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2008/11/08

福岡事件まめ知識

「福岡事件」の元死刑囚、石井健治郎さんが死去した。

この事件については青地晨の『冤罪の恐怖』(1969)で読んだくらいしか知らないのだが、wikipediaによると同書の「勝率」は高い。

『冤罪の恐怖』と『魔の時間 六つの冤罪事件』で取り上げた合計11の事件は執筆時点ではいずれも冤罪を訴えて再審請求を起こしたり裁判中だったが、再審請求中に被告が死亡した3件と名張毒ぶどう酒事件を除いて他の七つの事件(免田事件、徳島事件、仁保事件、島田事件、松山事件、梅田事件、弘前大教授夫人殺人事件)すべてで被告の無罪が確定し[2]、各事件を冤罪と論じた青地の判断の的確さを裏付けている。

(現時点で、丸正(元被告人死亡)、竜門(元被告人死亡)、帝銀(元被告人死亡)が上記3件とすると計算が合わない)

同書によれば
・石井元死刑囚は確かに2人を射殺しているが、これは誤想防衛と主張(復員軍人である石井は戦場で経験したのと同じ殺気を感じて反射的に銃を撃ったと)
・事件を主導したとされる西は事前共謀を否定(現場にも行っていない)
・被害者の一人が戦勝国の中国人であったため、厳罰を求める圧力(あるいは圧力と感じる日本側の雰囲気)があった模様

アリバイがあるとか犯人は別にいるとかいう事件と違い、救援運動が困難を極めたことは想像に難くない。中心となったのが今回喪主を務める古川龍樹の父である古川泰龍(故人)。以下、まめ知識(敬称略)。

現場に行って銃を撃ったことも認めている石井は恩赦で無期刑になったが、一切の関与を否定した西は恩赦を却下され即日処刑された(1975)。
同時に恩赦を退けられた死刑囚に免田栄がいる(後日、再審で無罪)。
僧侶である古川泰龍は教誨師として2人に出会い、助命嘆願を始めた(1961頃)。
佐木隆三の「復讐するは我にあり」(先日物故した緒形拳主演で映画化)のモデル、西口彰は弁護士を騙り運動へ協力したいと古川の寺を訪れ一家殺害を狙った。
しかし古川の次女(当時11歳)が手配中の殺人犯と気づいたため難を逃れた(1964)。
冤罪事件の弁護で知られる正木ひろしは、この次女の印象を「まるで天女」とハガキに書いて送っており(年代不明)、正木の生涯を扱ったTV番組では「ラブレター」と紹介された。

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