「路上脱出ガイド」発行を見守って(2)
話は前後するが、『路上脱出ガイド(大阪編)』への感想。これは2月に投稿したもの。
『路上脱出ガイド(大阪編)』への感想
「路上脱出ガイド」大阪編を見ました。
基本である公的支援等について、よくまとまっていると思いました。
反面、少々物足りない思いもしました。「ホームレス状態は解消すべきもの」という建前が勝っていると言いましょうか。
路上生活者にとって大切な情報は2つあると思います。
1.公的な支援制度、民間支援の情報
2.とりあえず生き延びる術
1.を知らないばかりに、しなくてもよい路上生活に陥る人がいることを考えれば、これは重要です。しかしたとえば、シェルターの説明に「整理券を受け取れなかった場合は、利用することはできません。」とありますが、利用できなくなったら路上で寝るしかない訳です。それに対するフォローがない。そこで2.の重要性が浮かび上がります。たとえば段ボールハウスの作り方とか新聞紙を使った防寒法とか。
それは路上生活に限ったノウハウではありません。たとえば大地震にあって家へ帰れなくなった時に役立ちます。避難所でのルールと「寝場所」の掟は重なるところが多いはず。それらを統合して「路上脱出ガイド」ではなくて「東京サバイバルガイド」とすると
- 自分はホームレスではないと思っている「一歩手前の人たち」も手に取って読む ★とても重要
- 防災用に有償配布が可能
- 面倒見の良い街の篤志家が活用可能
- 防災関係者からのノウハウ提供
といった効果も期待できると思います。
また、「路上生活の法律知識」も必要でしょう。何が違法であるか、あるいは何が嫌われるかを知らないままに検挙されたり追い立てをくらったりする路上新参者が多く出ることが予想されます。果ては振り込め詐欺団の出し子等に雇われてしまうとか。「あちら側」に転落する人が増えれば、警察も犯罪予備軍との見方を強めて来るでしょう。そうなると厄介。
というわけで、こんな内容は如何でしょう。
○住む家をなくしたときの基礎知識 ←防災っぽく
1.無事に朝を迎えるために
2.荷物はこうして選べ
3.近隣トラブルを避けるために
4.援助のスマートな受け方
○相談窓口一覧
1.生活扶助のための公的支援制度
2.利用できる公的機関
3.民間援助団体とその活動
○路上生活の法律知識 それは違法行為です
○路上からの脱出ロードマップ
小冊子だからホームレスにフォーカスすべきとの意見は出るでしょうが、より広い人たちに見てもらうことが重要だと考えます。
解説
実はこの時期、東京版の編集を巡っては関係者の間で面倒な議論が起きていたらしい。伝聞なので詳細は分からないが、放置すればろくでもない結果になりそうに思えた。そこで遠回しな応援として投稿した。ちなみに完成したものを見ると、その「なんだそれ?」と思えた部分は良い方向で解決されていた。
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