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2007/06/23

伝法な、とは

先日、オフラインミーティングがあった。都電を借りきって早稲田から三ノ輪まで行き、そのあと浅草へ。

伝法院通りを歩いている時に「伝法な」という形容があることを思い出した。「論座」に連載されていた山本一力の「欅しぐれ」で見て、文脈から「ぞんざいな」くらいの意味だろうと理解して、調べないままにしていた言葉。

同行者に振ってみたが、残念ながら知らなかった。

数日経ってそれを思い出し、おもむろに辞書を引いてみた。

「1.粗暴で無法な振る舞いをすること。また、その人や、そのさま。」
これは予想通り。意外だったのは
「3.無料見物・無銭飲食をすること。また、その者。」

その語源は「江戸時代、浅草寺伝法院の寺男が、寺の威光をかさにきて、境内の見世物小屋や飲食店で無法な振る舞いをしたところからいう。」とのこと。

浅草の伝法院に関係のある表現だった。

ちなみに先の『欅しぐれ』はいろいろ蘊蓄があって楽しめた。著者はなかなかの苦労人らしい。後にコラムで、編集者から作家デビュー直後に「調べたことの九割五分は捨てて」と忠告されたことを書いている。95%捨ててもあれなのだから、いったいどれだけ調べたのだろう。

(もっとも、アマゾンで単行本についたレビュー「一番の不思議は公儀同心の手先、目明かしとその使い走りが殺されて姿を消すのだが、同心が動いた形跡が全く描かれない。」に膝を叩いてしまった。)

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