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2008/07/22

漢字漢語研究会(2)

日本語学会の掲示板で見つけた第96回漢字漢語研究会に出席してきた。

お目当ては桐生さんの「医療の現場における漢語専門用語の問題点」(当日の演題は「医療の現場における専門用語の問題点—漢語専門用語を例に 」)。

国語研究所の病院の言葉を分かりやすくする提案の調査が紹介された。

発表を聞いているうちに、新聞記事やウェブサイトを読んでいる時には見落としていたことに気がついた。患者と医療従事者が口頭でコミュニケートしている時の問題だ! もちろん病院ウェブの文言に応用はきくけれど、基本はオーラル。難しい字が読めないという問題ではなく、音で聞いて字が浮かばない/別の字を思い浮かべるために理解できないという問題。

そういえば、父に胃がんが見つかり、切除しようと開腹したら「開けてびっくり玉手箱」、なす術もなくそのまま縫合した時のこと。執刀医も予想外の事態に狼狽したらしく、家族への説明も専門用語使いまくり。「よんけーのいがんです」と言われて、訳が分からず「4K」とメモしたのを覚えている。同時に出て来たスキルスという言葉は知っていたので説明は求めなかったが、今あらためて「4型の胃がん」を調べると実に絶望的であることが分かる。

閑話休題。口頭の場合は同音異義語が問題になるだろう。「化学療法」が通じにくいのは「科学療法」と誤認しているためという可能性はないだろうか。「こうげんびょう」と聞いて、膠原病を想起できる一般人がどれほどいるだろう。光源とか高原を思い浮かべるのが一般的だろう。中にはコーゲン病と思っている人もいるかもしれない。まず字で書いて示すのが第一の取り組みだと思う。
文字の場合は、難読字と字面による誤解が問題になる。塞栓や譫妄はおバカ芸人ならずとも読めない人は多いだろうし、糖尿病を甘く見る人が多い(実際には進行すると失明したり手足の切断が必要になったりする恐い病気)のは、発表にもあったように、日常語的な解釈で分かった気になるからだろう。ただウェブの場合は、用語解説へのハイパーリンクという必殺技が使える(解説を読まない人もいるから、言い換えや概念説明も必要)。

医療現場で対面の場合、通じているかいないかは、少し注意を払えば分かるけれど、ウェブページの場合は臨機応変な調節ができない。

フロアからの意見で面白かったのは、造語パターンの影響。省略形は難易度が高いのではないかと。古い翻訳語も現代人には通じにくかろう。

同じ国語研の「外来語の言い換え」は評判が芳しくない印象があるけれど、この病院の言葉を分かりやすくする提案は有意義なので、是非滑らないでほしいと願う。

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