつないで全編を見ることができた。

そこに登場する証言者によると沖縄には朝鮮半島から徴用されて来た軍夫がいたという。食料が足りないので民間の畑に盗みに入る。農民が軍に苦情を申し立てると、取り調べがあり、ポケットなどから作物が見つかった者は...殴られたのかと思ったら銃殺になったと言う。しかし帝国軍人が民間人の苦情を受けて内部調査をし、犯人処罰までしたというのが意外。盗んだのが兵隊だったら、文句を言った農民の方が痛めつけられていたのではないだろうか。

この上映は本館前の四阿が使われたが、記念式典他は展示室(南京第虐殺の図などがかかっている)で行われた。そのため天候を気にしないで済んだ(終わって出てみたら土砂降り)。

この展示室は天井の上に採光窓があることに気付く。何度か来ているはずなのに気が付かないことは結構あるものだ。そういえば、「原爆の図」では人物は多く描かれているが、背景は省略されていることが多いようだ。特に第三部「水」で顕著。

不思議なのはますます記憶と乖離して、印象が不鮮明になっていること。墨は褪色しないはずなのに...

それにしても人間とは不思議なものだ。放っておいたら戦争を始めるというのが一つ。その、ほとんど業と言っても良い性質をコントロールしようとしないのがもう一つ。戦争肯定派はべったりと身を委ねてしまうし、戦争反対派はその存在を認めようともしない。それじゃ戦争はなくせませんって。

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2009/05/04

ハンセン病資料館再訪

一昨年に訪問した国立ハンセン病資料館を再訪した。

元患者らから「展示や説明文を、国の責任をあいまいにした内容に変えた」との抗議を受けていた社会福祉法人が運営から撤退したという報道(2月)や新しい学芸課長の就任を伝える3日の記事を見た影響だろう、発作的に途中下車して向かった。

今回はすべて徒歩。思ったよりも遠くない。まぁ全生園の正門から入ったせいもある。

だが、思いつきで無計画に行ったのが仇。ゆっくり見始めたら展示室2に入ってすぐのところで閉館時刻の案内。

帰りは園内の森林浴の道を通り、患者が造成し、その頂上から故郷の方向を見て涙したという「望郷の丘」(築山)に登ってみたが、木々に阻まれて外は見えなかった。これは冬にまた来よう。

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2009/05/03

「路上脱出ガイド」発行を見守って(3)

3月に開かれた「路上脱出ガイド」(東京版)作成実行委員会ミーティングに出席した。と言っても議決権がある訳ではなく、まぁ「ご意見拝聴」される立場。そうそうたる顔ぶれの支援団体の前では実務未経験者は分が悪い。とはいえ、言うべきことは言わなければならない。

第1回のメモ


2日の「路上脱出ガイド(東京版)」作成実行委員会に参加された皆さん、および参加はしなかったけれど関心をお持ちの皆さん。

根本さんが叩き台となるドラフトを作成してくださっていたため、話を非常に具体的に進めことができました。次回はもう微修正ですので、気付いた点を提出します(当日提起分と一部重複)。

想定読者は路上生活のドシロート

想定読者は路上生活者と、路上には出ていないがネットカフェなどに寝泊まりしている一歩手前の人たちとなったと記憶します(したがって行政の諸施策紹介の中でも住所の存在を前提としたものは省く)。ところがそう決まった後でも、話が微妙に噛み合わない。

現在炊き出しを行っている人たちの念頭にあるのは、路上で生き延びた人たちのように思えます。しかし、雇用危機の中で新たに路上に出てくる人たちはちがうでしょう。路上生活のイロハも知らない、路上ネットワークから疎外されていて、意欲をなくした援助依存と噂に右往左往の両極端を往復するドシロート衆。運動体側は今までの路上生活者観をいったん脇に置く必要があるのではないでしょうか。

読者のペルソナ(象徴的読者モデル)を思い浮かべながら作ってください。変幻自在な「ゴムの読者」は混乱の元です。少なくともどういう人物が、どういう状況で手に取るかとミスマッチがあっては価値が半減します。

ネットカフェ/路上脱出のモデルケースをいくつか用意する

自分の状況を把握し、次に何をすればよいかを理解すれば問題解決は容易になります。コース分けすることで、情報が多すぎて混乱することも防げます。(フローチャートの話も出ましたね)

タイトル案「まともな生活に戻るために」

ネットカフェやビデオ鑑賞室で窮屈な思いをしながら寝ていても「ホームレスじゃない」と思いたがるのが人の性。かといって「ホームレスにならないために」や「路上生活転落予防」なんてすると路上側が絶望してしまう。屋根の下、畳の上でゆったりと寝るのは贅沢ではなく基本的な権利。ということで目標は「まともな生活」はいかがでしょうか(「人間的」と書いて「まとも」とルビを振ってもよい)。頭に「仕事をなくした人が」と付けた方が分かりやすい?

サブタイトルは「東京23区公式情報編」

大阪編に感じた不満の一つは、ほとんど全編が「してあげる」(路上生活者からすると「してもらう」)情報という点ですが、それはそれで一つの編集方針です。でも、それならばそう銘打つべき。(「野宿の知恵」と見られたくないのならなおさら)

自殺防止の観点を取り入れる

職を失い、人とのつながりが切れ、住むところすら失えば誰でも抑うつ的になるでしょう。自殺に走る危険が高くなると考えられます。ただし自殺問題では、素人が善かれと思ってしたことが逆効果ということがよくあるようなので、必ず専門家の意見を聞いてください。

なお、社会的な自殺という問題もあります。2日の朝日歌壇には「不景気の世に獄中の囚徒らが羨ましきと言う人のあり」という短歌が選ばれています。「刑務所に入りたくて」と犯罪に走る短絡反応(下関駅放火事件など)もなんとか予防したいもの。2-3年のつもりが無期懲役となってから慌てても遅い。ちなみに、先の短歌の作者(郷隼人)はUSAで84年から終身刑に服しているとのこと。

闇仕事に巻き込まれることを防ぐ

人の弱みに付け込んで、危ない仕事を持ちかける手合いは必ずいます。社会から弾かれたと感じていると、復讐とまでいかなくても、規範に対して鈍感になりがちです。振り込め詐欺や違法薬物の運搬、あるいは誘拐や強盗の片棒担ぎになりやすい。「失うべきものはまだある」ということを自覚してもらいましょう。犯罪グループはきっと狙っているし、おそらく警察もそういう目で見ているでしょう。事件がキッカケで福祉的な対応が治安的な対策に変われば、自助的なグループを破壊して施設へ分散収容といういやな展開になる可能性も。

団体情報をもっと盛り込む

炊き出し議論の際に提言しましたが、炊き出しの規模や実施団体の趣旨などを書くべきです。(中略)できるだけ詳しい記載を希望。苦労があるならそれも公開する。食べる側も近隣も表面だけ見て誤解することはあるのですから。

表記の統一など

12時制と24時制混在は、時刻を勘違いする人はいないでしょうが、みっともない(いかにも情報の寄せ集めみたい)。まして「午後3:00~17:00 」となると。
用字用語もできるだけ統一しましょう(ワードプロセッサを使うとかなりそろえられますし、この点は作業を引き受けてもようございます)。
ところで「大阪編」と「東京版」で良いのでしょうか?

固有名詞は表記に注意

「もやい」「てのはし」などの団体名は、知らない人は認識しづらい。「NPO法人自立生活サポートセンターもやいのホームベージ」なんて、ほぼ確実に「弁慶仮名」に読まれます(センターも、やいの)。「」でくくるとかフォントを変えるとかの工夫を。


メーリングリストでの補足1


補足です。

1.早く出すことが大切
2.努力はするが、初めから完全なものは目指さない

ですから、よほど妙なことにならない限り、協力は惜しみません。

メーリングリストでの補足2


ドラフトですから、細かい不体裁はあって当然です。細かいところはキッチリしているけど大枠がずれている、という方が困ります。

ただ「これはドラフト」「まだβ版」なんて意識でいると、最終版になって「ぎゃあ〜」ということがままありますので。

たとえば18ページの「ホームレス」は他のページと響きが違っています。パッチワークでは往々にして起きる現象に見えます。こういうのは潰しておかないと、読み手に意識化されない不快感を与えかねません。全体のトーンに気を配る編集長が必要な由縁。

あと、対外的に責任を負うのは誰なのか。言い換えれば、何かあった時に頭を下げるのは誰なのかははっきりしておきたいですね。頭を下げる(場合によっては丸める)人の意見が最終的には尊重される。だから私は自説に固執はしません。...方針不明確な空き地があったら、囲い込んで旗を立てちゃうかもしれませんが。

お役所言葉の扱い 他の提案(3月11日)

さて3つ提言します。1つは繰り返し、2つは新規。

お役所言葉、運動用語は本文に使わない

こういうガイドを初めて手にした人がまず戸惑うのは、日常生活ではお目にかからない用語ではないでしょうか。
東京版はトーンの異なる各ソースからの切り貼りではなく、全面的にリライトされると期待していますが、行政用語・運動用語は日常平易な言葉に置き換えることを(再度)提案します。

「違和感を覚えた」という薄弱な根拠で候補を列挙すれば、


支援団体

炊き出しの一覧の項目にあったが、これは普通なら「主催団体」「実施団体」。

カンパン

乾パンの方が一般的ではないか? Yahoo!で検索するとスポンサーサイトは上位3つまでが「肝斑」関連。

住所地番

これも不動産取引でもしない限りお目にかからないのでは? 実際問題としても「住居表示」が正しいことが多いし。

救急搬送

宿所

字を見れば意味は分かるけれど、「宿泊場所」と言ってはいけないのでしょうか?

自立することが見込まれるとされた

コピー&ペーストするだけでイライラしてきます。

常用雇用

意味不明、というより誤解を招く。ある市役所の助成金交付条件では「期間の定めのない労働者又は一年以上の雇用が見込まれ、かつ、1週間の所定労働時間が30時間以上の労働者」と定義されています。正社員をイメージすると大間違い。

一定の所得以下

「収入」と「所得」は明確に異なるものですが(特に税法上。申告書を書いた人は分かりますね)、ビッグイシューの説明では混同されています(×「160円が収入になります」 △「160円が所得になります」←諸経費を控除できるので実際は150円くらい)から、ここで「所得」という言葉を出すことには賛成できません。

参考:大阪編に見られたムズカシイ用語


  • 行旅病人

  • 短期間の掩護 ※「援護」とあったのに書き写す際に誤った

  • 各種生活面の援助 (個々の言葉は簡単でも組合わさると意味不明になる例)

  • 自立促進

  • 多重債務


また、必ずしもお役所言葉とは言えませんが、わざわざ固い言い回しにしなくても、と思えたのが

  • 入院の場合は、必要な諸経費については

    言い換え例「入院する場合も、必要な費用は」

    入院する場合、入院費とは別にいろいろ(寝間着、箸、湯呑み、歯ブラシなど)と必要になりますが、その費用も出してもらえるのでしょうか?

  • 直近6ヶ月

    言い換え例「それまでの半年間」

  • 現時点で住居(自己保有・賃貸等)がない

    言い換え例「いま住む所がない方」

  • 退去を余儀なくされた

    言い換え例「追い出された」「退去させられた」

  • 住居入居初期費用などの必要な資金

    言い換え例「アパートなどを借りるのに必要なお金」

  • 生計の維持が困難になった

    言い換え例「お金がなくて生活できなくなった」

  • 融資

    言い換え例「貸す」「貸し付け」

その他、どうも引っかかる言い回し


  • 炊き出しを活用し、自立につなげましょう

    炊き出しは死なないための緊急手段で、自立とは別の話でしょう。

  • 面談で相談

    「常用雇用」もそうですが、同じ字が繰り返さるとチカチカっとします。

参考:大阪編に見られた不可解構文

「大阪市内の住居のない人のうち、短期間の援護を必要とする人たちを一時的に受け入れることによって心身のリフレッシュの場を提供し、あわせて3食と入浴が可能です。」(※ここも正しく「援護」とあったのに書き写す際に誤った
神戸在住ですが該当しますか?という突っ込みはさておき、「あわせて」以降は別の文にすべき。またこの文もケアセンターの目的を述べているのに、その後の文でまた「目的としています」と来ると「心身のリフレッシュの場を提供」はなんなの?と聞きたくなります。


その他引っかかった用語


  • ダイヤル回線から

    プッシュ回線との判別法を知っている人は少ないのでは? 「ダイヤル式電話」が無難。

  • 正職員への就職

    東京都が採用してくれるように読めてしまう。

明らかに誤字

(略)


お役所言葉の解説を載せる

とはいえ、現実には窓口などでお役所言葉に遭遇します。そこで用語解説掲載を提案します。お役所言葉・難解語かの判定方法としては次の指標が考えられます。若い販売者に聞いてみるのも実態に即した選択に有効でしょう。

  • 国語辞典にその意味が載っているか
  • 『現代日本語書き言葉均衡コーパス』(http://www.kotonoha.gr.jp/demo/)で、「白書」<「Yahoo!知恵袋」となっているか

ネットには流出するものと覚悟する

(注:ネット公開に関する)牧歌的な議論がありましたが、良いものができればお節介な人が必ずアップします。というか、それくらいのものを目指さなければいけません。駅のポスターは盗まれることが人気のバロメーターなのと同じです。
積極的に載せることはしないとしても、ネットに載せられることを想定しておきましょう。たとえば、各ページのヘッダかフッタとして名前とバージョン(発行日)を入れるなど。


補足


運動体側は今までの路上生活者観をいったん脇に置く必要があるのではないでしょうか。 この台詞を面と向かって言えたら自分に褒美を出していた。orz

できばえがどんなであれ責任を問われることがない反面、どれほど重要に思えることでも同意を得られなければ反映されないもどかしさ。「ならば自分で作る」というのはいたずらにリソースを分散させるだけで、ためにならない。主導権奪取を画策すれば発行遅延というもっとも避けなければならない事態を招来しかねない。今回もまた支援者の限界を痛感した。

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2009/05/02

「路上脱出ガイド」発行を見守って(2)

話は前後するが、『路上脱出ガイド(大阪編)』への感想。これは2月に投稿したもの。

『路上脱出ガイド(大阪編)』への感想


「路上脱出ガイド」大阪編を見ました。

基本である公的支援等について、よくまとまっていると思いました。

反面、少々物足りない思いもしました。「ホームレス状態は解消すべきもの」という建前が勝っていると言いましょうか。

路上生活者にとって大切な情報は2つあると思います。
1.公的な支援制度、民間支援の情報
2.とりあえず生き延びる術

1.を知らないばかりに、しなくてもよい路上生活に陥る人がいることを考えれば、これは重要です。しかしたとえば、シェルターの説明に「整理券を受け取れなかった場合は、利用することはできません。」とありますが、利用できなくなったら路上で寝るしかない訳です。それに対するフォローがない。そこで2.の重要性が浮かび上がります。たとえば段ボールハウスの作り方とか新聞紙を使った防寒法とか。

それは路上生活に限ったノウハウではありません。たとえば大地震にあって家へ帰れなくなった時に役立ちます。避難所でのルールと「寝場所」の掟は重なるところが多いはず。それらを統合して「路上脱出ガイド」ではなくて「東京サバイバルガイド」とすると


  • 自分はホームレスではないと思っている「一歩手前の人たち」も手に取って読む ★とても重要

  • 防災用に有償配布が可能

  • 面倒見の良い街の篤志家が活用可能

  • 防災関係者からのノウハウ提供


といった効果も期待できると思います。


また、「路上生活の法律知識」も必要でしょう。何が違法であるか、あるいは何が嫌われるかを知らないままに検挙されたり追い立てをくらったりする路上新参者が多く出ることが予想されます。果ては振り込め詐欺団の出し子等に雇われてしまうとか。「あちら側」に転落する人が増えれば、警察も犯罪予備軍との見方を強めて来るでしょう。そうなると厄介。

というわけで、こんな内容は如何でしょう。
○住む家をなくしたときの基礎知識 ←防災っぽく
1.無事に朝を迎えるために
2.荷物はこうして選べ
3.近隣トラブルを避けるために
4.援助のスマートな受け方
○相談窓口一覧
1.生活扶助のための公的支援制度
2.利用できる公的機関
3.民間援助団体とその活動
○路上生活の法律知識 それは違法行為です
○路上からの脱出ロードマップ

小冊子だからホームレスにフォーカスすべきとの意見は出るでしょうが、より広い人たちに見てもらうことが重要だと考えます。

解説


実はこの時期、東京版の編集を巡っては関係者の間で面倒な議論が起きていたらしい。伝聞なので詳細は分からないが、放置すればろくでもない結果になりそうに思えた。そこで遠回しな応援として投稿した。ちなみに完成したものを見ると、その「なんだそれ?」と思えた部分は良い方向で解決されていた。

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「路上脱出ガイド」発行を見守って(1)

先月20日に発行された「路上脱出ガイド(東京23区編)」の編集会議があると聞いて3月初めに提出したメモ。この前の部分には「どの程度まで話が固まっているか分かりませんが」と言い訳がしてある。

路上脱出ガイド(東京編)に向けてのメモ


想定読者は誰か?

想定読者の違いは編集方針に大きな影響を与えます。

  • すでに住居をなくして路上で生活している人(路上生活者)

  • 崖っぷちではあるが、路上には出ていない人(一歩手前)

どちらが重要か?

路上に出てしまってからでは困難さが桁違いですから、「一歩手前」の人に焦点を合わせることが大切だと考えます。

  • 労働者の権利(期間中の派遣契約取り消しの違法性など)

  • 借家人の権利(違法な追い立てへの対抗手段)

  • 借金の基礎知識

  • 使える制度・施設

  • 民間を含めた相談窓口一覧

「一歩手前」の人たちはおそらく「自分はホームレスじゃない」というプライドがあるでしょう。また持っていることで仲間から「おお、とうとうホームレスか」とからかわれると思えば、関心があっても手を出さないでしょう。タイトルなどに工夫が必要。むろん、「格好つけてる場合じゃないだろう!」とドギツく出るのも選択肢としてはありですが。

路上脱出ガイドの場合

すでに路上に出ている人の方が深刻度が大きいので、そちらに焦点を当てた「路上脱出ガイド」にするというのであれば、徹底的にテクニカルなサバイバルガイドにすることを提案します。第一章はとにかく死なないための方法。なんらかの理由で公的な支援を受けられない場合の自助努力(野宿の仕方など)についても解説する。また建前に終始せず、本音の情報(「○○は役に立たないから使わない方が良い」など)を提供することで価値を出せます。行政を敵に回さないよう表現には注意しつつ。

  • 住む家をなくしたときの基礎知識
    1. 無事に朝を迎えるために
    2. 荷物はこうして選べ
    3. 路上生活の不文律
    4. 援助の受け方
  • 相談窓口一覧
    1. 生活扶助のための公的支援制度
    2. 利用できる公的機関
    3. 民間援助団体とその活動
  • 路上生活の法律知識
    1. 路上生活者の権利
    2. 犯罪となる行為
  • 路上からの脱出ロードマップ

販売者の意見も大きく取り入れ、場合によっては原稿料を払って執筆してもらい、「ホームレス生活評論家」としてデビューさせることも視野に。

大阪編への感想


  • すでに路上に出ている人用のガイドに見える。

  • でも、どうやって渡すのだろうか?

  • 炊き出し情報は、日時場所だけでなく「並び方」などのルールもあった方が利用しやすいし、新参者の無思慮な行動で中止に追い込まれる危険も減らせる。

  • ふりがなを付けたのは教育から疎外された人への配慮として好ましい。

  • しかし、それならもう少し易しい言葉遣いにできなかっただろうか(ルビ付きの難しい言葉より、ルビなしの平易な文章の方が読みやすい)。

    例:救急搬送された場合、所持金がなければ無料で(行旅病人として)診察を受け

    →救急車で運ばれれば、お金を持っていなくても病院でみてもらえます。

  • 目的が「活用できるサービスをお知らせする」だからやむを得ないが、非常に他力本願(世俗的な意味で)な感じがする。

  • ビッグイシューの紹介では、所得保証もないことを明記した方が良いと思う(東京編では非常に重要)。

解説


いま読み返してみると、2000年頃から整備されてきたという路上生活者への公的扶助(シェルターなど)をほぼ無視している。無知だけでなく「お役所のすることなんて...」という偏見のせいもあるだろうか。ただ当事者の間に「○○は役に立たないから使わない方が良い」といった噂があることを無視したら、ひいては「ガイド」の信頼性にも影響してきてしまうだろう。

それはともかく、暖冬だったとはいえ、2月は寒さ真っ最中。家を失い、ノウハウもないまま野宿をすれば凍死する危険もあった。そこで「無事に朝を迎えるために」は是非とも入れたい一章だった。

また新参路上生活者の無作法が原因かは分からないが、12年間続いた炊き出しが近隣からの苦情で中止に追い込まれる事態も発生しており、路上生活のルール周知は重要に思えた。

またビッグイシュー販売に所得保証がないことを明記することが「東京編では非常に重要」としたのは、大阪の販売者は個人事業主意識が高いのに、東京の販売者にはサラリーマン意識が抜けない人が多いと聞いていたから。かつて買い取り制で最低保証がない点だけを突いて非難したブロガーがいたが(唾を吐きかけるのももったいない)、誤解は解く努力をしない方も悪い。経験的にいって、まじめにやれば1日に「20-25冊」は売れるのはほぼ確かとはいえ、努力しないでも売れる訳ではないし、「ノルマがない」を曲解するといつまで経っても売り上げは伸びない(自分でノルマを課すようになって一人前)。保身のexcuseはしたくないという誠意の表れだと思うけれど、不利な条件もきちんと言わなければ。

続きを読む "「路上脱出ガイド」発行を見守って(1)"

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