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2006/05/30

勢いだけで良いですか

久々にCNETで江島健太郎のblogを見たら「新潮」6月号に『ウェブ進化論』を著わした梅田望夫と作家の平野啓一郎の対談「ウェブ進化と人間の変容」が載っているというので買って来た。(A4判と思って探したのでなかなか見つからなかった。「新潮」ってA5判なのね。日本語で書いてあるけど。)

ワクワクしながら読み始めて、2ページ目でのけぞった。

ブログは書き始めて三年になるんですが、自分でやってみて痛感したのは、文章の推敲が足りなくても、少々誤字があっても良いから、リアルタイム性と勢いが必要だという事です。
(梅田発言 強調は引用者による)

半分、というよりは2/3はわかる。だからこうして、全体は後回しにして、この部分だけで一文ものしている訳だが、推敲が足りなくても、少々誤字があっても良いというのはどうだろう。

管見の範囲ではあるけれど、「送信ボタンをクリックする前に、一回読み直せばこんな恥をさらす事はないのに」という代物は実に多い。誤字脱字誤変換だけではない。前提となる事実関係が間違っていたら、そのご高説は砂上の楼閣ではないか。いや、一見枝葉末節の誤りでも「一匹見たら三十匹いると思え」で全体の信頼性が揺らぐ事がある。「付け焼き刃の知識」「知識を欠いている自覚が無い」「思いつきで書く」「思い込みが強い」「知的誠実さに欠ける」


論文誌への投稿ではないから、そんな厳密な事を要求している訳ではない。オンライン辞書やwikipediaグーグルテクノラティで確認する、あるいは自分の主張や認識をひっくり返すような事実がないかをチェックするだけだ。そんな手間さえ惜しむのは、自他ともに認める得意領域に止めておいた方が良い。(人は得意領域で大失敗するものだけど)

いやいや、梅田さんのブログにウソが多いといっている訳ではない。おそらく普段からよく考えている事に関しては、新しい刺激を受けてパパッと書いてもそうひどく外す事はないだろう。たとえ勘違いがあっても、新しいものが生み出されるような勘違い。

だが、世にあまたいるブロガーはそうではない。だからプロの技法を一般化してほしくない...というのが違和感の正体のようだ。

特に梅田さん自身が彼らがネットで正しいことを言えば、世の中はずいぶんよくなっていくのではないかと期待する「クラスの上から五人」「親戚中で一番敬意をもたれている人」には慎重に書いてほしい。この人たちが誤った事実認識に基づいて、あるいは思いつきを確かめもせずに、一時の感情に駆られて、影響力を行使したら恐ろしい事になる。

以上が1/3の不同意。そうは言ってもリアルタイム性と勢いは必要だな。六日の菖蒲じゃ勝負にならないし十日の菊は誰も聞かない。

読む気をそぐような誤字脱字誤変換は自動校正機能が発達すれば解決するだろう。いずれはサーバ側でチェックしてくれるようになるかもしれない。

内容のチェックは難しい。下手をすれば検閲になってしまう。これはたとえばキーワード自動リンクによって基本的な勘違いは防げるようになるかもしれない。下書き段階で言葉の意味やキーワードの解説を確認できれば、(ブログではないけれど)1985年を指してウィンドウズのバージョン1が公開されて、ビル・ゲイツが表舞台に登場したこの年こそが、ネットワーク時代の「紀元」にあたるみたいな恥ずかしい発言はしないだろう(Windows1.0がどんなものかの評判も知らないならIT史を語るなよ)。「情けは人のためならず」や「カーキ色」のように意味が変化しているものなら「私はこっちの意味で使っている」とリンク先を指定したり。

それでも親切な読者がついているのが一番かなぁ。

後は格付け。具体的な方法は思いつかないけれど、床屋政談は御自由に、但し隔離しておく事で影響を抑えるような。本人が「これはホンの思いつき」とマークしておくだけでも、真に受けられて独り歩きすることを防げる。検索の時代は、前後の欠けた1エントリーだけが注目される危険があるから(たとえば別フレームにエイプリルフール特集と書いてあっても見落とされる)。

ちぇっ、月曜中に登録しようとしてたのに。

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