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2005/05/05

平和の行方

韓国・中国での日本非難に対して「日本の軍国主義復活など、余計な心配」という人がいる。たしかに今の日本人が近隣諸国へ武力侵攻する姿は想像しにくい。しかし、本当に大丈夫だろうか?

20世紀の末にボスニア・ヘルツェゴビナ紛争というものがあった。「7つの隣国、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字により構成される1つの国」としてまとまっていたユーゴスラビア連邦は血で血を洗う内戦に突入し、非戦闘員の虐殺まで起きる始末。激戦地の一つとなったサラエボは、そのわずか8年前には冬季オリンピック開催都市であったのにと異様に感じたのを覚えている。50年間近く平和にやってきて、平和の祭典オリンピックまで開いて、それが国際介入を受ける「歯止めなき内戦」に突入してしまうとは!(セルビア人勢力の主体はボスニア外からの応援かもしれないが)

だから、今は「そんな面倒なことには関わりたくない」という人が、いきなり「暴支膺懲」とか喚き出すのではないかと心配。いったん流れが勇ましい方向に定まったら、それに逆らうのはそれこそ「そんな面倒なこと」。ネコの毛は茶色だっていいじゃないか。戦争になっても自分が前線に行く事はないだろう...あれあれ、話が違うよ。でももうシカタガナイ。兵隊の身分は安定だし給料もちゃんと出るし、隊伍を組んでの行進って結構かっこいい。(「華氏451」を読んでいたら、あの呑気な銃後の妻達を思い出してほしい)


もっとも、念のためにボスニア紛争の概要を調べようとしたところ、サラエボオリンピックで大惨敗というページがヒットし、実はオリンピック開催当時から危険な兆候はあったという話。

オーストリア共和国の選手に対して、市民(の一部)がオーストリー=ハンガリー二重帝国時代の恨みをぶつけ、コンデションをめちゃくちゃにしたという(閉会後には宿舎への投石騒ぎまであったと)。

あのときのオーストリア選手団に対する110年前の歴史の恨みが行き着いた先は、「人を呪わば穴2つ」という悲しい結末でした。もし1988年のユーゴスラヴィアの人々にオーストリア選手団を暖く迎えるような心のゆとりができていたなら、ひょっとするとあの内戦は避けられていたかも知れません。
(「サラエボオリンピックで大惨敗」) この分析が妥当かはわかりませんが、憎しみを原動力とする事の危険性には同感です。

さてサッカーワールドカップの日韓共同開催は無事に済んだし、中国の反日暴動に呼応するようなおっちょこちょいも一つまみより多くはなさそうなので、すぐに憎悪の火が燃え上がる心配はありませんな。

でも「なんだかんだ言っても中国経済は日本なしには立ちいかない」という優越感に支えられた余裕の対応ですから、それが相手の感情を煽る心配がありますし、日本側に余裕がなくなれば「降り掛かった火の粉は払わねば」などと売り言葉に買い言葉の応酬になり、抜き差しならない事態に陥る懸念は残ります。局地的ではあれ、人民解放軍と自衛隊の衝突なんて事になれば、これは国難。国難に際して足並みを乱すような言動を許容できるほど日本社会は成熟しているでしょうか? 「言論の自由は保証するが、お前のは反日活動だから駄目」となる気がします。

そうなってからでは遅い。どうしたら未然に防げるでしょうか。「憎しみに駆られるのではなく幸福の希求を動機とする」と思いつつも、「愛国」くらいにしか自らの存在意義を見いだせない者への蔑みを禁じられません。私は連中を憎んでいる... 対話ができるだろうか...

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