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2008/08/12

読了 『朽ちていった命』

6日の「ひろしま忌」で、99年の9月30日と館野公一さんが言ってもすぐに東海村のJCO臨界事故を思い出せなかったことを恥じて購入。

http://www.shinchosha.co.jp/book/129551/

NHKスペシャルとして放映された番組を書籍化したもので、あとがきにあるように証言インタビューの臨場感は失われた反面、放送では単純化したところにも詳しい説明が加えられ、理解を深めてくれる(たとえば移植した末梢血幹細胞由来の骨髄細胞に異常が見られた件は、放送を見たときは「?」であったが、本書で納得できた)。

致死量を遥かに超える中性子線を浴びた患者に、最後の臨界事故から30年以上たち医療技術も進歩していることに望みを繋ぎ、国内はもとより海外からも専門家を糾合して治療に当たったものの、結局は死期をわずかに延ばしただけ、ひょっとすると徒に苦痛を与えただけ、で医療側の完敗に終わる。

※1983年にはアルゼンチンで臨界事故があり1人が死亡している。

たった1人の患者なのに医師も看護師もへとへとになった。まして核事故や核戦争で被曝者が殺到したらどうなるか(治療中の看護婦がそういう悪夢にうなされたという記述がp.127にある)。推定被曝線量に基づいてトリアージ(選別)をする以外ないだろう。その状況では放置された患者は免疫不全から日和見感染で、たとえば肺がカビだらけになって窒息するとか、つまりエイズの末期と同じ死に方をするわけだが、それがまだ幸いと思えるほど放射線で命が朽ちていく様は酷い。

学会発表のポスターを盗み撮り?するほど熱心だった週刊誌も、核開発の危険性にまでは踏み込まず、結局は興味本位、覗き見、ゲテモノ趣味だったようだ。まぁ、週刊誌はそれでよい、とも言えるけれど。

幸いにも文庫化されてからも6刷を重ねているが、風化させてはいけない記録だ。

とはいえ半日で読み終えられたけれど...しんどかった。

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